短編です。
不良はかっこいい
そう俺、上野龍也が思い始めたのは、小学校の頃俺を助けてくれた金髪のツンツン頭の彼がいたからだろう。
彼は、俺に不良とはなんたる者なのかを1から教えてくれた。俺はそんな彼を尊敬していた。だから彼の格好を真似している。流石に制服までは無理だが。
彼の口癖は、「不良であっても『不』良にはなってはいけない」というものだった。当時の俺にはそれが一体どう意味なのかがわからなかった。
けど、今ならわかる。
他にも彼は色々なことを教えてくれた。
そんな彼が最後に教えてくれたのはとてもくだらないものだった。
「不良はモテる」
その言葉を聴いたときは、何を言ってるんだと思った。
その言葉の意味は、それから10年後の今、高校1年の冬。
2月14日にわかった。
俺が、学校に遅刻ギリギリで着き、いつものように下駄箱を開いたら、中から1つの封筒が出てきた。
白い封筒で、ハートのシールで封をしてあり、宛名は何処にも書いてなかった。
俺は、今日2月14日がどんな日か知っていたから、その手紙の内容もなんとなくわかっていた。だからワクワクしてその封筒を開け中の手紙を読んだ。手紙には、
放課後、学校近くの公園で待ってます。
と、短く書いてあった。
それから受けた授業のことはあまりよく覚えてない。多分俺は人生初めてのバレンタインチョコをもらえるのだと喜んでいたのだろ。
そして、時は流れ放課後になった。
俺はトイレへ行き、身だしなみをしっかり整え、公園へ向かった。
公園の中に入ると周りの人達が、道を開けてくれた。まるで俺を避けるように。
学校近くの公園で待ち合わせをするなら、きっと噴水の所だろうそう思い、俺は公園のちょうど中心に位置する噴水へと歩みを進めた。
噴水の前についた時には差出人であろう小柄な女の子が立っていた。
俺は、なるべく彼女を驚かせないように声をかけた。
「こんにちは。手紙ありがとうございます」
そう俺がいうと彼女は、何かに怯えるかのようにブルブルと震えていた。だが彼女も流石に悪いと思ったのか、覚悟を決めたかのように、こちらに振り返り、
「これ、チョコです。どうぞ」
と言って、市販の赤い包装のチョコレートを渡してきた。
俺はそれが嬉しくて嬉しくて、多分端からみたら気持ち悪いぐらいの笑みで、
「ありがとう」
と言い受け取...ろうとしたところに何処から現れたかわからない。同じ制服を着た、見た目からしてヤンキーだろうと思われる男に、そのチョコを目の前で叩き割られた。
正直何が起こったのか、意味がわからなかった。
「ハッハハ!あの天下無敵の龍がチョコ1つで受かれてやがるぜ」
そんな声と周りで笑ってる若い男の声とすすり泣くおんなの声、聞こえてきた。
無敵の龍
その言葉で全てを理解した。
こいつらは、俺が不良だと知ってる。
そして、多分だけど、彼女は彼らに利用されたのだろう。
そう思った途端、沸々と怒りがこみ上げてきた。
俺は一番近くにいた、チョコを叩き割った、男の顔面を殴った。一発で苦しまないように気絶するように。
すると次に近くにいた、長髪の男が彼女を噴水の方へ押し倒しながら俺の方へ向かってきた。
俺は地面を蹴り、その勢いのまま長髪にも拳を食らわし、噴水に落ちそうな、彼女をお姫様抱っこで抱き抱えた。
その姿はさながら、物語に出てくる王子のようだった。
彼女にここから離れないように伝え、周りを見渡した。
周りには、残り五人の男が立っていた。全員揃って、悪い顔をしていた。そんな男どもに俺は、
「ここで引くなら、お前らを見捨ててやろう。見たところ、さっき倒した二人が、リーダーぽいが。どうする?もし残るなら、不敗の虎の名のもとに、テメェらが一生やんちゃ出来ないように身体に教えてやるが、どうする?」
そういうと、男どもは尻尾を巻いてどっかへ行ってしまった。
全て片付いたと彼女に伝えた。
すると、彼女は涙をいっぱいにためた、瞳をこちらにむけ、
「ありがとうございます。ごめんなさい」
といった。やはり彼女は彼らにに利用されたのだろうそう思っていたら、予想外の言葉がその後に続いた。
「チョコレートを綺麗な形で渡せなくて」
そう申し訳なさそうに、伝えてきた。
俺は完全に思考が追い付かなかった。
チョコが割れたのは俺のせいなのに。
彼女に非は1ミリもないのに。
俺は彼女のそんな行動に、心を打たれたんだろう。
気弱そうな見た目からは想像できないほど内に秘める思いは大きいのだろうと、
そう考えて、いたらポロッと口から言葉がこぼれていた。
「俺、お前のこと好きだわ」
それは息を吐くように自然に口からこぼれた。
それを聴いた彼女は、顔を赤く染めて、どこかへ一目散に逃げてしまった。
誰もいなくなった、自分の前を見ているとある1つのことに気づいた。
「あ、俺あの娘の名前聞き忘れた」
思い出したときにはもちろんもう遅く。後悔して真っ二つになった、チョコをもって家へ帰ろうと思い、チョコを拾い上げると、裏に文字が書いてあった。
『ずっと昔から好きです。東 桜良』
少し早咲きの桜の花を見て、もうすぐ春がくるんだなと、自覚した。
これが、俺と内気な彼女の出会いだ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
終わりが中途半端だと思った方がいるかも知れませんが、これで終わりです。
続きを読みたいと思ってくださった方は是非お気に入り登録等してください。
そうしてくださったら多分近い内に書くと思います。