モンスターハンター:オリジン   作:食卓の英雄

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サンブレPV2弾見た!
レギオス復活!イソネミクニとオロミドロに亜種追加!Fでのラスタみたいな盟勇や、鉄蟲糸技をその場で入れ替える新たなスタイルである疾替え。
これはもうサンブレイク買うしかねぇな!


たんと掘れ燃石炭

 

 ぽたり。また一つ体表から雫が落ちては黒い地面にあたっては蒸気を発して消えてゆく。

 

 もうもうと立ち込める煙を余所に、溶岩の発する光が辺りを照らしては視界を赤々と彩っている。

 コポコポと、静かに泡立つ溶岩池は今もなおガスが噴出していることを表しており、そのたびに硫黄の強烈な臭いが鼻腔に差し込んだ。

 黒色の岩石はしゅうしゅうと熱気を帯びる。その高温で遠くと近くとで温度差が生まれ、ゆらゆらと空気が揺れていた。

 

 灼熱の地底はじりじりと生気を奪い、やがては熱に倒れ伏すことになるだろう。

 

「あ〜、熱い……」

「ニャー…暑さも大丈夫な毛皮なのに、ここまで熱いとはニャー…」

「そう言うなよ、こいつがないよりはマシだろ?」

 

 そんな中、溶岩湖を避けながら進む影があった。アラン達だ。

 この熱気には流石に全員が参っており、手で風を扇ぐもたちまち熱風に変わり却ってその身を追い込んでいる。

 この猛暑に苦しんでいるのは事実だが、本来であればもっと消耗は激しかったに違いない。現に、泣き言を言いながらも足を止めずに談笑するくらいには、命の危機に扮していないのだ。

 

 ならば何故、そこまでの余裕を保っていられたのか。それはマサミチが手に握る物体による恩恵を授かっていたからだ。

 

 『氷結晶』。モンスターハンターシリーズではお馴染みの鉱物で、常温でも溶けるのことのない氷の結晶と説明はされているが、未だに謎の多い不思議な物体である。

 もっとも、アイスボーンで地脈の存在などが語られ、その不思議パワーの一端ではないかと推測してはいるがこれを検証することなど土台無理な話だ。まあ、そうでなかったら純粋な氷ではないという予想もある。

 

 凍土などで主に採掘されるが、実は一部の火山などのフィールドでも採れる。

 ゲームで遊んでいるときはいわゆる救済措置かと思っていたが、あの長い坂の途中に発見できたので現実に則ったものなんだろう。

 水筒に残っていた水ににが虫のエキスを入れ、最後には氷結晶を投入。しっかり密閉して少し振り混ぜれば完成だ。これであっているかは不明だが、灼熱地帯での必需品『クーラードリンク』の完成だ。

 

 完成したクーラードリンクを飲めば、たちまち体中に冷気が巡って暑さにも耐性が出来た。今は汗がぽつぽつと滲むようなものだが、これが無かったらと思うとぞっとする。

 

「それは分かってるけどよ…」

「まあ、言いたいことは分かる。外は冬に近かったし、急に違う環境は慣れないよな。…っと、ここならいいか」

 

 ある場所につくと、マサミチ達は荷を解いて壁際の亀裂や露出した岩盤をピッケルで殴り始めた。採掘開始だ。

 なぜ奥まで歩いてきたのかと不思議がるが、マサミチたちはただ移動していたわけではない。入ってきた入り口近くに採掘可能なポイントがないわけではなかったが、その付近は溶岩の川や噴出孔など、一歩間違えれば命を落としかねない危険が隣り合わせになっていたのだ。よって、事故防止のためにそれらが無い、或いは少ない広場を目指して歩いていたのだ。

 

「えっほ、えっほ」

「ウニャッ、ウニャ!」

 

 そうして、亀裂の入った隙間を掘り進める。はじめはただの岩漿を散らすだけだったが、続けていると次第にキラキラと輝きを見せ始めていた。

 岩壁はひび割れ、その隙間からは鉄鉱石やマカライト鉱石が覗け、また周囲のきらめく鉱石塊へ向けて必死にピックを振るうアイルーもいた。

 それぞれ骨でできたものであるために効率こそよいとは言えなかったが、それでも強靭なモンスターの骨。僅かずつではあるが、元いた現実ではありえないほど易易と岩盤に突き立てることが出来ていた。

