"個性"ゴキブリ    作:ゴッキー

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主人公は出久が無個性であったことを知りません。



高校生活編
初登校・友達・除籍


雄英の入試から数日が経過した。2月中旬から3年は自由登校という事実上の休みとなったため、かぶりは家から出ることも極端に減った。それなのに本を読むなど元々の趣味に集中できないでいた。それは一重に試験のせいだ。

試験の結果が気になって仕方がなく、何をするにも力が入らないのだ。常に受験のことを考えているが、何かできるわけでもない。

そんな状態が続いていた。

 

「雄英合格か……。you!えぇえ!?合格したの? なんて、展開、難しいなぁ……。」

 

部屋の天井にくっつき雑巾をかけながらかぶりは呟いた。現在、家主である薫は仕事へと出かけているため、彼女の独り言は聞かれることがない。それを良いことに、普段心の中で思っていることが次々と口から溢れかえる。

 

「せめて普通科は受かってて欲しいよね。ふぅ!通過した!って。感じかなぁ。」

 

1人という解放感と、不安からくるストレスでいつも以上に口数が多くなっていた。対人は怖いが、誰もいないところだとかなり饒舌になってしまうのが、かぶりという少女である。

しかし、その口数ほど掃除は進んでおらず、無駄な時間だけが過ぎていった。

 

ピーンポーン。

 

と、少し掠れたインターホンの音が部屋に響いた。かぶりは知らない人に会うのに軽い緊張を覚えながら、天井からクルリと半回転して着地した。

 

「は、はい。今、開けます。」

 

そう声をかけながら扉を開けると簡易書留の配達であった。宛先はかぶり当てで、差出人は……。

 

(雄英高校っ!)

 

その宛先を見てかぶりは心臓が鷲掴みにされたかのように胸が苦しくなった。早く見たいという思いと見たくないと思いが交差し、思考がぐちゃぐちゃになってしまう。けれども、それとは裏腹に機械的に郵便局員への対応はこなす。

サインして封筒を受け取り、ひとまず机の上に置き眺める。

 

「……どうしよう。」

 

見るか、見ないか、かぶりの中で激しく揺れる。1人で見るのは怖い。しかし、このまま待っているのもやりきれない。というか気になる。

ぐるぐると迷うこと30分、かぶりは封筒を眺め続けた。

そして、

 

「あぁ! あーーーー!!」

 

叫んだ。

平日の昼間なので、隣に住む学生は大学へと行っているため問題ないが、仮に休日だったならば苦情が来ていただろう。

そんな雄叫びだ。

 

「もう! 見る! どうにでもなれ!」

 

やけっぱちのように叫ぶが、慎重に封筒の口を綺麗に開ける。中を引っ張り出すと円盤状の投影機と数枚の紙だった。紙はおそらく合否の通知書だと想像つくが、投影機がなんなのか分からない。

 

「よし、見るよ!」

 

紙と投影機どちらを見るか一瞬悩んだが、特に理由はなく直感で投影機を先に見ることにした。

机の上に置きスイッチを押す。すると、大きなネズミが映し出された。

 

『ネズミなのか犬なのか熊なのか、かくしてその正体は雄英高校の校長、根津さ!』

 

雄英高校の校長である根津である。受験するにあたり、かぶりは面接対策で公開されている教職員の顔と名前、そしてヒーローとしての活躍を把握しているため、すぐに根津校長だと分かった。

 

(でも、なんで校長先生が? というかなんで映像で?)

