モンスターハンター:オリジン   作:食卓の英雄

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許し亭許して。
他の作品書いてた。


群れの首領、ドスジャギィ!

「ギャアッ」

「アォッ」

「喰らえっ!」

 

 取り囲むように散開したジャギィを紙切れのように吹き飛ばして活路を開く。当のドスジャギィは、ジャギィ達の中央に控えており、戦闘中の乱入を防ぐのはかなり難しくなっていた。

 

 だが、こちらも二人になったことで互いにカバーしあい、先よりも優位に進められている。

 

「アオォォォォォォンッオッオッオッ!」

 

 またも、嘶く。それを合図として側面に控えていたジャギィが統制の取れた動きで一斉に飛び掛かかった。

 俺はあえて前へと滑り込み、着地を狙って足へ盾を叩きつける。不安定なジャギィの細足は嫌な音を立てて砕ける。アランが自らに向かう一匹を真横へと吹き飛ばし、更に一匹巻き込んで撃墜した。目を回す二匹にすかさず躍りかかり、確実に止めを刺すために喉へ刳り込む。

 

「ギャオッッ!」

 

 残った一匹が最後の抵抗とばかりに飛びかかり、アランのハンマーにより受け止められる。長物なせいで、柄に食いつかれては威力を発揮出来ない。しかしアランは焦らない。何故ならば、もう一人の存在を信じているから。

 

「ぜぇぁあっ!!」

 

 研ぎ澄まされた牙突がジャギィの鼻頭に吸い込まれていく。痛みと驚きにより慌てて飛び退ろうとするが、それは悪手。柄を離した直後、ジャギィが行動に移ろうとするよりも先に、大槌による一撃が直撃する。

 アランの渾身の叩きつけがジャギィの頭骨を砕き、命の鼓動を完全に停止させた。

 

「いいぞマサミチ!」

「ああ!あとはアイツ(ドスジャギィ)だ!」

 

 先の怒りが続いているのか、はたまた部下を全て蹴散らしたことに憤慨しているのか、瞳孔は開かれ、鼻息荒い。

 駆け寄る勢いそのままに、姿勢を横へ動かした。

 

「横に避けろアラン!」

「っ分かった!」

 

 左右に別れ、中央を開ければ、予定調和の様にタックルが通り過ぎる。感覚から逃した事を悟ったドスジャギィは、近い方の音へ齧りかかった。

 ガギン、と硬質な音を響かせ、そのカミソリの様に生え揃った鋭い牙が目前に迫る。

 大きく開かれた顎は盾を挟むように喰らいつき、ガリガリと表面を削っていく。盾のサイズがもう一回り小さければ、腕ごとやられていただろう。しかし、この膠着状態も相手の意思一つで容易に覆されるだろう。

 噛む力に対抗するのが精一杯で、力を抜けば右腕を引き寄せられ倒れることとなり、けれどその状態では何も出来ない。

 ドスジャギィもそれを理解しているのか咬む力をより強める。立てていた筈の右が少しずつ横になっていく。必死で踏ん張るが、僅かに進行を遅らせるのみに留まっていた。

 まさに絶体絶命。迫る死神の足音に耳を塞ぎ、自分を誤魔化すのか。否、そうではない。

 

「――ブチ噛ませぇっ!」

「ドラアアァァァァッッ!!」

 

 振るい、振るい、遠心力を最大に乗せたアッパーがドスジャギィの顔を思い切り上部へ跳ね上げ、たたらを踏んだ。

 頭を振って意識を保つドスジャギィは驚愕の感情が透けて見え、同時に警戒心が上昇。

 小回りの効く動作を繰り返し、大きな隙を潰す。それは、自らの弱点を理解し、かつそれをカバーする知能を持っていることに他ならない。

 一気に攻めづらくなり、こちらが意表をつかれる回数も増える。しかし小回りがきく小さな動作は威力としては軽微で、防具が衝撃を軽減する事で互角に持ち込ませる。

 

 ドスジャギィの胴に骨塊が打ち込まれ、温まっている筋肉により阻まれる。けれど、それを払おうと注意を割いたその瞬間、一切の警戒を解いた死角が生まれた。

 

 ぐんと体を前に倒し、ドスジャギィに接近。アランへ向くために振るわれた尻尾は頭を下げ、棘付きの分厚い鞭を横目で見やりながら、マサミチは跳んだ。

 

「っ!」

「グァッ!?」

 

 背中の毛を掴み、首元へ向かい襟巻きの裏を垣間見る。

 

(やっぱりあった……!)

