クククッ、逃さねぇぜシェリー   作:きりりん

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クククッ、計画は順調だぜシェリー

 

 

 

無事にシェリーからの任務を達成し、江戸川コナンの血液を手に入れた俺は隠れ家へと戻ろうとしていた。

そこに組織からの仕事の連絡が入り、先にそっちを優先せざるを得ない状況になってしまった。

どうやら仕事の内容はネズミ(潜入者)のあぶり出しのようだ。いくつかあるので最初に指定された場所へと向かうことにする。

 

ジンのやつめ、赤井秀一が潜入していた事でかなり過敏になっているようだな。

…なんなら次に米花町に行った時にいたら教えてあげようかな?

 

 

いや、どうせなら味方だと思ってたコナンの裏切りに見えるようにして発覚させるか。

そして最後に俺が「坊やだからさ」って言う。いいかもしれない。

できれば赤井秀一には「裏切ったな、名探偵(コナン)!」みたいな事言ってくれると嬉しいんだけどさすがに無理があるよな。

まぁ実際にやれるかどうかはわからないんだけど…

 

 

そういえば今ってスコッチいるのかな。

コードネーム持ちと接する機会がまったくないからどうなっているのかがまったくわからない。

俺の仕事はあくまでもコードネーム持ちよりも下のやつらが裏切っていないか、情報を流したりしていないかの確認だ。

 

この世界(コナンワールド)ではモブ的な人間は明らかに挙動がおかしかったりしてとってもわかりやすい。

 

それでも周りは気づいていないのだから、周囲からしたらすぐに当たりをつける俺のほうがおかしく見えているのかもしれないな。

研究者だったら明らかにキョロキョロとしていたり、中には震えているやつだっていたんだぜ。

最初は組織への恐怖で失敗したら粛清されるからって理由で震えてるのかと思ってたんだが、ある日情報が漏れているって聞いて確かめてみたらそいつが流してたんだ。

 

これをいくつか繰り返したおかげで俺に対する組織やジンたちからの信用が上がったから良かったんだけどさ。

 

いくつか施設や企業などを回り、怪しい人間がいないかどうかを見渡しながら確認していく。

 

どうやら今のところ裏切り者っぽいやつは見当たらないな~

ひとまずジンに報告しておくか。

 

 

「……俺だ」

「報告だ。今のところネズミ(潜入者)は見当たらない。他も探すか?」

「いや、他は別のやつにやらせている。…それならお前は研究所のやつらのケツを蹴り飛ばして来い。先にウォッカを行かせてある」

「あぁ、シェリーがいなくなって研究が滞ってるのか。了解だ。今から向かう」

 

 

シェリーがいなくなって研究の進み方が遅くなっているのは知っていたが、そこまでめちゃくちゃ遅くなっていたわけじゃなかったと思うんだがな。

ジンからしたらシェリーの研究速度が基準だから、今はそれよりも遅いから苛立ってるのか。

 

ククク、だがまぁ丁度いい。ウォッカと一緒に研究者にお説教してくるとしますか。

 

 

 

まったくシェリーは一体どこにいったんだろうな?

たぶん今頃どこかの隠れ家で優雅にお茶でも飲みながら読書したりしてるんだろうけど…

 

 

研究所に向かってみたら研究員たちがいつも通り働いていた。

これで急げって言うのも可哀想な気がするんだが、ジンから急かさせて来いって言われてるから一応伝えておくか。

 

研究所に入ったら既にウォッカが来ていて、俺が来るのを待ってから研究員たちに発破をかけようとしていたようだ。

 

 

「兄貴からお前を寄越したってのは聞いてたからな。シェリーがいねぇからって研究者(こいつら)がチンタラしてやがるから兄貴はお冠でよ。お前と一緒にケツ蹴ってこいってことだ」

 

「あぁ、それは聞いてる。ところでウォッカはどういう風に急がせるつもりだったんだ?」

 

「そんなもん、さっさと結果だしやがれ!って一喝してやりゃいいだろうが」

 

「こいつらはいつも接してる下っ端共とは違うんだ。それだと逆にビビっちまって効率が悪くなるかもしれない。大体ジンが急かせようとしたら怒鳴ったりしないぞ。たぶんイライラしながらガン飛ばしてるだけで勝手に急いでくれる事になるだろうな」

 

「あれは兄貴にしかできねぇぞ。それともお前できんのか?」

 

「いや、それは俺にだってできないさ。だからここは適材適所で協力してやろうぜ。俺がこいつらに今の状況と急いだほうがいいって事を伝えていく。そしてそれが終わってからウォッカが一言二言話してくれるだけでいい。そうすれば十分に効果が出て勝手に急いでくれるさ」

 

「お前そういうの得意だもんな。兄貴もそれは褒めてたぜ。んで、俺はどうすりゃいいんだ?」

 

