"個性"ゴキブリ    作:ゴッキー

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お久しぶりです。
今回はリハビリも兼ねて短いです。
ストーリーとしては完全に蛇足ですが、チンタラと書いていきます。

また、ぬるっと架空の地名が出てきますが、原作にならいスターウォーズからとっています。

あと、スター戦をテレビで見たい。6期どこまでやるんだろう?


蛇足・お仕事編
VSヤクザ ①


 

 

 

 

 

 港や空港は当然だが、密輸に対して最大限の警戒をされている。というよりも、海に囲まれたこの国において、海外からモノを持ち込む際にはワープ系の"個性"が無い限り必ずどちらかを通らなければならない。

 そのため、超人社会となった現在もこの2つは厳重に監視されている。

 

『BB、こちら目良(めら)、間もなく船が出立する、準備は良いですか?』

 

 公安直属ヒーロー(仮免)である、Black・Beetleこと()()()()()はコンテナの上に身を隠しながら通信を聴いていた。時刻は深夜0時を回っているが、港を照らすライトのおかげで暗くはない。そのせいで、身を隠すことが難しくなってはいるが現状問題はない。

 周囲は大量のコンテナが碁盤のように規則正しく並んでおり、複数の人やフォークリフトが貨物を船へと運んでいる。また、この港はとある物流会社の所有地にあたる。つまりは、私有地であり"個性"の使用は認められている。しかし、それでも仕事に"個性"を使うのは届出が必要だ。しかし、提出されている人数以上の人が"個性"を使用している。明らかに違法ではあるが、今回の任務とは関係ない。

 

「はい、準備完了です。潜入を開始します。」

 

 アマメの言葉に通信越しの目良が答えた。

 

『お願いします。』

 

 その言葉を聴いてアマメは動き出した。

 彼女の"個性"は()()である。蜚蠊っぽい事が蜚蠊以上にできる。生命力、敏捷性、飛行(滑空)などなど、彼女の"個性"は汎用性に富んでいる。

 

(……集中)

 

 精神を集中させる。彼女の頭から伸びる2本の触覚は空気の振動を感知する。本物のゴキブリはお尻にある器官で行うが彼女は触覚を使う。これを駆使して、周囲の状況を把握する。

 

(真下に5 人、コンテナから荷物を出してる)

 

(5メートル以内にフォークリフト3台)

 

(角を曲がった先に、4人、サボってる?)

 

 周囲の状況を把握する。彼女の持つ()()()()()()()である。しかし、この索敵能力はホークスに鍛えられており非常に高い。

 

(よし)

 

 アマメは気合を入れて、その場から跳んだ。彼女のコスチュームは身体にフィットした黒いジャンプスーツである。しかし、背中は大きく開いており、蜚蠊の羽(正しくはは翅だが)の邪魔をしないようになっている。しかし、彼女の飛行能力は低くジャンプ力の底上げや、滑空程度しか出来ない。とはいえ、落下速度を殺して静かに着地するのには便利だ。

 

(フォークリフトが来る。上に逃げる!)

 

 壁を這い、人目を避けて移動する。誰にも気づかれずに潜り込む、潜入(ステルス)任務こそ、彼女の得意分野である。そして、荷物を輸送させるアルミバントラックが停まっている場所まで移動する。トラックは数十台停まっており、1台ずつ荷物を積み込んでおり、一杯になり次第発進している。アマメは悩んでも意味がないと判断して、適当なトラックのコンテナの上ち移動した。

 トラックは大型のため荷台の上に乗って仕舞えば上からでない限り気づかれることはない。そして、感知で荷物が積み終わり、コンテナの扉が閉まる瞬間に、屋根から天井に這うように中に入り込んだ。

 ガチャリと鍵が閉まる音を聞いた後、息を吐いた。

 

「第一段階完了……」

 

 腰のウエストポーチからスマホを取り出して懐中電灯機能で周囲を照らした。中には様々な大きさの木箱がぎゅうぎゅうに隙間なく詰まっている。その様はパズルのようで、ある意味職人技だ。

 

(けど、足の踏み場もない。)

 

 今、彼女は天井に張り付いている状態である。別段、このままでも問題はないが、普通に地面に立っていた方が楽は楽である。

 

「第二段階開始」

 

