私の生徒たちが、自分を恋人だと思い込んでいる!   作:雨あられ

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第7話

-シャーレ執務室-

 

「先生、なんですかこの伝票は!」

 

正座をさせられている。

目の前で領収証をかざしてお怒りになっているのはミレニアムサイエンススクール所属、生徒会セミナーの会計、早瀬ユウカ。

 

天色の髪に空色の目を持つ、少し太もも周りが逞しい少女。

数字や計算が好きで、ミレニアムの予算周りの管理も統括している

 

そして、私の財布も管理している……

 

「この前無駄遣いはしないと約束したばかりですよね?」

 

“はい……”

 

「じゃあ、なんなんですか!この特上寿司10人前って!!?」

 

“いや、それは違って……”

 

サオリがこの前誕生日を迎えた。今まで祝ったことがないなんて悲しいことを言い始めたのでアリウススクワッドのみんなも呼んで誕生パーティを開いたのだ。パーティが終わると、サオリはひっそりと目に涙を流し泣いていた、ヒヨリは涎を垂らしながら余った寿司とケーキをタッパーに詰めていた。

 

「それに、これ!このゲーム機の筐体!中古の固定資産は処理が複雑なんですよ!?それをこんな急に」

 

“私も予想外で……”

 

「この飲料水のレシートも軽減税率が適用されるものですし、こっちのも!課税の対象外です!」

 

そう言いながらもカタカタとパソコンを動かして私の仕事の伝票(ミス)を修正してくれるユウカ……。

 

「これも、こっちもこうして…………ふぅ。これで良し。次は気を付けてくださいね、先生」

 

全ての伝票を処理し終えるとノートパソコンを閉じて優しい笑みを浮かべてくれる。

母性が強いというか面倒見が良いというか、早瀬ユウカという少女は最後には必ずこうして微笑みながら私のことを許してくれるのだ。

 

“ありがとうユウカ……。ユウカが居てくれて良かった”

 

「な、もう、またそんなこと言って……。大体、先生は大人なのにこんなに叱られていて、それでもお礼を言うなんておかしいと思わないんですか?」

 

“うん、本当にそう思ってるから……怒ってくれるのもユウカの優しさだってわかってるから……そうだ、コーヒー淹れようか?それとも肩を揉んだ方がいい?”

 

「…………クス、もう、しょうがないですね。じゃあ、コーヒーくらいは貰ってあげます」

 

このように、私は彼女には全く頭が上がらないほどお世話になっているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「いけない。もうこんな時間!?」

 

私、早瀬ユウカは遅刻を良しとしていない。

もはや週課になりつつあるシャーレへの訪問。鞄に荷物を詰めると仕事をしていたデスクを立って準備を始める。

いつも皆のことを諫めることの多い立場だからこそ、遅刻なんてするわけにも……?

 

「……ノア。どうしたのニマニマして」

 

「別に~?ただ、ユウカちゃんすっかり先生の通い妻だなって」

 

そうクスクスと悪戯っぽく笑った同じセミナー所属の少女、ノアの言葉に顔が赤く火照っていくのがわかる。

 

「そ、そんなんじゃ!」

 

「うふふ。奥さん。早く行ってあげないと先生が大変ですよ?」

 

確かにもう時間が……!

 

「も、もう!覚えてなさいよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く……

 

 

何が先生の通い妻。よ。

 

 

「フンフンフフーン♪」

 

先生の居るシャーレへの道を軽い足取りで歩いていく。

 

先生は大人なのにとてもだらしのない人だった。

伝票の処理も満足にできないし、食べてる料理もカップ麺とかコンビニおにぎりとか適当なものばかり、忙しくていつも執務室の掃除もろくにこなせていない…

 

 

全く、先生は私がいないとダメなんだから……。

 

 

……でもこの前みたいに、変にプライドを持ったりせずにきちんと感謝もしてくれるし、私が困っているときには手を差し伸べて助けてくれて、たまに見せてくれる子供っぽい笑顔が好きで……って!?

 

わ、私ってば何を考えて!!

 

にやけてしまう口元をぐにぐにと崩す。

ダメダメ!私は先生の前では厳格で、清貧なセミナーの生徒として向き合わないといけないのに。

 

最低限の身だしなみを整えると、買ってきた夕食用の買い物袋を持ち直して、ウィンと開いたシャーレの扉を通って先生の執務室へと向かう。さて、今日も掃除から……?

 

あ、あれ?

