傀異討究が沼すぎる…。
ゴールドルナの頭腰で状態異常確定蓄積とルナルガの腕と脚で回避性能と巧撃が相性いいわ。攻勢や連撃、闇討ちもついてくるからジャスト回避して麻痺らせたら後ろでザクザクすれば火力もでるし…。まあ、それで下手くそなのにジャスト回避意識しすぎて乙るのが私なんですけど
鮮やかな青と黒のストライプ模様。細い体躯に鋭い爪、黄色の嘴にはずらりと小さいながらも鋭利な牙が立ち並んでいた。一見派手に見えるその体色も、環境に合わせて進化したものできちんと森林環境においての保護色となっている。
それがランポスの主な特徴だ。
後世では比較的危険度の低い小型鳥竜種として広く知られてるランポスだが、しかしそれは決してランポスを甘く見ていいというわけではない。
確かに単体としては、あるいは群れであっても強力な大型モンスターには遠く及ばない。ひいてはその細身な体では一部の草食竜にも単純な筋力では劣るだろう。
だが、そんなものは関係ない。ランポスの獰猛さは当然のこと、爪と牙は草食竜ですら仕留められるほどの殺傷力を秘めており、その俊敏性を活かした軽やかな動きは十分に脅威だ。
モンスターに比べれば遥かに脆弱な人間にとって、ランポスとはそれ一体だけで己を殺し得る存在なのだ。
喉を裂かれればたちまち死に至り、飛び上がってのしかかられれば、衝撃によって人間は押し倒され、立ち直る間もなく喉笛を噛みちぎられるだろう。
少なくとも、この時代の辺境では、ランポスとはそのような存在だったのだ。
油断なくこちらを観察するランポス達。先程大声を上げたワットが走り去る姿を、目を細めて獲物と見定める。
うち一体が、意思疎通を図ろうと喉を震わせようとして、目の前の光景に瞠目した。
「ハアァァッ!」
『グギャア!?』
裂帛の気合と共に細い首元に吸い込まれる双剣。まさか向かってくるとは思っていなかったのか反応の遅れたランポスは、その白い首元に二筋の赤い切れ込みが走る。
その一匹は激しく鳴き叫び怯むが、致命傷には至っていない。ぽたりと地面に赤い雫が音を立てて跳ねるが当のランポスはより一層の怒気を見せてフリーダを睨みつけていた。
「…しくじったか」
初めての戦闘。これまでの生活の中においてランポスから逃れる術は学んでいても、正面切っての戦いなどは未経験だ。
故に不意打ちで一匹を仕留める予定だったが、今まで培ってきたランポスへの認識がフリーダの足を鈍らせた。
「ちょっと、先に一匹削るって話は!?」
「すまない、踏み込みが甘かった」
背後からジモの叱責が加わるが、ぐうの音も出ない。これがアランやマサミチであれば躊躇わず一刀のもとにランポスの息の根を止めていただろう。
「左のを狙う。任せた!」
正面の負傷したランポスを視界に収め、相手の意識を惹きつけた瞬間に強く踏み込んで軌道を変える。
『ギャアアッッ!』
しかし捕食者たるランポスとてそう鈍くはない。自分に駆け寄るその姿を瞳孔を細めて狙いを澄ます。
フリーダの露出した頭を狙った噛みつき攻撃。咄嗟に姿勢を低くして躱すと同時、一瞬視界から消えたフリーダは自身の体を軸に風車の様に斬りつけた。
側面からの連撃は強固なランポスの鱗を削り飛ばしながら肉厚な皮膚を裂き、ランポスは堪らずバランスを崩して体を地面に横たえる。
「トドメだ!」
そこに、最後の文字通り全力を込めたフィニッシュは今の斬打で出来た傷を捉え、深々とその体に斬りつける。
吹き出す血。煩わしい断末魔。
ランポスは悲痛な叫びを上げて少しの痙攣の後、力なく息を引き取った。
「はぁ…よし、まずは一匹」
『ギャアッ! ギェアアァァッ!』