 

彼女の疑問を置き去りにして立体映像は流れていく。

 

『さて、筆記試験の結果だけど、大変良く出来ていた。筆記だけを見るなら問題なく合格圏内だったさ!さて、実技試験の結果だが……』

 

映像の中の校長は実技試験の仕組みを説明し始めた。大まかな内容は当日に聞いた通りだが、それとは別にレスキューポイントというものがあり人を助けた事により得点が追加される仕組みだったらしい。

無論、0点の動きを止めた事もレスキューポイントとして反映されており、かぶりは合計48点の得点を得た。

 

『うん、問題なく合格だよ。ここが君のヒーローアカデミアさ!』

 

その言葉とともに映像は終わった。

しかし、かぶりは呆然としたまま動けなかった。この一年、彼女は必死に頑張ってきた。そして、それが今、報われたのだ。

 

「やった……。やったよ……」

 

自然と涙が溢れて出てきた。

 

 

 

 

時は流れ、春休みは終わり雄英高校の授業開始日となった。

合格祝いとして寿司(全皿一貫100円で回転してるところ)などでお祝いをしたりなど、引き取られる前は言うまでまでもなく、最近までずっと受験に向けたことしかしてこなかったかぶりにとって、とても楽しい長期休暇だった。

 

「……いってきます。」

 

「いってらっしゃい!」

 

かぶりは靴を履き振り返ると、薫が笑顔で答えてくれた。

慣れてきたとはいえ、このやりとりだけでも彼女にとってはとても嬉しく、ありがたかった。

しかし、今日は平日だ。

 

「………でも、薫お姉ちゃん。仕事は大丈夫なの?」

 

いつもならとっくに家を出ている時間だ。しかし、薫はいつものスーツを着ているが出かけるそぶりはなかった。

 

「うん、うちの会社も()()()()()を導入してね。休めなかったから入学式は見れないけど、せめてお見送りくらいはしたかったからね。」

 

(フレックス……?たしか、出社時間を自由に選べるってやつだっけ?)

 

かぶりのその思考をよそに薫は嬉しそうに彼女の肩を叩いた。

 

「頑張ってきな!」

 

「うん!」

 

力強く頷いて家を出た。

そこから、地下鉄を乗り継いで40分。かぶりは雄英高校に辿り着いた。

学校からあらかじめ言われていた時間よりも30分ほど早めに着いたが、人は意外にも多い。キョロキョロと周りを見ながら下駄箱へと行き校舎の中へと入る。雄英高校は広大な土地を保有しており、本校舎だけでもかなり広い。受験日は至る所に張り紙がしてあったし、他の受験生の後ろをついていけば辿り着けた。しかし、今回はそううまくいかない。

 

(迷った……。)

 

その廊下は似たような大きな扉が並ぶ廊下がズラッと続いていた。まるで迷路だ。

 

(新宿にも迷宮があるらしいけど、きっとその比じゃないよ。行ったことないけど)

 

同封されていた校内の簡単な見取り図は、すでに自身がどこにいるのか分からない状態では使い物にならない。

辺りを見渡しても人はおらず、聞くこともできないでいた。

 

(理科室とか移動教室の場所なのかな? 人がいない。)

 

見取り図が送られてきたから、どうにかなるだろうとたかを括っていたが、おとなしく初めから聞いておけば良かったと後悔した。

しかし、落ち込んでいても始まらない。来た道を戻れば人通りが多い場所に行けるだろうと考え、かぶりは歩き出した。

その時、

 

「あの、すいません。道を聞きたいんですけど……。」

 

ふと、背後から話しかけられた。振り返ると、見るからに新品の制服を着た女子生徒がいた。彼女は特徴的な、イヤホンジャック(正確にはフォーン端子、もしくはフォーンプラグ)のような耳をしており、見取り図を手に持っていた。かぶりと同じように道に迷ってしまっているようだ。

 

「えっと、1-A組ってどうやって行けばいいか分かりますか?」

 

「あ、その、わ、私も、1年、です。」

 

かぶりがそういうと、女子生徒は一瞬驚いたような表情をした後、慌てて謝った。

 

「あ、ご、ごめん。てっきり先輩かと……。」

 

「……しょ、しょうがないよ。私の制服、ボロいし……。シミもあるし」

 

かぶりの着ている制服は悲しい事に新品ではない。薫が頑張って知り合い、先輩に当たりまくり、雄英を卒業した女性ヒーロー"へべれげ"から、制服を譲って貰ったものだ。また、ヒーローなので正義感も強く、制服だけでなく体操服も譲ってもらっている。

