フォロワーさんとの小説企画第2弾です!!!
今回のテーマは誘惑×一目惚れというお題で書いてみました。
短編1本で良かったところ、アイディアが結構降ってきてしまったので、短編集として今回投稿したいと思います。短編とは...となってしまうような文量になっちゃいましたが、楽しんで頂けると嬉しいです!!

例の通り、稚拙な文が多々お見受けすると思いますがスルーして頂けたら幸いです

1 / 1
その瞳に映るのは

「昨日と今日と、明日もまた」

 

 

 

その出会いはあまりにも運命的だった。

 

といっても、白馬に乗った王子様が迎えに来てくれたとか、同じ本を手に取りかけ、手が触れるとかそんなんじゃない。

 

私と先輩の出会いは屋上へと続く階段だった。

 

 

 

 購買から教室への帰り道にとある階段を見つけた。転校したばかりの私は見覚えのない階段に、異世界に通ずるようなワクワク感を覚える。

 

これは行くっきゃない!

 

友達を待たせてる覚えに後ろ髪を引かれながらも興味のままに階段へと歩を進める。

 

1段目に足をかけた時、上から物音がこだまし始める。ことん、ことん、だんだん遠ざかるような近づいてくるような不思議な音色が耳をくすぐる。少し音がやんだ後、踊り場から音の主が姿を現した。

 

端正な顔立ちとスラリと伸びた黒髪の凛々しさとは裏腹に、自信なさげに下がった眉と伏せがちな瞳、それでいて階段を降りるごとにひらひらと揺れる胸、、、じゃなかった、胸元のリボンに私は目を離せなかった。

 

音の主は気まずそうに足早にすれ違う。それから私は先輩のもとへと通うことになった。

 

 

私は次の日の昼休み早速あの階段へ向かうと、あの先輩がちょこんと階段に腰掛けながらお弁当を食べていた。

 

「こんにちは、何されてるんですか?」

 

制服のリボンの色を見て先輩ということはわかったので敬語で問いかける。私としてはあまりコミュ力が高い方ではないのだが、この先輩とどうしても仲良くなりたいという一心で無策に突っ込んでしまった。

 

「え、えーと、その、、、ご、ご飯食べてます。」

 

先輩はあまりにも突拍子のない質問と目の前に現れた私という知らない後輩に面をくらい困ってしまっている。

 

「じゃあ、私もお昼食べますね」

 

私は当たり前のようにその隣に腰掛ける。先輩は困惑してはいるが、嫌がってるようには見えないのでひとまず安心した。

 

購買で買ったパンをほおばりながら横目で先輩を覗き見る。相も変わらず端正な横顔に鼓動が高鳴る。先輩は沈黙に耐え切れず口を開いた

 

「ど、どうして、こ、ここに?」

 

「良い所を見つけちゃったので」

 

「そ、そうなんだ…じゃあ、ここは譲った方が良いかな….」

 

足早に立ち去ってしまいそうな先輩に急いで声をかける。

 

いい場所を見つけたというのは先輩目当てだというのを隠すための口実でしかない。先輩から場所を奪ってしまうのは本末転倒だ。

 

「いえ!元々先輩の場所ですし、一人じゃ寂しいので先輩と一緒にお昼食べたいんですけど、ダメですかね?」

 

「え、いや、だ、ダメじゃないですけど」

 

どんどん尻すぼみになっていく先輩は一瞬驚いたあとに少し頬を赤らめながら元の場所とは少し遠い場所に向かう。

 

先輩が遠くに行ってしまう。私は思わず先輩の手を握り、歩を止めてしまう。

 

「えっと、私の隣にいてくれませんか?」

 

「え、えぇ…///」

 

手を握ってしまった焦りで思わず変なことを言ってしまったけれど、目の前で照れている先輩があまりにも可愛すぎて頭の中は先輩で埋め尽くされていた。そんな私にお構いなく先輩は隣に腰を下ろす。もっとも、そう促したのは私なのだが。

 

