ペルソナ5 混沌の反逆者   作:結露

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17.VSカネシロ・バエル・ジュンヤ

7月1日 放課後 アジト

 

シン達と合流しアジトに着いた時には、もう祐介とゴウトは待ちくたびれた様だった。祐介は何を考えているのか分からない表情で人波を見下ろし、ゴウトは欠伸をしながら顔を洗っている。

 

 

「ごめん、遅くなった。……ライドウさんは?」

 

「ライドウは諸事情があって人目を忍んでおるのでな。今日は欠席だ」

 

「職質で刀が見つかったらしい」

 

「ヤバすぎ。ライドウさん、こっちの服も持ってないんでしょ?シン、この後買いに行くよ」

 

「それじゃ、作戦会議といこう。進行は任せたぞ」

 

「会議と言っても、後は予告状だけなんでしょ?じゃあ、さっさと出しましょう」

 

「それはそうだが、今回は簡単にはいかない」

 

「予告状出すって言ってもなぁ……」

 

「直接の知り合いなんていないもんね。家とかわかんないし……」

 

「シンがこの前のアジトに忍び込んで置いてくるのは?」

 

「俺は構わないが……。金城がいつもあのアジトにいるとは限らない。いつ予告状が金城に届くかもわからないのに、パレスの最奥で張り込むつもりか?」

 

「……却下で」

 

「……もう。そんな面倒なことしなくても、同じ手を使えばいいじゃない」

 

「なにか思いついたの?」

 

「簡単よ。……でも、ちょっと一人だと大変だから……竜司でいいわ。この後手伝って」

 

「俺?いいけど、何すんだ?」

 

「あとで説明するわ。予告状は任せてちょうだい」

 

 

 

7月2日 放課後 アジト

 

「渋谷の街全体に予告状をばら撒いたか……」

 

「いい考えでしょ?これだけ派手にやれば、必ず金城に連絡が行くはずよ」

 

「さすが怪盗団のブレインだぜ!リュージ、オマエも見習え」

 

「撒いたの俺だっつうの!奴らに見つかんねえように変装までさせられて、大変だったんだぞ!」

 

「ライドウさん、どう?昨日買った服。よく似合ってると思うけど」

 

「うむ。痛く気に入った様だぞ。昨日の夜着替えた後、寝る時もずっと着ている。ここまでも問題なく来れたしな」

 

「それは良かったけど……寝る時はパジャマ着てね?」

 

「ムダ話してる場合じゃないわよ。さっさと行きましょう」

 

「今回の相手は、掛け値なしの大悪党……」

 

「望むとこだぜ!こっちだって、大型新人が入ったしよ!」

 

「真!流れとか、ちゃんと頭入ってっか?」

 

「オタカラを奪えば、パレスは消える。それによって、現実の主の心も変化する」

 

「歪みが消えて自分の悪事を直視した主は、良心の呵責に耐えられず白状する……だったな」

 

 

シンに続いてライドウとゴウトも頷く。

 

 

「リュージより百倍上出来だぜ」

 

「クズのような悪い大人と、大人の言いなりだった私……。両方まとめて、この手で打ち砕く!」

 

「気合十分だな!よし、ジョーカー!いつも通り、出発の合図をたのむぜ!」

 

「準備はいいな?……ショータイム!」

 

「ノリノリだな……」

 

「テンションは大事だ」

 

 

 

 

カネシロパレス 地下大金庫心臓部

 

 

オタカラの前で待ち構えていたカネシロが、くだらない御託を捲し立てている。

 

 

「上が下をこきつかって、好きなだけ搾りとる。そういう順番が、この世には存在しているんだ。貴方がたも、大人しく金づるになりなさいよ!」

 

「誰がなるか、そんなもの!」

 

「順番とか、頭おかしいでしょ」

 

「オレだって散々やられてきたんだ!苦渋を舐めさせられ、クソ底辺から這い上がって、ようやくオレが刈り取る番ってワケさ!」

 

「だからって……!やり返す相手、間違ってんでしょ?」

 

「卑怯な事しかできない、可哀想な人よね」

 

「勝ち方に綺麗も汚いもない!クレバーなヤツが勝つ!」

 

「賢く強い者は、弱者を食い散らかして当然。ネットの知識だけで世の中悟ったような気になる頭のわいたクソガキは良いカモだよ」

 

「同感だな。力のあるものは自由を貫ける。当然のことだ」

 

「シン……!?」

 

「だが、お前を是としない、より強者が存在する可能性も理解しているんだろうな?」

 

「お前のような外道を相手に、今更道徳を説くつもりはない。気に入らない相手を潰しに来た。それだけだ」

 

「クソガキが、オレより上だと思ってんのかぁ!?……ありがたい説教の時間は終わりだ。一生ここで奴隷としてこき使ってやる」

 

「冗談じゃない!」

 

「クククク……たかるだけ……たからせていただきますよぉーっ!」

 

 

 

 

VSカネシロ・バエル・ジュンヤ

 

 

「約束通り俺とライドウは手を出さない。お前たちだけで勝て」

 

「やってやるさ。ネコショウグン!『マハスクカジャ』!」

 

「逃がさねーyo!」

 

 

マハスクカジャをかけるのと、ブタトロンの極太の銃身が俺を捉えるのはほぼ同時だった。

加速した俺たちをバルカンの射線が追いかける。余裕を持って避けれる速度だが、床に穿たれた弾痕からその威力は伺える。まともに喰らえばただじゃ済まないだろう。補助魔法をかけることを優先しなければ。

