1分で読めるSFショートストーリー
———惑星シミュレーター
各家庭にある一般的なパソコンの使われていない演算機能を使用し、何個も連結させることで莫大な計算が短時間で済むようになります。
この技術を用いて、弊社はこの国の未来をシミュレーションすることを可能としました。
「というのが、主な機能となっています。」
秘書と聞いて誰もが想像するような相貌をしている女性は政治家たちにそう告げる。
「つまり、実際に未来をシミュレーションすることで政策の影響を確かめ、それを基に施行するか決めるということかね。」
「そんなバカなこと出来るはずがない。」
「私たちをからかっているのか?」
「宝くじなどはどうするんだ。」
多くの野次、怒声を飛ばす政治家達に女性のは釘を刺す。
「事実、私たちの企業はそれを可能としました。」
「この件は持ち帰らせてくれたまえ」
「まさか、本当にこんなことが可能になるとはな。しかし、どういうカラクリなんだ。」
「惑星コンピューターというのを使って、未来を演算するのさ。」
見なりを完璧に揃えた男性2人はコーヒーを片手に報酬をどうするかについて、あーでもないこーでもないと話し合う。政府から税金を導入してまでに莫大な金額が支払われ、商談は成功したと言えよう。
「なあ、やっぱり株とか金に変えないか。今や俺たちは世界一のお金持ちになったんだぞ。」
「慌てるな。まずは、ボディガードを雇うのが、先だ。テレビを見てみろ。今や俺たちの名前、そして会社名は世界に知れ渡っている。命が狙われるのも時間の問題だ。」
事実、このことは国内のみではなく世界に知れ渡り、大きな騒ぎとなっている。
2人でテレビのニュースを眺めていると、突然速報が入ったらしい。スポーツに関する特集が始まる前だった。無論、この男たちはそんなものに興味はなかったが。
「速報を読み上げます。ただいま、政府より殺人を許可する法案が可決されました。繰り返します。...」
何がなんだか分からなかったが、時間と共に状況を完全に察した男はコーヒーカップを手放してしまった。
「おい、どうした。一体どうなっている。あいつらはそんなに無能だったのか?」
「違う、そうじゃない...」
「どういうことだよ。金ならいくらでもあるんだぜ。国外に逃げるとか、ボディガードを...」
コーヒーをこぼし、スーツは汚れてかなり熱いようにも思える。
だが、男はピクリともせずにこう告げる。
「ここがシミュレーションの世界ではない保証はどこにある?」