Wildsのロゴが傷の位置やサイズまでワールドと一緒で続編、あるいは新大陸の未開拓地説が出てますね。
Wildsの略称がMH:WsでWorldSecond説とか、バイオハザードVillageでⅧを表してたように、“Wil”dsでWⅡ説とかあってそれっぽ〜い!と感心しました
「マサミチ!アラン!良かった、無事だったんだな!」
ほうぼうの体で村に到着すると、既に着いていたジモが伝えていたのか、門番の役割を担っている探索班の一人と合流した。彼に案内されて、やってきたのは診療所。
ここはエストの家兼調合所から近くに建てられており、簡素ながらも怪我人や病人を寝かせるためのベッドも備え付けてある。これまでも怪我を負ったりした時は、ここに世話になったことも何度かある。
が、そんな診療所には村中の人が集まっているのではないかと思うほど人が溢れかえっており、みな一様に不安そうな顔で室内を覗いている。
「あっ、二人が来たぞ!」
「道を開けろ!」
駆け寄ると、こちらに気づいたの村の人々が口々に言って作ってもらった隙間を通り抜けながら診療所の中に入る。
「あっ、お二人とも…」
中では、一つのベッドに寝かせられた血まみれのフリーダと、その側でエストが薬草やケルビの角を煎じていた。その反対側には、ジモが防具も脱がずに連れ添っていた。
肝心のフリーダは寝たきりだ。傷には包帯が巻かれており、血を吸って赤く染まっている。
「…フリーダの容態は」
「はい…。良くはないですが、何とか峠は乗り越えましたよ。毒を食らったと聞きましたが、早期に解毒出来ていたのが良かったです。……正直、この傷の大きさで出血毒となると、生命を繋ぐことを諦める他ないと思っていたのですが、フリーダさんの肉体は耐えてくれました。ですので、このまま薬を服用して、安静にしていれば、一先ずは大丈夫だと思います」
「そっか…。良かった」
「ふう、最悪のことにはならずに済んだな」
安心したのか、イャンガルルガと相対した緊張と疲れがドッと溢れ出す。アランに至っては、そのままドサリと倒れ込んで「埃が舞うので少し…」と注意を受けていた。
「ですが、絶対安静が条件です。ただ立って歩くことすら許されない程の怪我です。……勿論、モンスターの狩りなんて、以ての他です」
「……ああ、分かってるよ」
「フリーダのこと、よろしく頼む」
そう言って、このままここにいても邪魔になるだけだと思い二人は診療所を去り、マサミチの家で作戦会議に移る。
「………どうしたもんかな」
やはり、フリーダという優秀な前衛を一人失ったのは痛い。
相手はあのイャンガルルガ、素早い立ち回りに対応することが要求される以上、近距離で動きも捉えづらい近接武器のプレッシャーは計り知れない。
そのため、一人でも多く注意を引き付けて戦闘の中でも自身が狙われない時間を作ったり、隙の穴埋め。何より誰かが攻撃を食らった時のフォローや手助けなど、一人いないとなると、その負担は思っている以上に重いだろう。
「だがよマサミチ、あいつがフリーダが復活するまで悠長に待ってくれるとは思えん」
「…そこだ。イャンガルルガは超攻撃的なモンスター、その上頭が良く、飛行も出来る。……村とそう離れていない距離にいた時点で、村も危ない」
そうなってはおしまいだ。例え運良く激戦を制し勝つことができたとしても、か弱い人間の住処に甚大な被害が出ることは想像に難くない。
直ぐにでも討伐した方がいいのだが、今の状況ではどうしようもない。
こちらが先に撤退したため、イャンガルルガの去った先や住処など分からず、いざ出向いたその時村に飛来するという可能性も考えなければならない。
動けない者や女子供もいるのだ。村に少しでも戦力を残さなければならないこの状況で、イャンガルルガに全戦力を費やすことは出来ない。
「……2人だけで行けるか?」
「……厳しいだろうな。あれでダメージは蓄積されたと思うが、どれくらい弱っているのかはわからないし。何よりモンスターの生命力からすると、余程大きなキズでもなければ、時間経過で癒えるだろうからな」
いよいよもって、不可能と言わざるを得ない。
果たして、今の俺達だけでイャンガルルガを相手できるのか。強豪モンスターという知識と、実際に相対した体験から踏まえても、不安要素はいくらでもある。
