短編です。
彼女は、家の家事及び俺のお世話をしてくれるメイドの白金 椿さん。
唐突だが彼女は、クールだ。
冷静沈着で、仕事をスマートにこなす。
歳は俺と同じ高校2年なのだが、どこか大人びている。
部活動で、やっている剣道ではかなりの実力者でもある。
そんな彼女にお世話されているのは、天宮 浩二という議員の父を持つ、ただの高校2年の天宮 永理だ。
特にこれといった特徴もなく、強いて言うなら彼女とは対照的に、活発だ。
たまに任される仕事は良くミスをしてしまうし、どこか幼稚に見られるし。
部活動でもそうだ、いつも気持ちが先に言ってしまい、相手にやられてしまう。
だから、僕は白金さんがどこか羨ましかった。
なんでも冷静で、クール。
そんな頼れる男になりたい。
そんなことを思いながら、毎日を過ごしていた。
時期は、立春が過ぎて1週間とちょっと経ったときだろうか。
その日学校に行くといつも以上に周りがガヤガヤしていた。
僕は彼女に、今日は何かに特別な日なのかと、尋ねた。
すると彼女から、
「いえ、特に特別な日ではありません」
そう答えがかえってきた。
彼女がそう答えるのならそうなのだろうと、思いながら教室へ向かって歩いていると、前から近付いてきた女子生徒が、僕の前で止まった。
すると彼女の身体の後ろから何かを前に出そうとしたタイミングで、白金さんがいつも持ち歩いている、竹刀を取り出し、彼女に突き付けた。
彼女は驚いて、その場から一目散に去っていった。
「白金さん今のって何?」
「さあ、私にも良くわかりません。ただ危険を感じたので、応戦しようとしました」
「ありがとう、白金さん」
僕がそう言うと、いつも彼女は会釈をする。
それから似たようなことが三回ぐらいあり、その度に白金さんが守ってくれた。
その都度、礼をいい会釈をする。というのを繰り返していた。
そんなことをしていると学校は終わり、白金さんと2人で帰っていると、珍しく彼女の方から話しかけてきた。
いつもは僕が一方的に話しているだけなのだが、その日は違った。
「あの、これどうぞ。昨日買い出しの時に貴方が喜びそうと思い買っておきました。要らないのならこちらで処分しますがどうしますか」
と言いながら、チョコをこちらに差し出してきた。
そのときの彼女の耳は夕日のせいか赤くなっていて、少し手が震えてるように見えた。
僕は、
「ええ、もちろんいただきますよ。ありがとうございます。お返しは1ヶ月後で大丈夫ですよね」
そう言った。
すると彼女は、不意を着かれたような顔をしてこちらを見ていた。
実は最初から全て知っていて、彼女以外から貰うつもりはなかったから、今日がその日だと知らないという風に装って、彼女からチョコを貰うのを待っていたのだ。
頭の良い彼女はそれにすぐに気づいて、一言
「ずるいです」
そのときの彼女の夕焼けと同じぐらい真っ赤な耳はきっと何時までも僕の記憶に残るだろう。
これは、僕とクールなメイドの話だ。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
終わりが中途半端じゃないかと思った方がいらっしゃるかと思いますが、これで終わりです。
もし続くを読みたいと思ってくださったなら、お気に入り登録等をしてください。
そうしてくださったら多分近い内に書くと思います。