だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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カッコいいジャギが見たいって?

ちょっとだけね?


進化する男

原作でヘルメットを被ってケンシロウのフリをしていたジャギはこの世界ではアンナとお揃いのバンダナを巻き、バンダナのジャギとして巷では有名である。

 

数多の銃を使い、ならず者を凪ぎ払う。

 

たとえ銃がなくても神速の拳でならず者を制圧する。

 

彼は昔北斗神拳に拘っていた……しかし今の彼は北斗神拳を滅多に使わない。

 

きっかけは些細なものだった。

 

 

「銃を使いたい……ですか?」

 

「ああ、俺に銃……というか武器の使い方を教えてほしい」

 

 

ダムの村にやって来ていた代表に真摯に頭を下げるジャギ……その頃はケンシロウの技を解いてもらい、落ち着いた生活をしていたジャギはブルーという銃の達人が現れてから、やけに銃に対して聞いてくるなあと代表は思っていた。

 

 

「貴方には北斗神拳という二千年近く続く無敵の暗殺拳があるじゃないですか……なのにどうして?」

 

「ハッ……その無敵の暗殺拳を食らって死にかけたんだ……死ぬほど頭にくるが俺よりも北斗神拳が使える奴にな」

 

 

代表は納得したようなしてないような顔をする。

 

 

「だから北斗神拳を捨てると?」

 

「親父から教わった北斗神拳を捨てるわけじゃねえ……ただどうしてもてめえの使う北斗神拳に命を預け続ける自信がなくなっちまったんだ」

 

 

そう言って背中を丸めるジャギ……。

 

暫くすると代表はにこやかな顔をして。

 

 

「いいでしょう。その代わり貴方には協力してもらいましょうか」

 

 

そう言って護衛のブルーを指差し。

 

 

「知ってるでしょうが彼はブルー。見ての通りの銃と兵器の扱いに長けたものです。そしてケイジは槍と肉弾戦を想定した人造人間なんですが、どちらも戦闘経験値が不足しています」

 

「ブルー殿は銃器運用なので銃撃の練習をしていけばどんどん経験値が上がっていくのでござるが、生憎とわしは相手がいないと難しくての」

 

 

代表はケイジの話にうんうんと頷き。

 

 

「シンは割り振った仕事が忙しいですし貴方暇でしょ?……アンナちゃんが頼んだガソリンを貴方がパクってそれを使ってバイクを乗り回してるのは知ってるんでちょっと働きましょうか?」

 

 

そう言って代表はジャギに多少の仕事をさせながら銃器の扱いを仕込んでいく。

 

最初は銃の知識と整備から始まり、片手銃から自動小銃・狙撃銃・散弾銃・猟銃・機関銃……終いには爆弾にロケット砲とあらゆる携行可能火器を教え込まれること数週間。

 

 

「……随分とそれが気に入ったみたいだな」

 

「何でかわかんねえが、やたらこいつが手に馴染むんだよな」

 

 

ジャギが握るのはS&Wのコンバットマグナムによく似た大型リボルバーで、元々銃身を詰めたショットガンを片手で振り回して使っていたせいか変な癖がついていたが、正しいフォームに矯正したジャギはこの大型リボルバーをいたく気に入って使うようになっていく。

 

それと並行して行われるのはケイジとの模擬戦……という名の二人の大喧嘩だった。

 

 

「ぬおおおおりゃあああぁぁぁぁ!!!」

 

「はっはっは!!まだまだいけるぞジャギよ!」

 

 

拳と拳、足や頭突きまでぶつかり合うそれは並の人では捉えきれないレベルでの応酬が続いていく。

 

だがジャギにとっては地獄の時間だった。

 

(人造人間は経絡秘孔がねえから北斗神拳が効かねえなくそが!)

 

いくら経絡秘孔を突こうとも、そういう器官のない人造人間は北斗神拳にとって天敵であり、そしてケイジは並の人類を超越した身体能力を持つフィジカルモンスターである。

 

昔稽古した時のラオウよりパワーがあり、トキより速いケイジとの戦闘はジャギの思考をゾリゾリと削りあげ、身体中にダメージを負いながら思考が鈍っていく。

 

 

「ほれ隙だな」

 

「グボオアァ!」

 

 

こうして経験値が貯蓄されたケイジの体術は既にジャギも手に負えないレベルまで上昇し、欠片でも隙を見せるとこうして思考の間に潜り込むようなボディブローが決まって吹っ飛ぶ。

 

 

「ゼエ……ゼエ……ガハッ!」

 

「今日も拙者の勝ちであったな。最初の頃より随分と拙者も殴りあいが出来るようになった」

 

「ゼエ……てめえで言ってちゃ世話ねえぜ……ゼエ……くそ」

 

 

