今日から僕は夜雀(偽物)です   作:清水岩マミズオ

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書きダメ? ウチにはそんなの無いよ……


尾行に対策案を練り

 

 

 ─── side??? ───

 

 

 

 

 私は多分、産まれた時からオカルトが好きだったのだと思う。

 

 幼い頃から非現実的な事柄に心を惹かれ、のめり込んでいた。理屈ではなく本能から追い求めていたのだろう。物心つく頃には、どんな些細な不思議ですら見過ごせない気質を持ち合わせていた。

 

 空に未確認飛行物体がいると情報が入れば、家の門限を破り、どんな時間帯でもすぐさま現地に赴いた。

 海辺に未確認生物らしき死骸が流れ着いたとあれば、学校をサボり、遠方であろうと金に糸目を付けずに出向いた。

 超能力が使えるようになる方法を真剣に研究したし、異世界に行けると噂の眉唾な儀式も大真面目に取り組んできた。

 

 例えすべてが"ハズレ"で終わったとしても、私の気質が変わることはなかった。

 

 ……まぁそれは置いとこう。何が言いたいかというと、つまりそんな私だからこそ、今回も無遠慮に、思慮浅く手を出してしまった……ということなのだ。

 

 

 

 "未確認飛行物体が現れた"

 

 

 

 何てことはない、SNS上で拾った情報だ。私としてもそこまで期待はしていなかったのだが、偶然にも、今私がいる場所の近くで現れたと言うのだ。それだけで私を奮い立たせるのには十分過ぎるモノであった。

 

 SNSに投稿された写真、動画、撮った人の直近の行動などから詳しい場所を割り出す。インターネットを中心にオカルトを追い求めてきた半生だったのだ。これくらい造作もない。私には多分、ストーカーとしての才能があるのだろう。こんなこと認めたくはないけどね……。

 

 そんなこんなで十数分。ここが恐らく最新の目撃場所だ。

 

 いつ潰れてもおかしくない商店街。ノスタルジックな雰囲気を醸すシャッター通り、ここが目的地点だ。

 私は空を注意深く見渡しながら、商店街を散策する。

 

 ……それらしい物体は見られない。一足出遅れたか……そう思っていた時、スマホで何かを撮る人々を見つけた。視線の先は空じゃない、なんの変哲もない八百屋だ。

 

 私は気になってそこを覗いてみた。そこには明かな"異物"がいた。

 

 先ず目につくのは羽。人に存在するはずのないものが背中にあった。とても作り物には見えない、確かな存在感のある羽だ。羽根飾りのような耳も、非人間的な異質さを醸すのに一役買っていた。

 続いて目につくピンク色の髪。染めたような不自然さはない……そんなハズはないのに、まるで産まれた時からその髪色だったのだろうと感じてしまう自然なカラーリング。人間的にあり得ない髪色に説得力を感じてしまう。まるで観念ごと歪められているような不気味さだ。

 そして、それらの要素に負けず劣らずの禍々しい服装。シックな小豆色の帽子と、同系色のジャンパースカートには蛾を連想させる毒々しいリボンが施されている。

 

 一目見て分かる異様な出で立ち。だがしっかりと纏まっているそのデザインには既視感があった。

 

 

 

 

「ミスティア・ローレライ……?」

 

 

 

 

 直感した。彼女は"本物"だ。

 

 

 

 

 

 

 ♪♪♪ 

 

 

 

 

 

 

 気づけば私はスト……尾行していた。

 

 

 ……うん、心のなかで取り繕っても仕方ない。これは立派なストーキングだ。この手の才能があるとは思ってたけど、まさか本当にヤってしまうことになるとはね……。

 

 自虐的な思考をしながら、電柱や看板に隠れ、ミスティアの動向をしっかりと探る。

 

 ──私の第六感(シックスセンス)が告げているのだ。今回の未確認飛行物体の情報とミスティアは無関係ではないと……。いや、ぶっちゃけただの勘なんだけどね。まぁ、余計なことは考えずに尾行に専念しよう。

 

 

 

 ……

 

 …………

 

 ………………。

 

 

 ……寄った店は八百屋と肉屋だけ? 買ってるのも普通の野菜、安い肉に牛肉コロッケだなんて。なんて庶民的……拍子抜けだわ……あんなただならぬ雰囲気を出しといて普通過ぎる! 

