気合を入れてバレンタインの本命チョコを作った恋する女の子、遥。

彼女は、無事に想い人に気持ちを伝えられることができるのだろうか?

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バレンタイン短編を書いてみました!

当初失恋の話にしようと思ってんだけど…あれれー?おっかしいぞー?

オリジナル小説ですが、この話に出てくる冷泉航(れいぜんわたる)くんはキャラのモデルがいらっしゃいます。

ワーストさん
Twitter:@Worst_ordinary
本人から許可は頂いております。

2021年2月13日に道端にチョコレートが落ちていて、そのことをツイートした結果、まさかのまさか、バレンタイン小説を書くことが決まってしまいました。

実際本人様とは何度かお話して、途中のくだりの話は実話を元にしております。

それではどうぞ!お楽しみくださいませ!


私のバレンタインデー

「よし…完璧…!」

 

いつもより少し気合いを入れて…でも派手になりすぎないように化粧をした。髪を弄るのは苦手だけど雑誌で見たかわいい編み込みの髪型にした。

 

服装はいつも通り…にしたいけどお気に入りのピンクのカーディガンにして、スカートをいつもより1回折って、短めに。

 

姿見の前で一回転。よし。

 

「…自分で言うのもアレだけど…今年で1番可愛く見えるぞ、私」

 

不慣れなことをいっぱいしたから自分で自分に言い聞かせる。友達や家族に沢山相談して決まったこの『バレンタインスタイル』(バレンタイン用戦闘服)

 

そう、なぜ私がバレンタインに気合いを入れているかと言うと…今日、本命チョコを渡すためだ。

 

私の名前は櫻井 遥(さくらい はるか)。高校2年生。同じクラスの()()()()()()に恋をしている。

 

その人は特別女子に優しいとか、紳士的だとかそんなんじゃないけど、修学旅行とか、文化祭で一緒に過ごしていく内にすごく好きになったのだ。

 

なので昨日は友チョコ(クッキー)以外に生チョコを作って自分でラッピングした。所謂本命チョコである。

 

ちなみにバレンタインのお菓子には色々意味があって『クッキー』は友達、『生チョコ』が確か好きな人って意味だったはず。

 

マカロンとかキャンディとかのが率直に思いが伝わると思ったんだけど…「ボクさー、チョコレートが大好きなんだよね」と本人が言ったのでやっぱりチョコレートにすることにしたのだ。

 

机の上には可愛い手提げに入ったたくさんのクッキーたち。その横に丁寧にラッピングされた箱。ラッピングされた箱は潰れないように注意しながらしまった。手提げ袋と学校の鞄を持って家を出る。

 

ま、まあ最悪?本命ってわからなくても美味しく食べれる彼が見れるなら満足だし…

 

とにかく、学校に行かなくちゃ。

 

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「お、おはよー!」

 

「ん、おはよ」

 

なるべくいつも通りを装って教室のドアをあける。一番最初に声をかけられたのは想い人本人だった。

 

冷泉 航(れいぜん わたる)くん、最初に挨拶できるなんてすっごくラッキー!…ってあれ、手に持ってるのは…

 

「れ、冷泉くん…そのチョコレート…」

 

可愛くラッピングされたチョコレートを手に持ちながら、机に腰かけている(ちょっとお行儀悪い)冷泉くん。

 

「あぁ、これ?これはね_」

 

ま、まさか誰かからもらった本命のチョコレートなんじゃ_

 

「ボクのお手製チョコレートだよっ☆」

 

にっこりと笑った彼から飛び出したのは思いもよらぬ言葉。

 

「…あ、そう…というか作ったんだ…?」

 

てかラッピング可愛い…女子力高っ…

 

「ボクチョコレート大好きだからさー、自分でも食べたくなって作りすぎちゃったんだよね。まあ友チョコみたいな?」

 

「ふーん、女の子に配るの?」

 

「いんや男」

 

「まあ友達用だもんね…」

 

「うん、男共に500円で売りつける」

 

「性格悪っ」

 

さっきの陽だまりのようなにっこりした微笑みとは違うニヤリとした小悪魔の様な笑み、これは冷泉くんがちょっかいをかけたりからかったりする時の顔でこの顔をしている冷泉くんは要注意。

 

そしてご覧の通り性格が悪い。まあちょっとひねくれてる所も嫌いじゃないけど…

 

「そーだっ!櫻井さんにいい事教えてあげるよ…耳貸して」

 

「えー…なに…?」

 

やばいやばい嫌な声出してはいるけど好きな男の子に囁かれるとか初めてなんだけどすっごい緊張する…顔に全然出ないタイプで良かった…

 

「実はね…ボクこれだけじゃなくて本命も持ってきてるの」

 

「!?」

 

え…これはつまり逆チョコ…?誰かにあげるの…?

