無職転生 - 異世界如何に生きるべきか -   作:語部創太

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 アニメ見てたら書きたくなってきちゃった。


第1章 幼女期
第一話「もしかしなくても:異世界」


 2回目の人生をどう生きるか。

 

 まずはそれを決めなければならない。

 お腹が減ったと空腹を親に訴えるために泣き喚きながら、私は考える。

 

「―――・・・――・・――・・」

 

 大慌てで走ってきた金髪の女性が私を見て笑いながら胸部を曝け出す。

 

 おっほ……♪

 

 いや待て落ち着け()。実の母親のおっぱいを見て性的興奮を覚えてる場合じゃないだろ?

 あのド変態極まりない主人公ルーデウスさんですら肉親には性的興奮を覚えなかったというのに、ここで興奮したら()がルーデウスさん以上の変態って証明になってしまうじゃないか。

 

「――――・・――・・ソフィア?」

 

 おっといけない。考え事をしすぎてお腹が減っていたのを忘れるところだった。

 心配そうな顔で()……じゃなかった。私の頭を撫でてくれる母親の乳房に口を近づける。

 

 無心だ無心。私はただの赤ん坊。まだ生理も来ていないし性的知識なんか1つもない。どこにでもいる普通の女の子ですよー。

 

 ……………………ふう。大変おいしゅうございました。いや、変な意味ではなくね? あくまでご飯的な意味での話よ?

 お腹がいっぱいになったら、今度はものすごい眠気が襲ってきた。

 うつらうつらと舟を漕いでいると、また母親が頭を撫でてくれているのを感じる。

 

「―・―・ソフィア」

 

 『ソフィア』。これが私の名前。

 叡智を意味する名前が呼ばれるのを感じながら、私は夢の世界へと旅立っていった。

 

 

 

---

 

 

 

 自分が死んだ時のことは、正直思い出したくない。

 

 高層ビルのガラス窓を清掃するために屋上からハーネスを着けてぶら下がっていたら、途中で落下してしまったのだ。

 使用していたロープがブチブチと千切れる嫌な音が聞こえたと思った時には、もう遅かった。

 

 すでに半分くらいまで降りてきてはいたのだが、元が地上30階を超える超高層建造物。

 地上50mほどの高さから自由落下した人間がどうなるのか……。想像もしたくない。

 

 ただ1つ言えるのは、痛みを感じる間もなく即死だった。それは不幸中の幸いだった。

 ……………………いや、死んだのに幸いもへったくれもないんだけどさ。

 

 

 

---

 

 

 

 転生したと気付いたのは、目覚めた瞬間から。

 見ず知らずの外国人のお姉さんが自分の顔を覗き込んで笑っているのを見て、なんとなく直感的に思ったのが最初。

 

 確信に変わったのは、まともに声が出せなかったのと、どう見てもそれほど力が強くなさそうなお姉さんに抱きかかえられたから。

 

「――――・・――・・・・――」

 

 あと、母親が何言ってんのか分からないのも理由だ。

 そもそもあんな高い所から落ちて、死んでいない方がおかしいんだ。なんで今も息が出来てお腹が減るのか。それは生まれ変わったからって言われた方が納得がいく。

 

「…………っ!」

 

 何もない状態で空中に放り出された時の恐怖を思い出して、身体が震える。『死』を初めて実感したんだ。このトラウマはそう簡単に消えてくれないに違いない。

 

「ソフィア? ――夢――・・大丈夫・」

 

 母親の言葉も少しずつ理解できるようになってきた。ずっと傍にいて、ちょっとでも泣けばすぐ抱いて頭を撫でてくれる母親の優しさが、胸に巣食う恐怖心を溶かしてくれる。

 

 最近は母親のおっぱいを吸ってても興奮しなくなってきた。母性に性的欲求が溶かされたのか、心が前世の男から女の子に変化してきたのか。

 ……どっちにしろ、母親に欲情するなんてとんでもないからな。病気が治った、とでも思っておこう。

 

 転生してからもうすぐ1ヶ月が経とうとしている今になって、それでも私の生き方は決まっていない。

 

 

 

---

 

 

 

 父親がやってきた。

 

 何やら疲れた顔をしてメガネをかけている人だった。

 子ども1人を生んだとは思えない肌のハリと艶を保っている母親に比べて、それなりに老けて見える人だった。

 

 とはいえ、ブサイクというわけではなく。

 理知的で落ち着きのあるダンディーなイケオジって雰囲気をしている人だった。

 母親が明るい黄金色の髪だとすれば、父親は茶色っぽく見える暗い金髪。太陽の当たる所で見るとキラキラ光ってとても綺麗だ。

 

「……ただいま戻りました、ハニー」

「おかえりなさい、ダーリン!」

 

 ふむ、なるほど。

 どうやら母親の名前はハニー、父親の名前はダーリンと言うらしい。

 

 ……………………とか、そんなわけがない。

 

 どうやら私の両親はバカップルらしい。

 母親の腕に抱えられた私のおでこにキスをして、直後に母親と舌まで絡める濃厚なキスをしている父親を見て「うわぁ~……」ってなる。

 そのまま私をいつもの柵付きベッドに寝かしつけて2階に上がっていく両親。

 

 ギシギシアンアン、パンパングチュグチュ。

 

 昼間からおっ始めやがった両親の、漏れるどころか筒抜けの情事の音を聴きながら。

 私はボンヤリと、天井からぶら下がるドラゴンを模したオモチャを眺めて考える。

 

 『叡智』を望まれた私は、今世でどのように生きていくべきか。

 

 

 

 2度目の生を受けてまもなく半年。

 未だ、その結論は出ていない。

 




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