 

 群れの長たる証である立派なエリマキ、その背後。覆い隠されたその位置には痛々しい赤の三本線が走っていた。

 

―――ドスランポスの爪だ。

 

 通常、縄張り争いにおいて致命的な傷は出来ない。それはあくまで自らの領土を主張し、相手を追い出し歯向かわないようにと、力の差を見せつける行為だからだ。

 

 しかし、それはあくまで単純な領土争いの場合のみ。本気の殺し合い、ましてや危険度が同等とされる二匹で、一方的に殺害することが可能な筈もない。

 

 このドスジャギィは間違いなく強者である。数いるドスジャギィの中でも、それなりに多くの修羅場を乗り越え、体格にも恵まれた。だからそれなりに離れた砂漠からこの地帯まで無事に移動出来たし、ドスランポスすら下してみせた。

 

 ドスランポスがドスジャギィに飛びかかり、甘んじてそれを受け入れるドスジャギィ。けれどしがみついた場所が悪かった。的確に急所を狙っていたのだろう。事実、側面部から頭を抑えることは出来た。

 だがドスランポスはドスジャギィという存在を知らなかった。ドスランポスをスピード型と称するのなら、ドスジャギィは対照的なパワータイプ。停止した相手ならばどうとでも出来る。首の前に翳された腕に齧り付き、痛みに叫ぶドスランポスをそのまま振るう。何度も噛み直されたせいで、腕の傷が深くなっていく。

 ドスジャギィは腕を噛んだままタックル。その緩急にドスランポスは悲鳴を上げる。とうとう腕は千切れ、それを悟る前に強烈な尻尾に脳天を砕かれた。

 

 その際、最後の力を振り絞ったのか、強く掻いたその場所が、首の後ろであった。

 

「ギャオアァァァッッッ!!?」

 

 その位置に強く強く突き立てられた刃は、ドスジャギィの血で赤く染まり、それを為したマサミチは振り落とされる。

 

「ぐあッ…!」

 

 肺の中の空気が一度全て吐き出され、胸の衝撃に悶る。けれど、そのぼやけた視界には倒れ伏すドスジャギィの姿が映り込んだ。

 掠れた絶叫を残響させ、地の草を薙ぎ払いながら崩れ落ちたそれは最後に薄く唸ると、微かに開いていた瞼を閉じた。

 

 

 ドスジャギィ、討伐完了である。

 

 

「や、やったか…?」

 

 モンスターの不死身さを知っているマサミチはそれすらも訝しみ、中々近づこうとしないが、アランは違う。ドスジャギィに近づき、首元と腹が動いていない事を確認し、頷いた。

 

「―――やったな、マサミチ」

「案外、案外やれるもんなんだな」

 

 ぽつりと、安堵の息とともに万感の思いを込め呟いた。

 

「ああ、まさか狗竜ですら下すなんてな…。並のモンスターとは比べ物にならないほどの強さだった。……だが、それでも俺たちが勝った。…だろ?」

「…そうだな」

「みんなにも、知らせないとな。今夜は御馳走だぞ?」

「…最近は毎日肉だろ」

「それもそうだ」

 

 まだ痛む体に鞭を打ち、早急に一部のジャギィとドスジャギィを引きずって隠してあった台車へと乗せる。死んだと分かってはいるが、さっきまで己の命を奪おうとしたそれに畏敬の念を覚える。

 

「おい、こいつはどうする?」

「ああ…そういえば」

 

 アランの指す先にあるのはドスランポスの死骸。所々が食われており、見るも無惨な様相だ。

 

「……無事な部分を少しだけ剥ぎ取って、後は埋めてやろう」

「穴を掘るのは任せてくれ」

 

 そう言うと、台車に載せていた木のシャベルで脇に穴を掘り始めた。俺はゆっくりとその死体に近寄り、手を合わせる。俺たちのいう神や仏なんてものに届くかは分からないが、一応既に亡くなっている死骸から追い剥ぎをするのだから、少しだけ悪い気もする。

 自分達だって殺して皮を剥いでいるじゃないかと、そう言われる事請け合いだが、コレはエゴだ。自分の中で区切りをつけたいだけ。そんなことをしたところでモンスターが浮かばれるわけでもないし、モンスターだってそんな一獲物に過ぎない存在に祈られたって困惑するだけだろう。

 

「―――よし」

 

 そんなエゴを一丁前に終わらせ、折れたトサカを回収し、皮ごと鱗を回収する。血で濡れている部位もあるが、洗えば使えそうだ。鋭い赤爪をくり抜いて、剥ぎ取りは完了した。

 丁度その時、アランの方も終わったらしく、二人で埋葬する。

 

「じゃあ、帰るか」

「おう」

 

 秋の訪れは早く、肌寒くなって来たその道を、二人の男は往く。

 

 QUESTCLEAR!




わーい、やっと大型モンス倒せたー。
戦闘描写むずいしどのくらい戦わせたりとか、密度がわかんねー!
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