「廻し受けですね……しかし見事なもんだ」
ケンシロウの受け技を見ていた代表はそう呟いた。
ラオウとケンシロウの真拳勝負を見守る面々はその戦闘の激しさに息を飲んで見守っている。
そして代表の言葉に一緒に見ていたアミバが反応した。
「確か虎殺しをしたと言っていた空手家が使っていた技だったな。その前に使ったのは蛇拳の型で組み付いて変則の背負い投げ……器用なもんだ」
「受けたり見たりした技を血肉に出来る北斗神拳ならではの技ですね」
腕組みをするアミバは厳しい顔をして言う。
「しかしラオウを殺さずに無力化なんて出来るのか? ……いくらケンシロウがあの頃とは比べられんほど強くなったとはいえ無茶だろう?」
その警告に代表は微笑んだ。
「北斗神拳は一撃必殺の無敵の拳ですが、一撃必殺故に防御の型がほぼ存在しません。大体回避か相殺かカウンターしかない故に防御だけは個人の能力に頼っている節がある……言うなればそこが北斗神拳の弱点なんです」
「防御が北斗神拳の弱点か……どうにも想像つかん」
アミバは距離を詰めるラオウを見てそう言った。
「まあ見ててください……ケンシロウの得た答えを」
side ケンシロウ
おめえさんの技は正に修羅だなぁ……だがまだまだ技の強さに頼っていて練りがたんねえよ。
そう言ったあの隻眼の空手家は俺の北斗百裂拳を事も無げに二つの正拳突きで弾き飛ばした。
百回殴ろうが腕は二本なんだ。来るとわかればやれねえ事はねえさ。
悉く技を受けきられて衝撃を受けた。
自分よりも二回り以上年上だったあの空手家は正に達人だった。
「何故北斗神拳を使わんケンシロウ!」
ラオウの闘気を纏う剛拳を化勁で逸らし、経絡秘孔を突かれそうになれば、アイソレーションというボディコントロールで筋肉と秘孔の位置をずらして無効化する。
力は利用し、制御してこそネ!
あの拳法家はそう言って技を教えてくれたが、ユリアの事を見る視線は気に食わなかった。
「妙な動きをしおって……戦いの最中に秘孔をずらすなどいつの間にそんな技を覚えた!」
はた目にはわからないほどの大振りになった右拳を体を滑らせるように避け、ラオウの懐に潜り込む。
「また投げるつもりか! させん!」
組み付く事を警戒し、両腕を広げて逆に組み付こうとするラオウだが、投げるだけが能ではない!
わしは腕が届く距離におるなら戦車ですらひっくり返せるわい……。
そう言った御老人の枯木のような体から放たれた一撃は容易く岩を砕いていたのを覚えている。
「ふん!」
ズン!
「ぐぬう!」
地を砕くほどの震脚から背中からもたれ掛かるようにラオウに俺はぶち当たる。
八極拳が一つ鉄山靠だが、闘気を纏うラオウにはそれなりのダメージと体勢を崩す事しか出来なかった。
だがそれが好機だ!
体勢を崩すラオウと目が合う、俺の答えを示すぞ、ラオウよ!
「俺は北斗神拳以外を知った……そして知った俺は変わる……そしてこれは明日へと繋ぐ俺の技だ!」
やや開いた間合い、力強く踏み込んで宙を舞う。
「その動きレイ……いやシュウの気配も感じるだと?」
南斗水鳥拳の疾風行法に南斗白鷺拳の烈脚空舞を混ぜた蹴りはラオウの胸に浅い傷を作る。
「空手に中国拳法に次は南斗聖拳……他者の猿真似で我を倒せると思うたか!」
闘気が荒れ狂い、ラオウの手刀が空気を引き裂くが俺は十字に手刀を放って相殺し、ラオウの四肢に斬撃めいた飛び蹴りを浴びせた。
「サウザーにシンの技か……いよいよもって下らんな」
ラオウの目に侮蔑の色が浮かぶ。
「どれもこれも我を倒すには至らんものばかり……こんな大道芸じみたものを見せる為に挑んだというならその命いらんようだな?」
ラオウの殺気が闘気と融合し、赤黒いオーラとなって可視化出来るまで高まった。
確かに全ての技はラオウの命に届かなかった。
しかし、俺は確信した。
「ラオウ……お前は既に負けている」
ケンシロウに教えをくれた人達はダムの町以外で元気に治安維持を行ったりしてます。