激しい訓練で破損することも多いらしく、へべれげは色々探してくれたおかげで、30着くらい貰えた。かぶりも薫もこんなに要らないと思ったが、へべれげ曰く、これでも足りないかもしれない、とのことだ。

そんな経緯があり、今、かぶりが着ているのは既に3年間使われた()()()()()制服なのだある。かなりぶかぶかで着られている感があることを除けば、先輩だと思われても仕方がない。

 

「…………いや、リユースは良いと思うよ。それより、1-Aの場所なんて、分かる…………?」

 

「……はい、私も……………迷子です。」

 

2人の間になんとも言えない空気が流れた。

仲間が増えてもどちらも迷子だ。状況は何一つ変わっていない。

しかし、こうしても居られないので軽く自己紹介をすませた後、教室を探す事にした。女子生徒の名前は耳郎響香。なんでも、"個性"で微細な音も探知することが出来るらしく、迷った後、人の足音を聴いてかぶりの元まで辿り着いたとのことだった。

 

「………。あっちの方に人が多くいるみたい。」

 

かぶりは空気の振動から人の多い方を探り、人の多そうな方を指さした。とりあえず、教師でも先輩でもいいので道を知っている人に出会えれば解決すると思ったのだ。

 

「へぇ。沖の"個性"も索敵が得意なんだ。」

 

響香がそう返すとかぶりは、少し間を置いてから頷いた。

 

「う、うん。そ、そんな感じ。」

 

彼女の"個性"は探索以外にも幅広いものなのだが、言わなかった。単純に、ゴキブリという"個性"がなんだか恥ずかしかったからだ。

また、"個性"についてこれ以上、深く聞かれたくないので、慌てて次の話を考える。けれども会話のキャッチボールのペースを理解してリードしてくれる薫以外と()()をしたことがあまりないかぶりにとって、話題を振るというのは難関である。

黙っていれば罵倒という"会話のデッドボール"が飛んでくる勝己や、ヒーローについて話を振れば"会話の打ちっぱなし"が始まる出久との会話(笑)がいかに楽だったか思い知らされた。

 

(まぁ、あの2人ともほとんど話した事ないけど……。えっと、それより、どうする?)

 

「あ、あの、耳郎さんの……。ご、御趣味は!な、なんですか?」

 

「お見合いか。…………あ、ま、まぁ。趣味は音楽、かな? ロックとかよく聞くよ。」

 

かぶりは音楽には疎い。というよりも、スマホは持っていても家にWi-Fiなんて無いため通信料的に動画なんて見れないし、CDなども買ったり借りたりする余裕なんてない。しかし、話を広げる為に過去の記憶を掘り起こす。

 

「ろ、ロック? 前に"世界の音楽の歴史'って本で読んだことあるよ。超常黎明期以前の大昔のアメリカが起源なんだよね。えっと、黒人音楽が元になってるって……。」

 

図書館にある本は雑食的に読むため、かぶりの知識には幅広く謎が多い。しかし、そんなことを知らない響香は少し面食らった。しかし、そんな本を読むということは彼女も音楽が好きなのかもしれない、と、響香は少し期待をしてしまった。やはり彼女も趣味の話が出来る友人は欲しい。

 

「いや、まぁ、そうだけど。沖も音楽とか好きなの?」

 

「そ、そういうわけじゃないよ。た、ただ。図書館にある本を片っ端から、読んでるだけ……。」

 

その後、2人はなんだかんだで会話を途切れさせることなく、人が多い場所へと辿り着いた。

かぶりは会話をしていくうちに(耳郎に対してのみ)慣れてきて落ち着いて話せるようになってきていた。響香はたどたどしいながらも予想外の返しをしてくるかぶりとの会話をなんだかんだで楽しんでいた。出会って間もないがかぶりがいい子であることは伝わったし、なんだか放っておけないような気がしたのだ。

迷子というハプニングからだが、2人とも新たな生活への不安は少しだけ薄くなった。

 

