スネイプ先生が大抵不幸だったり不憫だったりするので、偶にはこういうのもいいかと思った。
タイトルが全て。
だが素直に幸せにしてリア充になられるのも癪だったので、こんな感じになった。
正直、感想欄で殴りつけられても仕方ないと思っている。
ハリポタは学生の頃に途中まで読んだだけなんで、親世代の事とか殆ど知らないし舞台設定や年代も適当極まりないですが、そこはこれで。
つ『重箱の隅も本筋も投げ捨てていく精神』
最初は狩りゲー世界転生輪の外伝として書こうとしていたのですが、何となく独立させてみました。
執筆時間30分、見直し・推敲はゼロです。
追記
一応主人公はスネイプで出てくるキャラは名前なしのモブなので、オリシュタグは付けていません。
とある日、ホグワーツ〇年生のスネイプは、男二人で杖も持たずに密室に閉じこもり、素っ裸で汗だくになっていた。
火照る体を持て余す事、既に10分以上。
頭に血が上ってくらくらし始めるのを感じながら、スネイプは連れ合いに声をかける。
「それで…相談と言うのは一体なんだ。持ち掛けてきたのは貴様だろう。茹っていないで、いい加減に話せ」
極東文化の『セントウ』を模した浴槽に肩まで浸り、何となしに壁面に書かれた山を眺めるのももう飽きた。
なに、ホグワーツに銭湯なんてない? そりゃ何故か開かれていた必要の部屋だよ。
スネイプをこの部屋に連れ込んできたのは、極東からの留学生で、同じスリザリン寮の同級生だ。
特に深く関わり合うような関係ではないのだが、確かに比較的よく話をするし、中々に興味深い話をする男でもあったので、こうして相談とやらに付き合う事にしたのだ。
気に入らない事だが、少々借りもある。
しかし、黙りこくったまま延々と熱湯に浸かっていれば、相談に付き合う気も失せるというものだ。
急かされてようやく覚悟を決めたのか、彼は消え入りそうな声で口を開いた。
「実は……ジェームズ・ポッターに…」
「…」
この時点で苦虫を嚙み潰したような顔になるのは無理もない。
自分が世界の中心だと信じて疑わない、愚かな男達の中心。
スリザリンに闇の魔法使いというレッテルを貼り、グリフィンドールである自分達を英雄視し、集団でスネイプを目の敵にして怪我では済まないようなちょっかいを何度も出してくる、憎んでも憎み足りない男…になりつつある。これから行為がエスカレートしていけば、必ずそうなるだろう。
何より許せないのは、幼馴染であり意中の人である『彼女』に擦り寄ろうとしている事だった。自分が彼女と話している時も、いつもいつも邪魔をしてくる。
…ただ、最近では何だか視線が変わっているような気もするんだが…。
だが同時に首を傾げる。
隣で口元まで熱湯に入り込んでいるこの男、事なかれ主義と言われる極東人の割には、『恩は二倍にして返す、
ジェームズ達にちょっかいを出されている時に、同じスリザリン寮の仲間という名目で割って入り、助けられた。それ以来、自分同様にジェームズ達の標的にされては、物理的に立場的にも全力で反撃し、グリフィンドール共々散々減点を喰らっている。やられっぱなしでいるくらいなら、相手を道連れにして自爆するKAMIKAZE精神。
ジェームズ達に何か仕掛けられたとしても、自分に対して相談をしてくる理由が分からない。
この男なら、やり込められた直後に寝首を掻きにいくか、報復の為だけにホグワーツを半壊させそうなものである。
周囲の被害を問わず、泣き寝入りという選択肢だけは無い。…よくよく考えてみれば、KAMIKAZETOKKOなんて考え出す人種が事なかれ主義な筈がなかった。してみるとこれが極東のデフォルトか。怖いな、極東。
…その男が相談してくるという事に、何だかとてつもなく嫌な予感を感じたが、既に時遅し。
素っ裸なのですぐに逃げ出す事はできないし、そもそも湯船から立ち上がろうとしたら眩暈がした。この為に時間を稼いでいたのか?
