モンスターハンター:オリジン   作:食卓の英雄

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遅くなってスマヌ…。戦闘描写がムズすぎたのだ…。どうやってあんなワクワク出来る様な奴書けるん?天才かよ。
遅い上に駄文とかいうクソ作者です。はい。
すまない…。文才が皆無ですまない…。


ドス来い!森丘の狗竜

(硬…いや、堅い…っ!)

 

 左手に握る剣を振り下ろした瞬間、伝わった感触に驚嘆を覚える。

 飛竜の甲殻が如く硬質なものでなく、毛皮の断ち辛さとも異なる独特の質感。その正体は成長し硬度の増した細かな鱗と、厚い皮膚。そして自らの肉体を支える為についた強靭な筋肉によるものだ。

 これらは単体で見れば、そう悩むものではない。ジャギィより多少は硬いといえど、柔軟に動く狗竜の鱗の強度は高が知れている。分厚い皮も、ただそれだけ。他の大型モンスターの様な頑強さは無く、筋肉も走竜科の中では比較的ついていると言えるが、その域を出ることは決してない。

 

 しかし、この三つが合わさればどうだ。鱗で裂傷を防ぎ、その衝撃を皮で軽減、最後にぎっしりと詰まった筋肉により攻撃を受け止められてしまう。少なくとも、彼よりも力の低い存在からすれば、堅牢にして柔軟なそれは高い壁として立ち塞がる事だろう。

 

 胴体に打ち込まれたそれは効果的な一撃にはなり得なかった。されど、ドスジャギィの意識を向けるには十分すぎる様で、狗竜はこの存在を明確に敵だと判断した。

 ゆったりと余裕のある動作で振り返ったそれには、所謂敵意が込められており、切れ長の鋭い瞳と獰猛な顔つきは根源的な恐怖心を煽ってくる。

 

「ドスジャギィ相手にビビってるようじゃハンターとしては半人前!どこからでもかかって来やがれ!」

 

 後退ろうとする己を鼓舞し、剣と盾を打ち鳴らして踏み留まる。未だ震える手足は思い切り噛み殺す。もっと強い存在に、もっと無防備な状態で相対したこともあったのだ、それに比べれば俄然どうという事は無い、と。

 

「俺は、お前を、狩る!」

 

 狗竜には人間の言葉など分からない。だが、挑発と捉えたか、それとも隙と見たのか、その言葉に応対するかの様に吠声を上げて襲いかかる。

 

「だ…あぁっ!」

 

 噛み付いてくる直線方向から身を投げ出し常に盾をドスジャギィの方へとと向ける。これは歴とした生物。ゲームのようなパターンがある筈など無く、また数値も持ち合わせてはいない。

 

(――これは回転尻尾の前兆!)

 

 しかし、その直前、溜めの動作までもが違うと言うことはないらしい。そう、それは人間でも言えること。 物語の中の人物にはあり得ない力が備わっている事がある。が、殴るといった行為にはどれだけ短かろうと拳を構えて突きだすといった前動作が必要であり、同じ構造である以上そこを逸脱することはない。

 

「そこだっ!」

 

 動作の後、隙を逃さずに斬り上げ突き穿つ。これも表面の鱗と皮を薄く斬り、深刻なダメージとはならない。が、傷がつけられない訳もない。塵も積もればなんとやら。些細な傷だろうが、重ね続ければいつかは倒すことが可能ということだ。

 

「…よしっ、やれる!想像以上に身体も動くっ…!落ち着け!逸るな!相手の動きを目に焼き付けるんだ…!」

 

 意識しているのか、はたまた漏れているのか粗い息を正しながらそう叫ぶ。振り向きながらの噛みつきを回避し、前へ突き出された頭へと右腕を叩きつける。

 鼻頭に痛烈な打撃を受けたドスジャギィは一瞬怯み、それを押し返そうと頭を振るう。

 

「ぬっ、あぁっ!」

 

 右腕が弾かれ、今度はこちらの身体が大きく仰け反る。

 それを見逃すはずもなく、怒涛の連続攻撃。命からがら躱していくが、時折掠る牙が火花を散らす。

 

