モンスターハンター:オリジン   作:食卓の英雄

18 / 38
書きたい話が多すぎて中々時間が取れねぇ……!モンハンもしたいし、学校もある…!時間が圧倒的に足りねぇ…!誰か電波通じて充電も出来る精神と時の部屋に連れてってくれぇ……!


孔雀の輝きを求めて3

 二人きりだった探索に八匹のアイルー達が加わり、随分と騒がしくなった道半ば。とはいっても、アイルー達とて伊達にこの厳しい山腹を生き抜いてきた訳ではない。

 二人では行き届かなかった注意監視の目が増え、アイルーならではの感覚の鋭さとホームグラウンドであるという知識を以て活躍し、前回よりも早く、安全な踏破を可能としていた。

 

 やはり洞窟付近にはブナハブラが生息していたが、その複雑な動きも数の利を活かして死角を作らなければ型なしだ。アイルー達は中々翻弄されていたが、その隙に俺たちが確実に仕留めにかかる。羽さえ傷ついてしまえば後はこちらのものだ。地面に落ちたブナハブラは僅かな間這いずり回っていたが、アイルー達に囲まれあっという間にその生命の灯火を消した。

 

 その時に気がついたのだが、ムートとアミザの持っている武器が他のアイルー達と異なっていた。覚めるような蒼色をした鉱石を先端に括り付けたピックと、自分の頭よりも大きい大腿骨のハンマー。俺の知っている武器を当てはめるなら、マカネコピックとボーンネコハンマーだろうか。

 問いただしてみれば驚いたことに、その鉱石はマカライト鉱石に違いなかった。一体どうやって加工したのかと聞いてみれば、いくらか前に例のバサルモスが暴れた際に背中に付着していたものが欠片となって落ちたのだとか。それを回収してみれば手頃なサイズで尖っていたため武器として転用したらしい。

 

 アミザの方はもっと簡単で、アランの持っていたハンマーに影響を受け、せっせと自分で作ったとのこと。最も、細かな調整をしてしっくり来る頃には俺達が出発した後だったから大変に焦ったとも言っていた。成程、遅れた理由はそれだったのか。

 

「待った、ここだ」

「お前たちは少しここで待機してくれ。俺達が確認する」

 

 先に声をかけ、俺達は岩陰から様子を伺う。何も動く影がないことを確認し、見覚えのない位置に岩がないかを確かめる。うろ覚えで怪しい岩は、その位置にとっての死角から石を投げつけて反応を見る。

 一分、二分と時が過ぎ、何も起こらなかったのでようやく息をつく。待たせていたアイルーを呼び寄せる。今はここに居ないとはいえ、餌場にしている可能性は十分にある。迅速に先を進んだほうがいいだろう。

 

 前回同様、きちんと松明を用意してある。着火する傍ら、バサルモスが潜んでいた場所を見つめるが、既にそのような痕跡はなくなってしまっていた。

 

「あんだけデカい奴が潜ってたってのにもう穴が塞がってるのか。…いや、よーく見れば他より少しだけ荒れてる様だが……正直、見てなきゃ判らないな」

 

 アランの言うとおりだ。まさか岩肌なのにこうも短期間で元の地形に戻るとは思ってもみなかった。流石にゲームならではのご都合主義だと思っていたが、その認識は改める必要がありそうだな。地面に潜るモンスターは先んじて予測が出来るなんて、そんな訳がなかったのだ。

 

「よし…行くぞ 」

 

 掛け声一つ。誰も文句を言わずについてくる。中は依然変わらぬ細道であり、炎で朱く照らされた岩壁がぬらぬらと艶めかしく輝いている。

 

「すごいな…こんなところにも鉱石があったのか」

「暗すぎて気づかなかったぜ」

「ニャー、キレイだニャー」

「オレの武器のとおんなじのもあるニャ」

 

 その中でも一際目を引いたのが上下左右に見える鉱石の群れ。それぞれ亀裂から覗く程度だが、確かな輝きを秘めていた。前回はあまりに緊張していたからか気が付かなかったらしい。我ながらなんてもったいない。

