風雲の如く   作:楠乃

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アマツキツネ その壱

 

 

 

 天狗の里に急行中。

 

 理由? えーっと、聖の所に泊まって何日か経ったんだけど、たまたまその時に『ロリ姉御』の真相を偶然にもちょいと聴いたんだよ。偶然だよ? うん。決して無理やり聴きだしたりはしてないよ。うぬ。

 

 で、その聴いた噂によると、

 何でも『どこぞの天狗』が、どこぞの天狗以上に素早い妖怪の事を『姉御』などと呼ばれているのを聴いて『そいつは我等一族の希望の星じゃあ!!』とか言い始めて、じゃあもっと親しみやすい二つ名をつけようとかっていう事で、男の大天狗以上の権力者及び私を好んで止まないファンの天狗やら妖怪を集めて大会議を興し、

 結果、新興宗教かとも思う程の熱血振りのロリコンどもが決めた二つ名が『ロリ姉御』って訳で……。

 

 ……ぜってーぶっコロス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 儂等はその頃、とある新入りについて頭を悩ませておった。

 彼女はこの度里に新しく入ってきた、言うなれば外からの天狗でこの里から産まれ出でた者ではなかった。

 その為かどうかは知らぬが(よわい)百にも満たぬ存在の筈が、かなりの力を持ってこの地にやって来よった。

 他の天狗達は『力で押し潰すべきだ』や『追放しろ』等の意見が出ており、果てには『殺してしまえ』等と言う輩もおった。

 そのような乱暴な意見を言う輩はまだ少数ではあったが、それでも大多数の意見が『その娘は危険だ』との話ではあった。

 

 ……儂は仲間外れや割れる事、そういう事が一番嫌いじゃ。だから儂は出来る限り穏便に済ませたい。

 

 しかし大天狗をも黙らせ、あの娘も押さえ付けれる案がない。

 儂直属の部下にするなど、大天狗を押さえ付ける案等は幾らでもあるのじゃが……如何せん、そういう事は新入りに対する有効な手立てではない。下の者共からの反発もあるじゃろうし、儂自身もそこまで信頼出来ているという訳でもない。

 大天狗数人でも苦戦するであろうし、速さだけなら儂等ほどの天狗にすら匹敵するほどの実力を持った新入り。

 力を競い合ってその実力をお主等が見極めてはどうじゃ? ……と(そそのか)しても出世欲の大きすぎる同志はあの速さに恐れをなして、勝負を仕掛けようとしない。腑抜けな奴等ばかりじゃ。

 

 若い世代に実力者が出るのは嬉しいが、それと同時に儂等の世代がここまで腑抜けだとは思わなかった。

 かと言って儂が出て勝負すれば良いか? と言い出せば『天魔様が出ればますます調子にのるだけです!!』

 ……何がしたいのじゃお主等は、まったく……。

 

 そもそも、この会議室の前の部屋で待機させておるのじゃぞ? 幾ら聞こえないような音量で喋っておっても、あやつの能力では意味がないじゃろう。

 全く、こうして会議を長引かせる事自体が既に新入りに逆効果である事が解らぬか? 解らぬのじゃろうなぁ……。

 ……とは言え、儂も何かしらの思い付きがあるという訳ではない、と言うのが……。

 

「天魔様! どうするのです!?」

「即刻! この里から追い出すべきです!」

「まぁ、待てぃ……何でお主等はそこまで奴を排斥(はいせき)しようとするのじゃ。新入りも仲間であろう? 天狗の矜恃(きょうじ)はどうしたのじゃ?」

「しかし……!!」

「奴は我々を脅かす存在です!!」

 

 ほぉれみろ、やはり地位を守りたいだけではないか。

 やれやれ……力を持っているにも関わらず、どうして負けると分かってしまった途端に手の平を返すのかの……。

 