先輩は腰かけたのは良いものの恥ずかしさからか頬を赤らめながらも黙々とお弁当を食べていく。それを隣で黙々と見つめる。あぁこの時間が無限に続けばいいのに。それにしても恥ずかしがる先輩は可愛い。

 

「あ、あの、、なんか顔についてるかな…」

 

「いえ、先輩は可愛いなって思って」

 

「へ?な、、べ、別にそんなことないと思うけど….」

 

ほらもう可愛い。もっと可愛い先輩が見たい。

 

「そういえば、先輩って彼氏さんとか好きな人いないんですか?」

 

先輩の親しい人は全員知っときたい。私が一番にならないといけないから。

 

「え、かかかっ、彼氏!?!?そ、そういうあなたはどうなの?」

 

「うーん、そうですねぇ。私に彼氏はいませんけど、好きな人はいますよ」

 

「クラスメイトの男の子とか…?」

 

「先輩って言ったらどうします?」

 

「え、、あ、えっと、、」

 

「ふふ、冗談です」

 

キンコンカンコン

 

「おっと、もう時間ですね。それではまた明日。」

 

「え、あ、うん」

 

私たちの時間に終わりを告げる予鈴にムッとしながらも先輩で思考を埋めていく。

 

あの返答を聞く限り恋人の類はなさそうだ。良かった。先輩の一番はゆっくり私で染めていこう。

 

「明日はどうやって落とそうかな」

 

脳内作戦会議もほどほどに教室へと向かう。

 

こうした運命的な出会いの1日はゆるやかに過ぎていくのだった。

 

 

 

 

 

「ただ一つ言うのなら」

 

 

 

これは最初で最後の一目惚れのお話。

 

私はあの瞬間を今でもすぐに思い出してしまう。

 

 

「はい、みんな席についてー」

 

騒々しい教室は徐々に鳴りを潜め、教壇へと視線が集まる。そこには、毎日のように見慣れた先生と、見慣れない少女がそこにたたずんでいた。

 

教室が完全に静かになるのを見計らって先生は隣の女の子に注目を譲る。その視線を受け取りその少女は静かに口を開いた。

 

「この度、転校してくることになりました。アリシア・キューミッドですわ。これから宜しくお願い致しますわ。」

 

聡明で芯のある声が教室中に響き渡る。

 

「それではアリシアさん、あそこの寄深さんの隣の空いてる席使ってくださいね」

 

「わかりました」

 

その少女は優雅な足取りでこちらへ向かってくる。

 

煌びやかな金髪を携え、青みがかった綺麗な瞳、真珠のような真っ白でつやのある肌。そのすべてが魅惑的な雰囲気を演出している。目をそらせない。まるで、レッドカーペットの上を歩いてるかのように錯覚する。

 

少しずつ近づく距離に反比例して鼓動が早まる。そしてついに手の届く距離までたどり着いた。

 

「寄深さんでしたね。よろしくお願いしますわ。」

 

蒼く光る瞳に見すくめられ私は声を出すことができないほどに魅入られていた。

 

「よ、宜しくお願いします。。。。」

 

少し気を抜くと息を吸うのを忘れてしまいそうになりながらも、すんでのところで言い切る。鎮まる気配を感じない鼓動を置き去りにするほどの高揚。こんな感覚は初めてだ。

 

それからは一瞬だった。授業は左から右へ聞き流し、お昼ご飯はなんの味もせず、ただ時間だけが過ぎていった。

 

頭にあるのはアリシアさんへの熱情だけ。そうして脳内をかき乱されている間にも横目でアリシアさんを見てしまう。

 

その日は落ち着かないまま終わっていった。

 

 

席が隣ということもあり、慣れてきたのか、なんとか以前のように落ち着きを取り戻すことができるくらいになっていた。

 

逆に、あの時が異常だったとも今となっては思える。なぜあそこまで脳内を独占されたのかわからない。思考を巡らすそんなある日の昼休みの終わり際、私の認知する外側から突然アリシアさんの声が耳元で響く。

 

「今日、お茶会がありますの。寄深さんもぜひご招待したいのですが、ご都合はいかがですか?」

 

