テンプレバスター!ー異世界転生? 悪役令嬢? 聖女召喚? もう慣れた。クラス転移も俺(私)がどうにかして見せます!   作:たっさそ

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第31話 由依ー夢映しの鏡

 

 

「妙子の夢を見るって、どういうことですか?」

 

「その通りの意味ですよ。妙子おばーちゃんの夢を覗くことができる、素敵なアイテムの鏡があるんです。ちょっと危ないところに置いてある、家宝なんですが、事情を話したら絶対に貸してくれるはずですから」

 

 家宝って

 

 

「こっちの世界にもそんな不思議アイテムってあるんだね」

 

あちらの世界の経験でで不思議なことにも耐性があるキョーコが感心したように呟く

 

「日本の三種の神器も似たようなもんだろ。」

 

「なんだっけ、草薙の剣と八尺瓊勾玉と浄玻璃の鏡?」

 

私が顎に指を当てて首を捻ると

 

「いやいや、天叢雲剣と勾玉と八咫の鏡だって」

 

キョーコがそんなことを言った。あれ、二つも違う。なんだっけ?

 

「後者だよ。草薙の剣と天叢雲剣は同一で、浄玻璃の鏡は、たしか閻魔様が持ってるやつだったかな? 現世の罪を映すやつ? 忘れた。由依のは鏡違いだな。」

 

そうだった。なんかいろいろ鏡がごっちゃになってたわ。

そう考えると、八咫鏡には特殊な効果が無いにしても、不思議な鏡ってのは日本の伝承にも残っているものなんだなー。

 

「そんな不思議なアイテムで夢を見る鏡があるってことなんですね!」

 

キョーコが拳を握ってフンスと息を吐く

 

「そゆこと。ついてきてください。案内したげます」

 

ヱリカさんがスクーターから降りて歩き出す。

私たちはそれに着いて行く為に歩き出した。

 

 

          ☆

 

 

「ここよ」

 

と、ヱリカさんに案内された場所は、とあるテナント事務所

 

葉隠組と書かれた看板がある

 

「ここって、ヤクザ?」

 

「そですよ。やってる事は金貸しと不動産と探偵ですね。ときどき風俗のボーイとかもやってます。妙子おばーちゃんが築いた金貸し業と不動産業から事業を拡大してます。」

 

「………思ったよりも妙子が大物だったわ」

 

「相手の弱みを完全に握っているので踏み倒される事は自殺でもされない限りそうそうないですね。」

 

やってること完全に闇金のソレじゃん

 

 

「こんちゃー。ヱリカですー」

 

 

ヱリカさんは臆する事なくドアを開けて入る。

 

「おお、ヱリカ嬢、今日はガッコはお休みですかい?」

 

部屋にいたのは丸刈りで目に傷が付いているイケオジ。葉っぱもなければ耳もない。

 ちゃんと人化している狸なんだと思う。

 

「ううん。授業は午後からです。今日は団三郎おじさんにお願いがあってきたんですけど」

 

「あっしに? 誰か東京湾に沈めて欲しいヤツでもいるんですかい?」

 

「いやいや、しないよ。夢映しの鏡を使わせて欲しくってですね」

 

「あれをですかい? そりゃあ構いませんが、なんでそんな………。うしろの子供達が関係してるんですかい?」

 

「そそ。この子達が衰弱した妙子おばーちゃんを保護してくれてんです、どうしても今妙子おばーちゃんが見てる夢を知りたいんですよ」

 

「保護って………。ああ、妙子さん!」

 

 団三郎と呼ばれた狸はタツルが抱っこする狸を見て、狸の姿でも妙子と認識されている。

 私には狸の違いなんぞ全くわからんが狸にはわかるんだろうな

 団三郎なんてのもいかにも狸らしい名前だし、隠上刑部(いぬがみぎょうぶ)とか文福茶釜とか狸の昔話はよく聞くけど団三郎は二ツ岩大明神として信仰される狸でもあるとかなんとか。

 

 移動の最中にさっきwikiった。

 

 団三郎は狸にとっても縁起のいいなまえなんだろうね

 

 

「なんかおばーちゃん、精神だけ異世界にぶっ飛ばされたみたいなんです。彼らはおばーちゃんのクラスメイトで、一緒に異世界に飛ばされちまったんですけど、一時的に戻ってこれた? 的な? そんな感じです」

 

「なるほど。でしたら、ご自由につかってくだせえ。妙子さんはこちらで面倒を見ます。坊ちゃん、嬢ちゃん方、妙子さんを連れてきてくださって、ありがとうごぜいます」

 

 

 太腿に両手を当て、中腰で頭を下げる団三郎さん。

 なんか頭の下げ方がヤクザのそれだ。

 

「いえ。友達のためにできることをするのは当然ですから」

「妙子さんと友達………羨ましいねえ。あっしら、妙子さんの部下みたいなもんでしたから、今でも頭があがりませんよ」

「………それは、なんというか、お疲れ様です。」

 

 

 タエコちゃんにとっては彼らも息子や娘や孫みたいなものなのだろうか。

 ハイカラなことが苦手な妙子の年がわからんが、そうとう長生きしていることはわかる。

 

 ありゃあ妖怪かなんかなんだろうな。

 

 

 浅い呼吸を繰り返す狸姿のタエコちゃんだけど、食事はできるらしく、今は普通の動物みたいな状態だ。

 人間のような複雑な意識のない状態で、みんなと違って人形みたいにならないかわりに、動物としての本能と、ちょっとした人懐っこさしかないっぽい。

 

タエコちゃんが団三郎さんの用意したご飯を食べ、座布団の上丸くなっていたところで、ヱリカさんが事務所の奥から丸い青銅鏡を持ってきた。

 

 ちなみにタエコちゃんの飯は、ごはんと鰹節とささみと人参をめっちゃ細かくしておかゆみたいにしたやつを十分に冷ましてから食べさせた。

 元気に食べてたからお腹空いていたんだと思う。

 

 わたしたちの意識がない間でも、ご飯を食べる、トイレに行くとかはプログラミングされているんだとおもう。いい気はしないけれど。

 

 あと、青銅鏡のほうは磨き上げられてはいるものの、やはり青銅なので映りは悪い。

 いまの技術で作られる鏡ほどの精度はない。

 大昔の不思議道具だからしょうがないか。

 

 

「これ、どうやって夢を見るんだ?」

 

 と、タツルがタエコちゃんの背を撫でながら首を捻る。

 タツルはケモナーのカナほどじゃなくても動物が好きだ。

 いまの状態のタエコちゃんやケモミミ状態のタエコちゃんをカナが見たらどうなってしまうんだろう。

 

「夢を見たい人の前に立てかけとけばいいんですよ。あとはカメラをセットして、ちょっとまえ鏡に写った動画をリアタイで解析して解像度を上げてくれるソフトを作ったんで、そっちでみましょう」

 

「なんかいっきにハイテクになったんだけど」

 

「旧いまんまじゃ使えなくとも、新しい技術と組み合わせて旧い物もよーくつかえるようになるってんですよ」

 

 といいながらカメラをセットし、パソコンと繋ぐヱリカさん。

 

「これでよしっと。あとは鏡に妖力ながしてっと………起動」

 

 

 パソコンの画面に、かなり高解像度の映像が流れ始めた。

 

 

 

 

 







あとがき


次回予告
【 茶菓子でも食べながら観賞会 】

お楽しみに


読んでみて続きが気になる、気にならないけどとりあえず最後まで読める程度には面白かった

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