フリーダが少し切らした息を整えている間にも、ランポスは仲間を殺した仇敵へ襲いかかろうとする。
今度は二匹共近づき過ぎず、適度な距離を保ちながら取り囲もうとする。
そう、本来ランポスは複数匹で狩りを行うときはこのスタイルを取る。頭領であるドスランポスが指揮を執るならばより臨機応変に対応しなければならないが、それでも厄介さは折り紙付きだ。
片方を討ちに出ればその反対が襲いかかる。そして待つだけでは同時に襲いかかるランポスに対処できない。あちらの攻撃は直ぐに届くが、こちらはリーチが足りない。
片手剣のようにガードが出来るなら、ハンマーのように纏めて薙ぎ払える獲物であればまだしも、双剣はリーチが短くガードも出来ない。
双方を視界に入れるために位置の調整をしているが、緊迫した状況はどうにもならない。
「――ふっ!」
そこに、ひゅうと風を斬る音が一つ。
ジモが放った鉄の鏃は、ランポスの鱗を貫いてその太ももに深く突き刺さる。強靭な弦と固くも靭やかな竜骨の胴はその威力を最大限にまで高めていた。
続けざまに風切り音が上がるのを捉えるや、フリーダは前方の負傷しているランポスめがけて剣を振り下ろす。
一発やニ発では致命傷にならない。故に反撃の隙を与える暇もなく連続で両手を動かし続けた。
眼前の一体のみに意識を集中させて放った連撃は見事立ち直らせる時間を与える間もなくその命を刈り取った。
「もういっちょ!」
と、同時。両足に突き刺さる矢によって持ち味の俊敏性が失われたランポスに、狙いを済ました必殺の矢が撃ち込まれる。
『ギャアッ…!?』
それはランポスの細い首に穴を穿ち、弱々しく息を荒げると静かにその瞼を降ろした。
「…ふぅ、なんとかなったのかな…?」
ジモが周囲に目を走らせ、増援がないことに安堵してフリーダの側に立ち寄る。
「いや、流石に数が少なすぎる。……先遣か」
睨みを効かせ、その行動指針に大凡の検討をつける。流石に狩り場ではない縄張りを広げるのに、ここまで小規模なグループだけのはずがない。
「ってことは…」
「ああ、まだ来るだろう」
そう断言されてしまえば、浮かれてばかりもいられない。ジモは村の方にも伝えると言って一人中心部付近まで戻っていった。
残ったフリーダは油断なくランポスたちのやってきた方向へと目を向け、その経路を脳裏に思い浮かべる。
「確か、北西の森に居を構えているんだったか…」
平原でよく見かけはするが、その棲家は別だ。村周辺の森ならともかく、北西の森となるとほぼ見たことがない。
故に、ランポス達がどの程度の群れであり、どのくらい侵攻しているのかを測れない。フリーダの予想が外れ、三匹のみの侵入なのか、それとも他に群れがいるのか。いたとして、それが群れのどのくらいの数なのか、いつこちらにやってくるのかが分からない。
そもそもからして個体数は年度や期間で変動する上、先のジャギィ達との縄張り争いによってどの程度残っているのかすら定かではないのだ。
「……少し辿るか」
フリーダは意を決してその木々の先へ踏み入った。
僅かとはいえ村を開けるという心配はあるが、その規模も不明なままでは気を張り詰めすぎることもある。
幸いにも、獲物の痕跡を追ったことはある。それが肉食竜に対してどれほど通じるかは不明だが、相手もこの地上に生きる生物である以上、まったく痕跡を残さないということはないだろう。
「………」
慎重に、慎重に。息を潜めて揺れる小枝にすら注意を払い土壌に刻まれた足跡の流れを辿っていく。
今の季節上落ち葉が新しく降り積もることが多いが、足跡が隠れるたびにそれらを取り払って進む。
