モンスターハンター:オリジン   作:食卓の英雄

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ライズやりたいけど出来ない…。
アイスボーンはPSNWしてないから出来ない……。
だから今クシャルダオラ虐めてる。


アプトノスってリアルだと超危ないよね、ジャギィもだけど

「すいませーん、これは何処にー?」

「ああ、悪いなマサミチ!そこに置いといてくれ」

「はーい!」

 

 あれから二ヶ月、俺はすっかり今の生活に順応していた。

 

―――…

 

『……うーん、知らない天井だ…』

『起きたか』

『はい?え、誰?』

『俺はアラン。ようこそフィシ村へ。連れてきておいてなんだがな』

『あ、はい。俺は夏江正道です』

『マサミチか!突然だが、マサミチは帰るところはあるのか?』

『……えと、その……無いです…』

『………そうか…。じゃあ、俺からの提案なんだが……この村に住むか?』

『へ――?』

 

―――…

 

 目が覚めた直後、こんなやり取りがあった。どうやら近くの村が一つ壊滅していたようで、その村人だと思ったとのこと。

 誤解は解いたが、他に行く宛も無いためこの村に住まわせてもらっている。

 食生活は主にキノコとちょっとした木の実。そしてタンパク源の虫だ。魚や肉もない事は無いのだが、如何せん危険過ぎる為取れず、取れるのも迷い込んだヨリミチウサギ(仮)程度と、量が無い。たまのごちそうという奴だ。

 

 不自由な部分はあれど、俺はそんな生活が存外気に入っていた。元々こういう生活に憧れを感じていたからだと思う。

 

 しかしそんなある日、事件が起こった。

 

「食料が……」

「何て事だ……」

 

 どこから嗅ぎつけたのか、甲虫種のモンスターがやって来て食料を好き勝手に持っていったのだ。お陰で食料庫の中身はぐちゃぐちゃ。越冬の為に貯蔵していた食料の半分近くがダメになってしまった。

 

「村長、男衆で外の食料を…」

 

 今提案したのはアラン。兄貴肌で、しばらく俺の面倒を見てくれた恩師の一人だ。

 

「ならん」

「どうして!」

「この近くにそこまで残っていると思うか」

「うっ…けど、奥まで行けばまだ…」

「日の短い今、そこまで行けると思っているのか。万が一無事に戻れたとして、必要分の食料は持ち帰れるのか」

 

 そう言うと、アランは黙り込んでしまい再び暗いムードが漂う。

 事実、春から貯めていた食料の半分等この短期間に集められる筈も無い。

 

「よいか、これは村全体のためだ。これより各々食う量を半分にして節約するのだ」

 

 村長はそう判断を下す。ただでさえ多いとは言えない食事がさらに半分になる。この意味が分からない者はいないが、それでも反論等できもしない。

 

 その帰路にて、マサミチは一つある事を考えていた。

 それはモンスターを狩れないか、という事だ。無論、舐めているわけではない。こうして現実になった事で小型モンスターですら危険な存在だと知った。アプトノスは現実世界のサイよりも巨躰で、ジャギィの爪や牙なんかはカッターなんて比じゃない。

 

 それでも今がピンチな事には変わりない。冬をあれだけの食料で乗り越えるのは辛い。死人が出たっておかしくはない、いや、きっと出るだろう。

 ならば拾って貰った恩返しをしようとするのは間違ってない筈だ。現金な事を言うとそろそろ肉を食いたい。

 ヨリミチウサギ(仮)の肉ってあんまり美味しくないのだ。なんというか、臭みが残っているというか、硬いし量もないし…。とにかく、美味しい肉が食いたいのだ。

 

 そう考えていると、今の自宅に着いた。自宅といっても、急遽外側のスペースに作った掘っ立て小屋の様なものである。勿論部屋割りなどもない。

 

「えーと、ネムリ草、ネンチャク草…それにニトロダケにマヒダケに毒テングダケ……はいいか。毒じゃ食えなくなる」

 

 これらを持ち裏手に回ると、そこには地面を少し掘って作った調合所。ここでは良く分からない物を調べる為にちょこちょことすり鉢やら土器やらを集めていたのだ。

 因みに色々やってたら栄養剤らしきものが出来た。

 この村にも伝わっている『にが虫』のエキスと『アオキノコ』をすり潰して混ぜた物に水を加えたら完成だ。味は兎も角、ちょっとタフになった気がする。

 

 その他色々リュックに詰め、向かう先は村外周部のある一軒。

 簡素で木組みが多い他の家に比べて、石材等をふんだんに使っている。

 

 ここは村唯一の鍛冶場だ。そして俺はここの持ち主に用がある。

 

「おやっさーーん!ナイフってある?出来れば大ぶりの」

「……何じゃ、ナイフならもう持っとるじゃろ」

 

 しわがれた声で返すのは背の低い老人。彼はこの村に三人しか居ない鍛冶師の一人。俺がおやっさんと呼んでいる彼は残りの二人の師匠でもある。

 

「いや、あれじゃあちょっと小さいかなー、なんて…」

「オヌシ…まさかそれを使って狩りにいくとでも?」

「あー、はい。まあ、そうです」

 

 隠し事は出来ないな…なんて考えているとおやっさんが声を出す。

 

