クククッ、逃さねぇぜシェリー 作:きりりん
大阪から戻ってきてゆっくりした時間を過ごしていた俺たちだったが、朝起きた時にシェリーの様子がおかしい事に気付いた
「シェリー、いつもと様子が違うんだが、体調でも悪いのか?」
「…ええ、どうやら少し熱っぽいみたい。風邪でも引いたのかしら」
「前から気になっていたんだが、子供の身体になったって事は免疫機能とかも子供の身体相当になってしまうのか?」
「どうやらそうみたいね。すっかり油断してたわ」
「なら今日は寝ているといい。俺が全部やっておこう」
シェリーは子供あるあるの楽しみすぎて体調崩すか、帰ってきてから体調崩すかのジンクスの後者に当てはまってしまったようだ。
俺もそんな事を気にせずに過ごしていたのですっかり油断していた。もし悪化するようなら念のため闇医者にでも診せておくか。
しかし看病なんてやった記憶もないからどうやったらいいのかまったくわからん。
一応一般的なのは知っているので額を冷やして寝かせておいて、その間に風邪薬とか買いに行っておこうかな。
いつも行くスーパーに行き子供用風邪薬やレトルトのおかゆ、カットフルーツ盛り合わせなどそれっぽいものをカゴに入れていき購入して隠れ家へと戻る。
…風邪で弱っているということは、もしかしてレアな気弱シェリーとか見れるかもしれんな。
レトルトのおかゆを温め、フルーツと風邪薬を持ってシェリーの部屋へと入っていく。
「シェリー、薬やらいろいろ買ってきたぞ。とりあえずレトルトだがおかゆも温めてみた」
「あなたにおかゆが作れるとは思ってないから安心して。重いものを食べる食欲もないからレトルトでも用意してくれたのならありがたいわ」
「食後のフルーツもあるからな。さてシェリー…あーん」
「…そんな事しなくても自分で食べられるわ」
「いや、もしかしたら身体が小さくなったことによる症状かもしれないじゃないか。そんなに遠慮しなくて大丈夫だ。さぁ…あーん」
「…………」
「なぜあーんって言ってくれないんだ?黙って口を開けられても…ちゃんと食べさせるけどさ」
シェリーは風邪引いてもシェリーだったよ。
でもちゃんとおかゆもフルーツも食べてくれたし、薬も飲んだから後は寝てるだけで大丈夫だろう。
じっと見られていたら落ち着かないと言うので部屋を出ていかされた。
おかしいな?体調悪くなって寝てると寂しい気持ちになるから「そばにいて」フラグだと思ってたのに、なんかいろいろと予想外な事ばかり起こるな。
翌日にはシェリーもある程度楽になってきたようで、わざわざ医者に行く必要もないそうだった。
とはいえ一応子供の身体だから安静にはさせているし、中身はシェリーなので本を読んだりして過ごしていた感じだな。
その日の晩に、珍しく和葉ちゃんから連絡がきた。
内容はこの前大阪に行った時の話や「また遊びに来てな~」といった事だったが、本題は別にあったようだ。
やはり本題は服部平次についてのようで、どうやら「近いうちに工藤に会いに東京まで行ってくるわ」ということだった。
なんでそれを俺に言うの?別に会いに行ってもいいんじゃないの?
だが和葉ちゃんは用事があって一緒に行けないらしく、それでも1人で行くというので工藤という女に会いに行くんだと思っているようだった。
そういえば和葉ちゃんって最初は工藤ってだけしか聞いてないから女の子だと思ってたんだっけ。
どうせわかる事なんだし、勘違いだったって恥ずかしい思いするより先に教えてあげたほうがいいよな。
そう思って「和葉ちゃん、服部くんが言っている工藤っていうのは東の名探偵って言われてる工藤新一くんの事だよ。女の子じゃないよ」って言ったんだけど全然信じてくれない。
「アタシの女の勘が怪しいって言うてんねん」とか言われても、君のその勘ちょっとズレてるよ?