 

「そ、それでその本命…チョコ?がどうしたの…?」

 

恐る恐る聞くと…

 

「ボクが持ってきたチョコでマウント取るやつを去年見たんだよねー…だからマウント取られてる人に1000円で売って逆にマウント取られるところを眺めて大爆笑したいんだよね!」

 

最高に意地の悪い笑みを浮かべていた。

 

「性格悪っ!!!2回目だよ!?」

 

「はー?ボクの性格が悪いのに今更気づいたの…?櫻井さんってもしかして…結構バカ…?」

 

「あぁ君の性格悪いのは前から知ってるよ!もういい!」

 

「あっ」

 

冷泉くんを振り切って自分の席につく。

 

「おはよ遥っ!バレンタインだね!」

 

キラキラした目で私に駆け寄る友達。

 

「おはよ、はいクッキーどうぞ」

 

「わーい!さっすが遥ってば分かってるぅ!」

 

「全くもう…」

 

美味しそうにクッキーを頬張る友人を見ながら冷泉くんとの約束を取り付け忘れたことを思い出して彼をちらっと見る。

 

彼は彼で友達をからかって遊んでいた。

 

(まぁ…時間が空いたら声かければいいか…)

 

私はすぐ、この選択を後悔することになる。

 

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「あのされ「航ー!チョコくれー!」「おっけ500円ね」…」

 

声をかけようとする度にこんな感じである。

 

ちなみに今は3時間目と4時間目の休み時間である、1時間目と2時間目、2時間目と3時間目の休み時間にも声をかけたが似たような感じで冷泉くんのチョコレートは大人気だ。

 

もうチャンスは昼休みしかない…5時間目と6時間目の休み時間も似たようなものだろう…もしくは放課後…あ。

 

名案を思いついてしまった私は、机から可愛いメモ帳を取り出してメッセージを書いた。

 

『冷泉くんへ

 

放課後にいいものあげるから体育館裏へ来て欲しいな

 

櫻井より 』

 

書けたはいいものの…どうやって渡そう…

 

昼休みに席を外した隙を見るしかないわね…!

 

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昼休みになった。

 

お弁当と水筒を取り出して机の上に置いて、冷泉くんの席をちらっと見る…あれいない!?

 

「櫻井、冷泉なら購買だよ」

 

冷泉くんと仲良い男の子に声をかけられてしまった。

 

「えっ…」

 

「声かけようとしてたの、見えてたからさ。本命でも渡すん?」

 

まずいバレる…いや…

 

「ううん、友チョコ渡したいんだけど…男の子だから勘違いされるの嫌で…放課後誰も見てない時に渡したいんだ」

 

「なーんだ、つまらん。伝えとこうか?」

 

「メモ書いたから、これ入れておいてくれる?…あ、あとはい!」

 

ささっと友チョコを渡す。

 

「えっ…?俺にくれるの…?」

 

「今みんな見てないし、働いてくれるからね、この事は内密に頼むぞ」

 

「はいはい…仰せのままに…」

 

よし、ちょっと計画破綻仕掛けてるね!でもセーフだね!ミッションコンプリートっ!

 

後は放課後を待つだけ…!

 

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冷泉くんはぶっちゃけるととても可愛い。かっこよくはない。でも可愛い。好きな物はネコとチョコレート。髪も比較的長めな方だから女装したら似合うんじゃないかって噂されてる。

 

聞いた本人はものすごくドン引きしていた。

 

「ボクがかわいいとか…頭大丈夫なの…?」

 

ぶっちゃけその顔見てすっごい笑ってしまった、今も思い出すと笑ってしまいそうだ。

 

とまあ余談はさておき、放課後である!

 

体育館裏とか殴られそうな気がしなくもないけど名前書いてるし、いいものあげるって言ってるんだから来るでしょ!

 

友チョコを配り終えて、最後に残った本命チョコを持つ。

 

櫻井遥、女を見せます!

 

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「………」

 

私だけだと思ってたのに。

 

私は、体育館裏の傍で膝を抱えて座り込んでいた。

 

見てしまった。さっきのを。

 

「あ、あの…航くん!チョコレート…食べてくれない…?」

 

「…ボクに?」

 

「い、一生懸命作ったから…」

 

「ありがとう、貰うね」

 

体育館と校舎を繋ぐ道。

 

声をかけていたのは1年生で可愛いって評判の女の子だった。

 

私なんか、かないっこない。

 

自惚れだったんだ。女子の方でもよく冷泉くんと話す方だし。

 

本命じゃなくても受け取ってもらえるかも…なんて。

 

「はー…」

 

大きくため息をついた、涙が零れそうなのをハンカチで抑えるように拭う。化粧が崩れたまま校舎に戻ったらいかにもな『今さっき失恋した女』になっちゃう。

 