大の字にぶっ倒れるジャギに多少の汚れだけついたケイジは模擬戦の感想を言い合いながら暫く話していると。

 

 

「いやーとんでもないですね拳法家ってのは」

 

 

模擬戦を見ていた代表がやって来た。

 

 

「日々改良が進んでいるケイジにここまで食い下がれるなんて……銃もかなり使えると聞きますし多才ですねジャギは。まあこうして頑張っているようですから私からジャギにプレゼントです」

 

 

そう言ってドサリとミリタリーバッグを渡され、中身は今のジャギを形作る装備が詰め込まれていたのだった。

 

 

 

 

 

「だから見えてるって言ってんだろうが!」

 

 

スピードローダーを使い殆ど一瞬でリボルバーのリロードをしたジャギはすかさず暗闇に三連発、左手のリボルバーをしまい、背中に背負った連発ができるショットガンを背後にぶっぱなした。

 

ジャギが銃を撃つ度に闇の向こうから呻き声が聞こえたりそのまま気配が消えていくと、一人の男がぬらりと闇から現れた。

 

 

「雑兵とはいえ我がGOLANの兵士をこうも容易く倒すとは……流石は音に聞くバンダナのジャギだな。それに」

 

 

その男はジャギのしている装備をなめるように見た。

 

 

「リボルバーはともかく連発可能なショットガンなど完全に軍用の装備ではないか……是非手にいれたいものだが」

 

 

ダーン!

 

 

ジャギは何も言わずにリボルバーで男の眉間に撃ち込むが、男は腕で顔を庇う。

 

 

「……チッ、防弾仕様のコートか。武器は保管できなかったようだがなぁ」

 

 

「ほざけ!ここで貴様を生け捕りにし、武器の出所を洗いざらい吐いてもらおうか!」

 

「出来るもんならやってみな……俺もてめえらには聞きたいことがあるからよ」

 

 

ジャギはふてぶてしく部屋の中央に歩いていくと

 

 

「……きな」

 

 

返答は無数のナイフだった。

 

ジャギはガンベルトからスピードローダーを二つ投げるとそのまま二丁のリボルバーを抜き撃ちで全弾発射。そのままリボルバーから空薬莢を弾倉から抜くと、空中に飛んでいたスピードローダーをそのまま弾倉に入れ込んだ。

 

飛んできたナイフをあらかた撃ち落とし、飛んできた残りの二本のナイフをリボルバーで弾くと。

 

 

「いつまでも隠れてネズミかてめえらは!」

 

 

弾いたナイフを蹴り飛ばして闇の中に豪速で放り込んだ。

 

 

「ギャァ!」

 

「うう……」

 

 

そして消える二つの気配。

 

 

「犬といいてめえらといい…ここはこそこそ隠れてマスをかくインキン野郎しかいねえのか、ええ?」

 

 

しまいにはリボルバーをしまい棒立ちになるジャギ。その挑発行為に流石に相手もキレたのだろう。

 

 

「少佐、軍曹…一息に殺す」

 

「はっ!」

 

「了解」

 

 

ついに本命が動いた!ジャギは胸中で確信した。

 

今の今まで把握できなかった薄い気配が動いたからだ。

 

 

「冥土の土産に見せてやるぜ……これを使うのは久々だ」

 

 

ジャギは肩幅に足を広げ、膝を曲げると両手を前に出した。

 

その瞬間ジャギの気配が希薄に変わった。そこにいるのにそこにいない……見失いそうなのに視界から離れない不思議な気配に。

 

 

生前のリュウケンが、そして残る北斗の三兄弟も今のジャギの姿を見たら驚くに違いない。

 

かつてのジャギとは次元が違うその技の完成度に。

 

 

フワリ……

 

 

ジャギに襲いかかったのは六つの気配!うち一つは音すら出さずにジャギの背後から接近していく!

 

だが甘かった……GOLANは知らない、ジャギが誰とシノギを削ったか。

 

ジャギは知った。闘争の先、感情を捨て、意識と無意識の狭間で見た己の技の真の姿を!

 

 

北斗羅漢撃

 

 

流動するはあまりの速度に六つに分かれた様に見える腕。

 

それぞれがしなりながら六つの気配に正確に打ち込まれた。

 

そしてジャギが構えを解いたとき、六つの気配はジャギの前に跪くような格好で動かない。

 

 

「一つ聞く、お前ら神の国は創設した初期にマスクを被っていたモヒカン集団を子飼いにして使ってたのか?」

 

「……そうだ、しかし使いだして直ぐにダムの連中に半数近くを討ち取られたが……バワタッ!」

 

 

その言葉を残してGOLANの総帥の大佐は、他の戦士達と同時に頭が破裂して絶命したのだった。

 

 

 

 

 

「借りは返したぜ、アンナ……」

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