しかも俺がしばらく休みだって事も伝えてたから、近くにいるならちょうどいいと思い連絡してきたようだ。
「つまり和葉ちゃんが行けないから、代わりに俺が服部くんを見張ってればいいってこと?」
「そんなずっと一緒におれとかちゃうねん。平次が変な女に騙さ…変な事件に巻き込まれへんか見といてくれたらええねん。お兄さん今暇やろ?今度ちゃんとお礼するから、な?」
「うーん、そこまでお願いされたら仕方ないねー。他ならぬ和葉ちゃんのお願いだし。お礼になんでもしてくれるっていうことだし、服部くんと一緒にいることはできないけど見守るくらいはしようかな?」
「アハハ、なんでもは無理やけどお手柔らかに頼んます」
ククッ、なぁにそんなに難しいお願いじゃないさ。すべて俺に任せておいてくれ。
しかし服部平次と江戸川コナンの初対面か。服部平次はどんなお土産持っていくんだろ?
ちゃんと
…そういえば服部平次の初対面の時ってコナンも風邪引いてなかったっけ?たまたまタイミングが重なっただけなのかな?
シェリーの体調もすっかり良くなりいつも通りになってきている。やっぱりただの風邪だったみたいだな。
「もう大丈夫そうだなシェリー」
「ええ、心配しなくても平気よ。免疫機能も子供になるみたいだし、これからは少し気をつける事にするわ」
「それがわかっただけでも良かったんじゃないか?むしろもうちょっと子供っぽいシェリーが見られるかと期待していたんだがな」
「それは残念だったわね。というかあなた、そんな事を期待してたわけ?」
「そんなはずないじゃないか。あぁそうそう、看病のお礼なんていらないよ?ちょっとマイクに向かってくれたらそれでいいからね」
「…あなたへのお礼は高いのか安いのかわからないわね」
シェリーは本当にもうすっかり元通りになっている。いつも通りのジト目だ。良かった良かった。
てか別にちょっとくらい期待してもいいじゃん。
看病してるときに「私が死んでも代わりはいるもの」って言ってもらおうとか考えたけど言わなかったし。それはさすがに不謹慎すぎる。
まぁお礼にマイクに向かってくれれば看病なんて大した労力じゃない。シェリーもどうやらお礼なら付き合ってくれるみたいだし。
ククッ、それじゃあさっさと和葉ちゃんのお願いを終わらせてくるか。ついでに忘れてたシェリーの伝言もちゃんと伝えておかないとな。
「シェリー、少しばかり用事を片付けてくるよ。米花町だからちゃんとシェリーが元気だって言っておくからね」
「余計な事は言わなくてもいいわよ。彼だって子供の身体だって事をちゃんと弁えてるでしょうしね」
和葉ちゃんから服部くんが米花町へ行く日を聞いて、俺もそれに合わせて米花町へと向かう。
というか、別に見張る必要とかもないし一緒にいるわけじゃないしどうしようかな。
あーでもお土産は見たいな。ついでだし俺も眺めるくらいはするかな。
お、服部くん到着したみたいだ。やっぱりコナンは風邪引いてるみたいだな。ってお土産がコテコテの大阪土産かよ。
おいおい、結局パイカル持ってきてるじゃん。外せないのかそれ。それともこれが世界の修正力だとでもいうのか?
てことは江戸川コナンが工藤新一であることを知ってしまうというわけか。
…眺めて終わりにしようと思ってたけど少しばかり予定変更するか。
とはいえ服部平次とここで会うのは少し都合が悪いな。恐らくこの後事件に巻き込まれるだろうから、さっさと事件を解決してもらってからコナンくんとちょっとお話しようかな。
やはり事件は起こったようだ。まぁ組織絡みの事件じゃないからそこはどうでもいいや。
直接話してるのを聞いたわけじゃないが、これでまた1人江戸川コナンが工藤新一である事を知る人間が増えてしまったというわけだ。
まぁ服部平次が黒の組織と関わることはないだろうし、その時は俺の出番だろうから問題もないだろう。
「ククッ、江戸川コナンくん。元気だったかい?」
「お前は!?何の用だ!オレは何も言っちゃいねーぞ!」
「そう突っかかることもあるまい。少しばかり君と話をしたくてね」
「…話だと?」
いやなに、君が今日会った西の名探偵くんは巻き込まないほうがいいよ。
彼にも君と同じように大事な人がいるからね。まぁ全部把握してるんだけどさ。
なんで今日会ったばかりの人間を知っているのか?それは言えないな。
君だって東の名探偵と呼ばれていたんだろう?お得意の推理でもしてみたらどうだい?