「……はぁ。お主等の言う事も確かかも知れぬが……」

「でしょう!? ならば即刻何かしらの処置をすべきです!!」

「今すぐ牢に監禁すべきだ!!」

「脱獄されればどうする!? 恨みを買った私達は……!」

 

 ……はぁ……今すぐ大規模な人事異動でもすべきかの……。

 溜め息が止まらんわい。

 

「お主等! 落ち着k 「チェストォォーー!!」 ガッバアァァァ!?」

「「「てっ、天魔様ぁー!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天狗の里に到着。

 

 志鳴徒の姿はあまり知られてはいない為か、やはり近付く度に『貴様何者だ!!』等と言って突っ掛かって来る天狗達。

 天魔をボコる為に体力温存をして突っ切ろうとするが、中々にウザい。まぁウザい。ホントウザい。ウッザイ!!

 

 しかしまぁ、そんな時に馬鹿弟子どもに逢えて良かった。言い訳が通るしな。

 ……しかし、コイツらもあの会議に参加していたようなので、取り敢えず顔面以外をしこたま殴ってやった。

  ほら、せっかくの顔パス権に傷が付いたら、駄目だろ?

 

 

 

「こっ、ここです! 志鳴徒先生ッ!!」

「はいご苦労だ作久。縞・弥野、見張ってろ。誰か来ようとしたら死んでも止めろ。出来なけりゃ俺が死なす」

「「了解です志鳴徒大先生!!」」

「……やっぱ、五月蝿いから今のうちに殺っとくか」

「「「スンマセンデシタァッ!」」」

「おっけー、よろしくな?」

「「「ハイ!」」」

 

 こういう時だけ役に立つ……無駄に。

 まったく、どうしていつもこう纏わり付くような熱気をあいつらから感じるのだろうか……。

 

 

 

 どんどん襖を開け、廊下を渡り、記憶している大広間に向かう。

 廊下ですれ違う天狗達は不思議な顔をしている。襲われる事はない。俺を見て身体が一瞬だけでも強張ったり、逃げ出したりした奴は明らかに目標の存在なのでぶん殴っておいたが。

 

 漸く天魔の部屋にたどり着いたが、そこには『会議中』の板が立てかけられている。仕方ないのでその板を真っ二つにへし折ってからその会議室へと向かう。

 そうして会議室の部屋の前へ辿り着く。途中ですれ違って異様な反応をした奴は以下省略。

 

「あ、まだ会議中ですよ!?」

「知らん」

「私の会議なんで邪魔しないで下さい!?」

「知らん」

 

 会議室の前の部屋で見た事もない女の子の天狗が居たが……まぁ、そんな事はどうでもいい。

 大方、天魔の娘か何かだろーよ。知らないけどな。ま~たアイツは何か拵えたのか。

 というか俺の手を掴むな。煩わしい。

 

「それ以上進むというのなら、実力行使の手段を取るわよ!? 私の速度に追い付いてこれる!?」

「知らん」

「さっきから無視しないでくれない!?」

「知らん。ちゃんと返事は返してるだろ。それよりも俺は天魔に用がある」

「……天魔様に? って、貴方天狗じゃない!?」

 

 そんな事はどうでもいいから、さっさと俺の右手を離せ!!

 掴まれてるのは反射出来ねぇんだよ!?

 

「山の妖怪でもないのに天魔様に逢わす訳には余計に行かないわ! ここで止まりなさい!!」

「ああ? 何かほざいたか? 良いから退けや」

 

 そんな風に掴まれてでも進もうとしていたら、急に掴まれていた腕を引っ張られて後ろへと倒れそうになる。

 思わずよろけてしまったが掴まれていた腕の拘束が外れた事に気付き、そのまま突破しおうと思って……思っていたらかなりの高速で回り込まれ、俺の前に立ち塞がられた。

 

 そしてようやくそいつの顔を見る。ふむ……天魔の娘、じゃないみたいだな。単純に似てない。

 

 ……いや、それよりもだ。たった今明らかにかなりのスピードを出していた。

 にも関わらず、俺や襖に衝撃波が飛んできてもいない。風が何一つとして起きていなかった。

 

 

 

 ……ふぅん?