 冷ややかながらも温かみのある光を見送りながら、先へ先へと歩みを進む。いくつもの地層が折り重なり、下層へと降りているという実感を伴わせる。

 

 無限に続くかと思われた廻廊は先から指す陽光により終わりを迎えた。燦々と照らされる空間は、夜とはまた違った空気に包まれていた。

 

「よし、こっちの方も変わりはないな」

「この下に段差があるから気をつけろよ」

「ニャ!」

 

 塵積る土壌の上に群生する緑を踏みしめ、奥へと伸びる道を見据える。この空間は30m程度の円状で、雰囲気的には地底洞窟のエリア1に近い。高低差のある段地がそう感じさせているのかもしれない。

 

「今日はブナハブラはいないな…。外には居たが、昼と夜で徘徊ルートを変えてるのか?」

「いいセンいってるな」

 

 アランが気づき、それに同意。アイルー達を先導し、目に見える範囲では最も下の地面に着地する。段地には多種の植物が生え揃い足場を覆っていたが、ここまでくれば中々生え揃うこともないらしい。

 外周部をぐるりと覆い囲うようなこの地形。中央に位置する広場は石灰がごとき灰色の大地となっており、鉄靴で踏み締め足跡を残す。

 

「此処から先へ繋がるのは…二箇所あるな」

「左の道も気になるが、俺達は下が目的だ。こっちに行くぞ」

 

 上からも見えていたが、この台地には二つの横穴が存在しており、そのどちらもが高さ5mはありそうなほどに大きい。

 左は、この地面とやや毛色の違う赤褐色の地面が奥へと続き、その上には細かな砂が積もっている。反面、同様の地面であるが、傾斜を伴う通路である右だ。途中曲がっているのか、奥までを見通すことは出来ないが、そちらのほうがいくらか確率も高いだろう。

 

「んじゃ決まりだな!念の為持ってるものとかの確認もしておけよ!」

「「ニャー!」」

 

 その言葉通り、アイルー達はポーチの中をまさぐり、それぞれ薬草らしきもの(乱雑に入れられていたからなのか形は崩れており判別が難しかった)を得意げに掲げる。軽いけがくらいなら大丈夫そうだ。

 

「やっぱリーダーが様になってるな」

「まあな。伊達に村でも任せられてないってことだ」

 

 感嘆し、思わず足を止める。年季が違うということだろう。

 そうこうしている間にも足は進めているが、まだ道は開けない。背後から指す陽光もだんだんと翳りを見せ、そろそろ松明を取り出すか検討し始めた時、ようやく広い空間が顔をのぞかせた。

 

 俺達が一直線の道を抜けると、その光景は訪れた。

 ゴツゴツとした岩場を元として、遥か下まで覗ける大穴。広い道幅は幾筋にも重なり、螺旋状に下へと続いていく。穴の中からは岩の柱も連なり、時に足場となり、またあるものは生物たちの棲家となっていた。

 

 大きすぎる穴へは風が吹き込んでいるのか音をたて、地下から何かを呼び込んでいるようにも感じられた。ツタや横穴、時折付き出す台地と、見た目よりは安全に進めそうだ。道幅だって、下手をすれば大型モンスターすら通過可能だろう。少なくとも、断崖絶壁を前にした恐怖を強く感じないのは確かだ。

 

「意外と明るい…?」

「雷光虫か。光蟲なんかもいるし……苔はその光を反射しているのか」

 

 明かりは期待できないかと思ったが、今言ったように闇の中であるというわけではない。暗いことに依然変わりはないが、仲間の姿や手元は確認できる。

 俺がその空間へ足を踏み入れると、グッと体にかかる重圧が大きくなったような気がした。当然、実際に体が重くなったではないのだが、未知の場所、そして引き返すことの出来ない長い道が強くそれを意識させている。

 

「…いや、モンスター相手でもないのに怖気づいてちゃ詮無いな」

 