「無駄足か…」
そうして、行き着いた果ては複数の足跡が入り乱れており、最早それがどの足跡か、何頭いるのかもわからないほどに残されており、少数がその場で動き回っただけであればよいのだが……。
「まずいな」
その懸念はどうも合っていたらしい。
掻き分けた落ち葉には、先程まで辿っていたランポスのものとは違う足跡が、横に分かれている。
元々の棲家の位置から考えれば、そちらからやってきて、この場で立ち止まったあとに二手、いや反対側も同様の痕跡が見られることから三手に分かれたらしい。
「……狩りと一緒か」
右に五つ、左に六つ。
ランポスの包囲網は既に成り立っているらしい。
直線距離で進む正面が最も早く位置に付き、一番槍として最初に襲いかかり、恐らくだがそれを合図とした挟撃が始まるのだろう。
正面のランポスを倒した為に挟撃は行われなかったが、いくらモンスターといえど合図がないことを不審に思うやもしれない。
そう考えたフリーダは今までの慎重さをかなぐり捨て、全力で来た道を引き返した。
―――いくつもの足跡に紛れた、一際大きな足跡に気づかず…
◆◆◆◆◆
「あれ、フリーダはどこ行ったんだ…?」
少し戻って、一塊になっている村人達にその結果を伝える。先に戻ったイルルク達のお陰で情報の通達などは出来ており、戻ったジモにその結果を問う。
倒したと胸を張って言えば村人からは歓喜の声が上がる。しかし、まだランポスの影が消えたわけではない。それに、他の箇所の見張りをしていた人物から、何かの気配がしたような気がすると不安の声が届いた。
よって、フリーダを呼び戻そうと駆けるが、到着しても張本人はいない。
「おーい! フリーダー?」
呼びかけても、草木がカサカサと揺れる音がみみに届くのみだ。まさか…。と先程の話から顔を青褪めるが、草木の掻き分けた後があり、自分から木々の中に入っていったことが伺える。
「追いかけたいのはやまやまだけど…、視界の悪い森じゃあ弓はあんまり役に立たないし、行き違いになってもあれだからな。うん。私が行ったら村の守りもなくなるし」
どことなく寒気のようなものを覚えたジモは、それを誤魔化すように一人村の中央に戻るのだった。
奇しくも、その選択は正しかったと言えるだろう。
「なあ、あれって…」
「ああ…そうだ」
ちょうどその頃、ジモを見送った村人たちが遠目に青い物体の姿を捉える。まだ遠く、こちらに気づいてはいないみたいだが、柵を超えて村の中に侵入していた。
「ランポスが入ってきてる…!?」
「ジモを呼び戻そう」
「よせっ、大声を出して気づかれたらどうするんだ」
混乱する村人たち。息を潜めてどうにかやり過ごそうとするが、生憎とランポス達とて遊びでやっているわけではない。
最初は遠目に見えていた青い鳥竜は、村を見回るようにして少しずつ近づいてくる。そう広くない村だ。虱潰しに来られてはあっという間に見つかってしまうだろう。
『ギャア! ギャァアッ!』
一体が吠えると、続々と新たなランポスが現れ村を散策し始め、内三体が皆が隠れている方向目掛けて走り寄る。
「!」
「…っ!」
ランポス達はまるでここにいるのが分かっているかのようにその場に立ち止まると、周囲を見渡してすんすんと鼻を鳴らしている。
ランポスの爪が地面を掻き回す音も、軽く呻る様子すら聞こえる程の距離で隠れるのは相当に恐怖を煽る。
やがて、一体のランポスは何かを感じ取ったのか、ある一つの家の入り口の前に立ち、興味深そうに首を傾げては匂いを嗅ぐ行為を繰り返す。
(おい、やめろよ…!?)
(そこには子供や女もいるんだぞ…!)