 

 

「補助魔法だ!有利を作れ!」

 

「りょーかいっ!『タルンダ』!」

 

「こいつのイシに頼るのは癪だけど……結晶よ!『マハラクカジャ』!」

 

「攻撃は俺がすんぜ!『タルカジャ』!」

 

「ちょこまかとうざってぇ……!ミサイルでまとめて吹き飛んじまいな!」

 

「撃ち落とす!フウキ、『マハガルーラ』!」

 

 

部屋中に撒き散らされたミサイルを、マハガルーラでかき乱す。大半は行き先を見失い連鎖的に弾けたが、すり抜けた一発が俺の足元へ向かってきていた。

一発でも当たれば致命傷かもしれない。覚悟を決め渾身のガードをしようとしたが、その一発は爆炎が届くギリギリの位置で、クイーンの銃撃によって撃ち落とされた。

 

 

「クイーン、助かった!」

 

「まだ油断しないで!正面!」

 

「っ、タケミナカタ!」

 

「キッド、ぶっ込め!」

 

 

跳ねながら押し潰しに来たブタトロンを、スカルと二人がかりで何とか逸らす。壁に激突し動きが止まった瞬間をパンサーのアギラオに狙い撃たれ、左目の砲台は沈黙した。

 

 

「んな馬鹿な!ブタトロンが弾かれるなんて……」

 

「生憎もっと重たい攻撃なんかいつも喰らってんだよ!」

 

「あんたの薄っぺらい攻撃なんか私達には効かないわ!大人しく観念しなさい!」

 

「そんなはずはねぇ……今度こそ轢き殺してやるyo!」

 

 

そういうとブタトロンは再び高速回転を始める。確かにブタトロンの装甲は分厚く、回転によりよっぽどの攻撃でも弾かれてしまう。しかし、今はパンサーによって明確な弱点ができている。

 

 

「フォックス、クイーンと交代だ!奴が突っ込んでくる瞬間、脆くなった左目に全力で攻撃する!スカルとパンサーも後押ししてくれ!『チャージ』!」

 

「あの程度の速度、容易い!」

 

「フォックス、『タルカジャ』だ!」

 

「来るよ!『アギラオ』!」

 

「セタンタ!『アサルトダイブ』!」

 

「キッド!『電光石火』!」

 

「ゴエモン、『五月雨斬り』!」

 

 

今出せる最大の攻撃を左目から内部に叩き込む。直後にパンサー以外の三人は弾き飛ばされたが、ブタトロンは異音と煙を吐きながらふらふらと転がり、爆発・炎上。部品を弾けさせながらその機能を停止した。

一区切り着いた隙にモナが前に出て回復を唱える。ここまでは危なげなく順調だ。

 

 

「オ、オレのブタトロンが……!?こうなったらオレが直々に相手をしてやるぜ!正々堂々、金の力でなァ!喰らえぇい!」

 

「軽い!」

 

 

カネシロが投げつけてきたコインを弾き、そのまま攻撃を仕掛ける。紙一重で躱されたが、動きも攻撃もブタトロンより鈍い。ようやくカネシロを追い詰めた様だ。

 

 

「なかなかしぶといじゃねーかyo……。こ……こうなりゃ、最後の手段だ!大奮発に大放出だZe!アハーン?」

 

「何を……みんな、上っ!」

 

 

見上げると天井の金庫が開き、輝く何かが大量に降り注いできている。近付くにつれ明瞭になったそれは、カネシロが飛ばしていたものよりも遥かに巨大なコインの雨だった。

範囲が広すぎて避ける隙間がない。後衛も含め、直撃で大きく体力を削られた。ダメージが大き過ぎてモナにも呪文を唱える余裕がなく、今もう一度やられたら全滅だ……!

 

 

「まだ欲しいかyo!喰らいな!」

 

 

カネシロの言葉に覚悟を決めかけたが、上から何か降ってくる気配はない。チャリン、と音がしたと思えば、小さな一枚のコインが虚しく転がるだけだった。

 

 

「うげ!手持ちがなくなっちまった……」

 

「ビビらせやがって……。けど、これで勝負あったみてえだな」

 

「締めは任せたぞ、クイーン」

 

「そうね。覚悟はいい?カネシロ……。鉄・拳・制・裁!」

 

 

 

 

 

カネシロ戦後 ルブラン屋根裏

 

「そういえばさ、カネシロが最後の方で言ってたこと……」

 

「『あっちの世界を使ってる悪党がいる』って……」

 

「気にはなるな」

 

「ああ。もしかしたら、異世界に関する新たな情報が得られるかもしれない。俺としては捕らえてみたいものだが」

 

「でも、探しようがなくない?あたしらじゃ入りようのないパレス持ちだって沢山居るだろうし」

 

「俺とライドウも、一度侵入するまでは、あるかもわからない異世界は気づけない。結局、その『異世界ナビ』とかいうアプリ頼みという事だな」

 

「シンは持ってないの?俺たちは勝手に入ってたけど」

 

「ないな。ペルソナを持ってないからか?」

 

「その悪党については、一応我らでも探っておこう。本職といえば本職だ」

 

「そういえば探偵っつってたな。じゃあ、おなしゃす」

 

「これ以上考えてもしょうがねぇ。今はともかく、金城の改心がどうなんのかが見物だ。とりあえず、大人しくしてようぜ」

 

「貴方にそんなこと言われるなんてね」

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