テストやらコ○ナやらサンブレイクやらが時間をとったんじゃ…!
サンブレイクいいね!ただアイボーであった陽気な推薦組の髪型とランポス武器がないのが悔やまれますね…。
一応MR100行きましたよ?
「おやっさん、いるか」
ひと声かけ、待つ暇もなく鍛冶場へ入る。見れば、もう夕方だというのに鎚を振るおやっさんと、何か素材を手に持ちあーだこーだと言い合っている弟子たちの姿があった。こんな時だというのに、この人たちは変わらず仕事一筋らしい。
もう一度声をかけるとこちらの存在に気がついたらしく、忙しなく振るっていた鎚を下ろす。
「おう、フリーダか。こんなとこにどうした」
「ジモも一緒でしたか。お二人共巡回はしなくてもよいのですか?」
迎え入れる男の声。おやっさんとエイルだ。エイルは竜人族という人間とは体の作りが違う種族で、年若い青年に見えるが、実年齢はこの村の誰よりも高いだろう。
そんな種族でありながら鍛冶の道を進む彼に当初は不信感を抱いたが、この楽しそうな表情から本当に他意はないらしい。
「ミーニャはどうした?姿が見えないが」
「アイツは今夢中で作っとるもんがあっての。一日中試行錯誤しては嘆いとるわ。……それで、なんの用じゃて。少し前にナイフを作ってやったばかりじゃろ」
アラン達が採ってきた鉄によって、俺たちの生活水準は上がった。前は細々と使いまわしていた鉄も大っぴらに使えるほどの量があり、俺たちもそれで個人のナイフや伐採のための斧を新調している。
「要件はこれだ」
ゴトリと、持ってきたモンスターの皮や竜骨を落とす。それでなんとなく予想がついたのか、おやっさんが驚いたように目を開く。
「これらで、対モンスター用の武器を作って欲しい。出来る限り、短い時間で」
「……フム、真似事をしたいだけなら絶対に引き受けんが……ランポス共か?」
あの噂はおやっさんにも伝わっていたらしい。
「勿論、武器があるからと増長するつもりも、ランポスを舐めているわけでもない。ただ、近いうち、それこそマサミチ達が帰るより前に襲来する可能性が高い。規模も不明だからこそ、対抗出来る武器が欲しい」
「………そうか」
それだけを呟き、しばらく思案しておやっさんは応えた。
「そういうことなら、ま、ええじゃろう。それで、どんなモンを望んどる」
「ジモにはモンスターの甲殻も貫ける剛弓を、俺は手頃なサイズの剣を二つ作って欲しい」
「一つ聞こう。二本欲しいとお前さんは言うが……それは予備か?」
「いいや―――――両方使うに決まっている」
◆◆◆◆◆
「走れ走れ!あいつが止まってる時間はそう長くないぞ!」
「分かってる! …いや待てあいつらはっ!?」
気絶したショウグンギザミから全力で離脱し、溢れ出る汗すら気に留めず洞窟の入口へ一直線に走っていた。
その最中に、アランがアイルー達の安否を気にかける。その言葉で周囲を見回すが、彼らの姿はない。まさかどこか別の場所へ隠れたかと疑れば、やや高めの音域が耳朶を打つ。
「ふ、二人共ー! 助けにきたニャー!」
「うにゃぁ……! 怖いにゃぁ、ブルブルにゃ…でも、頑張るにゃあ!」
「ムート! アミザ!」
俺たちの進行方向の先からやってきたのは声を震わせながらも四足で駆けてくる二匹の姿。二匹は俺達を視界に納めるとほっと息をつき、姿の見えぬショウグンギザミを警戒し始める。
「アイツは何処いったにゃ?」
「まさか倒したのニャ?」
「いいや倒してない! 隙をついて逃げてきた! いや、それより二人だけか!? 他のみんなは!?」
「荷車のところに置いてきたニャ!」
もう避難は終えているらしい。なら好都合。あいつが気絶から立ちなおるまで一刻の猶予もない。走りながら二匹に説明して逃げる算段をつける。
次の角を曲がれば、後は短い直線だけだ。大穴の先では心配そうにアイルー達が恐る恐るとこちらを覗き込み、俺達が手を降ればぴょんぴょんと跳ねて喜んでいた。
「もう少しだ!」
唯一の盾持ちということで最後尾を走る俺はふと背後を振り返るが、その視界の中に嫌な色が飛び込んできた。
おどろおどろしい暗色の青と、溶岩の光を受けて朱に染まる灰色の骨。カサカサといった擬音が相応しい脚の回転の速さで猛追してくるショウグンギザミ。
俺は警告を発しながらも疲れ切った四肢に全霊の力を込める。
頬を熱波が通り過ぎる。ぜいぜいと息切れ寸前の喉が、肺が、灼熱の空気に痛みを訴える。心做しか、前より暑く感じる。手製のクーラードリンクの効果がなくなったのかもしれない。
出入り口まではあと30m程。これなら振り払える!
そう思ったのも束の間、そのぱらりと上から石が崩れ落ちる。
(――上か!)
