「ポケモン世界に転生したらロケット団の実験体だったけど幸せです」   作:木岡(もくおか)

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第15話 トキワのバトル大会

 いざゆかん初ポケモンバトルっ。

 

 トキワシティのポケモンセンターを出たシロウは道を走って進んでいた。誰でも参加できるポケモンバトルの大会が近くの公園で開かれる。そんなことを聞いたら新米トレーナーとして黙っていられない。

 

 まだ未経験の対人でのポケモンバトルを行える良い機会だ。さすがに初心者が優勝できることは無いだろうが、強くなるためには挑戦あるのみ。

 

 ポケモンセンターで見たポスターによるとあの曲がり角を曲がれば目的地の公園だ――。

 

「――以上をもちまして、参加の受付を終了します」

 

 そうやって意気込んだものの公園の入り口まで辿り着いたシロウを待っていたのは参加受付時間の終了を告げる放送だった。

 

「ああ。やっぱ間に合わなかったあ」

 

「はあ……昨日から走ってばっかりだニャ」

 

 ポケモンセンターのポスターで参加受付終了時刻を確認した時点で、既にその時間から5分前といった状態だった。半ばあきらめつつも走ってきたのだが、やはり参加は叶わなかった。

 

「組み合わせ抽選後、すぐに第1試合を開始するのでエントリーされたトレーナーは――」

 

 続く公園内アナウンス。

 

「初めてのポケモンバトルやりたかったんだけどあきらめるしかないな」

 

「それで次はどうするのニャ?」

 

「せっかくだから参加できなくても生のポケモンバトル見ていこっか」

 

 ジョーイさん受付時刻を知らずにその気にさせないでおくれよと言っても仕方がない。それならそれで見るという経験ができるのでありがたかった。

 

 広い公園の一角にあったポケモンバトル用のコートはそこそこ立派なものだった。テレビで見ていたようなスタジアムに比べたらライトもないし観客席も小さいけれど、コート内の広さは申し分ない。

 

 手入れがされているらしい芝のフィールドであるし、観客席にはバトルを見に来ている前の方の列を埋めるほどにいた。学生の部活動であれば、県大会とかで使われるレベルのそれといった感じだ。

 

 シロウはそんな観客席の前列から少し後ろ、中ほどの席に腰を下ろした。

 

「うわあ。楽しみだなあ。あの辺にいるのが今日参加するトレーナーなのかな。いいなあ」

 

 その景色を見ると、興奮した。同時にこんな良い所でできるならあと10分早くトキワシティに着いていればと惜しく思う。

 

「なかなかの場所だニャ。でもニャーは朝から寝足りてないから眠らせてもらうニャ」

 

「ニャースは寝るのかよ。もったいない」

 

「決勝戦くらいは見てやるのニャ」

 

 隣で猫らしく丸まって眠ろうとするニャース。

 

 シロウは放っておいてモンスターボールを取り出し、ヒトカゲとチルットを外に出す。

 

「カゲ」

 

「チル」

 

「よし。お前たちは俺と一緒に観戦だ。バトルを見て勉強しよう」

 

 のっぺりしているけれど芯のほうから暖かい体と、もこもこでふわふわの体を両腕で抱いて観戦の態勢に入った。

 

「第10回トキワシティフラワーカップ第1試合、バトル開始!」

 

 最初のバトルは放送であった通りすぐに始まった。両サイドのトレーナーがニドリーノとゲンガーを各々繰り出して指示を出し始める。

 

 大会のルールは準決勝までが1対1のタイマンバトルで、準決勝からは2対2

というシンプルで各試合がサクサク進むものだった。

 

 それをシロウとポケモン達は目を輝かせながら観客席で見た。ちゃんと審判もいる地元の大会では、初心者らしいトレーナーから大型の最終進化系を使うトレーナーまでレベルは様々であったが、そのどれもに感情を揺さぶられた。

 

 トレーナー達が投げたボールからどんなポケモンが出てくるのか見ているだけでワクワクする。カントーのポケモンが中心であったけれど他の地方のポケモンを使っているトレーナーも数名いた。

 

 他の地方のポケモンと言ってもこの世界ではカントー地方には別の地方の図鑑に登録されているポケモンは全く生息していないという訳でもないけれど。

 

 バンギラスやメタグロスが出てきたときは驚いた。その迫力に圧倒された。やはり前世で言うところの600族ともなるとポケモンのレベルが違う。

 

 同時に今のままじゃあのクラスには到底太刀打ちできないだろうとも思った。繰り出した技の衝撃が観客席にまで届くほどだった。

 

 目を釘付けにされていると、あっという間に時間は過ぎて準決勝というところまで大会が進行する。

 

「ああ。エントリー時間に間に合わなかったあ」

 

 そんな大会後半のときに場違いな悲鳴が後ろのほうから聞こえる。声量も周りの人間が振り向く場違いな大きさだった。

 

 見ると、同年代くらいの少年が観客席の上の方で頭を抱えている。

 

「あ、隣座ってもいいかな」

 

 そして、下りてきたその少年はシロウにそう話しかける。




・後書き

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今日は書くつもりなかったんですけど急いで書いちゃいました。
これからも良かったら応援お願いします!!
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