 そう呟くと近くの木箱の上に着地した。何度か叩いてみてみると、特に封をされている訳はなく、普通に開けられる事が分かった。そして、その箱を開けてみると中には、ビニール製の袋に包まれた白い粉が沢山入っていた。

 

「こりゃ、()を調べる()()()()の開始だ。」

 

 そんな事を言いながらウェストポーチから小型の機械を取り出した。見た目はポケベルによく似ているが、側面から一本の針を出す事ができる。アマメは慣れた手つきで画面を操作して針を粉が入ったビニールに突き刺した。

 

(あとは待つだけ、小麦粉じゃないだろうなぁ)

 

 そして、1分くらいするとまた機械を操作する。画面に表示されたのはある意味、彼女の想定通りの文言だ。

 

「……新型のコカイン……。」

 

 "個性"が当たり前となった超人社会。しかし、それでも根本から変わったわけでは無い。相変わらず人の心は弱く、それに漬け込む悪は存在する。その一つが違法薬物だ。一時の快楽の為に心と身体を蝕むソレはいつになっても残り続けている。

 

(けど、あまり目立たない。)

 

 ヒーローは人気商売だ。しかし、この手の組織犯罪は大きく報道されることは少ないし地味だ。表で暴れる(ヴィラン)をぶちのめした方が認知度は上がる。そのため、積極的に動くヒーローは少ない。

 

(けど、相澤先生は動いてるんだよね。流石だ。)

 

 同じ組織を追っているのに、公安の采配で一度も顔を合わせた事がないアングラ系ヒーローを思い浮かべ、寂しげに笑みを浮かべた。そして、スマホで周囲の写真を数枚撮影した。

 

(第二段階は終わった。次は……)

 

 次が最も重要だ。このトラックが向かう先、麻薬密売ルートの情報を得ることだ。昔から公安は大規模な麻薬密売ルートの存在を確認していた。しかし、それがどのようなルートを通っているのか、何者が管理しているのかすら把握しきれていなかった。ヒーローの台頭によりかつてよりも縮小したが、それでも残ったルートはより闇に潜り公安でも尻尾を掴めていない。

 が、先日、突然捉えられてのだ。とある物流会社と麻薬密売との繋りを掴んだのである。こればかりは警察の地道な捜査の賜物と言わざるを得ない。このチャンス、無駄にする訳にはいかない。

 

(けど、今は待つだけ……)

 

 そう思い、箱に寄りかかりトラックが停まるのを待った。スマホを取り出して適当にゲームに興じる。公安からの給料は普通に良く、お金はあるので札束で殴るタイプのソシャゲではかなりトップランクを維持している。かつてでは考えられない暮らしだ。

 そして、1時間もしないうちにトラックは停止した。空気の振動から信号ではないことは分かる。かぶりは咄嗟に天井へと張り付いて身を潜めた。すると、外を歩く音の後、ガチャリという音ともに扉が開いた。

 

(上は見ないでよう。)

 

 扉が開くと同時に、天井から外に履い出て屋根へと登る。身体を伏せて周囲を感知を深めて観察する。現在いるのは屋内駐車場だ。しかし、かなり広く、20台を超えるトラックが停まっているが、それでもあと倍以上は停車できるだろう。天井も高く、バレーボールとかなら十分可能だ。また、"個性"を使用して荷下ろしをしており、一見重労働のようだが涼しい顔をして楽々と作業をしている。

 

(次ッ!)

 

 他のトラックも荷下ろしを行っている。そのため、それなりの人数がこの駐車場にいる。それらの動きを感知し、死角を縫うように這って移動する。

 無論、監視カメラにも要注意だ。特に出入り口には設置されている可能性が高い。どうするかと悩んだ末に、アマメは通風口に入った。中にはプロペラがついていたりしたが、()()()で硬化した拳で破壊して進んだ。

 

(よし、屋上だ。)

 

 通気口から屋上へと移動する。アマメが居た建物は一階建ての幅が広い建物だ。見た目は屋内駐車場のようである。車の出入りだけを考えた設計で、荷物の積み下ろしのしやすは考えられていないようである。個性"を使用しての作業を前提としているのだろう。

また、外観は明らかに中の駐車スペースよりも大きく、事務所的な場所も内部にあるのが分かる。

 とはいえ、今は報告が先決だ。そう思い、スマホを取り出した。

 