中衛を走るムートを前へ投げつけ、直後に俺達を分断するようにショウグンギザミが落下する。俺が投げたムートは綺麗な着地を決め、アラン達と共にショウグンギザミの出現に驚いている。
ショウグンギザミは孤立した俺が狙いなのか、触覚を忙しなく口の前で交差する。咄嗟に剣を抜きバックステップ。不意の一撃を無事回避した。
「アラン!二匹を連れて脱出の準備をしてくれ!」
「おいマサミチ! 一人じゃ無茶だ!」
「早くしろ!あの荷台もすぐには動かない!俺が合流して直ぐに出発出来るようにするんだ!」
「っ、分かった! おいお前ら聞いたな! 逃げる準備を整えるんだ! マサミチのことなら心配はいらない! 荷台を少しでも移動させろ!」
よし、アランは着いたな。後はこいつを突破するだけだが…。
無機質な眼光が一心に俺を捉え、警戒するように唸る。どうやら先程の気絶が応えたらしく本格的に戦闘態勢に移っている。
「よしっ…来いよ!」
関節をギチギチと窮屈に鳴らしながらショウグンギザミは吼える。盾蟹より華奢な体なれど、その鎌の鋭さが危険度をうったえかける。
軽いブローを大げさに後ろへ下がることで避け、ショウグンギザミの全容から目を離さないように視点を保つ。鎌を高く掲げ、勢いよくそれを振り下ろす。
岩盤に強く穴を穿ち、けれどその動作を識っている俺は危なげなく範囲外に逃げる。今が機だと横を駆け抜けようとすれば、立ち直ったショウグンギザミの不規則な機動が邪魔をする。
「しつこいな…!」
脚元に潜り込み顔面に全力でハンターナイフを叩きつける。帰ってくるのは被膜の強固な感触だが、関節部の多い顎部は僅かに形を変える。
すぐさまショウグンギザミは距離を取るがここは詰めない。ショウグンギザミは緩急の激しい攻撃で翻弄するタイプのモンスターだ。よって、相手が離れたからと後を追ったら返す刃で斬り伏せられるだろう。案の定、急接近から大外に広げた鎌を内側に挟み込む。が、空振り。
再度同じ立ち位置に戻った俺とヤツは数度応酬を交わすが、予想以上に体力の消耗が激しい。疲れているだけじゃない。この猛烈な暑さが思考を遮っている。対してショウグンギザミは疲れた様子など欠片も見せていない。当然だ。前にも言ったがモンスターと人間では地力が違う。
このまま消耗していけば俺は逃げられるべき時にも動けなくなってしまう。それが直感的に分かった。かつて日本で夏に愚痴を言っていたのが懐かしい。今じゃそんな環境ですら羨んでしまう。
「…来るか」
予備動作を確認し、既のところで身を捩る。天然の鎌が耳元で風を切り裂き、わずかな風が熱の籠もった体に一瞬の安らぎを与える。だが、次いで襲い来る熱風は汗が体表を流れることすら許さない。
暑い。このままじゃ駄目だ。どうやって逃げ出そうか。ショウグンギザミが隙を晒すのはどんなタイミングだった?ヤドを壊せば……いやそれはゲームでの話だ。第一今の俺はヤドを壊すことなんて不可能だ。くそ、考えが纏まらない。汗が目に染みる。もういっそ少しの隙でも全力で走ってみるか?避けながらなら何とか……。
ふと、ポーチを弄る俺の手に何かが触れる。それは捕まえたまま乱雑に入れていた光蟲だ。強い衝撃を受ければとてつもない閃光を発することから閃光玉の素材にもなっている虫だ。どうやら暑さでじわじわと体力が削られ生きてこそいるが文字通り虫の息だ。
「いや…これなら…!」
叩きつけを回避し、全力でアラン達の待つ洞穴に走る。それを見逃すショウグンギザミではないが、こちらを認識した瞬間におれは光蟲を握りつぶしていた。
それは死を迎えた肉体の反射によるものか、はたまた生命の危機を感じた虫の最後の抵抗か。空間を照らし出す閃光は目を瞑っていた俺ですら痛いほどの光量を伝え、その間に走る。走る。走る。
(もう少し…!あとほんの少しだ…!)