「はい、行きます」

 

「ほんと?嬉しい。放課後お待ちしてますわ。」

 

私の意思はもはや存在していなかった。この問いは断ってはいけない。なぜかそんな気がしてくる。

 

焦燥感にも似たような高揚が胸の奥から湧き上がり続けていた。

 

 

気がつけば授業は終わり、教室は騒々しい喧騒の中、帰り支度を進めていた。

 

それは、隣の席であるアリシアさんも例外ではなく、丁寧に教科書類をかばんの中に収納していく。

 

「寄深さんも準備なさらないのですか?」

 

「へ?は、はい。今します」

 

机に散らばった雑多な教科書を強引に詰め込みアリシアさんと共に教室を出る。

 

 

アリシアさんのお宅は学校のすぐそこだというので二人で並んで歩いて向かっていく。

 

それにしても不思議だ。あの時、あんなに恋焦がれた人と二人で下校している。

 

しかも、一緒に家でお茶会に参加するという。それを意識すると体温が上がっていくのを感じる。むず痒いような脈動に戸惑いながらも、二人だけの静かな通学路だけがそこにあった。

 

 

アリシアさんから聞いてた通り、邸宅へはものの5分程度で到着することができた。

 

先述した邸宅とは何も大げさに形容しておらず、その名の通り、構えが大きく、立派な造りの家だった。

 

「さあ、入ってくださいまし。さっそく、お茶会の準備を致しますわ」

 

「お邪魔しまーす」

 

「そういえば、寄深さんは紅茶を嗜まれたご経験はありますの?」

 

「いいえ、今回が初めてですねー」

 

何気ない会話を楽しみながら家の中を進んでいく。反射が足元を走るほどのぴかぴかなフローリングを抜け、アリシアさんが促すドアの先へ足を踏み入れる。

 

そこには、壁に様々な装飾が施された部屋の中央に真っ白なテーブルクロスの上にお茶菓子やティーカップなど、一通りのティーセットが用意されていた。

 

テレビの中でしか見たことないようなきらびやかな光景に内心テンションは上がりきっていた。

 

促されるまま席に座り、準備を進めるアリシアさんを待つ。他人の家に一人きりにされ少し落ち着かない時間を幾ばくか過ごしていると、アリシアさんがティーポットを片手に帰ってきた。

 

自分の前に置かれているティーカップに紅茶が注がれる

 

「アッサムというお茶ですわ。初めてということでしたので飲みやすい紅茶を選んでみましたの。」

 

アリシアさんの気遣いに感謝しながら恐る恐る注がれた紅茶を口に含む。

 

「おいしいです!!」

 

「お気に召したのであれば良かったですわ」

 

濃厚な甘い香りに包まれながら、アッサム本来の味を楽しむ。思ったより渋みが少なく、すごく飲みやすい。さすがアリシアさんだ。アリシアさんのおかげで紅茶デビュー大成功と言って良いだろう。それにしt、、、

 

 

ドクンッ

 

 

急激に大きな鼓動を全身に感じる。一体何が起きたんだ?

 

「そんな簡単にノコノコついてきちゃって本当に可愛いな。まあ、もっとも断る選択肢なんて存在してなかったんだろうけど。あっはっは、、」

 

体が動かない。正確には体の制御が聞かない。蒼く深く光るアリシアさんの瞳から私は逃れることができない。

 

手からカップは滑り落ち足元を濡らす。口に含んでいた分は力なく漏れ出し、首元へと伝っていった。

 

「あーあ、せっかく入れた紅茶が。もったいない」

 

アリシアは私の首元に舌を伸ばし、水滴を受け止め、つーーと口元まで拾い集める。私は未知の感覚に身じろぎ一つできぬまま耐えることしかできない。

 

「んっ….ア…リシア…さん….どういう….」

 

なんとか絞り出した声で突然豹変したアリシアさんに問いかける。

 

「あ、そういえばそうだったね。どういう状況かわからないよね。実は私、吸血鬼なんだよ」

 