「あぶなっ!」

 

 最後の二連噛みつきを防ぎ、そう独り言ちる。確かに行動自体は読めているが、全て思い通りという訳じゃない。防具には細かな傷や、地面に転がった時の汚れが付いており、息も荒くなる。

 

「グルルルル…」

 

 仕損じた。そういわんばかりの目つきで睨むドスジャギィは煩わしそうに地を掻くと、軽く嘶く。しかし子分であるジャギィは完全に抑えられており、こちらへ来ようとする個体こそいるものの、逆にその隙を突かれて空へと舞い上がっていく。

 

 今の所戦況は拮抗している。しかし長引けば長引く程、人間であるマサミチは不利になっていく。

 

「はああぁぁぁぁっ!!」

 

 だからこそ、全力で駆け出した。カウンターとして繰り出された顎を首を引っ込めて避け、勢いを保ったままの一撃を胴体に刻み込む。内腹から太腿にかけて走る一閃。少し遅れて滲み出す赤い液体。

 

「ギャオゥ!?」

 

 悲鳴を上げた一瞬に、唐竹、殴打袈裟斬り回転斬りの順に攻撃をヒットさせていく。一撃ごとに困惑と驚愕の混じった声が上がり、同時に俺の呼吸も乱れていく。

 

「ハア…ハァァ…っ!?」

 

 一連の攻撃を終えると、急いでドスジャギィから離れる。まるで肺が何倍にも膨れ上がったかのような痛みを覚える。それでも目の前の存在から目を離す事はしない。今はこちらが優勢でも、マトモに喰らったら瞬く間に逆転されるからだ。直ぐに反撃すると思われたドスジャギィは、俺の予想に反してその場から動かなかった。

 

「何だ…?疲労には早い気が…」

「アオォォーーン!オウオゥォゥォゥオウッ!!」

「っ!?」

 

 ビリビリと、心の臓を揺るがす喚声。出所たるそれは口を開け広げ、白い呼気を短く吐き散らす。ダンダンと地面を踏み鳴らし、怒髪天を突く勢いで吠え散らす。

 

「怒ったか…!」

 

 鼻息荒く、殺意と怒りのボルテージは天井知らず。冷静だった首領は怒りに身を任せて不遜なる敵対者へと牙を剥く。

 

「うおっ!?くっ…早い…!」

 

 躍りかかる尻尾を見て、慌てて盾を翳したがこれに身を浮かせる。怒り状態は、いわば興奮している状態であり、その状態のモンスターは攻撃性と敏捷性が共に跳ね上がり、通常はしてこない動きや攻撃、性質を持つこともあり、危険度が遥かに増大する。

 怒り状態のモンスターは通常とは比較にならない程で、今までと同じと見ていると無為に命を散らす事であろう。厄介になったと捉えられるが、逆に考えれば、自身の生命を脅かす存在であると認めた証でもある。

 

「アォゥン!」

 

 より早くなった尻尾回転を辛うじて凌ぎ、足を狙うもガギン!と耳障りの悪い音が鳴り響く。

 

「なっ…クソ、切れ味がっ」

 

 見れば、そのハンターナイフは今までの使用に堪えたのかかなりの刃こぼれを起こしていた。この調子ではより硬い足を切り裂けないのも当然だ。

 

「研ぐ時間もくれないかっ…」

 

 その様な大きな動作を目の前の狗竜が許すはずも無く、先の展開とは一転、攻守交代だ。

 

「ふんっ…!ぬあっ!?ぜぇいっ!」

 

 疾風怒濤の連撃を受け続けていたが、次第に対応出来なくなってくる。振りかざした剣は表面を凪ぐだけに終わり、側面から襲い来る尻尾に直撃。

 浮き上がる体に更なる追い打ちとして高速のタックルをお見舞いする。

 

「があっ!?がっ、ぐぁ…!」

 

 蹴鞠か何かの様にゴロゴロと転がされながら脇腹を抑えて呻く彼に影が差す。慌てて飛び起きようとしたときにはもう遅い。

 