 

ガチャリと開けて執務室に入るとまず目に飛び込んできたピカピカに磨かれたフロア。普段は散乱しているはずなのに綺麗に片づけられた書類やコンビニ袋などのゴミ、それにどこからかカレーの良い匂いまで。

 

「ああ。おかえりなさい先生。もしかして忘れ物……と……か?」

 

まるで恋人に声を掛けるような優しい声音。

制服の上にエプロンをして、鍋掴みをしたまま出て来たのは、黒い髪にピンク色のインナーメッシュが入ったボブヘアの少女。黒い耳をピンと立てて優しい笑顔を浮かべて出てきたけれど、この少女は先生じゃなくて……!?

同時にお互いの存在を確認すると指を突き出して声がハモる。

 

「「あ、あなた(あんた)はまさか!」」

 

 

私は知っている!

 

この少女……いやこの女こそ……最近私の領域(テリトリー)を勝手に荒らしてる……

 

泥棒猫ッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の生徒たちが、自分を恋人だと思い込んでいる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“ごめんね。折角来てくれたのに”

 

「勝手に来たのは私だし。その……いってらっしゃい。先生」

 

“うん、行ってきます”

 

そう私……杏山カズサが自分には似合わないような微笑みで先生にいってらっしゃいをするのはもう何度目の事だろう。

 

先生は大人なのにとてもだらしのない人だった。

一人じゃアイロンがけとかできないみたいだし、食べてる料理もレトルトカレーとかファストフードとか適当、執務室の掃除もろくに出来なくって……。

 

 

そう、先生には私がついていてあげないとダメなんだ。

 

 

放課後スイーツ部の活動がない日にはこうやって、ちょくちょく顔を出して……カフェの仕事を手伝ってあげることもあれば、執務室や仮眠室を掃除しておいてあげることもある。手料理を振舞うことだって……まぁ、実は今日が初めてだったり……。

 

自然とニヤついていた顔を慌てて締めなおす。

らしくない!……でも先生だってズルいと思う。頼りないように見えて、芯はどっしりしているっていうか、自分以上に私たちのことをちゃんと見ててくれて……それなのに、嫌味な感じが全くなくて、いつも、手伝ってくれとか、ありがとうカズサとかって、本当もう……

 

ん!ま、そう言うわけで、最近は私が先生の面倒をよく見てあげてたわけだけど……。

 

「「……」」

 

先生が想定よりも早く戻ってきたと思ったら、部屋には知らない青髪の女が大根のような足で、大根が入った袋を持って立ち尽くしている。

 

「「あんた(あなた)はまさか……」」

 

しかし、お互いに叫んですぐにピンときた。

 

私が来てなかったのに、妙に先生の執務室が綺麗に片付いている時があった。

初めは、先生が掃除したのかな?と思っていたけれど、明らかに先生が買わなさそうな卓上鏡や化粧落としのクレンジングオイルなどの出現によって、それは確信に変わった。

 

私以外にもここに出入りしている女がいるッ!

 

しかも、縄張りを主張するかのように、こまごまとしたものを増やしていって……!!

顔を合わせたことはなかったけれど……なるほど、この真面目ちゃんっぽいミレニアムの生徒が……顔を見て納得だ。

 

「あ~……何か先生に言っとくことあるなら聞いと……聞いておきますよ……?先生からは“色々と頼まれてる仲だしね”」

 

かくして戦いのゴングが鳴った。

笑顔を取り繕ってその女に告げると相手は目を見開き、次にはギラついた闘志をにじませてこちらを見据える!

 

「へ~“色々と”……!じゃあその“色々”と、代わってあげますからお家に帰ってもらって大丈夫ですよ?“絶対に、私の方が先生に信頼されてますから”」

 

「は?……いや……何言ってんの?」

 

バチっと、にらみ合いは続き火花が散る。

ただの真面目ちゃんかと思えば……私の“凄み”に動じないなんて結構な胆力があるみたいだ。

 

「大体、私物散らかしすぎじゃない?電卓とかそろばんとか……片付ける身にもなってよ」

 

「散らかしてあるんじゃないですよ~。置いてあるんです!あなたこそ、最近先生にお菓子を食べさせすぎです」

 

「う、なぜそれを?」

 

「そんなの伝票を見れば丸わかりです。先生はただでさえ運動不足なんですから、あまりばかすか食べさせないでください。大体……」

 

やばッ!?よくわからないけどお説教モードが……

 

「じゃ、じゃあ。あの変な鳥のぬいぐるみも持って帰ったら?」「あれは私のじゃありません!」

 

「あなたの方こそ、最近やけに増えた化粧品の数々とか持って帰ってください!」「いやどれも、私のじゃないんだけど……」

 

「「……」」

 

冷や汗を流しながらも、硬直は続く。

…………もしかして、他にもいるの?別の女たち……いや、それでもこの女が先生の正妻面しているという事実には変わりない。とその時だった。

 

フ。と青い髪の女が勝利を確信した笑みを浮かべる。い、一体……。

 

「先ほどから、準備を進めていたカレーの方は大丈夫ですか?」

 

「ッ!!」

 

「火は止めてあったとしても……これ以上冷めたりしたら先生が帰ってくるまでに煮込み切れないんじゃないですか?」

 

た、確かに!私は慌ててキッチンに戻ると、コンロに火をつけてカレーのルーを混ぜ始める!ど、どうしよ!それに、カレー以外も色々と準備が……?

