ロストホープ オストミカワの果てに   作:やなかすてら

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この話がメインの1話です。
前回のまえがき通り身内ネタ、地元ネタが出てきます。
また、文章力と表現力が疎いのでご了承ください。



1話 帰還

2022年2月11日。

終戦から2年後の冬のある日。

日本の真ん中に位置する東海地方、かつて愛知県東部だった場所に存在する独立国家 東三河連邦共和国 首都トヨハシ市 トヨハシ駅。

この駅は東三河連邦国内最大の駅であり唯一の新幹線通過駅である。

東京方面から来た10時30分トヨハシ着の新幹線ひかり号が止まった。

新幹線の各路線は復興したばかりであり東京から岐阜羽島までは復興したがそれより西、関西地域までの路線はいまだ復旧されていない。

トヨハシ駅から降りる客の多くは関東・静岡方面から東三河国内に帰ってきた人たちである。

その人混みの中に2人の男女が新幹線ホームに降り立った。

駅のホームはこの地域の2月特有の強い風「遠州のからっ風」が2人の体にヒリヒリと寒さを覚えさせた。

ホームから駅構内に歩みを進めた頼りない顔で整えられてない黒色の髪をかきながら緑色の軍用ジャケットに身を包んだ頼りない風貌の青年はホームから見える街並みを見て呟いた。

「久しぶりだな、この街も」

「私には初めての街だが指揮官には思い入れの深い土地のようだな。私も好きになりそうだ」

傍らにいる銀髪の海軍帽と黒い軍用コートをまとい長い銀髪が特徴的な女性は強風のせいか揺れるスカートを必死に抑えていたが風が煩わしいと思いながらも青年の問に答えた。

 

女性はそう言うと指揮官と呼んだ青年の手を引いて足早に階段へと向かった。

「そう急ぐなよ、弓弦…」

青年は彼女の艦船としての本名を呼ぶのを諦め彼女の名をで呼んだ。

銀髪の女性の本来の名前はエンタープライズ。

彼女は人間ではなくメンタルキューブによって作り出されたフネの記憶を持つKAN-SENと呼ばれる存在だ。

今の名は弓弦・エンダーハートである。

KAN-SENはケッコンと呼ばれる儀式の後で指揮官によって元の名前を変更できる。つまり、2人は夫婦といえよう。

最も周りから見たら夫婦以外の何者では無いが……

彼女はユニオンこと旧アメリカ合衆国所属の航空母艦でありユニオンのエースKAN-SENであった。

「その名で呼ぶと照れるな指揮官……。なら私も指揮官の事を名前で呼ぶべきだな。そうだろ?」

青年はコクりと頷くと「早く行くぞ弓弦」と呟き足早に駅を出た。

男の名前は矢凪明日乃【ヤナギアスノ】、27歳である。

軍人としてかつての大戦では世界各地の戦線に参加した。

終戦直後の階級は統合軍中将。栄誉勲章16個を授与された若くしての英雄でもある。

だが冴えない風貌のせいで華々しい武勲に恵まれた軍人には見えなかった。トヨハシ駅のホームにいた人も彼を見窄らしい復員兵を見るようち目を背けていた。

明日乃は久しぶりの故郷に懐かしさと寂しさにも似た思いを抱いてホームを出た。

戦争が終わってから帰ることなかった5年ぶりの故郷はさほど変わってないように感じた。

 

2月の東三河は強風が吹き荒れ体を芯から冷めさせる。地元民でやめてくれよと思うこの風は東京での生活に慣れたせいか耐えられる気がしなかった。

温暖な土地柄のため雪が降らないだけまだマシだが冬の冷気とこの強風が相まって寒くしている。

「いつ来てもここの風はたまらんな。」

矢凪は豊橋駅を出るやいないや厚着の軍用コートを着ているのにもかかわらず身震いしながら呟いた。

「だが指揮官、いや明日乃。冬のユニオンは寒いぞ?まだマシだと思った方がいい。それより早く待ち合わせ場所に行こう。」

寒さなんてないさと言わんばかりに足早に急ぐ弓弦。

無理もない、弓弦は待ち合わせ場所に急ぐ理由があるからだ。

豊橋駅東口ペデストリアンデッキの階段をおり広小路通りに向かっていった。

トヨハシ駅東口はトヨハシ市で最も栄えている場所の1つと言っても過言ではない。

駅前には観光ホテルや歓楽街もあり復興と再開発によってタワーマンションや商店街、複合商業施設などが作られた。

東口ペデストリアンデッキの下には路面電車と地下鉄も走っている。

昼時なのかひとがおおくいた。

明日乃が故郷を離れる時よりも人が多く感じた。

戦前は人口が減っており寂れてはいたが疎開や復興移住に人口は40万人にまで増えたそうだ。

復興期のせいか活気はあり以前のような活気も取り戻しつつあるようだ。

明日乃と弓弦はペデストリアンデッキを北に進み広小路通りに進んだ。

この通りは昼は書店や商店街もありそれほど荒ている感じでもないが裏路地に入るとカジノ、BAR、歓楽街がありチンピラなどがたむろしていた記憶があった。今はどうなのか知らないが。

広小路通りのラウンドワンマークであり東三河最大規模の書店があった。

戦後復興で建物は近代化されており30階立ての複合商業施設となっていた。その書店の脇のときわアーケードを明日乃と弓弦は静かに歩いていた。 明日乃は懐かしそうにアーケードの店に目をやった。弓弦も同じくアーケードの店を見ていたがどうやら明日乃とは違う思惑があるようだ。

「アスノ!クレープ屋があるぞ、少し寄らないか?まだ時間もあるだろ?」

 

「このクレープ屋は戦争をくぐり抜けたんだな 、このクレープは戦争以前にあったデパートの中にあったんだが美味しくてなぁ〜」

かつて東三河連邦が豊橋市だった頃にあった穂の国百貨店があった時の記憶を明日乃は遠い日を思い出しながら空を見上げていたが弓弦は不思議そうな顔していた。

 

「とりあえずクレープを買ってから集合場所にいこう」

 

「ありがとう指揮官!」

 

弓弦はエンタープライズの顔に戻りながら明日乃から買ってもらった桃とクリームのクレープを頬張りときわアーケードを後にした。




地元がかけました笑
次回からが本篇かもしれません
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