だから俺は救世主じゃねえって   作:ガウチョ

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ストックが失くなりました。

二話投稿とかするもんじゃないね。


日々の変化と原作の足音

最初の襲撃から数ヶ月経つけど、最近俺に対するダムの外側の人達の態度の変化に戸惑っている。

 

なんか好感度がモリモリ上がっているのだ。

 

相変わらずダムから三キロ圏内に住むことは許してないし、何か揉め事が起きても殺しとか起きない限りは黙認してはいるんだけどね。

 

そしてならず者の襲撃も両手の指を超える数来たけど、全て撃退か皆殺しをしていると何故かダムの外側の村に移住してくる人間がじわじわと増えていってる。

 

 

「ここの治安の良さが噂になっているようですじゃ」

 

 

たまに外側の村の外に向かうと村長がそう説明してくれるが、彼等は俺の事をにこやかに出迎えてくれるようになったな……貧すれば鈍すると言うけどここの人達も最初は警戒心バリバリだったんだけどね。

 

後変化としては新たに人がトラックとかバイクとか徒歩で来るんだけど、村から見える距離に来て警告の鐘が鳴ると、乗り物に乗っている人は乗り物から降りて白っぽい何かを巻いた旗を振って歩いてくるようになった。

 

まあ狙撃されるなら無抵抗だとわかりやすいアピールしてくれた方が良いからね。

 

すると外側の村から人が何人か出て来て、その集団に向かうと武器とかを預かり、村の基本的な事を説明して村の人が乗り物を決めた場所に駐車しにいき、やって来た集団は荷物を持たすと歩かせて村に案内していく。

 

襲撃が増えたために問答無用で攻撃しないように村の方から提案された取り組みだ。

 

まあそれで最初に犠牲になるのは村の人間だから俺は許可したんだけど。

 

すると案の定やっぱり武器を隠した奴がいて、何回か村の人間が人質に取られそうになったりした(その瞬間頭を狙撃で吹っ飛ばした)。だからそれ以降は偽装ロボットを誘導係の護衛として使うようになったんだよ。

 

研究が進んで人工知能のバージョンアップが進んだ偽装ロボットは自然な受け答えが出来るように調整したので、端から見るとこいつらがロボットだとは解りにくいだろう。北斗神拳とか南斗聖拳をくらえばあっさりバレるけどな。

 

そして完全武装の偽装ロボットが護衛についていると流石に人は無駄な抵抗せずに村に入るようになっていった。

 

武器は取り上げてるし巡回に偽装ロボットを派遣しているから、流石に馬鹿な事もしないだろう。

 

夜も煉瓦の家の屋根にあるセンサーが監視しているからこそこそと悪巧みも出来ないだろうし……やったら問答無用で闇から闇へだからな。

 

そんで自然と世紀末的なならず者も町の中で増えるわけなんだけど、そうするとやっぱり軋轢というか小さな問題とか喧嘩が増えてくる。

 

水は一応あるし食料も生産してるけど、それでも限界がある。人口が増えれば消費量も比例するから何とか食料増産と人を受け入れるための仕事を増やしたいと、あの外側の村に行った時に村長が相談してきたんだ。

 

まあそれならちょうど良いかと俺は思い、ある仕事を頼むことになる。

 

 

コッケー! コッコッコッコ……。

 

 

数日後、外側の村にそんな鳴き声が鳴り響いた。

 

 

「これはまた大量ですな……この鶏の飼育を仕事にさせると?」

 

「ええ、まあ鶏は結構雑食なので育てるのが楽ですからね。卵は栄養がありますし、卵を生まなくなった鳥も捨てるところはありませんから」

 

前に労働力兼食料として数頭の豚や牛の飼育をお願いしたけど、今回は百羽近い鶏を外側の村に融通した。

 

まあ実は豚や牛等の家畜はダムの側に建設した建物の中に新たに開発した完全人工家畜出産装置から生まれた物で。食べても害がないか細かいことは黙って外側の村の人で検証していた物なんだけどね。

 

核の炎で焼かれる前に確保した豚や牛から得た精子や卵子を使い、子宮を模した出産装置から急速成長させて二週間ほどで生まれたこれら家畜達は、遺伝的な欠陥や障害はないってわかってたけど何となく安全性に疑問が残ったんで村の人で食べてもらって検査したというわけだ。

 

まあ村の人は食べても問題なかったけど、ちょっと罪悪感があったから、家畜の餌以外にも野菜の種とかガソリンを追加で融通したんだけどね。

 

 

「あと確か鳥の糞は肥料に使えると聞いたんですが、肥料作りは大変と聞きますし、それを村共同の日雇いの仕事にして労働力として使ってはどうでしょう?」

 

「ふむ……確か最近来た者の中に農業に詳しいものがおりましたから、聞いてみましょうか」

 

 

暫くすると鶏の増産と鶏糞の堆肥作りが始まる。

 

そして外側の村では堆肥作りが食べ物やガソリンを支給してもやってほしい仕事として拡大していった。

 

理由は簡単だ、鶏糞は兎に角臭いのだ! もう滅茶苦茶臭い。

 

農業に詳しい奴が堆肥作りは村の居住地域から離れてやってくれと言った理由が直ぐにわかった。

 

 

「クッセー!!」

 

「何か目に染みるレベルだな!」

 

「朝何も食ってくんなってこういう事だったのか!」

 

「吐くんじゃねえぞ! 吐いたらそれも片させるからな!」

 

 

そんな怒号が飛び交う職場は、鶏糞と土やら何かを混ぜた作業中の堆肥は湯気が立ち上る程に高熱を発し、それに負けないレベルで異臭を放っている。

 

仕事の報酬に釣られて来たならず者もこれには参っていたよ流石に。

 

まあサボろうとしてもちゃんと監視もいるし、働けば報酬も貰えて仕事終わりには貴重な石鹸を使って体を洗っても良いというおまけもあるので、やっていく奴は順番待ちになるほど増えていった。

 

あと村では一週間鶏糞の堆肥作りをした奴に対して優しくなるというか、村に受け入れられた雰囲気になるんだよね。

 

そうして食料生産量が増えて更に人を受け入れ村がどんどん大きくなって数か月後。外側の村にちょっと特殊なならず者達が現れたんだ。

 

 

 

 

 

 

「俺様は南斗聖拳を受け継ぎし者ウゾー様だぁ! ありったけの食料とガソリンを持ってこーい!」

 

 

乗り物に乗ってやって来た彼は南斗聖拳の伝承者らしく、デカイ剣(・・・・)を振り回しながらそう叫んでいる。

 

迎えに来た外側の村の人は恐れ戦くと同時に、自分達の同行者を振り返って見た。

 

その同行者は屈強な体と纏う空気は歴戦の戦士といった所だろうか…ずいっと村の人より前に出ると。

 

 

「今すぐその玩具や持ってきた武器を車のボンネットに全部出せ。さもなくばお前の頭がこうなる」

 

 

同行者は車のサイドミラーを指差した、すると。

 

ドチュン!

 

遠方からの正確な狙撃によってサイドミラーが粉々に吹っ飛ばされた。

 

やって来た村の人もビックリする射撃精度だ。

 

そして自分の頭より遥かに小さなサイドミラーの最後を見た南斗聖拳の男は顔が固まり、暫くすると。

 

 

「で、出来心だったんです……」

 

 

すごすごとボンネットにデカイ剣や武器になりそうな物を並べていくのだった。


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