「こちらBBです。とりあえず、配送センターのような場所に到着しました。」

 

 その電話に応えたのは目良だった。いつもの眠そうな声ではなく、真面目なものになっている。

 

『はい、こちらもGPSで確認しています。現在地は北海道、楽指(らくさす)市郊外のようです。なにか、転送系の"個性"が使用されたようですが、問題はありませんか?』

 

 あの港は湘南周辺であった。本来は逆立ちしても1時間では北海道には辿り着けない。しかし、今は超人社会、なんでもありだ。今さら、驚くことじゃ無い。

 

「……問題ありません。予定通り、調査を開始します。」

 

『お願いします。』

 

 通話は終了。そのまま、アマメはスマホをしまい、屋上を這う。とりあえず、事務所的な場所を目指して通気口へと入った。

 

(このへんかな。)

 

 通気口を通り建物内へと侵入。人の気配が無いことを確認して事務所へと降りる。デスクトップのパソコンが置いてあるデスクが5台あり、そのうち一つはリーダーの机なのか、部屋を一望できる場所にあり、机の作りも豪華で有る。

 しかし、不自然なほどに人の気配が無い。それに違和感を覚えたが、物流拠点として使われてるだけでデスクワークをする人は少ないのだろう、と、アマメは勝手に思った。

 

(とりあえず、調査しないと……。)

 

 そう思い、リーダーの机だと思われる場所の調査をすることにした。机には家族写真があった。小太りの40歳くらいの男性、その横には30代半ほどの猫耳の生えた女性、そして、小学校高学年くらいの女の子。3人の写っている写真だ。

 

(仲の良さそうな家族。幸せそうなのに、なんで犯罪なんて……)

 

 仲の良い幸せな家族。それが有るのにどうして犯罪なんて犯すのか、真っ当に普通の幸せではダメなのか? アマメはそう考えたが、思考を切った。まずはパソコンを調べる。この会社のパソコンのパスワードは全て社名で統一されている、という情報は入手済みだ。問題なくロックを解除する。

 

(ろくな情報が無い……。決済報告書、配送リスト……。)

 

 USBメモリをパソコンに挿してデータをコピーしていく。パソコンがコピー処理に入ると机の引き出しを調べ始める。さまざまな書類があるが必要なものは写真を撮っていく。そして、一通の封筒を見つけた。中には数枚の写真が入っていた。

 

(これは……。)

 

 写るのは机の上に置いてある家族写真の女性と女の子だ。しかし、どれもがカメラ目線なんかではなく、日常のありふれた光景だ。まるで、撮られたことすら気がついていないような日常の様子。

 女性はママ友との談笑風景、買い物の様子、バス停でスマホを見ている様子、

 女の子は友人との登下校、学校での体育、友だちとの会話してる様子などだ。

 

(盗撮……。別の事件?)

 

 アマメは首を傾げつつも、写真の中に入っていた一枚の手紙を開く。中にはパソコンで打たれた文字が印刷されていた。

 

【もし、よろしければ業務委託の件を考え直していただけないでしょうか? 家族の日常の写真を同封しておきました。普段見れない家族の様子で気分を落ち着かせてください。】

 

 (業務委託?脅されている?)

 

 同封してる写真から、いつでも家族を殺せるぞ、と言う脅しが見えた。業務委託と言っているが、ようは家族を殺されたくないなら言うこと聞け、と、言っているのである。

 冷え切った感情のまま、アマメは手紙と写真をスマホで撮影した。

 

(このハンコって確か……)

 

 手紙には印鑑が印刷されていた。印刷だしインクのつきかたから、電子印鑑のようなものなのだろう。しかし、その独特なデザインは彼女の記憶にあった。

 

「五戒組……。」

 

 指定(ヴィラン)団体だ。裏社会に巣食う反社会勢力。ヒーローの対等によりの数は激減しているが、確かに多く存在している。その監視も公安の仕事である。五戒組はかの死穢八斎會の傘下にあたる組織であり、何年も前から公安はマークしている。

 

(何が目的?)

 

 悩んでいても仕方がない。今は仕入れられる情報を出来るだけ持ち帰ることが優先だ。そう考え、部屋を出来るだけ物色し脱出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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