 

すっとエプロンを結びながら、髪を咥えたゴムで結って隣に立ったのは先ほどから言い争いをしていたはずの真面目ちゃんの……少女。

 

「あ、あんた何やって」

 

「何って、見てわかりませんか?私も手伝いますから先生が帰ってくる前に作っちゃいましょう」

 

「……」

 

「こんな結果であなたに勝っても、しょうがないですから」

 

そう言うと少女はため息をついた後に笑顔を浮かべて野菜を切り始める。

悔しい。悔しいけれど、私よりも遥かに手際が良い。それにこの人は彼女とかいうよりも、まるで…………お母さん?

 

「…………あ、あんがと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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“なんだか良い匂いがする”

 

帰ってきて扉を少し開けただけで、懐かしさを感じるようなカレーの匂いが流れてくる。

中に入ると、そこには声を弾ませながら談笑し、皿を並べているらしい杏山アズサと早瀬ユウカの姿が目に映った。

二人はこちらの姿を認めると、微笑みを浮かべながら声を合わせる。

 

「「おかえりなさい、先生」」

 

“ただいまカズサ。それから……ユウカも?”

 

「なんですか、先生。私が居たら不服ですか?」

 

“まさか……いつも来てくれて助かるよ”

 

「おかえり先生。ユウカ……さんは。色々と手伝ってくれて」

 

「別にユウカで良いですよ。それに、私は簡単なことしかしていませんから、準備自体はカズサが」

 

そうユウカが述べるとカズサは恥ずかしそうに視線を外して頬を掻いた。

ユウカまで居るのは予想外だったけれど、ちょうどよかったかもしれない。先ほど用意したものを渡そうとした矢先、二人に背中を押されて席に座らせられる。

 

“えっと?”

 

「……夕食。作ったから……」

 

“うん?”

 

「もう先生、温かくて美味しいうちに食べてみてください、ってことですよ」

 

「べ、別に感想がきになるとかじゃ……」

 

人差し指を口元に当てて意地の悪い笑みを浮かべるユウカに、何やらふにゃふにゃになって慌てているカズサ。確かに抗いがたい良い匂いに、お腹の方も限界の様だ。

 

“ありがとう!それじゃあ、一番美味しいうちに頂こうかな!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズサとユウカの作ってくれたカレーは美味しかった。

にんじんやじゃがいもなど少しばかり具材が大きかったけれども、辛いながらも程よいとろみと甘みがあってご飯と絡んだ時の口の中でほぐれていく食感は絶品だった。

ど、どう?と、カズサが上目遣いで不安そうに聞いてくるので、毎日食べたいくらいおいしいと素直に答えると、顔を赤くしながら俯いてしまっていた。

 

“でもカズサ、もう帰っちゃうなんてね”

 

「……そうですね」

 

カズサは、これで貸し借りなしだから、とユウカに何か言って帰っていった。ユウカも初めは残念そうにしていたものの、最後にカズサが控えめにまたね、先生と笑顔で去っていったときには塩でも撒いておきましょう。と意味不明なことを……。

 

それにしても食べ過ぎた。

お腹をさすりながら座っていると、今度はユウカが食後に温かいお茶まで出してくれた。まさに、至れり尽くせりだ……。

 

“ユウカ、いつもありがとう”

 

「なんですか。藪から棒に」

 

“改めてそう思ったんだよ。いつもユウカには助けられてるなって……”

 

「…………でも、先生ならきっと私が居なくても大丈夫ですよ。さっきのカズサみたいな良い子が近くに居てくれるみたいですし……」

 

机を拭きながらそう寂しそうにつぶやくユウカ……

 

 

“そんなことはない!!!”

 

 

 

 

 

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気が付くと、先生の真剣な表情だった。

それが、私の布巾掛けをしていた手首を持って、すぐそこまで迫っている!?

私は机にお尻を当てるような形で、そう、まるで先生に押し倒される寸前みたいで……!

 

「せ、せ、先生……?」

 

今まで見たことのないくらいの気迫。

息をすれば、お互いの吐息が混じり合って……ジットリと、触れ合っている箇所から、身体が熱を持って汗ばんでいくのがわかる。

怖い。けど、ドキドキしてしまう。眼が、離せない……。

 

“私にはもうユウカなしの生活なんて考えられないよ”

 

「……あ、あ、わ、わかりましたから、一度離れ……」

 

そう必死に出した声も上ずってしまっている。

だ。だめ。わ、私どうなってしまうの…………!?