「止めておけ…。オヌシが思っているほどモンスターも弱くない」

 

 フンと鼻を鳴らして鍛冶場の奥へと引っ込んでしまった。

 

 やっぱダメか…。仕方ない、駄目で元々だったんだ。今ある素材でなんとか…

 

「ほれ」

「え?」

 

 おやっさんが持ち出したのはちょうど刃渡りが35cm程の大振りなナイフ。

 

「これは?」

「儂が若い頃に戯れで打ったシロモンじゃ。捨てるに捨てられんのでの〜…お前さんにやることにした」

 

 好きに使いな、と言いしっしっと手を振る。どうやらバラすつもりは無いらしい。

 

「〜〜ありがとう!」

 

◇◆◇◆◇

 

 村を飛び出した俺はあらかじめ決めていた道を走る。

 ここ二ヶ月で安全な道は覚えており、周囲のモンスターや群れの規模等も確認している。

 木々を掻い潜り進むと、草原が見えた。そこには池があり、よく水を飲みに様々な生物が訪れる。今も、池の周辺にはアプトノスが優雅に草を食んでおり、平和な光景が広がっている。

 だが、今回狙うのはアプトノスではない。いや、もっと早ければワンチャンあったかもだけど流石に食事中だし群れだからマズイ。

 ゲームでは蚊に刺された様なダメージだが、現実に考えても見ろ。あんな巨体のさらに棘付きの尻尾なんてまともに食らったら死亡、あるいは重症間違いなし。ハンターの防具なんて無いのだから殊更だ。

 

 ということで狙いはモスだ。頭こそ硬いが、気性は穏やかで群れないし、サイズもそこそこで、動きも直線的で分かりやすい。突進にさえ気をつけていれば狩れなくもない相手だ。

 

 その為にも今はキノコの群生地を探している。この辺りには復活している筈だが……。

 

「…いないな」

 

 いくつかあたりをつけていたポイントにもいない。食い荒らされていたわけでなく、まだ来ていないだけか。

 諦める事も考慮しておく。無理にやったところで自分の身が危険にさらされるだけだから。

 

 そして次のポイントへ向かうと…居た、モスだ。どうやらキノコに気を取られていてこちらには気づいていない。

 なら今がチャンスだ。ナイフは最終手段、離れた位置から倒せるならそれでいい。

 

 まず取り出すのは爆薬。村でも火付けとして重宝されていた火薬草と、使い道のない物として引き取った、(恐らく)ニトロダケを乾燥させて粉末状にした物と混ぜ合わせる事でそれっぽいのが出来た。

 

 それを石ころにネンチャク草を貼り付けて作った素材玉もどきにコーティング。これで手投げ弾のようなもののの完成だ。

 

 一応、試運転は済ませている。結果は硬いものに勢いよく当たったり、素早く投げると衝撃で爆発する。

 含まれている爆薬は少量の為、そこまで威力に期待は出来ないが、数あれば大丈夫だろう。

 アプトノスとて石ころで沈むのだ。20程あればモスには十分だ。

 

「せいっ!」

 

 勢いよく投擲、直撃して爆発するとモスが驚き声を上げる。

 突然の痛みに状況を把握できていない様で、キョロキョロと忙しなく周囲を見回している。その隙を逃さず連続で投げる。

 少し外したが、大半は柔らかい部位に当たり、それが続く度に少しずつモスは弱り、ついには倒れ伏した。

 

「よしっ!やった!」

 

 動かなくなったことを確認したマサミチは直ぐに駆け寄り、ナイフで解体を始める。流石にこれをまるまる持ち帰るには一人では難しい。せめて台車の様なものがあれば話は別だが…。

 等と、安心し、警戒を怠っていたのが悪かった。

 

「アッ、オーウ!アッアッオーウッ!」

「っ!?ジャギィ!?」

 

 いつの間にか、正面に一匹のジャギィが立っていた。ジャギィ自体の戦闘能力は低い。それこそ一匹ではまともに捕まえられるのは魚程度で、人間でも撃退出来る。しかし、同じ小型鳥竜種であるランポスと比べても卓越した連携を誇り、その真価は数でこそ発揮される。

 そして今の鳴き声は仲間を呼ぶおなじみの声。既に遠方に橙の鱗がちらちらと見えている。

 

「やっべぇ…」

 

 手投げ弾は7発しか残っておらず、これでは一匹とて仕留められないだろう。幸いにも、ジャギィは俺に警戒心を向けるだけで、目的はモスの肉らしい。

 そうこうしているうちに、二匹のジャギィが合流する。こうなっては勝ち目が無い。何もしてこないと見るやジャギィ達はガツガツとモスの肉を貪っていく。

 今出来る最善の行動はこちらに注意が向かないうちに逃げる事だけだ。

 

「クソッ」

 

 なぜ皆が狩りをしようとしないのか。それはそもそもそういう発想が無かったのが理由の一つでもあるが、外には自分たちの敵わないモンスターがいて、いつ襲われるか分からないと承知しているからであった。

 

 こうして、初の狩りはほんの少しの肉とモスの苔皮一枚という寂しい戦果に終わったのだった。




どんな感じですかね?ちょっとテンポ早すぎかな?

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