別の場所からそれを見ていた村人からは懇願のような、怒りのような感情が向けられる。
扉一つない出入り口。壁際に寄り集まって息を押し殺す彼女たちが見ている間にも、ずらりと鋭い歯の並んだ嘴が姿を見せ…
途端、何かに気がついたかのように顔を上げてある方向を睨みだす。それは他二体も同じ様で、一体の気まぐれという訳ではないらしい。
「何が…」
隠れていた一人が僅かに顔を覗かせ、ランポス達の注意が向いている方向を見ると、こちらに向かって疾走する人影、矢を番えて走るジモの姿があった。
「やあっ!」
駆け寄りざまに一射。走りながらのため体の細いランポス達の脇をすり抜けていったが、これで完全にこちらに対して集中するようになった。
「ジモだ!」
「戻ってきてくれたのか!」
警戒する三体の正面に位置取り、互いに睨み合いが続く。先に動いたのはジモだ。突然の乱入者を注意深く見つめるランポスの前で背中の矢を番えると、徐々に弦を引いてゆく。
『ギャッ!』
その構えを隙と見たのか、一番先頭にいた一頭が我先にと飛びかかる。ガリガリと砂煙を立てながら静止し、姿勢を低くして斜め上に離れる。
『ギャァ!?』
見事喉元を貫いた一矢により、ランポスは平衡感覚を崩し着地を盛大に失敗。倒れ込むように落下したランポスはそのまま絶命した。
「やった!」
村人から歓声が上がる。ランポスは仲間が殺されたことで明確にジモを危機として捉える。フリーダにもやって見せたように、互いにコミュニケーションを行い取り囲もうとするが、そうはさせまいとジモも距離を取る。
正面から対峙し、接近するのであればまた話は違っただろうが、遠距離から弓を引くジモには関係ない。二匹を視界内に納めている限り、そう簡単に背後を取られることはないはずだ。
その様子にやり辛さを感じたランポスたちは憎々しげに威嚇を繰り返すが、続けて放たれる矢に一気に攻めたてることも出来ないようだ。
とはいっても、専用の矢も有限。まだまだ余裕はあるとはいえ、フリーダの言った通りまだいるかもしれないと考えられるうちは無駄打ちはあまり出来ない。加えて、ランポス達の注意を引きつけたとはいえ未だランポスの背には村人の隠れる家がある。
気まぐれで反転でもされて向かってしまえば、遠ざかる細身のランポス相手に、絶対に当てられるという自信はない。
「フリーダ、遅いなぁ!」
二体を相手にして勝てはしない。それなりの訓練と経験を得たならばそう難しいことではないが、これが初陣。攻勢に移った瞬間やられてしまうのが目に見えている。
最初にやったのもフリーダが前衛に居てくれたからこそだ。だからこうして時間稼ぎをしてるのだが、それでもランポス達も痺れを切らしてきている。
『ギャアッ!』
その読みは的中し、二体は一鳴きすると一斉に走り出した。ジモは狙いを片方に絞るが、向かってくるランポスに対して恐怖を抱いているのか、当たらない。
焦りを見せるジモは、次々と矢を放つ。それこそ溜めを省略してまでも。それでも数撃ちゃ当たるとの言葉通り、ブレた狙いでも鱗を弾き飛ばす。
「嘘!?」
矢が当たったランポスはしかし、ふらつきながらも姿勢を持ち直し、長所である跳躍力を活かして大きく跳ぶ。
放物線を描き、行き着く先はジモ。飛びかかってきたランポスの爪を何とか横転してかわす。右足に浅く掠ったが、脚甲のお陰で怪我はしなかったが、鉄を削る音と衝撃が走る。
「うわっ!?」
続けて噛みつこうとするところを体を投げ出すようにして躱す。しかし、無様に地を這う彼女に、時間差で襲いかかるもう一体。
「ぅげッ…!」
突然の衝撃に胸の中の空気が吐き出され、苦しそうに呻く。自らを押さえつけているのは、先程の射が当たったランポスだった。
先程の攻撃の恨みか、興奮してギラついた目つきのままに喉元を狙って牙を向ける。が、咄嗟に左手の分厚い手甲を噛ませ、その噛みつきを回避。
ギチギチと歯が金属に擦れる音がする。腕自体にダメージはないが何度も何度も執拗に同じ行動を繰り返すランポスに、ただ左腕を構えるしかない。次第に押さえつける足でも苛立ったように引っ掻き、そのたびに防具によって助けられていた。
『ギャァ! ギャアアッッ…!』
「待って待って待って、死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!」
力勝負に持ち込まれては、押されるしかない状態。これでは時間の問題と分かりつつ、死にたくないから必死で抗う。さりとて、ここまで不利な状況下で、必ず毎回避けられるという保証もない。
「あぁ〜! もう無理!」