考えても考えてもいい案は浮かばず、疲れも相まって深い思考が出来なくなってきたタイミングで、それは外から飛び込んできた。
「ふっふっふっ…!」
家の外套がバサッと開かれ、急に増した光量に思わず眉を顰める。そこには、逆光を浴びて立つ影が二つ。
「―――真打ち登場ニャ!」
「話は村長さんから聞きましたにゃあ」
何を隠そう、アイルーたちのリーダー。ムートとアミザが腕を組んで立っていた。
◆◆◆◆◆
「――――という訳だ。俺達は明日、イャンガルルガを討伐しにいく」
ムート、アミザらと合流し目処が立った俺達は、思い立ったが吉日と直ぐに村中の人達を集めて村長宅にて会議を開いていた。
会議、とは言っても俺達の考えや行動を理解してもらうためのもので、どちらかと言うと報告に近いものだったが。
「だがマサミチ、お前たち4人でも駄目だったんだろ? それに、フリーダのこともある」
実際に運び込まれたフリーダのケガを見たのだろう。不安そうな顔でこちらを心配して尋ねる村人の一人。
「ああ、確かに撤退せざるを得なかった。でも、今回は不意な遭遇で準備が出来ていなかったという点も大きい。相手が分かった以上、対策は万全にしていくつもりだ」
実際に断言出来る訳では無いが、ここで尻込みしてはいらない不安を与えかねない。モンスターに対抗できるフリーダがあれほど酷い怪我を負った相手。そんな危険が近くにあるという不安はどうしても拭いきれない。
だからこそ、ここで言い切ることによって安心させることにする。
「…村のことはどうする?」
「大丈夫だ爺ちゃん。そっちも考えてる」
寡黙に徹していた村長が、皆を代表する様な問を投げる。それにアランは即座に答えた。…というのも、これは予め村長にも相談して決めていた質問だ。これもまた、村のためだ。
「まず、狩猟に行くのは俺とマサミチ、そしてムートとアミザだけだ。ジモと他のアイルーも村には残ることになってる」
「うん、4人には悪いけど、村やフリーダのこともあるし……」
「気にしないでくれ。元々提案だって俺からしたんだ。その気持ちだけでもありがたいさ」
ジモにとっては心苦しいだろうけど、誰か一人戦える者を残すとなれば、正直言って、ジモしか選択肢がない。
イャンガルルガを相手取るのにはバランスが悪いのだ。近接一人とジモではカバーも難しく、その挙動や攻撃も予測が困難になる。ならばいっそのこと、最も連携の取れる近接二人で立ち回り、ムートとアミザの補佐を入れる。
対イャンガルルガはこれでいいが、弓が一人で村を防衛するのには無理があると思うことだろう。当然、それらの事情を分かっている村長が更に切り込む。
「仮にお前たちをすり抜けて村へそいつが現れたら、ジモだけで村を守れるのか?」
「いえ、ジモだけじゃありません。ムート達と訓練を積んだアイルー達や探索班のみんなにも時間を稼ぐ道具を渡して、使い方を教えてあります。もしイャンガルルガが現れたら、村の四方に枯葉と薪を用意しているので、それで狼煙を上げてから逃げてください」
そう言って彼らを見ると、みな緊張しながらも頷いていた。彼等には小タル爆弾やこやし玉、けむり玉の素となるネンチャク草などを渡しており、時間稼ぎと注意の引き付け、逃走が可能な様に整えている。
基本的にジモはモンスターとの戦闘に慣れているので、普段通りに振る舞えると見て指揮に専念するように言ってある。
「念の為武装しますが、使わないことを祈りますよ」
とはエイルの言葉。一部探索班には、以前俺達が使っていた装備や武器などを貸し与え、最低限自衛の用意を整える。
だが、これまでマトモに大型モンスターとやり合った経験のない彼等にイャンガルルガは荷が重い。どちらかと言うと、逃げた先での小型モンスター達への対策としての面が大きい。
とはいえ、こうして形に見えるという安心感はある様で、不安の声も殆ど聞こえなくなる。
「よし、質問はないな? これから俺達は明日に向けて出来る限りの用意をするが、お前たちも明日はいつでも動けるように心掛けてくれると助かる。それじゃあ、俺達はここで失礼する」
そう言って、アラン達はこの場を去っていく。