 

2人はなんとか道を聞きA組へと辿り着いた。

早めに登校してきたのだが、迷っていた時間が長かったのと校舎自体が広かったためギリギリとまではいかないが余裕はあまりない時間となってしまった。

教室には既にほとんどの生徒が登校してきており、ほとんどの席が埋まっている。

 

「あ! 良かったよー。受かったんだね!」

 

教卓の上に置いてあった座席表を確認していると、ピンク色の肌の少女、実技試験で出会った芦戸三奈がかぶりの元に駆け寄ってきた。

 

「あ、芦戸さん。受かったんだ。お、おめでとう。」

 

と、口にしながらかぶりは、三奈と響香が初対面であることに思い出した。対人関係に乏しいかぶりにとってコミュニケーションは図書館で読んだ小説などで学んでいる。そこでは()()()()()()()()()()が仲立ちすることが多かった。

 

(ってことは、私が紹介をしなくちゃ。 よし、やるよ!)

 

心の中で気合を入れ、いざ、2人の仲立ちをしようと口を開けようとした。

 

「ウチは耳郎響香」

 

「私は芦戸三奈。彼女とは試験会場が同じだったんだ。よろしく」

 

けれども、かぶりの決意は虚しく無駄に終わってしまった。

 

(はは。ま、実際はそんなものだよね……。紹介なんてするより自分から自己紹介した方が早いし……。あ、これは紹介のShowかい? いや、紹介のShowって何? あ、緑谷くんと爆豪くんだ。)

 

そんなことを考えていると、キーンコーンカーコーンとチャイムが響いた。それを聞いた3人はひとまず席に戻ることにした。

 

「お友達ごっこしたいなら、他所へ行け。ここはヒーロー科だぞ」

 

ふと教室に大人の男性の声が響いていた。今まで10代の話し声しかなかったため、大きくなくても大人の声は良く教室に通る。

かぶりを含めたクラスの全員は声のした方を見ると、寝袋に入った小汚いおっさんがいた。

 

(((なんかいる!)))

 

クラスの全員の驚きを無視してその男は起き上がり、淡々と語り出したた。

 

「担任の相澤消太だ。よろしくね。早速だが、体操着を着てグラウンドに出ろ。購入申請()()()()()者は、持ってきていないだろうから保健室で予備を借りてくれ、話は通してある。」

 

相澤先生は生徒の唖然とした様子を無視して淡々とそう言った。そんな中、眼鏡をかけた男子生徒がビッシっと手を挙げた。その挙動はまるでロボットみたいだと、かぶりは半ば混乱した頭で思った。

 

「2点質問よろしいでしょうか?」

 

男子生徒の発言に相澤先生は頷いた。それを確認すると男子生徒は手を下ろして言葉を続けた。

 

「まず、これから入学式があるはずなのですが、なぜグラウンドに行くのでしょうか?」

 

「……グラウンドで説明する。その方が、ここでするよりも合理的だ。で、もう一つは?」

 

「先程、体操着を購入申請していない生徒もいる、ように聞こえたのですが、それはどう言うことなのでしょうか?」

 

「ああ、それは卒業生から譲ってもらう生徒もいるだけだ。申請者は新品の用意が今あるが、していない者の分は無い。持ち物の通達もしなかったこちらのミスだ。申し訳ないが保健室にある予備を使って貰うことにした。」

 

相澤先生のその言葉で数名の生徒はかぶりの方を見た。彼女はサイズの合っていない、明らかに使い込まれた制服を着ているため、すごく目立つのだ。

 

「質問は以上か?」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

男子生徒は大袈裟に頭を下げ、それを見ると相澤先生は教室を立ち去った。教室に残された生徒たちは少しの間のあと更衣室へと移動し始めた。

かぶりは保健室へ行き体操着を借りて着替えた。今回はたまたま教員であるハウンドドッグに出会ったため迷わず保健室へ辿り着くことが出来た。

 

(それにしても、やっぱり、体操着ダサい……)