そう泣き言を漏らし、目を瞑ったジモだが、予想していた衝撃は来ない。変わりに、ランポスの汚い悲鳴がすぐ近くで響いた。
恐る恐る目を開けると、ランポスの口が目前まで迫り、それが横から蹴り飛ばされジモの隣に横たわる。喉に斬撃跡が残っており、今なおその傷からは生命の証たる血液が流れ出ていた。
「大丈夫か?」
「フリ〜ダ〜!」
そこには、双剣を提げたフリーダが立っていた。不意打ちの一撃で仕留めたらしく既にランポスは息絶えている。
手を貸してもらい立ち上がると、何とかといった様子で弓を構え直す。今の一連の行動から、ランポスとの位置関係は逆転し、今度はジモたちが村のみんなに背を向ける形となる。
残ったランポスは新手に一層の警戒心を抱き、姿勢を低く構えるも手が出せないでいる。すると、先程の戦闘に誘き寄せられたのか、新たに四体のランポスが現れる。
「まだいるの!?」
数が揃って襲いかかるかと思われたが、もとからいたランポスは仲間に顔を向け軽く唸ると、ギャアギャアと一際大きく鳴き続ける。その行為が分からず、ジモがチャンスだと矢を引き絞るが、フリーダは何か気がかりを感じていた。
「1、2、3、4……。ジモ、そこに倒れているヤツ以外でランポスを仕留めたか?」
顔をランポスに向けたまま問う。心当たりのないジモは何故そんなことを聞くのかわからないと言うが、それが何よりの答えだった。
「仲間を呼んでいる! あいつを狙え!」
その指令に迷わず狙い撃つ。気持ちも落ち着いた状態で狙いすまされた一射は、逸れることなくランポスを絶命させた。
「仲間って…」
「足跡を辿った。三方向に分かれていたが、こちらに六体、逆方向に五体分の足跡があった」
淡々と告げるが、それはつまり、挟み撃ちにされた上で9対2を演じろということだ。それも、守るべき村人がいる状態で。
そのことを悟った二人は慌てて眼前の三体を始末するべく武器を向けるが、その頃には背後から迫る地を蹴る土煙が目に移り込んできた。
「もう来たか、悪いが向こうに牽制をしてくれ!」
「わ、わかった」
ジモは身を翻し、迫りくるランポス達を足止めしようと目を凝らすが……。
「あれ、なんか、大きくない?」
中央に一体。そして左右にも一体ずつランポスを伴っており、聞いた話より二体も少ないのは僥倖なのだが、先頭を走る一頭が、明らかに左右のランポスより頭一つ抜けて大きい。
疑問に思いつつも、一頭がより前に出ているだけかと考え、慣れてきた射撃を行う。
狙いは上々。放たれた矢は確実に正面のランポスに真っ直ぐ向かっていき―――
―――浅く突き刺さりはしたものの、煩わしいとでもいうかのように顔を振るとカランと音を立てて落ちた。
今の一撃は、ランポス相手であれば絶命とまではいかずとも、間違いなく重傷になる程度の威力はあった筈だ。少し前の状況と違って、焦ってもいなければ、力だって十分に込めていた。狙いが悪かった訳でもない。ならば何故と、口に出しそうになったその時だった。
近づかれたことにより、その容姿がより細かく確認できた。距離感が狂っていた。原因は、最初にジモが感じた通り、大きさが違うからだ。
血のように赤いトサカは、他のランポスより大きく、反り返る形をしており、より発達した爪は通常体と違いトサカと同じく朱に染まっていた。
「ドスランポス!?」
「何っ!」
流石に予想外の出来事にフリーダですら目を剥きこちらに振り返る。しかし、それを見逃すランポスではない。ここぞとばかりに向かうランポスに手一杯で、背後に迫るドスランポス達に集中できない。
「どうすれば…」
フリーダはランポス四頭の相手をしている。自分が手を貸そうにも、そちらの始末がつく前にドスランポスが来るだろう。
今も悪あがき的に射ってはいるが、動きを止められないのが現状だ。
『グァアアアッ!』
ドスランポスが迫る、迫る、迫る。その様子を確認した住民からも悲鳴が上がる。既に距離は20mを切った。一か八か、自分が前に出ておとりになればと、そう足を踏み出した瞬間。
「どぉぉおおりゃあああああああぁぁッッ!」
『グギャァアッ!?』
横合いから飛び出してきた影が、ドスランポスの頭を殴り飛ばしてその進撃を食い止めた。
薄汚れた鎧に身を通した人物が持つ得物は、骨をそのまま削り出した無骨な大槌。
急な襲撃に動揺したドスランポスは一旦後ろに下がると、部下ともどもこちらに警戒の視線を向ける。
その最中にも、男はこちらに顔を向けて問う。
「ジモに…フリーダか? 一体全体、これはどうなってるんだ?」
「アランッ!」
彼ら探索班の頼れるリーダー。アランの姿がそこにあった。
かんそうください。ひょうかやってやくめでしょ。これ(評価バー)うごくやつ?よろしく(フルゴア)