あぁそうそう、もしかしたら近いうちに君たちと少しばかり一緒に行動するかもしれなくてね。
君は口が軽いから前もって教えてあげようかと思って来たんだよ。
あと…嬉しかったかい?一時的にでも元の姿に戻ることができてさ。
ククッ、シェリーにもいい土産話ができたよ。
「灰原は無事なんだろうな!?」
「クククッ、もちろん無事だとも。まぁ少し前までは元気ではなかったんだがね」
「なっ…灰原に何しやがった!?」
「なに、(大人と同じ免疫だと思って)俺も大丈夫だと油断してしまってね。(風邪の)ウィルスに負けてしまったようなんだ。今は(風邪)薬で…おっと余計な事は言うなと釘を刺されているんだった。忘れてくれたまえ」
「ウィルスだと…!?(しかも何かの薬物の人体実験に利用されているってことか!?)…命に別条はないんだろうな!?」
「(風邪で死ぬとか今どきあるのか?こじらせて肺炎とか昭和の話だろ?)心配しなくても死なせたりはしないさ」
「(灰原を色んな薬の実験に使って…)まさか使い潰すつもりか!?」
「(喉をか?)まさか使い潰すなんてとんでもない。ククッ、ちゃんと大切にするつもりだ」
シェリーには余計な事を言うなと言われていたのに、つい風邪を引いてしまった事を話しそうになってしまった。
しかしコナンくん心配性すぎるだろ。やっぱり自分も風邪引いたもんだから気持ちがわかるのかもしれないな。
そして弱ってるコナンくんはきっと寂しくて蘭ちゃんと一緒に寝たりしたんだな?羨ましい。
俺なんてずっとシェリーの看病しようと思ったのに、寝るから邪魔だって追い出されたんだぞ。
って違うそうじゃない。あと忘れてた伝言もちゃんと伝えておこう。
「そうそう、忘れていたよ。シェリーからの伝言だ。
私の事は心配しないで
だそうだ。ちゃんと伝えたぞ」
なんでコナンくんそんな絶望みたいな顔してるんだ?さっきから真っ青だったが、今はこの世の終わりみたいな表情になってるぞ?
あー…バレてないはずの
そりゃ中身は男子高校生だもんな。だが心配するな。男の情けだ。さすがにそれは俺もシェリーには言わんよ。
あれだろ?両親が海外にいて一人暮らしで寂しかったのが、今は幼馴染の女の子が近くにいてくれるからつい気が緩んじゃったとかそんなんだろ?
さて用事も終わったしさっさと帰ろうっと。そういえば和葉ちゃんにもちゃんと報告しとかないといけないな。
毛利探偵事務所に行って、一緒に事件解決してそのまま帰ったよ…っと。メール送信。
これで和葉ちゃんも安心だろう。なんで俺が探偵の真似みたいなことやってるんだ?
「ただいまシェリー」
「おかえりなさい、今回はすぐに終わったのね」
「まぁ用事は探偵ごっこみたいなものだったからね。良い土産話というか情報もあるし、名探偵くんの意外な一面も見られたし有意義だったと思うよ」
「ふーん、まぁいいわ。スーパーまで行くのに車出してちょうだい」
シェリーもさすがに意外な一面が「風邪引いて寂しくなって幼馴染の女子高生と一緒に寝てた」とかわからないだろう。
工藤新一も男のプライドとかあるだろうから、それはもちろんシェリーには言わないさ。
だがバレたくないという弱みには間違いないだろう?だから場合によっては手札としてチラつかせるくらいはするかもしれないがな。
クククッ、(今回は風邪だったり探偵ごっこだったり)予想外だったぜシェリー