「うぐぉっ…!退け!」

「アオォウッ!アウッ!オオォォォウ!」

 

 強靭な足で地面に押し付け、勝利を確信したかの様に吼えるドスジャギィ。マサミチは必死に足掻くも、空を切るだけで抵抗もままならない。

 

「ぐううぅぅぅうっ…!」

 

 ゆっくりと、だが着実に体重が込められ、防具の繋ぎ目から嫌な音を立て始めた。防具のお陰で皮膚を裂かれる事は無いが、重さは直に伝わってくる。辛うじて呼吸は続けられるが、このままでは死あるのみだろう。

 

(クソ…ここで死ぬのか…?ハンターになると決めたのに、ドスジャギィ如きに……。いや、如きなんて現実となった今じゃ不相応だ。むしろ、舐めていたのは俺だった)

(……村のみんなはどう思うだろう。結局はモンスターには敵わないと思い知ってしまうのか…。なんか、それは嫌だな。いずれ、『モンスターハンター』の時代が来るとはいえ、今怯えていて欲しいわけじゃない。……アランは、逃げてくれるだろうか。それとも、敵討ちにとドスジャギィに挑むかもしれない。……もしかしたら、アランなら俺よりも上手くやってくれるかもな…)

 

 より体重を込められ、肺の空気が一気に抜ける。内臓を直接圧迫される様な異物感を覚えたが、この状況では顔を近づけた際に一撃喰らわせる事が精一杯だろう。

 

(いいじゃないか…せめて最後に目の一つでも貰って……)

 

 カチャリと冷え冷えした刃を握りしめ、一矢報いようと注力していると、ポツリとあるものが顔に落ちてきた。

 

(何だ…雫…涎…?いや、鉄臭い…。これは…血か?)

 

 誰の?多分自分の流した血だろう。そう完結しようとした所で、僅かな懐疑心が芽生えた。自分はこれといった出血はしていなかった筈。タックルの時に切れたと言われればそれまでだが、それは上から落ちては来ない。

 ならばドスジャギィか。でも傷をつけたのは側面の胴体であって、頭部には無いはず。

 

(あれは…逆光でよく見えないが―――)

 

 

 

 

 徐々に力を失っていく獲物を冷めた瞳で見下ろし、さあどうしてくれようかと舌舐めずり。いざいざ実食。奇妙な鱗に覆われていない頭を噛み砕こうと顎を開き…ふと、気がついた。

 

――部下の声がしない。

 

 はて?10を超える部下はもう一匹の方に集中していた。すばしっこいため攻撃を当てづらかったが、ジャギィ達は数で補えばあの程度の生物一匹容易く仕留められるは――

 

「だぁらっしゃあぁっ!!」

「オゥンッッ!?」

 

 思考がま白に染まる。視界が廻る。側面からの衝撃。それで一瞬体が宙に浮いたかと思うと、己の肉体がたたらを踏んでよろけていた。何事かと急ぎ見れば先程の一匹が何かの骨を掲げていたのが見えた。

 

「おい!大丈夫か!?」

「う…ああ、な、何とか」

 

 アランに揺り起こされ、未だ少しぼやける視界のピントを合わせる。新たに現れた外敵に警戒心を露わにする。苛立たしげに地面を掻く姿はどう見ても苛ついている。

 

「よいしょっ、とと…。悪い、助かった」

「いいってことよ。それより、今は目の前のアイツだろ?」

 

 指され、ドスジャギィの雄叫びにより遠方からジャギィが数頭やってくるのが見えた。再び武器を構え直し、気付け代わりに薬草を口に含む。(残念ながら回復薬は携帯できる容器が無いので留守番だ)

 

「よしっ!第二ラウンドいくぞ!」

「ああ!やってやるさ、存分に!」

 

 短い裂帛の後、二人と狗竜は()()()()に駆け出した――!




アランの方が強いです。

村の場所ですが、モンハン世界地図より、ココットよりも右下の、メタベット付近であると捉えてください。近くに海あるし

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