2本目アナザー「在りし日の深紅に濡れる君を」
「軽い裏話」
の三本をお送りいたします。
さっき、書くところミスって、あらすじに前書き書いちゃったからすごいやらかした感。。変え方わからん。。
気を取り直しまして!!!アナザーストーリーです。本編とは別視点のお話なので、両方見ることでより楽しめると思います。軽い裏話はあとがきの方に軽く載せておきますので、そちらまで見て頂けると嬉しいです。
それでは、稚拙な文多々お見受けすると思いますが、ぜひお楽しみください
「明日また会えたら」
その出会いはあまりにも偶然だった。
私はいつも通り教室を抜け出し、とっておきの場所へと向かう。屋上へと続く階段だ。
この場所はあまり人目のつかない場所にあるから人気があまりなくて静かだ。人づきあいがあまり得意でない私にぴったりの場所。
私はいつもここでお弁当を食べて、予鈴がなる頃までこうして時間を潰している。
「あ、そろそろ時間….」
私は手元の携帯を確認し、教室に戻る支度を整える。いつものルーティーンだ。
そうして、教室に戻ろうと階段を降りていくと、そこにはリボンを見るに一つ下の後輩らしい生徒が立ち尽くしていた。
少し気まずいながらもそそくさと足早に教室へ向かう。なんだかじっと見られてる気がしたけど、なんか変だったかな。
一応、教室へ向かう前にトイレの鏡で確認してから向かった。
次の日、私のいつものルーティーンのごとく、階段で弁当を広げていたのだが、いつもとは違う点が一つあった。
「こんにちは、何されてるんですか?」
階段の踊り場からひょこっと顔を出す一人の女子生徒がそこにたたずんでいた。
ショートボブの和やかなオーラが印象的だ。リボンを見るに一つ下の後輩に見える。
「え、えーと、その、、、ご、ご飯食べてます。」
急な来客に咄嗟に声が出ず、しどろもどろに返答する。
「じゃあ、私もお昼食べますね」
彼女は当然のように私の隣に腰掛ける。初対面からこの距離感に詰められドキッとする。
人づきあいが得意でないため、この距離感に慣れていない事を改めて知覚した。
そ、それにしても気まずい。こんな時、適当な会話が思いつかないのが情けなくなる。なんとか言葉をひねり出した。
「ど、どうして、こ、ここに?」
「良い所を見つけちゃったので」
ここの良さをわかってくれるんだ!わかる。ここ誰もいないから落ち着くんだよね。あ、でも今は私がいるから誰もいない場所じゃないや、、
「そ、そうなんだ…じゃあ、ここは譲った方が良いかな….」
ここは後輩に譲ることにしよう。どうせ私は先に卒業する身だし、ここを好きになってくれただけでも嬉しい。
「いえ!元々先輩の場所ですし、一人じゃ寂しいので先輩と一緒にお昼食べたいんですけど、ダメですかね?」
「え、いや、だ、ダメじゃないですけど…」
一緒に、、一緒に、、、友達と一緒にご飯を食べることなんてほとんどなかったからとても嬉しかった。
慣れないことが続く中一旦落ち着こうと彼女とはすこし離れた場所へと向かう。
すると、空気を振っていた右手に暖かな感触を覚える。右手に目線を向けると彼女が私の手を握ってじっとこちらを見つめていた。
「えっと、私の隣にいてくれませんか?」
「え、えぇ…///」
頭がボンっと爆発したかのように顔が熱くなる。
私は促されるまま隣に座ってしまった。座ってしまったからにはやることは一つしかない。先程ささっと片付けた弁当をまた広げ、黙々と食べ始める。
あまりの恥ずかしさに味がわからなくなっちゃうほどだった。そうしている間にも彼女はずっとこちらを見つめていた。
「あ、あの、、私の顔になんかついてるかな…」
「いえ、先輩は可愛いなって思って」
「へ?な、、べ、別にそんなことないと思うけど….」
いきなり何を言い出すかと思えば可愛いだなんて。言われ慣れていない言葉に戸惑いを隠せない。
「そういえば、先輩って彼氏さんとか好きな人いないんですか?」
「え、かかかっ、彼氏!?!?そ、そういうあなたはどうなの?」
矢継ぎ早に繰り出される問いに対応しきれずに質問を質問で返す。
「うーん、そうですねぇ。私に彼氏はいませんけど、好きな人はいますよ」
「クラスメイトの男の子とか…?」
「先輩って言ったらどうします?」
「え、、あ、えっと、、」
え?私?だって今初対面だし、私なんて何の取り柄もないのに、そもそも女の子同士だなんて、そr…..
