フラウに人生を狂わされる話   作:フラウすき

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【まえがき】
フラウの過去については、フェイトエピソードを見てもらった方が早いと思います。


Indominus

 女にとって、普通に生きることは何よりも難しいことだった。

 まるで太陽のように輝く才能を女は持っていた。

 動けば誰よりも速く、力強く。

 話せば誰よりも聡明で、親しく。

 故に、その強すぎる光に当てられれた人間には、濃い影が生じる。

 

「見て!また一番に――」

 

「どうして目立つの!?どうして"普通"にできないの!?」

 

 腕っぷしも、知恵も、才能も、両親は愛さなかった。

 

「女のくせに……」

 

「あいつがいるから私は……」

 

 いつからかその過ぎた力は嫉妬を集め、女は孤独になっていた。

 暴力も、下卑た視線も、嫉妬も、負の感情のすべてが女に向けられていた。

 

 それでも、女は人間を愛していた。

 

 心が軋んでも、その光は曇ることがなかった。

 

――すべてが反転する日までは。

 

 

 周囲の全ての人間から疎まれ、憎まれ、下卑た視線を向けられた日。

 女は悪魔と契約した。

 

 アーカルムシリーズが一柱、星晶獣ザ・デビル。

 悪魔は女にさらなる力を齎した。

 

 向かうもの全てを焼き尽くす力。

 その力をもって、女は自らを害そうとした人間全てを燃やした。

 

「これでもう、私は――」

 

 誰にも傷付けられない。

 

 ただ、生まれ持った才があるだけで疎まれる日々は終わり、悪魔との契約に従って旅をする日々が始まった。

 この敵だらけの世界を滅ぼすための旅だった。

 


 

 人に対する期待を失ってから、女は驚くほど簡単に人を操れるようになった。

 天性の容姿を悪意でもって武器とすれば、思い通りにならない男はいなかった。

 話術と知識で甘い言葉を吐けば、味方にできない女はいなかった。

 

 金品は貢がれ、真っ当に生きていた日々が馬鹿馬鹿しいほどの財を得た。

 襲われても、悪魔の力を用いて()()()()()

 痛めつけ、二度と悪事をすることがないように燃やした。

 

 そんな日々は孤独だったが、元より世界への希望は尽きていた。

 自棄になって旅を続けていたとき、悪魔が囁いた。

 

「「「あの少年を育ててシミュレートに使え。サブプランになるだろう」」」

 

「あの子がサブプランに?わかった。」

 

 目を付けたのは、一人旅をしている少年だった。

 

 

 少年は純粋だった。

 女が顔を見せれば赤面し、手を握れば挙動不審になって、女の悪戯心を刺激した。

 少し話して目を合わせれば、得体の知れない女の旅の同行を許すほどに篭絡されていた。

 

 それから、腕試し且つ、この島を発たせるためにマフィアの下っ端に襲わせた。

 マフィアの下っ端に「男に付き纏われているから助けてほしい」と頼めば、簡単に襲わせることができた。

 欲望を向けるばかりの人間の扱いを、女は嫌と言うほど知っていた。

 

「逃げましょう、次の島に」

 

 何も知らない少年は、女の手を取って走る。

 不思議と通りには人がおらず、二人きりで街を駆けた。

 

 この街を出れば、まだ貯金の少ない少年は女の金に頼らざるを得なくなる。

 金に余裕はなく、島毎に稼いでいるような少年だ。

 そして次の島での人脈は、女がその気になればいくらでも獲得できるだろう。

 そうすれば少年に逃げ場はなく、女に従うことになる。

 ぞくぞくと腹の底から悦びが湧いて出て、歯の裏を舌でなぞった。

 

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