 

「……新入り、か?」

「ようやく私を見たわね……」

「ふむ……お前さん。名前は?」

「相手よりも自分からが礼儀ってもんじゃない?」

「ああそうかい。俺は礼儀なんてまともに知らないがね。まぁ……『志鳴徒』と言う」

「……名前を名乗る前の間は何よ」

 

 詩菜の方を名乗った方が手っ取り早いかな、とも考えたが……。

 ……まぁ、姿にあった名前を名乗ろうかね。理由は特に無い。

 

「で? お前は?」

「……『射命丸(しゃめいまる) (あや)』よ」

「ほー、能力は?」

「……私は能力持ちだとも言ってもないんだけど?」

「嘘付け、あんな高速で動いて衝撃波が出ない訳がないだろ。いや、むしろ衝撃波を違う方向に噴出していたなお前? 理屈はまだ理解出来てないが」

 

 どうやってかは解らんが、高速移動の瞬間に衝撃波が出たのは見えた。それも自分を後ろから押すような形で。

 それでいてコイツは、自分が進む為に邪魔になる目の前の空気を操ってみせた。

 明らかにそういったものを操る能力があるとしか思えない。天狗の代表である天魔が出来ない事をこの若そうな女天狗が出来るとも思えないしな。

 

「……貴方も似たような能力なの?」

「まぁな……いや、そういう話をしてる場合じゃねぇよ。天魔に逢わせろや」

 

 いかんいかん。初めの目的を完全に忘れる所だった。

 それにしても……なんか、ヤクザっぽい喋り方になってるな、俺……。

 まぁ、別にいいんだけど。

 

「駄目よ。部外者は即急にこの里から出ていきなさい!」

「ああ!? 良いから退けや!!」

 

 もう、完全に……ヤのつく自由職の人に……。

 ………………でも、なんか楽しいな!! アハハッ!!

 

「退きません!!」

「……ああ、もういい。分かった」

 

 よぉ~く、分かったよ。融通が効かないって事がな!!

 

 スキマオープン。強制退去。

 スキマの先は里のすぐ外。あの速度なら即座に帰還出来るだろ。知らないけどな。

 

「ええ!? いやああぁぁぁぁ……」

 

 

 

「……うし」

 

 妖力よーし、神力よーし、能力よーし、把握よーし、準備よーし。

 

 さて……、

 駄目男どもに制裁を下してやろう。

 

「チェストォォーー!!」

「ガッハアァァァ!?」

「「「てっ、天魔様ぁー!?」」」

 

 襖を思いっ切り蹴り、天魔ごと吹き飛ばす。奴の位置は既に能力で把握しておいたから、その他の天狗に影響を与える事もない。実にパーフェクト。

 うむ、奇襲は成功。だが……まだまだ終わらんぜ?

 馬乗りになってオラオラのラッシュ。オラオラなんて言ってないけど。

 

「テメェ!! 詩菜になんつーあだなを付けてんだコノヤロォ!!」

「ブホォッ!? 志鳴徒!? 何故お主がここにグハッ!!」

 

 他の天狗、ポカーン。

 拳を振る度に血が舞う。ザマァ見ろ。

 

「お前ッ、アレ完全に狙ってるじゃねぇかこの変態!! いい加減にしろよロリコンが!!」

「ベブッ!? 何じゃ!? 何の事なんじゃ!?」

「ほぉう? まぁだ白を切るのか貴様は?」

 

 

 

 変化、詩菜。

 

 

 

「「「『ロリ姉御』だ!!」」」

 

 ……あ、駄目だこの里。

 うん、もう……だめだこの里。

 

「……よぉーし、全員死刑じゃアホンダラァーーッ!!」

 

 妖力、神力、能力、スキマ、湯飲み、机、木片、千切った羽、肉体、全て使う!!

