クククッ、逃さねぇぜシェリー   作:きりりん

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クククッ、まだ終わらねぇぜシェリー

 

 

オレの名前は江戸川コナン。

 

そしてその正体は高校生探偵・工藤新一だ。

 

あるとき、オレは毛利蘭と一緒に遊びに行ったんだが、そこで殺人事件が起こった。

無事に犯人を特定し事件は解決したんだが、そこには怪しげな黒服2人組がいた。

頭の中で探偵の勘が「何かある」と言ってたオレは蘭を置いてそいつらを尾行することにした。

 

そして怪しげな取引現場を見つけることができたんだが、その黒服のやつに見つかり証拠が残らないという薬を飲まされてしまう。

気を失っていたオレが意識を取り戻した時には、身体が小さくなり子供の姿になってしまっていた。

隣に住む阿笠博士の協力でなんとか蘭を誤魔化したオレは毛利探偵事務所に居候することになった。

下手にオレの正体がバレたりすれば周りも巻き込んでしまうかもしれないからだ。

毛利のおっちゃんを使い事件に関わっていけば、いずれはあの黒ずくめのやつらに辿り着

くとオレは踏んでいる。

 

 

待ってろよ黒ずくめのヤツら!このオレが必ず捕まえてみせる!

 

 

数多の事件を解決に導き、世間では「眠りの小五郎」とまで言われ毛利探偵事務所は有名になっていった。

まぁ本人は眠ってるから気がついたら解決してるわけだが、まったく気にしてないところがおっちゃんだな…

 

 

そんな感じでいろんな事件に首を突っ込んできたオレだが、ついに黒ずくめの手がかりを掴むことになる。

組織で研究していたという女、コードネーム・シェリー。ジンたちと同じくコードネームを持つ女だ。

どうやらオレの身体をこんなにした薬を研究していて、組織に殺されそうになったところを研究中の薬を飲んで逃げ出したらしい。

ついに元の身体(工藤新一)に戻れると期待しちまったが、まだ研究中の薬のため解毒薬はないとの事だった。

 

だが光明は見えた!灰原哀と名乗ることにした彼女(シェリー)はオレに組織の情報を齎してくれた。

まぁ組織の情報は同時にその組織の大きさが、オレが考えている以上だった事も教えてくれたんだが…

 

 

だからってこのままあいつらを野放しにしとくつもりはねぇ!

 

 

 

 

 

 

 

それからは灰原もオレと同じく小学校に通わされるようになった。

本人は嫌々なのが態度にも出ているがオレだって同じなんだから我慢してくれ…

 

不本意ながら少年探偵団なんてものに付き合うのも慣れてきた頃、オレたちはいつも通り学校から帰っていた。

それぞれの家に帰るため別れていき、今は灰原と2人帰り道を歩いている。

他に誰もいない2人だけになったとき、目の前に1人の男が現れた。

 

「シェリー、探したぞ」

「!?あなた…どうして」

「どうしてと言われてもな。俺には俺の目的があると言ってなかったか?」

 

こいつ…灰原の事をシェリーと呼んだ。その名前を出すのはあいつらだけだ!

黒のスーツに鋭い眼差し…下手に騒ぐと無事でいられるかわからねぇ。

とにかくオレたちの安全を確保しながらこの男から組織の情報を引き出せるか…?

 

「おい!てめーどうしてその名前(コードネーム)を。まさか組織の人間なのか!?」

「少し場所を変えよう。道端で大声で話すことではないだろう?なんなら君の家にするかい?()()()()くん」

「!?なんでそれを…」

 

 

 

まずいまずいまずいまずいまずい!まさかもう嗅ぎつけられるなんて!

 

 

灰原は真っ青な顔色をして震えている。そりゃそうだ。

どう考えても始末しに来たか連れ戻しに来たかの2つに1つだ。

今のオレにできるのは何なのか考えろ工藤新一!

オレの事まで知られてる以上、下手に逃げるよりもこの男が何を考えているのかを知る必要がある。

 

オレの家に連れていき、この男と対面するように座る。灰原もオレの横で座っている。

男は話に来ただけだから警戒するなと言うが、それで警戒しないヤツがいたら見てみたいもんだぜ。

 

そしてこの男は灰原の姉の死亡した原因すらも知っているという…

 

つまりこいつは組織の中でもかなり中核に近いところにいるんじゃねぇか?