「ふふ、冗談です」
キーンコーンカーンコーン
「おっと、もう時間ですね。それではまた明日。」
「え、あ、うん」
何の思考もまとまらない私を置き去りに、彼女は静かに去って行った。
今日は慣れない事だらけで頭がパンクしちゃいそうになりながらも、予鈴が鳴った今そうもしていられない。私も早く教室へ戻らなくては。
教室へ向かいながら、思考はあの子に占有されていた。また明日、か。普段人と関わらない私にとっては特別な言葉だった。
「早く明日にならないかな….」
突如現れたあの子に誘導されるまま、誘惑されるままに私の心は惑わされた
こうして私の明日を待ちわびる日々が始まっていった。
「在りし日の深紅に濡れる君を」
これは吸血鬼のごくありふれたありきたりなお話
私たち種族はいつの時代も人間社会に溶け込んできたというわけではない。時には恐れられ、時には虐げられ、そうして時代を生き抜いてきた。
それも全て異常なほどに青白い肌、日の下を歩けないという弱点、鋭く尖った牙など吸血鬼の特徴による人間との差異によるものだった。
そうした背景が存在する吸血鬼は人間との差異を埋める進化を辿ることとなった。現代を生きる吸血鬼はほとんど人間と似た姿形をしている。
最近では、ポルフィリン症と呼ばれる病気を定義し、進化が不完全な吸血鬼を擁護する動きも存在している。生きやすい時代に生まれたもんだ。
「はい、みんな席についてー」
今日は、教員として働いている同種族の古い友人を頼り、転入させてもらったクラスと初顔合わせの日だ。
意外と吸血鬼も社会進出していることに驚いただろうか。まあ、人間と偽りながら上手く溶け込んでいるだけなのだが。私は働きたくないのでよく学生と偽っている。
ここに来た目的はもちろん食料の調達だ。おっと、先生からの視線を受け、自己紹介を始める。
「この度、転校してくることになりました。アリシア・キューミッドですわ。これから宜しくお願い致しますわ。」
今まで使ってきた定型文をさらりと吐き捨てる。ちなみにこの語尾は120年前ヨーロッパの方で貴族の愛人として過ごしていた時の名残だ。
人前で話す時はついこの喋り方になってしまうのだが、まあ、特に困ることもないのでそのままにしている。
先生からの案内を受け机に向かう。最初のターゲットは、隣のあの子でいいかな。
「寄深さんでしたね。よろしくお願いしますわ。」
私は青い瞳を光らせる。これは現代吸血鬼に残された数少ない能力、「チャーム」である。
チャームとは視線を浴びせるだけで相手の思考を占有することができ、従わせることができるのだが、それも弱体化されており、疑似的な恋心を植え付けるという所に留まっている。
「よ、宜しくお願いします。。。。」
目の前の寄深さんも例外ではなく、頬が紅潮し、視線を私を外せないでいる様子だった。この調子なら問題なさそうだ。
ずっと見つめ合っているわけにもいかないので、私はチャームを解除し、視線を前に向けて授業の形態を取る。眼球の奥にかすかな痛みを感じる。
このチャームも無限に出来るわけではない。最近使いすぎてた節があるので当分は封印だな。
それからは何もない日々を過ごしていた。クラスにもなじみ始め、ここでの生活が安定してきたころに目が回復してきていた。そろそろ、一人目を食べてしまおう。
吸血鬼は毎日血が必要というわけではない。少なくとも1か月ほどは何も飲まなくてもほとんど問題ない。それでも、欲してしまうのは本能から来る満足感のためだろう。
血を飲む時は頭の中に興奮剤を打たれたかのように体の全細胞が活気づき、とてつもない満足感に包まれる。その感覚を求め一人、また一人と襲っていくのだ。
適当な理由で寄深さんを家へと誘う。チャームを軽く使ったので二つ返事で家へ来ることになった。
私が現在住んでる家も、吸血鬼の古い友人から借りたものだ。そこまで豪華なものでなくていいと言ったのだが、こんなしっかりとした家を紹介してくれた。やはり持つべきものは友人である。
無事、寄深さんを室内へと招き入れ、紅茶を差し入れる。さて、そろそろやりますか。
瞳に力を入れる。
チャームが発現し、相手に効果を与える。その効果を示してくれるように、寄深さんのティーカップはその手から零れ落ちる。この瞬間から私と寄深さんとの関係は捕食者と獲物に変貌した。
口元から零れる紅茶に本能がそそられる。
「んっ….ア…リシア…さん….どういう….」