「ククッ、そうだな。まずは黙って見てるだけでいい。そして俺が話し終わってから……とか……とでも言ってくれ。なるべく静かに、そして威圧するんじゃなく突き放す感じでだ」

 

「よくわからねぇが、お前が言うんならやってやる。ちゃんと兄貴の期待に応えてみせろよ」

 

「あぁ、これも全部組織()の目的のためだ。ウォッカもしっかり頼んだぜ」

 

 

 

みんな聞いてくれ。ジンからの指示でもっと研究速度を上げろって言ってたよ。

別に遅いからってコロコロされたりしないと思うけど、ジンって結構短気だから気をつけてね。

え?シェリーの行方?いやぁ、閉じ込めたら消えちゃったって言われたら俺にはわからないなー

でもたぶん死んでる可能性のほうが高いんじゃない?てか生きてる可能性ってあるの?

あー、ラットが小さくなってるって報告が出てたっけ。でもいないものは仕方ない。

藁にもすがりたい気持ちはわかるけど今はできることを頑張ってね!

俺には応援しかできないけど、君たちも研究が前に進まないと困るでしょ?

 

ね、ウォッカ?

 

 

 

「問題ない。もうすぐ予備が届く」

 

「おまえたちには失望した、もう会うこともあるまい」

 

 

 

ウォッカの言葉は「別の研究者を連れてくるからお前たちはもう必要ない」と取られてもおかしくない言葉だ。そして必要ないってことは…コロコロを想像しちゃうよね。

研究員さんたちはお顔が白くなってたよ。まぁ狙ってやってたんだけどさ。

ちなみにちゃんとフォローとして最後に「今はまだ大丈夫だよー」って言ってある。

 

 

そして俺の目的も達成したぜ!ナイスだウォッカ(ゲ○ドウ)さん!

 

 

どうにかして研究を進めるためにシェリーの事を聞いてくる研究者もいたが、死んでいる可能性が高い事を告げておく。

やっぱり実験例の中に小さくなったラットの情報は流れてたのか。

 

だからジンも灰原哀をシェリーじゃないかって思ってたんだっけな。

まぁ研究者の中では色々と噂になっていたようだな。

俺は監視としてだが、そこそこ研究員とも話しながら研究所にいたおかげで情報を聞くことができた。

 

曰く、宮野明美が裏切ってシェリーを連れて逃げただの、シェリーが宮野明美にサンプルを投与して死なせただの、いなくなった時期が結構近いのもあって2人を関連付けるのが多かった。

 

中には実験薬で幼児化して逃げたなんて核心に迫ったのもあったが、そんなバカな!って誤魔化しておいた。

まぁみんながもうシェリーと会うことはないんだから頑張って成果出してくれればいいよ。

 

そしてここで研究している成果や研究データは俺がちゃんとシェリーにフィードバックしておくからね。

 

 

「よくやったな。これで兄貴にもいい報告ができそうだぜ」

 

「最近はネズミが入り込んだりも重なってジンも苛ついてたんだろう。これで少しは組織全体が落ち着いてくれたらいいんだがな」

 

「まったくだ。兄貴もずっとピリピリしてるから俺も気が気じゃねぇぜ」

 

「ククッ、ご愁傷さまだなマダオ」

 

「あん?なんか言ったか?」

 

「いや、そういやぁ最近聞いたんだが、どこぞの敵対組織が何人かペット(襲撃者)を用意しているらしいぞ。こっちは何か対策しておかないのか?」

 

「今のところ聞いてねぇな。だが一応兄貴の耳には入れておく。他には何かあるか?」

 

「それくらいだな。どうせだからこっちも飼うってのもアリかと思っただけさ。相手のペットを返り討ちにするペット。殺して散らせるから「やちる」なんて名前はどうだ?」

 

「なんだやちるって。まだ飼うとも決まってねぇのに名前付けてんじゃねぇよ。さっさと帰りやがれ」

 

「ウォッカ、さっき研究員どもに言ったみたいな感じで帰れって言ってみてくれ」

 

「はぁ?…さっさと帰れ」

 

「あぁ、ウォッカ絶対そっちのほうがいいぞ。威厳みたいなものが出てて仕事しやすくなると思うぜ。じゃあな」

 

 

 

 

 

ちなみに今日も米花町では事件があったようだ。

眠りの小五郎大活躍!っていうニュースが流れていた。

探偵が事件を解決してそれが大々的に報道されるってすごい世界だよな。

それを目障りに思ったのか、確か組織でも毛利小五郎を暗殺しようとする動きがあったはずだ。

それがこの世界でも実現するのか、そしてそれがいつなのかはまだわからないけどその時が来たら俺にも何かしら指示があるだろうしわかるだろう。

 

研究所を出た俺はそのまま隠れ家へと向かうことにした。

 

 

 

 

「ただいまシェリー」

 

