だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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切りがいいので短めです


めでたい日

有り合わせの超突貫、天井の塗装も済んでない鉄骨むき出しの教会で、ユリアとケンシロウは向かい合っていた。

 

 

「ユリア……」

 

「ケン」

 

 

代表からの差し入れでケンシロウは白のタキシード、ユリアは白いウェディングドレスを着ている。

 

新郎新婦入場の際にはケンシロウには笑いとやっかみ、ユリアには男女問わず感嘆の溜め息が出ていたが、こうして二人が向かい合うと皆静かに事を見守っている。

 

 

「それではお二人には誓いのキスを……」

 

 

神父の代役としてダムの村の町長がそう告げると二人の体はゆっくりと近づき……

 

 

そして重なった。

 

 

 

「「「「わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」」

 

 

 

その瞬間に爆発したような歓声と盛大な拍手の音の中で、ただただ幸せそうに笑うユリアと微笑むケンシロウの姿があった。

 

 

 

 

「いやー良かったですね二人とも」

 

 

結婚式は成功を収め、取り敢えずはと代表が盛大な立食パーティーを開いてもてなす中、ケンシロウとユリアが代表の前にやって来ていた。

 

 

「……俺は結局代表の世話になりっぱなしだったな」

 

 

ケンシロウの言葉に代表は苦笑し。

 

 

「幻の暗殺拳が世の中で轟くこと自体が異常なんですよ。それに貴方はこの町で色んな仕事や治安維持で頑張ってるじゃないですかケンシロウ」

 

「フッ……たまに自分が拳法家だと忘れそうになる」

 

 

ケンシロウはそう言って笑うと気を引き締めた顔になり。

 

 

「長兄ラオウとの真剣勝負の件、場を整えてくれて感謝する」

 

 

実はラオウとケンシロウの真剣勝負はケンシロウからの提案だった。

 

 

「私としてはラオウを無力化してさっさと西に行って問題を解決するまで帰らせないことも出来るんですけどね」

 

「それでは天を目指した一人の武人としてラオウは納得できないだろう。伝承者となって結局手合わせが唯一出来なかった相手なんだ……勝って兄に認められたい俺の我が儘さ」

 

「面倒ですね拳法家ってやつは……ユリアさんも先行きが大変ですね」

 

「ケンなら大丈夫です。その時は私が支えますから」

 

「これはこれは、随分と綺麗で頑丈そうだ」

 

 

新婚らしい熱々っぷりに代表は苦笑いしたが、真面目な顔になり。

 

 

「相手は北斗神拳の使い手で兄弟子。更に親代わりの師匠を殺しその行為による非情さで莫大な闘気の高まりを得た傑物です…勝算は?」

 

 

代表の言葉にケンシロウは自信を漲らせた顔で

 

 

「ある……俺は非情になれなかったが、ここでの生活で一つ確信したことがある……非情さだけが闘気を高める方法ではないことを」

 

 

 

 

 

そして結婚式から一週間後……過程は大分違ったが北斗の拳において最も有名なシーンと言えるケンシロウ対ラオウの真剣勝負が始まろうとしていた。




次回【真剣勝負】
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