 

そして、ことを考えながらグラウンドへと行くと………。

 

「「「"個性"把握テストォ?!」」」

 

なんと、入学式やガイダンスを行わずに自身の最大限を知るための試験を行うことになっていた。内容は小・中学校で行っていた体力テストの"個性"あり版という単純な者だった。

相澤先生曰く、国の怠慢との事だ。確かにかぶりも()()()で走った方が速いのに、どうして二足限定なんだろうと思っていた。

 

(薫お姉ちゃん、仕事で良かったのかな? 入学式に来てたらがっかりしてたかも…。)

 

勝己のデモンストレーションを観ながらそんな事を考えていると相澤先生から衝撃的な言葉を放たれた。

 

「トータル成績最下位を除籍とする。ようこそ此処が雄英高校ヒーロー科だ。全力で乗り越えてこい!」

 

最下位は除籍。

もしそれが真実なら、今までの努力も、これからの夢も全て無になると言うことだ。そして、奨学金の申請はしてしまった。借金は既にあるのだ。

自然とかぶりの表情は引き締まり、身体は震えた。ある意味入試の時を上回るレベルの緊張がかぶりを襲った。

 

(除籍。そんなの嫌だ。)

 

不思議と周りの人達が、友人になれると思った響香や三奈でさえ敵に見えてきそうだ。他の生徒たちも、かぶりと同じ理由なのか、それとも登校初日だからなのか、会話はほぼないまま"個性"把握テストが始まった。

 

 

第一種目 50メートル走。

かぶりと一緒に走るのは麗日お茶子という女子生徒だ。お茶子はクラウチングスタートのポーズを取るが、かぶりは地面にへばりつくように四つ足を着く。

 

(いくよ。)

 

「ヨーイ、スタート!!」

 

機械の掛け声により、かぶりは走り出した。しかし、二足ではなく四つ脚で這うようにだ。その動きは四足歩行の動物のようではなく、必ず手足のどれか一つは地面についている昆虫独特の移動法だ。その動きは簡単に言えば、ひどく気持ちが悪いものだった。不思議とカサカサという擬音がクラスメイトの脳内に響いた。

 

記録:4秒01

 

余談だが、50メートル走で最速記録を出した飯田天哉と1()0()()()()()()で競った場合、かぶりが勝ったりする(レシプロは考えないものとする)。彼は"個性"の特性上、加速する際にギアを1速から順に上げていく必要がある。しかし、かぶりは走り始めてすぐに最高速度を出すことが出来るのだ。

 

第二種目 握力

彼女が壁にへばりついている時は指先ではなく手のひら全体だったりする。そのため、握力はそこまで高いわけではない。

それでも、それなりに鍛えているため普通の女子よりは高い。

 

記録:右45kg 左43kg

 

第三種目 立ち幅跳び

飛行能力は高くなく、下から上へは飛ぶことは出来ないが、羽ばたかせればジャンプ力を底上げすることはできる。そして、そこから滑空すれば、記録は爆発的に伸びる。

羽を使うため体操着の上を脱いで行った(下着は羽を自由に使える特殊な形状のものを使用している)ため、一部男子から熱い視線を受けた。かぶりも気がついているが、気にしている余裕は無かった。

 

記録:1060cm(10.6m)

 

 

第四種目 反復横跳び

ある意味ゴキブリの見せ所である。その敏捷性は昆虫界でトップクラスである。

 

記録: 123点

 

 

その後、特に"個性"を発揮できるタイミングは無く最終種目の持久走まで終えた。持久走は足が速いためそれなりに上位であるが、オートバイで走る八百万百や、高速移動を得意とする飯田天哉に瞬く間に抜かれ、普通に速い轟焦凍、身体が温まり絶好調な爆豪勝己などには勝てなかった。

 

そして総合結果の発表となった。

 

「これが結果だ。」

 

相澤先生がそういって示した結果は7位だった。

 

(良かった……。それに、半分より上だ! やった!)