だが姉の情報はオレのいるところでは話せないと焦らし、組織に連れ戻すのではなくこの男の元に連れていくのだということだ。

 

そんな危険な真似させるわけねーだろ!

 

組織に連れ戻されたら研究を続けさせられるか殺されるかだろう。

だが、この男は組織の目的に関係なく連れ去ろうとしている。

どっちも危険なことに変わりないが、下手したらこいつのほうが危ないかもしねぇ…

だが、ここでこの男の言葉にオレの頭は真っ白になった。

 

 

 

「…毛利蘭」

「!?なんでそこで蘭が出てくる!?」

 

 

 

なんで蘭の事を知ってるんだ!?

オレが高校生探偵として新聞なんかに出ていたとしても、蘭と一緒に映ったことも名前を出した事もねぇ。

そしてここからオレは自分が今どんな状況に置かれているのか思い知らされた…

 

 

 

 

「ククク、俺は君が気づいている通り、シェリーの所属していた組織の人間だ。更に君をそんな身体にした張本人であるジンの部下でもある」

 

「そして伝えておきたいのはそれだけじゃない」

 

「毛利探偵事務所の娘でクラスメートの毛利蘭、鈴木財閥のご令嬢でクラスメートの鈴木園子」

 

「江戸川コナンとして少年探偵団なんて遊びに付き合っている1年B組の吉田歩美・円谷光彦・小嶋元太」

 

「そして君が工藤新一であることを知っており協力している阿笠博士」

 

「ここまで言えば君ならば()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

もうやめてくれ。もう十分に理解()()()()()

 

少しでも妙な事をすれば周りが巻き込まれる…

 

江戸川コナンとなってからも常に懸念していた事が現実になってしまった。

灰原からもオレをこんな身体にしたジンという男の事は聞いていた。

明確な裏切り者には当然の事ながら、疑わしいだけでも始末してしまうほど冷酷な男だと…

 

そしてそんな男の部下が今オレの眼の前にいる。

 

最悪の事態も想像できるこの状況で、それでも灰原は自分の身柄を条件にオレや周りの安全を懇願していた。

 

危害を加えないなんて信用できる言葉じゃない!やめろ灰原!

 

口に出して止めたいがオレの言葉1つが蘭や周りを危険に晒す可能性がある。

そう思うとオレはただ灰原と男が話すのを見ていることしかできなかった。

 

 

 

 

 

 

どれくらい時間が経ったのかわからない。1人となった室内で時計の秒針の音だけが響いている。

 

「新一ぃ~ここにおるのか~?」

 

気の抜けたような博士の呼び声で我に返ったオレはすぐに博士に伝える。

 

「博士!まずいことになった!オレたちの事がバレて灰原が連れていかれた!」

「なんじゃと!?どういうことじゃ新一!」

 

学校の帰り道で黒ずくめの男に見つかった事でここに連れてきて、今まであったやりとりを博士に伝えていく。

工藤新一の関係者や江戸川コナンの関係者を既に把握されていることも、その中に博士の名前があったこともだ。

 

どこに連れて行かれたのかもわからず、手がかりはない。いや、手がかりがあったとしても追うわけにはいかない。

こんなどっちつかずの自分にイライラし、つい壁を殴っちまったが悔しさが収まらねぇ。

 

今回、オレたちの事を見逃してもらえたのは間違いなく灰原のおかげとあの男が自分で言っていた慈悲だ。

 

誰も傷つくことも、いなくなる事もなく黒ずくめから逃れることができた。

だが、それは灰原も安全である事とイコールにならない。代わりに灰原がひどい目に遭っている事だって簡単に想像できる。

オレだって探偵としてそれなりに場数は踏んできている。

 

灰原を研究者として必要としなかったとしたら、考えられるのは女として利用されるだろう事は想像に難くない。

シェリーの時は大人だったんだろうけど、今は子供(灰原哀)の姿である。

だが世の中には幼女趣味のやつだっているだろうし、あの男がそうじゃないとは言えない。

 