残された村人たちは暫くその場に留まり、その確認や会話を続けていたが、みなも明日に備える必要があると各々分かれていったのだった。
――――…
そして決戦の日はやって来た。
「よし、不備はないな?」
マサミチの声掛けに、それぞれ装備と道具の確認をして、万全であることを表明する。
一日の間に、用意したものは様々。
前回はランポス相手を想定した持ち物だったため毒対策がなく危なかったが、今回はしっかりと解毒薬、漢方薬を全員が揃えている。その他にも、イャンガルルガに有効であると判断した閃光玉や逃走用のこやし玉、前回効果を確認できたモドリ玉も用意してある。
荷台には大タル爆弾を置けるだけ置き(6個)、大盤振る舞いだ。
「マサミチ!アラン!」
「ジモ…」
いざ出発というタイミングで、ジモが駆け寄ってくる。いや、ジモだけではない。探索班やアイルー達、おやっさん達など、今回の立案に関わった人達が見送りに来てくれた様だ。
「……気をつけてね!」
「村の方は安心してくれよな!」
「ちゃんと使い方は覚えてるからねぇ」
「いざとなったらフリーダはちゃんと避難させるからなー!」
「怪我しないでにゃぁ!」
「頑張ってくれー!」
「聞いてみた所、そのモンスターは美味しいんだってね? バッチリ狩ってきたら料理してあげるから楽しみにしてなよ!」
口々に、声を上げて激励する。
怪鳥や盾蟹、飛竜をも狩猟したハンターが重傷を負ったとなれば、相手のモンスターも只者ではないと感じているのだろう。
だからこそ、彼らは後顧の憂いをなくそうと声を張り上げるのだ。
「頑張れ!アランの兄ちゃんにマサミチの兄ちゃん!」
「だってよ?」
「おう、尚更負けらんねぇな!」
「……うにゃ、オレたちも行くのにニャ…」
「仕方ないにゃ。貢献度が段違いだからニャー」
こうして、一行はみなの見送りを受けながらイャンガルルガ討伐へ向けて歩き出した。
一か八かの狩猟。敵はイビルジョーにすら食らいつく超好戦的な黒狼鳥。
今回でいよいよ死ぬかもしれない。でも、無茶などこれまで何度も繰り返してきた。
……初めてこの世界に投げ出されたあの日、呑気にも無防備にぶらついた俺はあのまま群れの中で移動しなければジャギィ達に殺されていた。
それだけじゃない。武器もないのにアランと鉱石を採取しにいった帰りだって、イャンクックとアオアシラに追いかけられて死にかけた。
初めてドスジャギィと出くわした時だって、ノウハウもないのによくやった方だ。
再び鉱山に行った時なんか、バサルモスに追い立てられ崖を滑落して気絶してムート達に助けられなかったら死んでいた。その後のショウグンギザミやグラビモスだって、今よりてんで弱い時にやり過ごした。
だからこそ、強者の一角をここで討ち倒して、村のみんなを安心させる。この世界の食物連鎖に食らいつけることを証明するのだ。
「…っふぅー」
「緊張してるのか?」
「…そりゃするだろ。これまでよりもレベルの高い相手だ」
「昨日戦った時は普通に立ち回れてたと思うがな」
「そりゃ考える余裕なんてなかったからな。改めて立ち向かうと思えば、な」
「でも、やるんだろ? …それと、言ってたよな。あいつは飛竜にも匹敵するって」
「ああ」
マサミチは確かにそう言った記憶があると思い返し、頷くと、アランは勝ち気な笑みで親指を立てる。
「だったら、ここであいつを倒しちまえば、ムート達因縁の火竜にも、挑めるレベルだって証明になるだろ? 何より、あんな素早い竜を倒せたら、火竜が遅くて可愛く見えちまうかもしれないしな」
「ニャ! 確かにヤツとも戦えると太鼓判を押せるのニャ」
その言葉を受けて、これまでの緊張と恐怖が少し和らいだ。あんな前の言葉を、未だに覚えていたことへの呆れと、それを大真面目に語ってくる嬉しさ。
「……それもそうだな。イャンガルルガは俺達がより強力なモンスターにも挑めるんだって証明するための、壁役には相応しい相手、か…」
そう、その段階はまるでゲームにおいても存在していた、力の証明の様であった。
「“緊急クエスト・イャンガルルガを討伐せよ”ってところかな」
二人と二匹は気合を入れ直し、あの黒狼鳥を必ず討伐せんと、決意を固めるのであった。
実際イャンガルルガを狩猟できるようになれば、リオレウスに挑んでも大丈夫だと全然思うの