そんな思考も、次の言葉で全て吹っ飛んでしまった。
「ジェームズを、寝取られ属性に目覚めさせてしまった」
「ちょっと待て何を言ってる貴様」
「あまりに何度も突っかかってくるし、最近じゃ他の連中にも洒落にならない…本人が言う所の『いたずら』ばっか仕掛けてくるようになったから、つい頭に来て…。うちに伝わる秘術で、夢を操作する魔法みたいなものがあるんだが、それを使ったんだ。その……ご執心の『彼女』と結ばれる夢を視させたんだ。ただし幸せなのは最初だけで、すぐに自分の言動が原因で愛想を尽かされフラれて、他の男の元に走られてしまう、という」
「いやだから待て! 貴様、まさかリリーを利用したのか!? あとその夢を操作するという魔法を詳しく! と言うか、寮監に露見するとは思わなかったのか貴様!」
「普通の魔法じゃないから、まず感知されない。実際、そこそこ効果はあったんだ。フラれる原因になった言動は、実際にスリザリンに仕掛けた嫌がらせを元にしていたし。普通に考えればそりゃフラれるよ、人として愛想を尽かされるよ。それでも暫くしたらまた嫌がらせを始めやがるから、何度も何度も繰り返し、夜毎に似たような内容の夢を視させてやった。そうしたら………夢の中で他の男に走られる度に興奮しだして、先日なんか鬱勃起までしてて……注意深く見たら、その翌日のあいつは朝っぱらから賢者モードだった」
スネイプ・セブルスともあろう者が、何一つ、嫌味すら言えずに絶句する。
確かに最近のジェームズは様子がおかしかった。そう言えば、リリーをさりげなく、自身ではなくスネイプの方に誘導していたような気が。
まさかマジか。マジなのか。
スネイプにはHentaiは分からぬ。寝取りも寝取られも遠い異国の、かなり気が触れた文化だとしか知らない。
だが、何だかおぞましいものが、憎きあの男を侵蝕しようとしている事は分かった。
隣で更なる冒涜的な語りが始まっているが、スネイプには耳を塞ぐ気力すら残っていなかった。
ふと気が付けば、スネイプはいつもの恰好に戻り、セントウから上がって自室に帰ろうとしていた。
朧げな記憶を辿れば、彼は語るだけ語って満足した(或いは最初から、他人にこの冒涜的真実を共有し、自分の気が楽になればよかったのか)のか、無駄に晴れ晴れとした表情で、スネイプの反応すら待たずにさっさと帰ってしまっていた。
スネイプは考える。自分はどうするべきか。
考えるのをやめた。頭がおかしくなりそうだったし、事実だとすれば自分にとって都合がいい事だからだ。
ジェームズ、貴様はそのままHentai文化と異文化交流を進めてくれ。
そのまま自分の邪魔をせずにいてくれるなら、卒業する頃にはこれまでの行為を水に流し、一欠片の憐れみと共に一滴だけ涙を流してやってもよい。
そう結論付けると、夜風に吹かれながらスネイプは歩き出した。
気分は色々な意味で最悪だったが、火照った体には風が心地よかった。今度は一人でセントウに入ってみようと思った。
一週間後。そしてその一か月後、更にその3日後。
…彼の応援(ジェームズの当て馬ムーブ)のおかげで…と言うのは絶対に認めないが、めでたく意中の彼女と付き合う事になった翌日に。
必要の部屋で釣りをしながら。
「シリウス・ブラックがケモナーな獣姦趣味に目覚め、とある人狼とアニメ―ガスを狙って…」
逃げようとしたら襟を釣り竿で一本釣りされた。
必要の部屋のサウナの中で。
「ダンブルドア校長の依怙贔屓が頭に来たんで、考えや秘密を暴露してみたいという破滅願望を植え付けたらえらい事に」
自ら熱中症になって記憶を飛ばした。
必要の部屋のカラオケボックスで。
「トムが『僕のような人物を極東ではチュウニビョウやクロレキシというらしいが、どういう意味なのか?』と聞いてきたんだが」
全力でマイクを握って声を掻き消した。
スネイプは隠し持っていた杖を抜いた。
「君の幼馴染の彼女が、極東文化に興味を示しているんだけど、どの話から教えればいいと思う?」
アブラケタブラと叫んで、中身満載のワインボトルで殴り掛かった。
卒業して結婚してからも、このノリに延々と突き合わされる事を、彼はまだ知らない。
そして卒業後のホグワーツも、大体こんな感じになる事も。