「あら、おかえりなさい。随分と遅かったのね?」

 

「あぁ、米花町に行った後に指示が来てな。そっちに回っていたから遅くなった」

 

「そう、それで工藤くんには会えたの?」

 

「もちろんだ。その話をする前にこれを渡しておこう。江戸川コナンの血液だ」

 

「ありがとう。それじゃ飲み物でも用意するから座って待ってて」

 

戻ってきた俺はシェリーに迎えられ、米花町であった事などを話していくためにソファへと向かう。シェリーが飲み物を入れてくれるようだ。

 

工藤新一を気にするのも、きっとシェリーが一緒に過ごしたのは少しの間とはいえ、小さくなった者同士という共通点があるのと自分の作った薬ってのが大きいんだろうな。

 

こっちでも眠りの小五郎の情報は流れてくるし元気にしている事自体はわかっているんだろうけど、直接見た人間から聞いたほうが確実だ。

きちんと詳細を話してあげることにしよう。

 

 

新一くん待ってる間に蘭ちゃんの角の確認してたんだけどさ。

え?角の確認て何ってあのとんがったやつだよ!あれ電波塔だったよ!

いや熱とかないからね?ほんとなんだってば。

あと新一くんも変わらず元気にしてたよー。

シェリーの事心配してたから元気にしてるって伝えておいたからね。

大丈夫。ちゃんとシェリーが歌ってた事とかは内緒にしといたから!

血液もお願いしたらすんなりOKしてくれたよ。

たぶんシェリーが研究してることを推理したんじゃないかな?

 

 

なぜか初っ端からシェリーにジト目で見られたが、俺は何も偽っていない。

いや確かに俺の予想というか推理なだけではあるが、かなり信憑性が高いと思うんだ。

後はしつこいようだが鬼丸くん説。こっちは冗談だが。

本当だったとしたらコナンくんが雷神剣持って戦わなくちゃいけなくなる。

 

江戸川コナンはシェリーの事を心配していた事と、ちゃんと元気にしていると伝えて研究に必要だから血液を提供してほしいと言ったら素直に承諾してくれた事も伝えた。

今回米花町に行ったことで少年探偵団とも些細な縁を作ることができたし、毛利親子とも接触することができた。

 

これでコナンには「シェリーが無事で元気な事」を、シェリーには「コナンが無事で協力的だった事」を伝えることができたし、お互いに安心しただろう。

 

 

 

「シェリー、今日の夕食はハンバーグにしないか?」

 

「リクエストなんて珍しいわね。それじゃあ買い出しに行くから付き合ってちょうだい」

 

「了解だ。少し休憩してから出かけるとしようか」

 

 

 

シェリーが入れてくれた紅茶を飲みながらゆっくりし、簡単に準備してから一緒に出かける。

いくらなんでも買い出しとか日常生活で黒ずくめの格好なんてしない。

俺もシェリーもラフな格好で一般人として普通に買い物を楽しむだけだ。

スーパーに着けば、いつも通りに買い物かごを持ってシェリーの後を着いていく。

 

お、ここパイカル売ってるじゃん!何気に品揃えいいなこのスーパー。

ならいずれシェリーに伝える機会ができた時にはここで買って渡すことにしよう。

でも研究するのはいいけど完全に元の姿(宮野志保)に戻ったらバレる確率がかなり上がるんだよな…

 

 

隠れ家に戻った俺たちは買ってきた物を仕舞っていく。

シェリーは俺のリクエスト通りハンバーグを作ってくれている。

残念ながら今日は鼻歌気分ではなかったようだ…

 

ククク、だがまさかハンバーグが布石だとは思うまい!

 

 

 

「できたわよ。これそっちに持っていってくれるかしら」

 

「あぁ、わかった。シェリーはこっちを頼む」

 

「それじゃ頂きましょ」

 

 

 

「待ってくれシェリー。その前にこれを言ってくれないか?イメージは人間たちの集団の力を削ぐために育てていた子供を利用しやすくするために優しく妖しく言い聞かせるような感じで」

 

「なにその妙に具体的な注文は…ってあなたまさかこのために!?」

 

「ククッ、いや、たまにはハンバーグもいいなと思っただけさ。さぁ早くしないと冷めてしまう」

 

「…キリオ、今日はあなたの好きなハンバーグよ」

 

「最高だ。それじゃ頂くとしよう」

 

「あなたのその執念だけはすごいと思うわ…」

 

 

 

こんなに美味しいハンバーグは初めてだぜ!

実際のところ私欲(セリフ)のためってのもあったんだが食べたかったのも間違っていない。

明日からまた取引やらいろいろとやらないといけないんだから、シェリーには俺を鼓舞してもらわないとね。

 

 

 

 

 

クククッ、(俺の人類補完(名言拝聴))計画は順調だぜシェリー

 

 

 

 

 

 


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