 

「ニャー、綺麗な石がいっぱいニャア」

「アミザは呑気でいいにゃ…」

 

 一方で、持ってきたボーンネコハンマーでは採掘作業が困難なアミザは掘り出した鉱石らを集め、革袋の容量を圧迫してゆく。色鮮やかなそれらにうっとりと目を奪われるアミザからは、コレクターとしての片鱗が垣間見える。

 

「このあたりか…? ……違うな。今度はこっちだ」

 

 しかし、そんな中一人で動く影が見える。大ぶりのピッケルを肩に置き、周囲を注意深く見つめては軽く岩盤を削り、何かを確かめるように次の場所へと移動を繰り返している。マサミチだ。

 鉱脈をせっせと掘り進むアイルー達とは違い、何か特定のものを探しているように見える動きは、アランも採掘の手を止めて訝しむほどだった。

 

「んー…やっぱこっちの方か…?」

「何やってんだよ?」

 

 一旦作業を中止し、声をかける。それでようやく接近に気づいたのか、ちょっと驚いた風に顔を向ける。

 

「アランか。いや、なかなか目当てのものが見当たんなくてな」

「目当てっていうと、あのとき目の色変えてた話か。火山にしかないやつなのか? それは」

 

 額の汗を拭い、手の中の水を飲み尽くす。二人共、流石にヘルムは外している。如何にクーラードリンクで軽減できているとはいえ、熱が籠もる形状のヘルムは火傷しそうなほどに熱され、また視界を確保したい今は正直言って不要だったからだ。流石に防具を脱ぐような愚行は冒さないが、それでもクールダウンと称して隙間に氷結晶を入れて冷却している。

 

「燃石炭っていう、火に焚べるとすごい高熱を出す岩石なんだが、見分け方が分からなくてだな…。俺も知識だけでしか知らないけど、火山にあるのは知ってる。だがなぁ、そもそも石炭は化石燃料であって岩石じゃないし、湿地帯で採れるものだからほぼ別物か? うーん…判らん」

「お、おお。そうか」

 

 ブツブツと考え始めた様子に若干引き気味だが、それでもとピッケルを担ぎ直して協力するアラン。思いっきり震えば岩盤のヒビに綺麗に突き刺さり、欠けた岩が地面に散らばっていく。

 

「何か特徴はっ、ないのか!」

「あー……………確か、可燃性。火を着ければ燃える。見覚えないのを見かけたらやってみるか。幸いにも火種には事欠かないからな」

 

 掘りながら声を上げるアランに応え、ちらと溶岩溜まりに目を向ける。多少の危険は伴うだろうが、これが最も判別しやすいのだ。

 

「燃える石! 世の中は広いなっ」

「そりゃ未知だらけだよっ、と」

 

 ガツンッ、いい手応えだ。渾身の力を込めて叩きつけた岩壁の隙間に亀裂が走り、ぼろぼろと衝撃で崩れだす。更に数度崩してみるも見られるのは一般的な鉱石ばかり。燃石炭のような特殊な代物の影はなかった。

隙間に亀裂が走り、ぼろぼろと衝撃で崩れだす。更に数度崩してみるも見られるのは一般的な鉱石ばかり。燃石炭のような特殊な代物の影はなかった。

 

「おっ、見たことない奴だ! こいつはどうだ!?」

「! ホントか!?」

 

 何が悪いのかと思案する中に届いたアランの声。今までの思考を切り捨てて駆けつける。

 手招きするアランの元に馳せれば、上に被さった石などを除去してその姿を露わにしていた。それらを払い除けた姿は、深い深緑を感じさせる輝きを内包した鉱物であった。

 まるで吸い込まれそうなほど美麗な色合いのそれは、アランがピッケルを振るったそばからポロポロと地表に現れ始めた。

 

「これは…ドラグライト鉱石か!?」

「目当てのやつじゃなかったか」

「いや、これはこれでいい。加工に使えればマカライト鉱石をも超える金属になる貴重な鉱石だ」

 