これ、どうしようかな。家に持って帰って食べるか。そんなことを考えた時に声が聞こえた。

 

「あれー、ボクを呼び出したはずの人が居ないなー、人を呼んでおいて放っておくなんて流石にないんじゃないのー?」

 

やっばい、え、本命受けとってこっち来るの?まじ?律儀過ぎないか冷泉くん…

 

と、とにかくせめてこのチョコは隠さないと…

 

慌てて立ち上がったせいで自分の足が痺れていることに気づかなかった私は、目の前の石に躓いて_

 

べしゃっ

 

「いった!!!」

 

間抜けな音と、声をあげて盛大に転んでしまった。

 

「いたぁ…あ」

 

転んだはずみでチョコレートは箱ごとひっくり返って…中身が散らばっていた。

 

「………」

 

「バカなお陰で助かったよ、盛大に音と声上げて転んで…」

 

目の前には悲惨な手作りチョコレート、後ろには冷ややかな声で話す冷泉くん…

 

終わった。

 

「や、やあ冷泉くん…本日はお日柄も良く…」

 

「お日柄も良くじゃない、怪我は?」

 

「あいや怪我はしてないけど…」

 

無駄に丈夫なお陰で無傷だ。被害を受けたのはチョコレートだけ。

 

「あっそ、それで渡したいものって?」

 

「…あれです」

 

悲惨なチョコレートを指差す。

 

「…わぁお」

 

珍しくビックリしたようにぶちまけられたチョコレートを眺める。

 

「…で、でも大丈夫だよね!私からのチョコレート要らないよね!」

 

「は?いるけど?」

 

何故かキレ気味。

 

「なんで…?」

 

「は?タダでたくさんチョコレート貰える日に貰わないとかバカでしょ、貰うに決まってんじゃん、さすがに地面に落ちたのは嫌だけど」

 

「まあそうだよね…じゃあ私からのチョコはごめん、ナシです。あれ最後なんだよね…というか冷泉くんは可愛い子に普通にチョコ貰ってたから大丈夫でしょ!」

 

笑顔を取り繕う。

 

「あぁ、アレ見てたの」

 

「偶然ね!良かったねきっとあれ本命だよ!」

 

胸がすっごいチクチクする…辛い…でも我慢…

 

「…まあ告白の手紙入ってたけど、別にどうでもいいかな」

 

「えっ!勿体ない…」

 

あんなに可愛い子なのに…

 

「ボクさぁ、知らない人からいきなり告白の手紙とか貰っても別になんとも感じないんだよね。いや知らないのにいきなり告白してくるってどーなのって思うし」

 

「はぁ…」

 

まぁごもっともと言えばごもっとも…なのかな。

 

「でさ」

 

「うん?」

 

「あのぶちまけられたやつ、他のとラッピング違うよね?」

 

「う、うん…」

 

「ふーん…本命?」

 

うわ…あの意地悪な笑顔だ…

 

「…」

 

「本命なの?友チョコなの?どっち?」

 

「…ど、どっちでもいいじゃん…」

 

「早く」

 

「も、元本命…」

 

「ふーん」

 

興味無いなぁ…やっぱり脈ナシ…だよね。

 

「ボク別に櫻井さんのことは1ミリも恋愛的な意味で気にしたこと無かったんだけど」

 

「はい?」

 

なんだこいつ、まだ傷を抉りたがるのか?

 

「明日、あれと同じチョコ持ってきてよ」

 

「…なんで…?」

 

「え?普通に食べたいから」

 

「えー…」

 

めんどくさいなと思いつつ、彼の顔を見ると意外と真面目な顔をしていた。

 

「人に恋愛感情っていうのを抱いたことがないからさ、実際それがどんな感覚か気になってはいるんだよね」

 

「だからさ」

 

「ボクに恋愛感情を抱かせてみせてよ。キミのことは友達として好きだけど…そっからどう恋愛感情に移行させるか、気になるんだ」

 

「脈ナシ…じゃないの?」

 

「ん?あー…今は0パーセントだね」

 

「じゃあ…」

 

無理じゃん

 

「期限は今から卒業まで」

 

「えっ」

 

「できるものならやってみてよ、ボク、恋愛感情を抱くなら知らない人よか知ってる人のが良いなぁ」

 

「じゃ、明日よろしくね〜♪」

 

そう言い、彼はスタスタと歩き去ってしまった。

 

「な、何なの…?」

 

0%から100%まであげろってこと…?

 

脈ナシだけどアリになるかもってこと…?

 

どういうことなの…?

 

「あ」

 

とりあえず、まだチャンスはあるってことだよね…

 

「帰りにスーパー寄って、板チョコ買って、同じの作ろう」

 

絶対、ぜーったいに

 

「振り向かせて見せるんだからー!!!」




もし需要がありましたら続きを書きたいですね。

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