 そう迷いを振り払って、新たな松明に火を点ける。不思議がるアイルーにそちらを託し、今まで持っていた方の松明を大穴の中へと投げ入れる。

 底を確かめるためだ。目安にでもなればいいかと注意して見たが、しばらくの間落下していたかと思うと、僅かな音すら立てずに地面へと辿り着いたらしい。落下の衝撃で壊れてしまったのか、燃える炎は直ぐに消えてしまったが、それでも凡その目測はついた。

 恐らく、100mくらいだろうか。直線距離にしてみれば大したことないように感じられるが、それが高さならば話は変わる。

 ゲームのハンターであればなんてことないように無傷で凌ぐのだろうが、現実ではそんなことありえない。強靭な生命力を持つモンスターならばともかく、俺達程度地面のシミと成り果てるだけだろう。

 

「こりゃ長くなりそうだな」

 

 そう嘆息し、壁沿いに下を目指す。それに倣ったのかアイルー達も同様のスタイルをとり、一歩一歩、着実に階下へと向かうのであった。

 

 

――――…

 

 

 長く見えた道のりは、想像より早く進むことができた。というのも、ずっと滑らかな傾斜が続いているわけではなく、段差がいくつか集まっている地帯なんかもあったからだ。ツタを用いたショートカットなんかも行い、それらの積み重ねが結果としてここまで早い踏破を可能としていたのだ。

 

 そしてこれだけの人数でもはぐれずに行動できたのはアランの機転のお陰だろう。

 最初に説明した雷光虫や光蟲のことを知ると、それぞれの木カゴに光蟲を入れ、はぐれたときにそのカゴを軽く叩いて刺激する。すると、ショックに反応した光蟲が強い電光を放つ。これで迷子対策も出来ていたし、実際何匹かのアイルーがお世話になっていたりする。

 

 そうして辿り着いた最下層。暗く、陰鬱とした空気を醸し出すが、それでいて何処か活気に溢れたかの様な感覚を思わせる。

 

 無機質な岩壁に沿って進めば、緩やかに、けれど確かに下へと繋がっている。

 

「うへぇ…まだ下るのかよ」

「でももうそろそろだ」

 

 溢れる愚痴を飲み込んで、緊張を隠さず指示をする。よく見れば、幾筋もの鉱脈が続き、その規模は明らかにこの先の全域に巡っているだろうことが伺える。

 雷光虫達の姿も消え失せ、いよいよ明かりが乏しくなってきた。

 若干の暑苦しさを覚え、水を一仰ぎ。天井のあるものが目に入った。それは、垂れ下がる氷柱状の岩石群。一瞬鍾乳石かとも思ったが、それにしては周囲の地形に同様の痕跡は見られない。

 色合いも一般的に見られる白濁色でなく赤茶けたもの。恐らく、溶岩鍾乳石だ。

 

「……ってことは!」

「おい、マサミチ!」

 

 居ても立っても居られなくなり、咄嗟に駆け出した。追いかけてくる一人と八匹の存在すら一時は忘れ、強く強く先を急ぐ。

 遅々とした歩みはハイペースに。夢中になって走る姿にアランも何かを感じたのか、回る足のギアを一つ上げた。

 

 少し経ち、マサミチは止まっていた。呼吸は荒く、手を壁につけたまま、ただ正面を見据えている。追いついたこちらにも顔を向けずに。

 

「一体何が―――」

 

――あるんだ。そう続くはずの言葉は当人の驚嘆によって遮られた。

 

 ざらざらと粗い手つかずの地面は黒く、先程までの仄かな虫たちの光ではなく、空間そのものに込められた莫大な紅色が大地を照らし尽くす。

 流れ落ちる燈色の熔岩流は不規則に泡立ち、その温度を示すかのように白煙がもうもうと立ち込めていた。吹き荒れる熱気にじりじりと肌を灼かれる感触を味わいながらも、決して目は離さない。

 

 この生きとし生けるものを拒絶するかの如き過酷な環境は、それでも凝縮された生命の息吹を確かに感じさせていたのだ。




なんだかんだでここらへんのパートが一番長くなってるな…。飽きてない?大丈夫?
こんな不定期更新だけれど、感想、高評価を頂ければ幸いです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。