「きゅうけ…つき….」

 

「そう。血を吸う化け物とでも言っておけば耳にしたことくらいはあるんじゃない?」

 

「私はその末裔。現代の吸血鬼は日光という弱点を克服すると共に、身体能力がどんどん弱体化され、完全に克服するころには限りなく人間に近づいた。」

 

「しかし、吸血鬼という事実は変わらない。血への欲求はそのまま残り続けている。そして….」

 

口調も雰囲気も何もかも違うアリシアさんがこちらの目をじっと見据える。

 

その瞬間ドクンドクンと心臓が鼓動を強める。目の前のアリシアさんしか考えられない。深く碧い瞳に吸い込まれてしまいそうな感覚に襲われる。

 

「人間を対象としたチャーム。吸血鬼は古来よりチャーム、いわゆる魅了によって安定的な血の供給がなされていたの。そしてそれは現代の吸血鬼も同じ」

 

あぁ、なんということだろう。吸血鬼は本当に実在していて、アリシアさんは吸血鬼で、私はチャームによって魅了されていた。あの気持ちも全部全部嘘だったのか。私を包む深い絶望とは裏腹に着々と脳内はアリシアさんに染められていく。

 

「ほら、おいで。最初は優しくしてあげる。みんな最初は怖がるけど、吸血してあげるととても気持ち良さそうな顔をして、何度もおねだりしてきたりもするんだよ。うふふふふ」

 

アリシアさんは今までに見せたどの表情よりも恐ろしく、どの表情よりも美しく、どの表情よりも艶めかしい笑みを私に向けながら誘っている。

 

「嫌だ。私は、絶対に、アリシアさん、、、抗ってみせる。アリシアさん、、、あそこには飛び込まない。アリシアさん、、、」

 

五月蠅いほどの脈動と心の奥底から抗いがたい欲求がとめどなく湧き上がってくる。

 

アリシアさんの意のままに従いたい。私のすべてをアリシアさんに。先程の記憶がフラッシュバックする。

 

首元を伝う水滴の足跡を追ってく舌に撫で上げられるあの未知の感覚に思考が憑りつかれる。背筋からゾクゾクとおかしな何かが登ってくる。

 

我慢を続ける心はもうとっくに限界を迎えていた。

 

腰が砕け、立っているのがやっとな私は一歩、また一歩とアリシアさんに近づいていく、その度に首元の疼きは確かな存在感を放ちはじめる。

 

また一歩踏み出す、アリシアさんにはまだ辿り着かない。強くなっていく疼きに我慢できない。もう吸血されること以外何も考えることができない。

 

また一歩踏み出す。それでも辿り着かない。アリシアさんはすぐそこにいるのに。焦燥感だけが募っていく。早く。早く私の首を。想像しただけでその場で倒れ込んでしまいそう。

 

無限に続くようなこの生殺しをアリシアさんは悪魔のような天使のような笑顔で見つめている。

 

私は次の瞬間足の力が抜け地面に倒れかける。倒れたと思ったそこはアリシアさんの腕の中だった。

 

それを知覚した途端とてつもない多幸感に襲われる。すべてを投げ出してすべてを預けてしまいたい。そんな考えが脳内を駆け巡る。

 

「ごめんなさい。あまりにも寄深さんが可愛すぎて、イジワルしすぎました」

 

「それじゃあ、頂くとしようか」

 

アリシアさんは私の首元を指先でつーーと撫で上げる。ただそれだけなのに体の反応を抑えることができない。

 

アリシアさんの顔が近づく。ついに、来る。アリシアさんは口を大きく開け、牙を露出させる。

 

普通はあの牙を見ると怖がってしまうのだろう。しかし私は首元への期待が溢れ出してたまらない。

 

あぁ、来る。来てしまう。大きな牙は私の首元へゆっくりと確実に侵入していった。

 

その瞬間大きく跳ねる私の体をがっちりと押さえつけてアリシアさんはさらに奥に突き刺していく。

 

つぷりと入っていった牙はいとも簡単に大きな血管を突き破り、首元から暖かい液体が垂れていく。

 

