だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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カサンドラに行かない人達

「行ってしまわれましたなあ……」

 

 

もう拡張と発展がいきすぎて村から町にグレードアップしたダム近辺は、一部に世紀末前の文明的な施設が復興しつつある。

 

そして流れで町長になった元村長と俺は、町の入り口付近で救出作戦に向かった人達をお見送りしていたんだ。

 

俺?俺はずっと代表って呼ばれてるよ。最近世紀末救世主にお前が救世主だ……的な事を言われてビックリしたんだけどね。

 

今回は前々から考えていた計画の為に方々に協力と避難誘導を行い、カサンドラという牢獄に囚われている人を助けようって作戦を隠れ蓑に、本命は拳王を倒せるかもしれないトキも助ける二段構えの作戦を考案することにしたんだ。

 

あの人は半病人で下手な長距離移動は命に関わるってんで大人しく捕まったらしいんだけどさ、あの人そのまま拳王と戦ってるんだよね。拳法家ってほんと無茶苦茶だわ。

 

そんでまあトキを助けにいくと拳王親衛隊がリンちゃんとバット君の村を襲い、レイが来た後にラオウが来るって図式が思い浮かんだんだ。

 

そうなると問題はその三人……今は俺のせいで全員バラバラの場所に居るということ……。

 

だから俺はあの原作の運命力ってやつを信じてそのキーパーソン達を集めることを始めたんだ。

 

しかし方々を放浪するアンナちゃんの兄貴に調べてもらうと、嫌なバタフライエフェクトの情報を手に入れることになる。

 

結局俺がスルーした神の国の大佐達とジャッカルのグループ、更に牙一族にユダまで拳王軍の配下として活動をしているらしいということ。

 

……まあ悪党が集まるなら対処は楽だしいいけどね。問題は奴等がどいつもこいつも人間狩りをしているグループなんだよね。

 

こうなるともう奴等と俺の人集めVS人狩りのチキンレースに突入していった。

 

幸い此方は人も多いし移住体制も揃ったから、リンちゃんとバット君がやって来るまで子供を中心にバンバン移住していいですよって噂を広めたらもう人が来るわ来るわ……。

 

気分は資源が続くまで人材ガチャ引きまくる気分になっていた、俺の資源が火を吹くぜ!

 

そんな調子に乗った行動がどんどんとダムの村を町レベルにした原因の一つなんだけどね……。

 

そしてドンドン増えていく子供達にその両親と育ての親達……広がる負担に拡大する業務。

 

自業自得とはいえ、こうなると偽装ロボットを増員しても間に合わないし、もう人を使える人がいなくてシンとかヒーヒー言ってたし、ジャギなんか治安兵として毎日町中練り歩いてるし大変だったなあ。

 

まあ今は監督出来る人間も増えたから、余裕のある生活になってきたんだけどね。

 

そんでどさくさに紛れてトキに扮したアミバがやって来てさ、最初は急に人材ガチャの大本命トキ先生来た!って喜び一杯に開発した死の灰の検査装置とか持って会いに行ったんだよ。

 

そんでレーザースキャナー方式の死の灰の検査装置使ったらさ、全く死の灰に冒されてないから直ぐにアミバだって気づいた俺の怒りときたら……あのまま護衛のケイジとたまたま一緒にいたシンが無力化してなかったらアミバはどうなっていたか……。

 

ムカついたからダムの秘密拠点で後頭部と心臓の付近に高性能爆弾を埋め込んでやったけどね。

 

んで埋め込んだ後にコイツ拳王の撹乱に使えるなって気付いたんだ。

 

幸いアミバは拳王と会って北斗神拳の経絡秘孔の基礎的なものを教わったらしくてさ、そこから新しい秘孔を開発するデク集めにこの町に来たらしいんだよね。

 

だったら沢山研究してもらおうぜって事で、ヒャッハーして指名手配だった奴を取っ捕まえて人体実験に使って研究させたんだ。

 

んでこの自称天才はまじで天才だったらしくてさ、新築の病院の地下に幾つもの計測器と体内の秘孔を押したときに流れるエネルギーの観測装置を作って研究させたらポンポン新しい秘孔を発見していくんだ。

 

ヒャッハーな人を全身麻酔で痛みも感じさせずに体内に走るエネルギーの流れを調べていく方法はアミバの性にあったんだろうな。

 

 

「俺は一つの流派が2000年研鑽してきた経絡秘孔の深奥を覗こうとしている……」

 

 

なんて呟いて研究にドップリつかっていったんだよね。

 

そんでアミバには町に潜んでいる拳王の斥候と接触させ、俺の監視が厳しいから医療的な秘孔と一部の新秘孔しか開発できないって情報を絞って報告させながら。アミバは経絡秘孔というものを丸裸にしていく。

 

幸い研究材料は向こうからやって来るし、アミバは何だかんだ凄い拾い物に化けていったなあ。

 

 

「代表よ、しかしよかったのか?俺と銀が変装したトキにケンシロウとはいえ、ここには拳王様が来るかもしれんのだぞ?」

 

 

町長は仕事が残っているらしいので別れると、今度はこちらにどこかビクビクとしながらやってきたアミバの台詞に、俺はこう答えた。

 

 

「だから拳法家の皆さんはカサンドラ救出作戦に皆出したんでしょうが。新しく作った兵器は拳法家の皆さんが居たら納得しないかもしれないからね」

 

「あれか……」

 

 

アミバは町の入り口に設置されたある防衛兵器を見ている。

 

粉塵対策で布に覆われたコイツは、対拳王用の防衛兵器で都合三つ設置されているが、普通の人間だったらまあ食らえば助からない武器であった。

 

まあ味方も巻き込むから出会い頭にぶっぱなすしかないんだけどね。

 

 

「こっちは守るもんが多いんだ。仁義やプライドよりも人命最優先でいかないと」

 

 

作戦名【カサンドラの嵐】は大量に送った戦力に紛れたケンシロウ達少数がトキを救出する比較的シンプルな作戦だ。まあ作戦自体は余程ヘマしなきゃ大丈夫だろう。

 

 

「それよりもアミバ……俺が頼んだ研究は進んでるんだろうな」

 

「ふん、俺を誰だと思っている……代表が頼んできた研究はほぼ完成している。問題は本当にそれが必要になるのかという事だけだ」

 

「だがそれで大分他の研究も進んだんだろ?」

 

「ああ、僅かだが新発見も有ったよ。それだけあれは難しかった依頼ということを忘れるな」

 

「はいはい、アミバ大先生の言っていたウォーターサーバーは準備しているよ。あとオーラを観測出来る装置も何とか目処がつきそうだ」

 

 

そう言った俺にアミバは何とも言えない顔をして

 

 

「俺は自分が天才だと疑ってはいない、だがな……俺は自分以上の天才を超えた化け物を見るなんて経験はしたことなかったんだがな」

 

「誰が化け物だ誰が……俺は開発出来るかもしれないって言ったろ?」

 

「それが化け物だと言っている。自分で言ってて馬鹿な事を頼んだと思ったんだがなあ……」

 

 

そう言ってアミバはすたすたと自分の持ち場の病院に戻っていくのであった。

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