 サバイバルは現地調達が基本だぜうけけけけけけ!!!

 

「かっ、完全に壊れておる……!」

「てっ天魔様ぁ!? いいいかがなっなされますかぁ……!?」

「無論そっ総員退避じゃぁ!!」

「にーがーさーなーいー♪」

 

 襖を開けるとそこにはスキマが!! スキマを通り抜けるとそこは部屋の反対側に!!

 言っただろう……? 準備は抜かり無くしてあるとなぁ!!

 

「誰も逃がしはしないよ? さぁ、この狭い室内……壁は神力と能力で破壊不可能。弾幕撃てば仲間に命中……理解、頂けたかなぁ?」

「可愛く言っても変わらないからな!?」

「あらそう? じゃあ」

 

 

 

 変化、志鳴徒。

 

 

 

「折角リーチを短くしてさ? 手加減してあげようかと思ったんだがなぁ……」

「この馬鹿!! お前のせいで余計逃げ場がなくなっちまったじゃねぇか!?」

「うるせぇな!? そう言うお前はロリ姉御にボコボコにされたいって言ってただろ!!」

「いや、死ぬから!? 問答無用で死ぬからアレは!?」

「そうか。なら遠慮なくしよう」

 

 

 

 変化、詩菜。

 

 

 

 まったく……今日だけで何度変化しているのやら。やれやれだわ。

 

「……天魔、ここに居るのって全員会議に加わってた変態?」

「い、いやぁ、それは言う訳には……」

「言わないと」

 

 スキマに手を突っ込んで、木刀を取り出す。この前聖と合う前に作った木刀である。保存しておいて良かった。

 思いっきり振りかぶって長机を粉微塵に砕く。

 

「こうするよ?」

「全員そうじゃ!!」

「「「天魔様ぁぁぁっ!!?」」」

 

 見事な土下座っぷりである。

 ここまで見事だと思い直したり……するわけ無いじゃん。

 私を売った罪(?)は重いんだよ?

 

「うるさい!! お主等も土下座しろ!!」

「じゃあ全員死刑って事で♪」

「「「すいませんでしたァァァッ!!!」」」

「だが断る!!」

「ッッ!?」

 

 スキマから更に幽香お手製ハーブティーを一気に飲み干す。身体のそこから力が溢れ出す感覚。

 幽香ごめんよ。紅茶の風味や香りを味わう暇なんて無かった。

 

「……わかっておったよ。お主が許さぬ事などな……」

「へぇ……?」

「じゃが!! 儂等の野望は、こんな所で終わりはせぬわ!!」

 

 野望って……。

 ああ、やだやだ。良く分からない渇望って。

 

「天狗の長として!! 同志達を引っ張る会長として!!」

 

 ……会長、って……ロリコンの集まりの?

 うわぁ……そこまで全身に妖気を滾らせて言う事かなぁ……しかもいままで見た事がない程に集まってるし……。

 

「詩菜!! 貴様を今ここで我が物にしてやるわ!!」

「言ってる事かっこいいけど中身最低最悪だよ!?」

「流石会長!! そこに痺れる憧れるぅ!!」

「ええ!? 駄目だよこんなのに憧れちゃ!? 死ぬよ色々な意味で!? 廃人になるよ!?」

「同志よ!! 詩菜が動揺している今こそ勝機じゃあ!! 全力で襲い掛かるぞ!!」

「「おうッ!!」」

「こんの……変態どもがアァァァ!!」

「掛かれェェ!!」

「「「ウオオオォォオオオォォォォォッッ!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……まぁ、聖みたいに身体能力を俺以上に強化出来たり、何でもありの幽香との戦いだったり、紫や輝夜みたいな素晴らしく華麗で厚い弾幕とか、