確かな痛みは存在するものの、あまりにも大きい心地よさによって完全にかき消されていた。

 

脳内に残されたのはとてつもない多幸感と脱力感、アリシアさんへの服従心だけだった。

 

私は、アリシアさんとこうなるために生まれてきたんだ。

 

そう信じて疑わないだけのものがそこには存在していた。

 

 

「ゆうな、行きますわよ」

 

「うん。今行く。」

 

 

これは吸血鬼に陥落した哀れな少女の物語ではない。

 

 

「ゆうなはもうすっかりクセになっちゃったんだね」

 

「もう!アリシア…///」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

 

思えば出会った最初の日。あの日、私はアリシアに一目惚れをしていたんだ。

 

 

「ねえ、アリシア早く、、、」

 

「落ち着いて。焦らなくても私は逃げないよ」

 

「我慢できないの、、、早く、、」

 

「しょうがないなー」

 

「あーんっ」

 

 

そして、これが最初で最後の一目惚れになるだろう。

 

 

 

 

 

「誘惑レベル100(当社比)の幼女に手間取っています!!~言い訳無用でお縄スレスレ~」

 

 

 

ピンポーン

 

玄関から聞こえる耳障りな音を未だ起きられずにいるベッドの上で聞いた。

 

こんな朝から誰だろう。眠気眼をこすりながら、玄関を開く。そこには身に覚えのない10歳くらいのとても可愛らしい女の子が立っていた。

 

くりっくりな可愛らしい目、ぱっつんとまっすぐに切られている前髪、美人と可愛らしさが同居しているような大人びているようで子供っぽい雰囲気を身にまとっている目の前の美少女に目を奪われる。

 

遥か下にある目線は必死に泳がし、上目遣いでようやく俺と目が合った瞬間、全身に電撃が走る。

 

な、なんだこの胸を焦がすような熱い気持ちは!!これはもしかするともしかするかもしれない。そう、俺は一回りも二回りも下の見知らぬ女の子に恋をしてしまったのである。ぎゃぁああああ犯罪だぁあああ!!!ごめんなさいおまわりさん僕まだなんもやってません!!(※これからやるつもりももちろんない)

 

「あ、あの!!どうしたんですか?」

 

呆然と立ち尽くす俺に、俺が一目惚れした女の子が話しかける。お、落ち着け。まずは状況確認だ。

 

「い、いやなんでもないよ。えっと、お嬢さんはどなた?どうしてうちに?」

 

「一昨日の夜お母さんから連絡が来てると思うんですが….」

 

彼女の言葉を最後まで丁寧に聞き取り、思考を巡らす。

 

「あぁあ!!言ってた!!今の今まで忘れてた!!」

 

おとといの夜、叔母からここ周辺で用事があるから、俺から見ていとこにあたる私の娘を預かってほしいとの連絡が来ていた。

 

「えーと、てことは、君がかすみちゃんってことでいいのかな?」

 

彼女は可愛らしく頭を上下に振る。その仕草だけでもう可愛い。

 

「今日は一日宜しくお願いします」

 

「こちらこそよろしくね。玄関で立ち話もなんだし、ほら入って入って」

 

と、家に連れ込んだのはいいものの、これって犯罪じゃね?大丈夫??てか、これから、かすみちゃんと二人っきりで一日を過ごすなんて心臓が持つのか!?!?

 

ま、まず落ち着け俺。一応いとこは結婚できる。ってのは置いといて、かすみちゃんを見てみろ。どこに座ればいいか困ってるな。最初だし、雑談しながら場を和ませよう。

 

「かすみちゃん、適当に座ってて~。なんなら、お兄さんの膝の上にでも座っちゃう?」

 

冷たい麦茶を机に置きながら、軽い冗談を飛ばしてみる。調子に乗って自分の事をお兄ちゃんと呼んでしまう始末に我ながら呆れる。

 

「え、じゃあお願いします」

 

「あいよ~、、、ぉぉぉお!?!???!?」

 