か細い声で私に問いかける。何もわからないまま襲われるのもかわいそうだし、楽しみは最後までとっとく方がより最高だろう。
私は現代吸血鬼の成り立ちについてあらかた答えてあげた後、チャームを強出力で目の前の獲物に向かって投げつける。
「ほら、おいで。最初は優しくしてあげる。みんな最初は怖がるけど、吸血してあげるととても気持ち良さそうな顔をして、何度もおねだりしてきたりもするんだよ。うふふふふ」
愉悦が止まらない。
実際人間の脳は、好意を持つ対象からの刺激は脳内で快感に変える構造をしている。
強出力のチャームを喰らった人間は吸血という強すぎる刺激でさえ快感に変えてしまうのだ。
目の前で悶えている寄深さんは抵抗してはいるが、じりじりと私との距離を詰めている。
その無駄な抵抗はたまらなく愛おしく、さらなる興奮を煽る。さらに、チャームの出力を上げ、身悶える寄深さんを見つめ続けていた。
そうしていると次の瞬間倒れかけるところをすんでのところで抱きとめる。寄深さんの顔は完全に蕩けきっていた。
そしていよいよ、メインディッシュである吸血を行う。今から吸血できると思うと高揚を抑えられない。首元をほおずりしたくなる気持ちをぐっと抑え、もったいぶりながら一口目を頂く。
がぶっ
一思いに首元を突き刺すと口の中一杯に血の味が広がる。
体中の細胞に染みわたっていくような感覚がとてつもない満足感を生み出す。なぜだかは知らないが、ここまでの満足感はこれまで吸血してきて初めてだった。
脳味噌の奥の奥の方からじゅわじゅわと多幸感が溢れ出す。すべて吸ってしまいたい衝動に駆られたが、寄深さんを手放すわけにはいかない。
そんな気がしてなんとか持ち直し、首元から口を離す。
吸血が終わると、お互いその場に倒れ込んでそのまま眠りについてしまっていた。
「ゆうな、行きますわよ」
「うん。今行く。」
これは私にとって特別な話ではない。
「ゆうなはもうすっかりクセになっちゃったんだね」
「もう!アリシア…///」
「あはは、ごめんごめん」
思えばあの時、私はこの血が飲めなくなるのはもったいないって思っていたんだ。
「ねえ、アリシア早く、、、」
「落ち着いて。焦らなくても私は逃げないよ」
「我慢できないの、、、早く、、」
「しょうがないなー」
「あーんっ」
そしてこれは、ありきたりでありふれた吸血鬼のお話。
さて、ここからは裏話というか、ボツアイディアの一部をご紹介させて頂きます。
元々の大筋案としては
・王道、ひとめぼれした先輩になんとか落とそうと誘惑していくいちゃいちゃゆるふわ先輩後輩
・異種族、吸血鬼のチャームによってなのか私の本物のひとめぼれなのかわからないまま誘惑に溺れていくJK
・ただの俺の性癖、一目惚れしたロリの無意識な誘惑攻撃をされて理性を鍛える話
・良くない、悪い先輩に一目ぼれして絡み始めたのをきっかけに違法薬物に手を出し、薬の誘惑のせいで初恋とか先輩とかどうでもよくなってしまい、良い金づるとして利用されるJK(文字数馬鹿になったからやりません!!!)
・重め、ひとめぼれした子は自殺志願者。なんとか止めようと頑張るも好きな子の誘惑に思考停止しながら身を預けて命を落とす社会人(JKでも可)(文字数やばいのでやりません!!!)
こんな感じになっていて、5本中3本やったみたいな形だったんですよね。上の三本はなんとか形にすることができたので良かったんですけど、4本目は普通に胸糞だし、5本目はほぼタナトスの誘惑(夜に駆ける原作小説)だしでボツにしちゃいました(笑)
あと、本編とアナザーで上手く対比になってたりするのを頑張ったので見比べながら見てみるのも面白いかもしれないです。
いかがだったでしょうか。別視点でのお話はメインの展開は決まっているから、キャラの心情を考えるだけなのですごい考えるのが楽でした。
本編が進んでる時、このキャラは実はこう考えてたんだなって自分で考えるのもすごい楽しくて、どんどん書いちゃってましたね。
二つの要素を無限大な組み合わせ方で物語を作るという簡単なようで難しい企画ではありますが、製作期間凄い楽しい時間を過ごすことができました。また次の機会があれば新たな組み合わせ方を模索したいと思います。
これにて、小説企画第二弾、「誘惑×一目惚れ」回を終了とさせていただきます。
こんな最後の最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。