武器ハンターナイフ 頭:なし 胴:なし 腕:見た目はハンターアーム(旧) 腰:なし 脚:見た目はハンターグリーヴ(旧)
ハンターシリーズはマカライトとケルビとかファンゴの毛皮使うもんね。
「ふう、あとは運ぶだけだな」
気絶したアプトノスを仕留め、ついでにその場で血抜きもしておく。アプトノスを狩猟するということで、拡張していた荷台へと何とか乗せる。
以前の物とは違い幅を大きく広げた物で、底面には木材を重ね合わせてより堅固にし、表面には緩衝材となる植物を敷いてから麻布を被せている。車輪は比較的弾性の強い木を鞣して使用し、一部を竜骨でコーティングした。 狭い木々を抜ける事は出来なくなったが、おかげでアプトノス2頭の重さにも潰れる事は無い。
そして今一番大きな問題に突き当たった。この稚拙な荷車が巨大な草食竜の重量に耐えている事は称賛するべきだろう。流石はモンハンの世界の素材。…しかし、荷車が耐えられるとはいえ、人間の力には限界がある訳で。
「んぐぐぐぐ……お、重い…!」
当然である。
これを現実世界で当てはめて考えると軽く考えても7トン近くにもなろうかという重量なのだ。いくら荷車に乗せているとはいえ、少し動かすだけでも相当に力がいる。
一応、二人がかりであるため絶対に無理というわけではないが、それでもたった50メートル進むだけでも結構な時間を要してしまった。これでは帰り着く前に夜が来てしまう。
「ま、参ったな。これはキツイ。時間的にも、肉体的にも……」
一瞬、諦めてしまおうかと思った。何も丸々持って帰る必要は無いのだ。肉だけを剥ぎ取り、持ちきれない分は廃棄する。まともに考えればこれが一番手っ取り早いだろう。
(でもそれじゃあ知らしめる事は出来ない)
この巨体の亡骸を見せて初めて、真の意味でモンスターを狩るという事を理解させられるのだ。 そして、何より自分達が納得出来ない。
「う、おおおぉぉっ!」
「ゴリラ…いや、ラージャンかよ…」
俺が休憩している間にも、アランは必死の形相で引きずっていく。今にして思えばあの時も不意打ちで頭狙いだったとはいえ一撃でアプトノスを気絶させてみせた。コイツ相当な筋力持ってないか?
「ゼェゼェ……マサミチ、一匹は置いて行かないか?」
「でもな……」
「確かに時間をかければ大丈夫だろうが……このままじゃ夜が来ちまう」
アランの言うとおり、この帰り道は遅々として進まず、冬が近い今この時期ではあっという間に日が暮れてしまう。
「……………仕方ないか。一匹だけでも目的は達成出来るし」
食べる為に狩った獲物を捨てるのは非常に心苦しいが、背に腹は代えられない。このままでは俺達の身が危険なのだ。せめて安らかに眠って欲しい。
断腸の思いで判断し、小さい方のアプトノスを荷車から降ろそうとしたその時だった。
ガサガサッ
「「!」」
先の木々の向こうから、草むらを掻き分ける音が聞こえてくる。示し合わせた様に二人揃って息を潜めて様子を伺う。
やがて土を踏みしめる音まで聞こえるようになった。
「ふう、あの二人は何処に行ったって……うお!?モ、モンスター!?」
「ジモ。落ち着け。それはアプトノスだ。それも死んでる」
現れたのは村の調達組のメンバー達だ。そうと分かれば姿を晒す。
「アラン!マサミチ!こんな所にいたのか!」
「それはこっちのセリフだ。なんで皆がここに?」
話によれば、日が傾こうとした時に村長から俺達を探して手伝う様に、とそれだけを聞いて来たらしい。おおよその方向はおやっさんに教えてもらったとの事。
「いきなり手伝えと言われたかと思えば村長たちは行けば分かるとしか言わないし…」
「…まあ、確かに見た方が納得は出来たが…。これを手伝えばいいんだろ?」
話が早く、フリーダ達は早速荷車の背後や前方に回り込み、共に荷車を押してくれる。決して早いとは言えないが、負担も分散され、一定の速度で進み出す。これなら間に合いそうだ。
「…にしても、よくこんなの見つけたなぁ」
「ああ、他のモンスターにやられたにしては傷が少ないしどこも食われてない。運が良かったな」
……成程、確かにそうなるか。
この世界…というか村にはモンスターを狩るなんて発想は無い。モンスターの死骸を見せられたら、他の生物の仕業と思うのは当然の事だろう。でもそれは前例が無かったからだ。
「いーや、お前たち。聞いて驚くなよ?このアプトノス達は俺とマサミチで仕留めたんだ」
「おい……まあいいか、どの道ばらす予定だったし」
肝心の反応だが、特に驚いた様な顔ぶれは無い。
「お、おい?嘘じゃないからな?本当だぞ?」
あまりに薄いものだから逆に心配になり、念を押すアラン。それで顔を見合わせては笑い出す。
「?なんで笑って…」
「…いや、村長の言ってたのは本当だったな、と思ってな」