!?!?!??!!?!?!軽い冗談のつもりだったのだが案外乗り気である

かすみちゃんはなんのためらいもなく、あぐらをかいた俺の上へと腰をおろし、体重を預ける。

 

「一人っ子だからあんまこういうのないんですけど楽しいですね!」

 

「そ、それなら良かったよ。」

 

なんとか、平然を保ちながら返事を返すが内心それどころではない。

 

本当にこれが全体重なのかと心配になるほどの軽さと華奢な体躯に小学生なのだと再確認させられる。洋服の柔軟剤の香りなのか本来の香りなのかわからないがとても甘い香りに包まれていた。

 

異常な脈拍が伝わらないよう願っているが、それでもなお、この身一身に感じている体温に胸を高鳴らせるばかりだ。

 

「いとこ同士なんだし、敬語とかなしにしない?そしたらもっと仲良くなれそうだし」

 

「うーん、たしかに。それじゃあ、私はお兄ちゃんって呼べばいいんだよね!」

 

「うぇ!?お兄ちゃん!?か、かすみちゃんが呼びたいなら、、、」

 

「やったー!えへへお兄ちゃん」

 

かすみちゃんは嬉しそうにお兄ちゃんと連呼している。兄と呼べる存在ができて嬉しいのだろう。

 

一般的に、女の子は好きな男の子から妹と思われるのはあまり嬉しくないらしいのだが、俺はというと、好きな女の子からお兄ちゃんと呼ばれるという夢シチュを普通に堪能していた。

 

いつまでもこうしてるわけにもいかないので、適当なゲームを見つくろう。

 

「かすみちゃん、暇だしゲームしない?」

 

「うん、する!」

 

名残惜しいがかすみちゃんに膝から下りてもらって、一通りのソフトを持ってくる。

 

「あ、これお家でもやってる。これやろ!」

 

かすみちゃんが選んだのはメリオカート8DXだった。南天堂大人気シリーズ、メリオのキャラクター達がカートレースを繰り広げるレースゲームの最新作だ。ES対応ソフトの頃からやり込んでるとても好きなソフトなので腕が鳴る。

 

諸々の準備が整い、それぞれコントローラーを手に、いざゲーム開始!と同時にかすみは俺の膝の上に座る。もはや定ポジになってしまっている。言わずもがな最高である。

 

機体選択とステージ選択を手早く済ませ、レースが始まっていく。

 

「実はこれ結構得意だからね。家族でやる時も全然負けないから勝っちゃうよ!!」

 

「ふふふ、それはどうかな」

 

3,2,1,GO!

 

スタートダッシュを上手く決め、1位を盤石に走るかすみちゃんとは裏腹に大爆発を起こし未だにスタート地点にいるドライバーが一人。

 

そう、俺である。あっれー?スタートダッシュの押し込み何秒からだっけ?ととっ、そんなん気にしてる暇はない。

 

爆発が落ち着き、遅れてスタートを切る。俄然最下位。絶望的だ。しかし、ここからがメリカ―の面白いところである。

 

ここで最初のアイテムボックス。順位が低い人にはより良いアイテムが当たるようになるという仕様が存在する。そして、最下位の俺は当然、最強のアイテム、キラーが回ってくる。

 

「ひゃっほ~~~ごぼうぬきだぜぇえええ」

 

1周目が終わり、かすみちゃんが変わらず1位、俺が7位。キラーでなんとか差は詰めたものの、依然1位は遠い。さすが、家族内最強のかすみちゃんだ。

 

1周目の失態をなんとか取り返し、落ち着いてきたところで今の状況を確認する。

 

膝の上にのったかすみちゃんがカーブに合わせて、右へ左へ体を傾かせている。

 

コントローラーを持つ手はちょうど、かすみちゃんのお腹の前にある。つまり、抱きかかえているかのような姿勢に加え定期的にお腹に当たっているのである。

 

そのことを意識し始めるとそのことに意識が持ってかれてしまい、なかなか順位を戻せない。て、、手の甲に太ももが。。。遅れながらも高すぎる密着度に気付き、本日1度目のキャパオーバーを起こしている。