灰原が恥ずかしい事をさせられているかもしれないと思うと、早く見つけなければという気持ちに駆られる。

 

 

 

オレの頭の中は悔しさと焦りでいっぱいになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ポカポカする」

 

 

「もうちょっと無感情の中にほんの少し芽生えた小さな感情を意識して!」

 

 

「……ポカポカする」

 

 

「いいよ!次はそれ以外に何も繋がりがない事を寂しく思いながらも大切にしている感じでこれいってみよう!」

 

 

「…絆だから」

 

 

「オッケー!いい感じだなシェリー」

 

 

「ねぇ、ほんと恥ずかしいんだけど」

 

 

「まぁシェリーとしては似合わないだろうが、なりきるって大事だと思うぞ」

 

 

「ほんとバカじゃないの?」

 

 

「もう少し無感情な感じで言ってみてくれ」

 

 

「…もうほんとなんなのよ」

 

 

「まぁもう少ししたらシェリーも慣れてくるさ(○波はいけるんだけどリ○レイはまだ無理かな~)あとこれにも目を通しておいてくれ」

 

 

何やら頭痛でもするのか頭を押さえているシェリーを見ながら俺はニヤニヤしているのだろう。

シェリーのキャラ的に恥ずかしいのは仕方ない。そのうち慣れる。いや慣れろ。

やってもらうのはまだまだたくさんあるが、これからはセリフだけじゃないんだぜシェリー。

 

 

 

 

俺は懐から取り出した1枚のA4の紙をシェリーへと渡す。

 

 

「誰かを傷つけて奪った恋なのに…あなたポエムを書く趣味でもあったの?」

 

 

「クク、これは歌詞だ」

 

 

「歌詞…もしかして」

 

 

「ご想像にお任せしよう!」

 

 

「…うそでしょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「とりあえず今日はここまでにして食事にしようか」

 

「何か食べたいものでもあるのかしら?」

 

「残り物でもいいけど買い出しにいくか」

 

「私も行くわ。あなた冷凍食品しか買ってこないじゃない」

 

 

 

シェリーを連れて近所のスーパーに買い物に出かける。

すっかりこの生活にも馴染んできたようで、恥ずかしい思いをする以外は特に不満もないらしい。

ちなみに仕事で飛び回る事が多いので外食が多い俺の食生活はシェリー的にはよろしくなかったらしく、自炊のできない俺の代わりにご飯を作ってくれたりする。

てか、研究所勤めだから栄養なんて最低限摂取できればいいのよ、みたいなイメージだったんだけど姉である宮野明美と一緒に作ったりしていたようだ。人は見かけによらな…いてっ、足を蹴らないでシェリー。

買い物かごは俺が持ち、野菜やら魚やら色々と放り込まれるのをただ見ながら後をついていく。

 

 

 

 

帰りの車の中でシェリーは俺に組織を抜けないのかと聞いてきた。

自分が嫌気が差して逃げてきたからか、今も組織で働く俺に疑問があったらしい。

実際抜けて追われる立場になるくらいなら、今のまま動いているほうが都合がいい事を伝え、シェリーとの約束のためにもこのままでいると告げておいた。

 

 

約束って何って…シェリーが江戸川コナンと周りに被害が及ばないようにしてくれって頼んだじゃん。あれってその時限定だったの?

一応まだ俺のやりたい事って残ってるからちゃんと気をつけてあげてるんだよ?

 

 

「まさか私を連れ去った後も気にかけてくれてるとは思ってなかったわ」

 

「あのままだと工藤新一はどこかで組織と対立する事になるだろうからね。下手に接触させてシェリーの名が出られても困る。それをフォローしようと思うなら今の立場が便利なのさ」

 

「随分と手厚い保護をしてくれるわね。あんなセリフのためにそこまで動くとは思わなかったわ」

 

「価値観は人それぞれってやつだ。それにセリフだけじゃなくて今度は歌も歌ってもらうぞ」

 

 

 

「それさえなかったらほんと良い人だったのにね…」

 

 

 

 

 

「クククッ、(他にもあるから)まだ終わらねぇぜシェリー」

 

 

 

 

 

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