 そう、加工さえ出来れば。より上位の鉱石を見つけたことによる喜びはある。それでも、ただあるだけでは駄目なのだ。念の為掘り出せた分は回収してある。ならばここはもう、意地でも掘り当てるしかないだろう。

 

 より一層の覇気を込め、それらしい場所へ手当り次第に腕を振るう。中々結果は振るわないものの、諦めずにトライ・アンド・エラー。そしていよいよ、会心の手応えとともに引き抜いた岩盤の割れ目から、赤褐色の岩石が目に入った。

 

 それは、これまでに見たチャートや花崗岩とは一線を画す艷やかな表面をしており、デコボコとした外見の中にもどこか滑らかさを感じさせている。

 まさかと思い手にとって見れば、感じる。確かなほのあたたかさを。これは周囲が灼熱だからという訳ではない。この岩石が、紛れもなくそれ単体で熱を発しているのだ。

 

「まさか……」

 

 万感の期待を込め、小さな溶岩流から着火した木材を近づける。

 ――ボッ。

 火がこの岩に燃え移ったかと思えば、みるみるうちに煌々と燃え盛りやがて途轍もない高熱を発し始めたではないか。

 

「間違いない…燃石炭だ!」

 

 地面に放り投げても延焼は続けられるが、燃石炭にはなんの変化もない。いつかは尽きるのだろうが、成程。リオレウスの舌を焼くほどの高熱をこうも容易く長時間発することのできる燃料だ。モンスターハンターで需要が絶えないだけある。

 

「アラン!ムート、アミザ!こっちに来てくれー!」

 

 呼びかけ、集まったみんなに燃石炭を見せ、掘るように頼む。既に結構な量の鉱石を掘っていたのか、すんなりとこの岩壁へと足を向けると、えっさほいさと突き立てる。

 自分も休んではいられない。アイルー達よりも少し高めの位置を意識して燃石炭を狙って掘り進めていく。

 

「さっきまでが嘘みたいに出てくるなっ!」

 

 掘り当てた場所は燃石炭の鉱脈だったようで、ぼろぼろと大小様々な燃石炭が数多く採れた。

 あまり多すぎても持ち帰ることは出来ないが、改良した荷車にはまだまだ空きがある。時折入り口に戻っては置いてきているため、いつのまにか許容量を超えていた。なんてことはない。

 

 そうして何度か往復した道を戻っていると、遠くで「ミ゛ャー」と鳴く声がした。

 

「何だ!?」

 

 今回運び役として来ていたのはマサミチ一人。あちらには他の全員が残っていたはずだが、何かあったのだろうか。

 逸る気持ちで岩盤を踏みつける。意識が自然と腰のハンターナイフを確かめ、臨戦態勢に移行する。

 ハンター生活を過ごし、最早当たり前になってきた動作に疑問すら覚えず、灼熱帯へと賭けてゆく。

 

 まだか、まだかと声の方向へ突き進み、見えた。

 

「くそっ、何だこいつら!おい離れすぎるな!小型とはいえ油断するな、絶対に複数で対処しろ!」

「フニャアッ!」

 

 アラン達を中心に円を描くように取り囲んでいる小さな影たち。いや、これまでのモンスターと比べれば相対的に小さく見えるが、それでも人と同程度のサイズはしている。

 丸みを帯びた臀部に、重なるように先へ尖った茶褐色の殻、鋭角的なフォルムであるそれらをより際立たせる節くれだった四本の脚。そして前につき出した二振りの鋏。

 くすんだ青色の外殻が特徴的なそのモンスターの名はガミザミ。小型の甲殻種モンスターであり、密林や火山地帯といった場所に出現する。

 

 一体何故急に…と思っていると、地面には何か盛り上がったような跡がある。どうやら、地面に潜っていたガミザミの上を通ったことで刺激して起こしてしまったらしい。

 

「はあああぁぁぁあっ!」

「マサミチ!」

 

 一息に走り出し、その勢いのままに包囲網の一角を攻撃する。急に現れた乱入者にガミザミは驚いたのか、大慌てといった様子でこちらに向き直るが、遅い。その頃には次の斬撃が迫っており、振り抜いた勢いを利用した踏み込みで以て切り払った。

