「ポケモン世界に転生したらロケット団の実験体だったけど幸せです」   作:木岡(もくおか)

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第8話 特別な絆

 ポケモンと言えばバトル。様々なタイプに特性、それと種族値・個体値・努力値のいわゆる3値で決まったステータスを持つポケモン達を操って行うコマンドバトル。

 

 他に類を見ない操作は簡単だけど奥が深いバトルには、ポケモンという子供でも遊べるかわいいゲームとは似つかわしくないほどに戦略性がある。

 

 シロウは前世でそのバトルに魅了された人間の1人だった。

 

 ゲームをするとなればもっぱらポケモン。インターネットを通して行うランダムマッチに幾度も身を投じていた。やればやるほどのめり込めるバトルはやめ時が分からなくて、睡眠時間を削って行う日もあったほど。

 

 自分の使うパーティを構築しては、気になったポケモンについて調べて。そのパーティを使ってバトルすると、相手が使ってきたポケモンについてまた調べた。

 

 バトルを重ねるたびに増えるポケモンの知識。それは毎世代レート勢のシロウにとって何千戦ものバトルで数えきれないくらい脳内に積みあがっていた。

 

 それをこの世界で試さない手はない。

 

 しかもアニメで培ったバトルの知識もあるのだ。言うまでもなくもの凄いアドバンテージ。転生してこの世界にいる自分はきっと、他のどんなポケモン好きの子供よりも知識がある。

 

 少し考えただけで試してみたい戦略と捕まえたいポケモンがいくつも浮かぶ。シロウはそれを想像するたびに上がる口角を止められなかった。

 

 しかし、この世界では10歳になるまでポケモンを捕まえてトレーナーになることはできないという決まりがあった。

 

 けれどそれも大した問題ではない。

 

 10歳になる日はそう遠くなかったからだ。ロケット団の研究施設にあったデータによるとシロウは現在9歳で誕生日は10月の10日。その日が来るのはきっとあっという間だ。

 

 月日は過ぎていった。春にムサシ達に引き取られたシロウは2つの季節、約半年間をその家で過ごした。

 

 時には風呂上りに髪を下ろしているムサシを見て、やっぱり髪を下ろすと普通に美人なんだなと思ったり。

 

 時にはコジロウが長年の間集めているというボールコレクションを自慢げに見せてマニアックなことを話してくれたり。

 

 元ロケット団の2人と1匹と一つ屋根の下暮らしていくうちに、たしかにムサシ達との間に絆が生まれた。ただの保護者と孤児よりももっと特別で深い絆だ。

 

 ムサシとコジロウからは本当の我が子だと思ってくれているくらいの愛情を感じたし。シロウにとっても本当の家族だと思えるかけがえのない存在になった。いつかこの人たちに報いるということも旅の目的の1つになるほど……。

 

 そしてニャースとは共有した時間がダントツで長くなり、もう隣にいないと落ち着かないくらいの間柄になった。

 

 大人びているようで、どこか間抜けで憎めない。けれど、決めるところはびしっと決めて頼りになることがある。そんな性格でありながらぬいぐるみかと思うくらい愛くるしい容姿。そんなニャースとは寝る時も一緒だった。

 

 暑かった夏が終わって、クーラーが無くても快適に過ごせるようになって、それからまた少し先……。いよいよシロウの誕生日前夜という、その日になった。




・後書き
しばらく続きを書けていなかったので、少し短めですが早めに続きを書く意思を示したいのであげちゃいます。さすがに短いのでまた近いうちに続き書くつもりです。
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