アランが何かを叫んでいる。が、生憎と疲れ切ったこの体は己の心臓の鼓動を響かせるのみだ。あと一歩、より一歩。とにかくがむしゃらに走って…視界がぶれる。
「マサミチ!?」
ぶれたんじゃない。俺が移動してるんだ。吹き飛ばされる景色を不思議とゆっくり感じながら、すぐに浮遊感は無くなった。
「がっ、はっ…!」
何故俺は吹き飛んだ?それは当然、ショウグンギザミに攻撃されたからだ。なんで、どうしてショウグンギザミは俺に狙いをつけることが出来たのか。閃光で目が眩んでいる筈なのに。
そこまで思考が及んだところでヒヤリと本能がある事実を思い起こさせる。
――――ショウグンギザミには、閃光玉は効果がない。
ああくそ、暑さで冷静な判断力まで失ってたらしい。なんで少し前の俺はあんなものが成功すると信じられたのか。悔やんだところで現状は変わらない。
攻撃されたのが右で良かった。幸い盾に直撃したようで衝撃はともかく裂傷などは負っていない。
だが、ナイフとヘルムが見当たらない。どうやら吹き飛ばされた際に落としてしまったようだ。すぐ背後は溶岩湖。ここに落ちてしまったのだろう。そしてそれは、俺の逃げ場がないことを意味していた。
「マサミチッ、クソ、今行くぞ!」
アランが武器を手に走り出すが恐らく間に合わない。この状態では回避は出来ない。
『ギシャシャシャシャァッ!』
顎脚をばたつかせ、口器を震わせるその音が哄笑のようにも聞こえた。今にも振り下ろされんとするのは正しく死神の鎌。鎌蟹の名に不足はなく、どうしても避けられぬ絶対の一撃だ。
こんなものだったかと。ハンターを名乗ったはいいが、それまで、さしたる功績といえば、初めてモンスターを狩った程度。俺でできるなら、他の村人もやろうとすればできる程度の事だ。
でも、アランがいる。ならハンターの概念はあの村に根付くはずで……ならいいかと思えた。わけも分からず訪れ、2ヶ月と少しの奇譚だったが、まあ悪くはないのかもしれない。
だなんて、らしくもなく考えていると、ショウグンギザミの様子が可笑しい。先程まで俺に対して構えていた大敵はその目を俺の更に先。溶岩湖に向けていた。
「なにが…」
『ゴァアアアアアアアアァァァァァァァァァ―――――ッ!!!』
「っ!??」
全身を揺さぶる絶対的な轟音と共に、溶岩が盛り上がり―――その威容を露わにした。
岩石質の甲殻。退化した翼。角ばった突起の多い頭部には鼻先に特徴的な角が一つ。全身を灰色の鎧に纏ったかのようなその竜は、縄張りに侵入したショウグンギザミを強く睨みつけていた。
「グラビモス……!」
鎧竜の二つ名を持つ飛竜は溶岩の熱を気にした様子すらなく、大きく息を吸い込んで豪砲を解き放った。
『ギャオオオォォォオォンッッッ!』
『ギィシャァァァァッ!!?』
放たれる極太の熱線。倒れ伏す俺の真上を通り過ぎたそれはショウグンギザミを直撃し、その体をどんどんと押し戻してゆく。
俺達がマトモに戦うことすら困難だったショウグンギザミが、たったの一発で崩れる。その熱量は当たっていない俺にもありありと感じられ、その放射がただの排熱行動だということに生命としての規格の違いをこれでもかと刻みつけていた。
「マサミチ! おい無事か!?」
「アラン…」
「よし、話せるな。細かい話は後だ。あの竜と戦ってる間に逃げるぞ!」
手を貸してもらい、何とか立ち上がる。ゆっくりとだが歩みを進めることが出来た。
アランに肩を借りる間にも、二体の争いは止まらない。ショウグンギザミは復帰するとグラビモスを敵と認め、果敢に斬りかかるがその爪撃をグラビモスは涼しい顔で耐え、逆に体重の乗った強烈な一撃を叩き込む。優劣は明らかだった。
「あの竜、なんて硬いんだよ。あのモンスターの攻撃が全然通用してねぇ」
「そうか……成ったのか」
「成った?」
少し前に見かけたおかしなバサルモス。よくみれば確かにグラビモスの面影はあった。そしてあのグラビモスはあの時の個体と大きさはそう変わらない。同じ地域にいることから、恐らくこのグラビモスはあのバサルモスが完全に成体となった姿なんだろう。
「よし、着いたぞ!悪いがすぐにここから離れる!」
「モンスター同士の激しい戦いニャー!?」
アランとアイルーが忙しなく動く中、戦況は終着を迎えようとしていた。
怒涛の攻撃や鋭さを最大に用いたショウグンギザミは、けれどグラビモスの鎧と形容される甲殻を貫通することは出来ず、表面に傷を残す。そしてショウグンギザミが鎌を打ち鳴らし最大の一撃を放とうとしたその時、グラビモスの突進が炸裂した。
『ギシャアアアアアァァァァァァ――――ッ!?』
「うわっ!?」
「ニャー!??」
同時、轟音。勢いの乗ったグラビモスの肉体はそのままショウグンギザミごと進みこちら側の壁に叩きつけた。まるで地震でも起きたかのような衝撃と共に、ショウグンギザミの背負っていた竜頭骨が粉砕され、その一部がこちらにまで飛んでくる。
自慢のヤドを破壊され柔らかな弱点を曝け出したショウグンギザミは慌てた様子でこの場を去っていった。
そこには、この溶岩地帯の新たな王者が一人。特大の勝利の咆哮をあげていたのだった。
『グァオオオオオオオォォォォ――――――ンッッ!!』
その光景を最後に、俺の意識は暗転していった。
岩竜によって命を奪われかけ、それが成長した鎧竜に命を救われる。これが書きたかったんですよ。