 そういうのが無かったから勝てた。もしそういうのがあったりしたら負けていたのは俺だろう。

 

「ハァ! ハァッ!! ……ぐっ、勝ったぞォ!!」

「ば、馬鹿な……!?」

 

 そして途中で志鳴徒に変化して、やる気を削がなかったら、本当に慰め物になっていたかも知れない。

 狭い室内。弾幕合戦じゃなくて肉弾戦で本当に良かった。はぁ……なんだろう、色んな意味で色々と守った気がする……。

 

「ハッ、ハッ、ハッ……へへ、天魔! 俺の勝ちだよなぁ?」

「ぐっ……お主の勝ち……じゃから、退いてくれ……」

「ふぅーい……疲れたなー……」

 

 いやさ? やっぱ大乱闘だったら、倒した敵は積み重ねないと駄目だろ?

 一番下に居るのが天魔。その上に大天狗五人が完全に気絶して折り重なっている。わざわざ全員倒した後に積み重ねる無駄っぷり。

 

 いやぁ……仕事したって気分だ。フハハハハ!!

 

 

 

「たっ、頼む! 退かしてくれぇ!!」

「いーやーだ。めんどくさい」

「お主どこまで鬼なんじゃ!?」

「いや、『鬼殺し』だし?」

 

 ま、そろそろ解放してやりますかね。

 

 ……一応、大天狗どもの脳味噌に衝撃を与えて更に昏倒させる。

 

「……(もう鬼畜姫でも……)」

「何か言ったか?」

「何でもないぞ!?」

「……ハァ、やれやれ」

 

 衝撃を操るって事は単純に振動である音も拾えるって事に、三〇〇年の付き合いがあるこのバカ天狗は気付かないかねぇ?

 

 

 

 変化、詩菜。

 

 

 

「もう変な二つ名は付けない事。良いね!?」

「「詩菜ちゃんッッ!!?」」

「だっかっらっ!! 『気絶しろ』!!」

「「「耳がァァァァ!!?」」」

 

 狭い個室だったら初めからこうすれば良かったよ。

 大絶叫。増幅。反射。反射。反射のハウリングボイス。天狗にとっては重要な器官である聴覚を簡単に封じれるんだから。

 

 ……にしても、やりすぎたかな? いきおいのままでやっちゃったし。

 

「あらら、泡まで噴いてら」

「……こおっ、耳が……!?」

「それでも気絶しない天魔さん。天狗の長は伊達じゃないってか」

「なっ、何も聴こえん!? おおい!? 何て事をしてくれたのじゃ!? 」

 

 ありゃ、完全に鼓膜とかを破壊しちゃったか。いかんいかん。まぁ、頭に直接声、すなわち《衝撃》を響かせる事で代用する。

 ……ま、触れてないと出来ない、っていうのがちょっとデメリットかな。

 

「その間はこうやって通訳でもしようか」

「おお……それはありがたい……」

「で、まだ謝りの声を聴いてないんだけど?」

「……申し訳無い。すまぬ……」

「はい、よく出来ましたー」

 

 戦闘によって残り少なくなった妖力を、私も調子を崩さない程度に分けて、天魔の身体に妖力を受け渡す。

 大天狗を持ち上げる位の体力は回復して貰わないと困る。詩菜じゃあ彼等を出来ないからね。

 

 私の能力【衝撃を操る程度の能力】は、弾き飛ばすには最高なんだけど、物を持ち上げるとかそう言った力仕事には向いていないのである。

 まぁ、仕方ないっちゃあ仕方ない。

 ……志鳴徒にまた変化すればいいだけの話だけど、それはそれで面倒くさいからパス。

 

「!?……良いのか?」

「何が?」

「……ここで儂を回復させたらまた襲うやも知れぬぞ?」

「じゃあ次は両手両足を完璧に複雑骨折させてあげよう♪」

「……」

 

 謝ったからと言って完全に許したワケデハナイノヨ?

 

 

 


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