 

“わかってくれたならよかった”

 

 

「……………………?」

 

 

目をギュッと閉じていたら、身体にかかっていた重みが消えた。そして先生は先ほど座っていた席に戻って……呑気な顔をしてお茶をすすり始めたようでした。

 

「………………」

 

“ユウカ、このお茶美味しいね”

 

「………………」

 

“ユウカ?”

 

「はぁぁぁ~~」

 

まぁ、わかってた!!

ええ、わかってたわよ!!

先生は、本当に、どうしようもなく…………はぁぁ……

 

全身から力が抜けて机に手をつけたまま膝から崩れ落ちる。

先生に自覚はない。それはわかっているのだけれど……だからこそ、恨めしくもある。

何とか先生の対面の椅子に座りなおすと、私はカズサの置いていったマカロンを不機嫌な顔をして頬張りお茶で流し込む。もう、こうなったら今日はやけ食いして!

 

“そうだ。ユウカ、はい、これ”

 

「なんですかこれ?」

 

“カギだよ、ここと仮眠室の合鍵”

 

「ああ、合鍵…………うえぇッ!?」

 

な、な、な、どういうこと!?

 

「先生、これ一体どういうつもりで……」

 

“ほら私が居なくてユウカにドアの近くで立たせて待ってもらうことが結構多かったから”

 

「あぁ……そういう……」

 

……いいえ、でも流石にこれは、この鍵はそんな言葉だけで受け取っていいものではないような気がする。

 

「…………はぁ、先生?知っていますか?こう言った大事なものはそう簡単に渡してはダメなんですよ?本当に心の底から信頼できる相手くら……い……に……しか」

 

ハッとして顔を上げる。

身体が蒸発してしまうんじゃないかってくらい顔が赤くなった感覚があった。

そして、先生は、ニコニコしながら

 

 

“うん、だからユウカになら渡しても大丈夫だよね?”

 

 

と当然のことのように言った。

 

先生の信頼が嬉しくて、嬉しくて、心がもみくちゃになってしまっているのに。

熱くて、温かくて、全身から火が出そうなほどに私の身体は歓喜で震えていた。

 

「…………で、でも流石にシャーレの鍵なんて計算外で……」

 

“そっか、じゃあ返s”「でも!!わかりました!これは私が責任をもって、お預かりします!!」“う、うん”

 

先生が伸ばした手から逃れるようにして、もらった鍵を胸元に引き寄せる。

 

これは“証”。

 

先生との間に築き上げてきたいくつもの信頼が形となって、積み上げてきた方程式が解きほぐされて、確かに=イコールになっている。

通じ合って、親愛しあっていることがはっきりとわかる。そんな絆の“証明”。

 

「先生。私は、きっと一番合理的な選択をしたと思わせて見せます……だから……ふ、不束者ですけど、よろしくお願いしますね?先生!」

 

きっと今の私の顔は計算通り……いえ、計算できないくらいの……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全く……

 

 

誰が先生の通い妻。よ。

 

 

「フンフンフフーン♪」

 

先生の居るシャーレへの道を軽い足取りで歩いていく。

ストラップを付けた鍵は、今日も銀色に光っている。

 

先生は大人なのにとてもだらしのない人です。

目を離すと変なものに大金を使っているし、最近はお菓子をよく食べ始めてますます栄養が偏っている、夜更かしが続いているくらい忙しいみたいで。

 

 

だからこそ、先生には私がついていてあげないとダメなんだから!!

 

 

さてと、今日は先生好みの完璧な肉じゃがでも作ってあげ……?

鍵を取り出して執務室に入ろうとしたけれど、鍵穴に差した時には既に違和感が……

 

あ、あれ?開いてる?

 

先生は今の時間はカフェにいるとのことだったのに……。

開いていた扉を通って執務室に入るとまず目に飛び込んできたピカピカに磨かれたフロア。普段は散乱しているはずなのに綺麗に片づけられた書類やコンビニ袋などのゴミ、それにどこからかシチューの良い匂いまで。

 

「おかえり、先生。じゃあ仕事を始めよう……か?」

 

まるで恋人に声を掛けるような優しい声音。

目つきの悪い生徒だった。

黒いパーカーの上にエプロンをして、鍋掴みをしたまま出て来たのは、白と黒のツートンカラーをした髪を束ねたゲヘナっぽい少女。黒い角がシュシュのようになっていて、ズボンの右ポケットには私がもらったはずの……鍵!?

同時にお互いの存在を確認すると指を突き出して声がハモる。

 

「「あ、あなた(あんた)はまさか!」」

 

 

私は知っている!

 

この少女……いやこの女こそ……前から私の領域(テリトリー)を勝手に荒らしてる……!

 

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