 

除籍では無いことへの安堵と、意外と好成績であることに喜びを覚えた。しかし、すぐに最下位の名前が目に入った。

 

——緑谷出久

 

(緑谷くん?)

 

同じ中学の男子生徒。友人とまでは言わないが、それでも中学時代に1番、会話した生徒である。自分は残り彼は除籍だ。

そう思うと、ヘドロ事件の時の彼の背中が思い出される。

 

(こんなの嘘だ。)

 

あの時、彼はヒーローだった。

見るからにピーキーな"個性"ではあったが、彼がヒーローにならないなんてかぶりには考えられなかった。

助けたい。彼がヒーローになれないなんて嘘だ。そんな不平不満にも似た感情がかぶりの中に生まれた。その時、相澤先生はハッと笑った。

 

「因みに除籍はウソな。君らの実力を最大限発揮させるための、合理的虚偽だ。」

 

「「「はーーーー!?」」」

 

その言葉に、かぶりは柄にもなく人前で叫んでしまった。

 

(確かに冷静に考えれば、こんな試験で生徒を辞めさせることなんて出来ない……。けど……、けど!)

 

なんだか、疲れてしまいかぶりはその場に座り込んでしまった。

 

「教室にカリキュラムとかあるから目を通しておけ」

 

そんなことを言いながら立ち去る相澤先生の背中を見ながら、かぶりはこの先生苦手かもしれないと心から思った。

とはいえ、彼女の高校生活は始まったばかりである。それも、それなりに良いスタートを切れたのも事実だ。

 

「沖ぃ! 一緒に帰ろ!」

 

「う、うん!」

 

帰り際、響香のその言葉にかぶりは強く頷いた。

 

 

 

 




どうでもいい情報

かぶりに制服と体操着を譲ったヒーロー。(本筋に関わる予定は今のところない)

泥酔ヒーロー へべれげ

本名 酒蔵 キョーカ(さかぐら きょーか)
身長156センチ。年齢23歳。独身。
白髪の女性で、スレンダーな体型である。ヒーロースーツは何故か赤いチャイナドレスのような服を着ている。

"個性" 泥酔強化
筋力、視力、聴力、再生力、思考力、など、およそ全ての身体能力を一時的に強化することが出来る。
しかし、強化すればするほど、血中アルコール濃度が上がり酔っ払ってしまう。また、"個性"を使わなくても彼女の体内にはアルコールが巡っている。
そのため、彼女の素面は存在しない。

この"個性"を用いた彼女の(ヴィラン)退治は、ギャグに近い。
コアなファンが多い。




・酔拳
彼女の動きというか、挙動の先読みは不可能だぞ!
基本的に支離滅裂で、もはや本気を出した彼女は意味不明だ!  

・千鳥
特殊なフラフラな動きから、不意に突然放たれる強烈な一撃!
いつ放たれるかは、誰にもわからないぞ!使えば勝てるタイミングでも使わなかったり、使わなくてもいいタイミングで使われたりする。
というか、本人はこの技の存在を認知していないぞ!ファンが勝手に作った技だ!ようは、ただのパンチ!


・キラキラ爆弾
特殊なキラキラを相手にぶつけて、戦意を喪失させるぞ!
本人には使う意思はないぞ!

・キラキラスリップ
(ヴィラン)の逃走経路を特殊なキラキラでふさぐぞ!
我慢できなかっただけだぞ!


必殺技

・強制強化
アルコールを飲むことで、限界以上に身体能力を強化するぞ!

強制強化、理性喪失(ブラック・アウト)
アルコールを沢山飲み、限界以上に身体能力を強化するぞ!
理性は完全に喪失し、全てのモラルから解き放たれる。本能のままに行動する彼女を止められるものは誰にもいない!(ファン談)


※命に関わることもあるので、お酒の飲み過ぎには注意が必要です。飲めない人に無理に勧めるのもダメです。
また、自分の意思で飲んでいても飲み過ぎとなっていることもあるらしいので、注意が必要です。
酒は飲んでも飲まれるな。です。
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