「あ、ああ。確かにモンスター…それもここまでの大きさのものを倒すなんて言われても、信じられなかっただろうな…」
「流石に目の辺りにしたら信じるしかないよ。モンスターを狩る…ね。その考えは無かった。僕達にとっては狩るのは精々がちっちゃな動物とかだと思ってたからさ」
意外にも、調達組はすんなりとこのことを受け入れた。それは彼らが若く、柔軟な思考が出来た事と、今現在の困窮した状況ではそういう意見が出ても可笑しくない、という判断からであった。
彼らは帰路にてわいわいとその話に花を咲かせた。
◇◆◇◆◇
すっかり日が落ちた頃。フィシ村は珍しく活気に満ちていた。勿論、普段が陰鬱という訳でなく、夜は大人しくしているという方針なだけではあるが。今回は事が事だ。
村の中央の広場には篝火が焚かれ、それを囲む村人たちの顔は喜色に塗れている。その理由は当然、アプトノスの肉にあった。男衆は豪快に齧りつき、女衆もその美味しさに舌鼓をうつ。子供も目を輝かせ、我先にと肉へと飛びついていた。
「…なんか、いいな。こういうの」
俺は今、少し中央から離れた場所でとある作業をしながら皆を眺めている。最近は影の指したような表情をしていた人達が、今は顔をほころばせて騒いでいる。これだけでも少しは恩返しが出来たかな?と思う。
「ようマサミチ。居ないと思ったら…何やってるんだ?」
「アラン…」
ひょい、と顔を覗かせたアランの手には串焼きが二つ。内一本を受け取り、幾つも並んだ燻製釜へと顔を向ける。
「何って、保存食を作ってるんだよ」
「保存食?」
「そりゃあ、ここの皆が満腹になっても余り過ぎるくらいの量は取ってきた筈だし。腐りやすい肉は早めにこうしておいて貯めておくんだよ。一応他の人にも頼んでるし、暇が空いたりしたら様子を見るようにも言ってるからさ」
そう、何と言っても保存食。アランが2日の間に荷車を強化している間に、その下準備は終わらせていた。燻煙釜を組み立て、
塩を探し、スモークする為の木々も大量に用意した。
冷凍保存が不可能な以上、こういう方法を取るしかない。燻製だけを作るのは量的に不可能であり、念の為こんがり焼いた肉を塩漬けにする様にも言ってある。まあそれでも余る物は余ってしまうが……。
「俺は聞いてないぞ?」
「いや、お前は昼にも頑張ってくれたし、解体もやってただろ?」
「それはそうだが……」
「まあまあ、そこはいいだろ。俺だけじゃなくみんなもやってくれるから」
結局の所。プレゼンとしては大成功。村の人々も実物を見たからかすんなりと指示を聞いてくれ、今や村の各地では燻製の煙が上がっている程だ。
「村長は?」
「じいちゃんか?…まあ、じいちゃんも食ってるよ。顔に出してこそいないが、あれは喜んでるって感じだったな」
「そっか」
暫し、パチパチという木が焼ける音と村人の騒ぎが耳朶を打つ。
「…何て言ってた?」
「ん、何か色々と遠回しに頑張れって言われたよ。『今回の狩猟によって村の食糧危機が一時的に阻止出来る事はあい分かった。そしてお前達が外の世界でもやっていける事も。…今回の実績から一先ずは認めよう。この村の為になっていると。だが今回は草食竜が相手だったこともある。くれぐれと無謀な考えは起こさず、これからも精進してくれ』って感じ」
「…素直じゃないな」
「いや、多分最後の方は普通に言われたと思う」
「孫が心配なんだろ」
アプトノスは美味い。これはモンハンではある意味常識的な事だが、実食すると分かる。牛肉に近いようで違う味。だけれど臭みがあるわけでもなく、食べやすい。これは愛好家が居るのも納得だ。
「美味いな。俺達が狩って来たのもあってかもっと美味い」
「だろ?」
「…次は、どうする?」
「さあ?でも何かあるんじゃないか?」
「…何だそれ」
「俺達はハンターになんだろ?フィシ村のハンター…いいじゃないか」
「まだ卵から出てきてすらいないけどな」
「ならもうすぐ生まれる。きっとそうなる」
「そういうもんか?」
「そんな感じでいいんじゃないか?俺は本物のハンターなんて知らないからな」
「……それもそうか。じゃあ明日はハンターについて知ってる事を幾つか話そうか?」
「別に今からでもいいんだぜ?」
「いや、今日は疲れたから食ったら寝る予定だよ」
「おーい、二人共ー!こっちで食べよー!」
ミーニャの声に二人して顔を見合わせる。そちらを見るとおやっさんとエイルまでもが参加していた。
「だってよ」
「まあ、いっか」
その喧騒は闇夜を裂き、楽しげな声は長い間途絶える事は無かった。
アプトノスの重さはパラサウロロフスをモデルとしています。
感想乞食なのでちょっとでもいいな、と思ったら下さい。すると作者のモチベが上がってより面白いものが書けます。はい。