 痛烈に叩き込まれたその一撃にはガミザミも堪らなかったらしい。

 

「ギギィッッ!!?」

「よし、効いてるな!そっちは任せた!」

「ああ!」

 

 薄く重なる甲殻は弾き飛び、確かな傷を残していた。それでもモンスターであるから当然立ち上がるが、たどたどしい動きになったそれはもう敵ではない。

 緩急をつけた動きで接近してきたが、それを知っていたマサミチはバックステップして鎌の一撃を躱す。そして隙だらけの伸ばされた鋏の関節を地面に挟み込むように盾で痛打した。細い脚ではその衝撃に耐えられなかったのか、甲殻のヒビを更に深めていった。

 

 そして無防備になったガミザミの頭にハンターナイフを叩き込んだ。斬るというよりは薙ぐように放たれたそれはガミザミの糸のような触角をへし折り、方向感覚を狂わせる。

 ダメ押しにと盾の側面で殴り、半ば潰すように顔へ連打を続けた。最初の方こそ甲殻種特有のしぶとさで生きていたが、流石にここまでのダメージを受けて生きていられるほどの生物ではないらしい。

 

 すぐさま反転し加勢しようとすれば、アラン達もうまく動いていた。常にハンマーの射程で立ち回り、移動に用いる脚を狙って体勢を崩せば、すかさず全力のスタンプ。特に打撃に弱いガミザミには効果的だったようで、4回目のスタンプで完全に沈黙した。

 

 アイルー達はてんやわんやと周囲を取り囲んでちまちまと殴りつけているが、それはそれで翻弄できているらしい。軽快な動きで叩いては、すぐに逃げる。アイルー的には必死で逃げているのだが、それが結果的にガミザミの注意を分散させており、背を向けた瞬間に複数方向から殴られる形が完全に決まっていた。

 

 しかし決定打は与えられない。引け腰で力が入っていない上、地力が違うのだ。全身を外骨格で覆う甲殻種に対しては豆鉄砲といったところだろう。

 他のアイルーに注意が向いた所に突撃し、その衝撃と同時に全力で斬り払う。飛び散る甲殻の微細な破片。ギチギチと鳴らされるガミザミの口。さあトドメの一撃を見舞おうかとした所で脇から二つの風が通り抜けた。

 否、風ではない。武器を持ち駆ける二匹のアイルーだ。

 アミザは小柄な体格を活かして腹の下に潜り込むと、ボーンネコハンマーをガミザミの胴体に力強く叩きつけ、柔らかい腹に振動が伝わる。驚きで動きが止まったガミザミへ、すかさずムートの追撃。先の尖ったマカネコピックが亀裂の入った甲殻を突き破り、それが顔にまで到達した時点でガミザミはピクピクと手足を痙攣させていた。

 

 都合三匹のガミザミを全員が無傷で討伐した。狩りに慣れてきていたマサミチとアランは無事に終えた安堵と達成感を、アイルー達は強力無比であったモンスターを倒したことへの喜びを。

 それぞれの感情を抱えながら、これ以上の滞在の危険が増えたことを認識した。クーラードリンクもいつまで効果があるのか不明であり、もし灼熱地獄の中で先程と同じ動きをしろと言われても、厳しいものがある。

 鉱石系は結構な量集めたし、燃石炭も山のように積んでいる。そろそろ潮時ということだろう。

 

 少し離れたところでアイルーたちにもみくちゃにされているムートとアミザに声をかける。

 

「ムート、いい一撃だった。そろそろ良い機会だし、麓に戻るぞ。そのあと、俺たちの村に「マサミチ!上だ!」…っ…!?」

 

「キシャァァァァァァァ―――ッ!」

 

 咄嗟に天井を見上げた瞬間、それは確かな意志を持って動き始めた。天井に張り付いていたそれが支えを外してこちらに落下する様子が、まるでスローモーションの様に流れていた。

 

 激しい地響きが、地下空洞を揺らした。





まさかこのタイトルが名前通り燃石炭が目的だなんて誰も思わないだろう(?)
そしてサンブレで復活するアイツの姿!

続きが見たければ感想とか評価とかよこしやがれくださいお願いします
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