 もっとこう、裏路地に入ったら幻想郷に!? ……っていうのを想像してたのに。

 

 刺激の無いただの散歩風景。私は少しのつまらなさを感じながらも、彼女の尾行を続けていた。

 

 ……すると突如として、彼女が勢い良く走り始めたのだ。私はいきなりの出来事に一瞬だけ、呆けて固まってしまった。

 

 ……こんなところで逃がすわけにはいかない! 

 

 私はお気に入りの赤いアンダーリムの眼鏡をかけ直して気合いを入れた。

 私の体力を侮ってもらっちゃ困る。ちっちゃな頃からオカルトを追い求めて東へ西へと奔走してきたのだ。足の速さは数少ない私の取り柄の一つだ。

 

 人混みをかき分けて追いかける。だが全く距離が縮まらない。彼女の身のこなしは想像以上のモノだった。走りも、障害物を回避する能力も。流石は弾幕ゲーム出身と言ったところか……

 

 そんなことを考えていると彼女が路地に入っていった。私が追って入ってみるも、既に彼女の姿はなくなっていた。先に道はない。完全な行き止まりにも関わらずだ。

 

 やっぱり幻想郷に繋がっていた? ……それとも飛んでいっちゃったのかな? 

 

 どちらにせよ、逃がしてしまった。あんなにも怪しいヤツを。逃がした魚は大きいってヤツだわ……悔しい。

 

 今までの人生で初めてなんだ、初めて"本物"を見つけたんだ。……これからの人生を賭けても良い。私の全身全霊を賭けてあいつを追いかけてやる。

 

 私はきらした息を整えながら、そう誓ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ♪♪♪ 

 

 

 

 

 

 

「え……? あいつ配信やってるの?」

 

 帰宅してからSNSであのミスティアの正体についての情報を探していた。するとあっさりと見つけてしまった。彼女のチャンネルを……。あっさり過ぎて逆に腹立たしいわ。

 

「……」

 

 彼女は呑気にも鍋をつついて、楽しそうにしている。顔は出してないが、あの商店街で買っていた具材で作られた鍋が昼間のアイツであると雄弁に語っている。

 

 誓った意味はなんだったのか。彼女の呑気な雑談を聞いていたら、なんだかだんだんと腹が立ってきたわ……。

 

 

『今度は逃がさない』

 

『必ず正体を暴いてやる』

 

 

 私は挑戦状代わりと意気込んで、コメント欄に荒らし紛いの書き込みを送ったのだ。

 

 

 

 

 さて、彼女を捕まえる作戦を考えるとしようか。

 とりあえずあの商店街はマークしておく。SNSでも分単位で監視を続けよう。

 

 

 

 

「……本格的にストーカーね」

 

 

 

 

 ……まぁしょうがないでしょ? あの身のこなしを見るに、それくらいしないと捕まえるのは難しい。ちゃんとした対策法を考え、徹底的に準備をしなくては。飛べることを仮定して、飛び道具で打ち落とすことはできないだろうか? 

 

 

 

 

 

「銃くらいは欲しいわね……3Dプリンターで作れるかしら?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─── sideみすちー ───

 

 

 

 

 

 

 

 なんだか無性にイヤな予感がする。昔からなぜかこういう予感だけはあたるんだよなぁ。

 ストーカーのこともあるし、次の外出からは少し気をつけて動くか。あの商店街も行くの控えようかなぁ、あそこ気に入ってたんだけどなぁ。

 

「備えあれば憂いなし。気にしすぎるくらいがちょうどいいよね」

 

 ……でも私生活についてはそれでいいかも知れないけど、配信はもうちょっと大胆にした方がいいよね。流石に今までのは慎重過ぎたと思う。……いやそうでもなかったか。初配信で歌に夢中になりすぎたり、軽率なことはあったからね。でもむしろそこが受けた部分もあると思う。だからこそ案を練り直すのだ。配信にマンネリは天敵だ。

 

 マンネリ対策で案練り(アンネリ)直し……ってね。

 

 

 ……このダジャレもそろそろマンネリかなぁ。

 

 

 

 

「……次回あたり、顔出し配信でもしようっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ダジャレを言うためだけに出てきたみすちー(偽)
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