 

い、いや、これで興奮するのはさすがに犯罪だ。。落ち着け、、、落ち着け俺。。。ゲームに誘った手前、負けるわけにはいかない。

 

ここからの俺はすごかった。アイテムで神引きを連発する。赤三キノコと赤三コウラを引き当て、ショートカットと妨害を繰り返していく。

 

少しずつ少しずつ挽回し、2位につけていた。3週目最後のアイテムなしの直線真っ向勝負に挑む。

 

「うおぉおおおおおお」

 

「いけぇええええええ!!!」

 

ギリギリのところで逆転できず、このレースはかすみちゃんに軍配が上がった。

 

「いやー、さすがかすみちゃん強いね。」

 

「お兄ちゃんも最下位から2位まで上がってて凄い」

 

膝の上で振り返りながら満面の笑みを俺に向ける。とてつもなく可愛い。ほぼ、無意識にかすみちゃんの頭を撫でていた。(※無意識に行動を移すのは犯罪に発展しそうなのでマジで治すべき)

 

「ご、ごめっ、、」

 

慌てて手を引くが、幸せそうに目をつぶり、なされるがままになっていたかすみちゃんが惜し気に俺の手を追う。

 

「もっとやってもいいよ?」

 

ぐっっ!!こんなん言われたらやるしかないじゃん!!

 

再び、手をかすみちゃんの頭にあてがい、さらさらな髪を優しく撫でる。終始お互い無言だったが、確かな幸せがそこに存在していた。

 

 

かすみちゃんとの楽しい時間はあっという間に過ぎていき、叔母は用事を済ませ俺の家まで迎えに来ていた。

 

「いやー、今日はほんと助かったよ。ありがとね」

 

「いえいえ全然。いつも一人寂しく生活してるだけだからこっちも楽しかったからね。またいつでもおいでよ」

 

「それはそうと、彼女できた?」

 

「い、いやぁ、、、」

 

なかなかに痛い所突いて来やがる

 

「やっぱりな。はっはっは。若いんだからどんどんアタックしていきなよ?それじゃ、そろそろ帰るとするか。かすみ~、帰るよ~。」

 

玄関前にお見送りに行く。

 

「それじゃあね、お兄ちゃん。また来るね!」

 

「おう、いつでも待ってるよ。」

 

言葉を返す俺にかすみちゃんから手招きというかしゃがんでほしいようなジェスチャーを送られる。

 

疑問に思いながらも膝を曲げ、目線を合わせる。

 

そうするのを静かに待ち、俺の動作が落ち着いたころにかすみちゃんはこっそり耳打ちを始めた。耳に当たる吐息にドキドキしながら言葉を待つ

 

 

「大好きだよ、お兄ちゃん」

 

 

「!?!?!!?!!?」

 

「じゃあね~~~」

 

強引にハイタッチを交わされ、ドアの向こうへと消えていくかすみちゃんを最後まで見送る。

 

何が起きたのかわからないまま放心状態でその場に立ち尽くしていた。

 

あの言葉の意図はなんだ!?!耳打ちで伝えてきたのはどういうことなんだ!?!?

10歳にして俺の心を存分に惑わすだけ惑わした女の子、かすみちゃんとの物語はまだまだ序章に過ぎなかった。

 

かすみちゃんとのドタバタ結婚生活は、また別のお話、、、(※ありません)

 

 




結局、1万字近いボリュームになってしまいました...
個人的には、誘惑×一目惚れという組み合わせをしっかりストーリーに組み込めたかな~って思ってます。ほんとはもっと別のアイディアもあったんですが、すでにこのボリュームでしたので断念。また別の機会でお披露目できればと思います。

以上で、今回の小説企画とさせて頂きます。このような機会で色んなシチュを考察できるのはすごい楽しいので、またいつか第3弾を期待しようと思います。

P.S. おまけとしてアナザーストーリーや軽い裏話をまとめたやつも投稿すると思います。ぜひ、そちらも、ご覧いただけたら嬉しいです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。