ラインハルト様が皇女殿下二人とイチャイチャする話 作:川崎忍ノ介
まあヴェスターラントが起こりそうにもないから無用かもしれませんがww
ところで、ノイエの衝撃その2
フレデリカがめっさ可愛い
いや、旧アニメが可愛くなかった、というわけではありません
ついでにユリアンも可愛い
「オーベルシュタインの奴が、最近またうるさいことを言い出したのだ」
ようやく機嫌を直したらしいラインハルトは、開口一番そんなことを言った。また、と言われてもつい最近就職したばかりのヒルダには何のことやらわからない。
「うるさいこと、とはどんなことなのでしょう?」
「キルヒアイスの事だ。俺があいつを、公私ともに重用するのが気に入らんらしい」
それはつまり、マキャベリズム的な意味で、ということだろうか。ヒルダは、首を傾げて考え込む。
いわゆる、ナンバー1にとって代わりうるナンバー2はいらない、と。キルヒアイスの権力を削ぎ、他の提督たちと同列に置け、と。まさかあの鉄面皮に限って嫉妬ということはあるまい。
「言っていることは少なくとも間違い、ではないのですけど……」
だが、正しいからと言って納得できるわけではない。感情の絡む事柄を無理に理屈によって処理すれば、余計な歪みを生じさせることになるだろう。今うまくいっているものを敢えて変える必要はあるまい。
とはいえ、来たるローエングラム王朝において悪しき前例を残すわけにはいかぬ、という理屈も成り立つのだ。
もっとも、後世起きるであろう問題は、後世の人間が知恵を絞るのが筋というものだが。
「そもそも俺はな、姉上とあいつがいたからこそ、ここまで来たのだ。今になってキルヒアイスを遠ざけては本末転倒というものだろう」
「わたくしに当たらないでください。怖いですわ」
上目づかいで、わざとらしく『しな』をつくって見せる。
あなたの方がよほど怖い、とラインハルトは思ったが口には出さなかった。また罵詈雑言を吐かれたのでは流石に立ち直れる気がしない。
ラインハルトの思いをよそに、ヒルダは思考の海に沈んでいた。
そもそも、専制政治において跡継ぎ問題というのは必ず付いて回る問題だ。この問題が原因で傾いた国家の例など枚挙に暇がない。だから、本当は必要なのだ。強力なナンバー2が。
ではなぜ総参謀長はキルヒアイスという強力なナンバー2を引きずり降ろそうとするのか。
それはつまり、キルヒアイスがラインハルトの血縁者ではない、という一事に尽きるのではないか。
ならば、キルヒアイスを『そう』してしまえば良い。
「まとまりましたわ、ラインハルト様」
「聞こうではないか」
「有能な家臣に、君主の血縁者を嫁に与えて一門衆とする。古来より良く使われてきた手段です」
言いながら思った。これは、ラインハルトの逆鱗に触れることになるのではないか。なにせ、ラインハルトの血縁者と言えば一人しかいない。しかも、その人はラインハルトにとって『戦う理由』ですらあるのだから。
「ふむ……」
ヒルダの意に反して、ラインハルトは怒らなかった。というよりもその答えを予想していた節すらある。
「あの、自分で言っといてなんですけど、よろしいのですか?」
「……いいも悪いも、あの二人は相思相愛だぞ。くっつくのは遅いか早いかでしかない。―――ただ、政治的な理由で結ばせようと画策する自分が嫌になるだけだな」
「……驚きました。ラインハルト様がそんな微妙な男女の機微がお分かりになるなんて」
「なあヒルダ。……あなたは、本当は俺の事が嫌いなんだろう?」
「とんでもございません。むしろ、逆だからこそ意地悪したくなってしまうのですわ」
これは本当の事だった。初めて会ったときは奇麗な人だな、という程度の印象だった。それが、秘書として傍に仕えているうちに世間で言われている『常勝の天才』というイメージと真逆の、少年のような顔が見えてきたのだ。そして、それを『可愛い』とすら思ってしまっている自分に気付いたのだ。
思わぬ告白に、赤面するラインハルトだった。
「あまり、考え過ぎない方がよろしいですわ。為政者にとって、公私の区別などあってないようなものですから。結ばれて欲しい二人が愛し合っている。それだけで十分だと思います」
それを聞いたラインハルトの顔は、何やら吹っ切れたような、晴れやかな顔をしていた。
「ありがとう、ヒルダ。もし、あなたや、エリザベートやサビーネとの出会いがなければ俺はあの二人の思いにも気付かぬままだっただろう。そしてそれは、取り返しのつかない事態を招いていたかもしれない。―――あなたたちと出会えて、本当に良かった」
「……あっ……」
こんなのずるい、とヒルダは思った。こんな極上の微笑みを浮かべてそんな口説き文句を言われたら、本気になるしかないではないか……!
元々はラインハルトが姉、アンネローゼと住むために用意したシュワルツェンの館は、今や五人が生活を共にしていた。ラインハルトとアンネローゼ。エリザベートとサビーネ、ヒルダである。
ラインハルトは初めキルヒアイスにもここで暮らすよう勧めたのだが、流石に断り、キルヒアイスは代わりに館からほど近い場所に手ごろな大きさの館を購入した。
平民出身とはいえ上級大将。更には宇宙艦隊副司令長官。貯えも稼ぎも十二分にあった彼は安いとは言えないそれをキャッシュ一括で購入して見せた。歩いて通える場所に丁度良い物件が売りに出ていたことは、彼にとって幸運だった。
キルヒアイスは、館周辺の警備の責任者も兼任しており、巡回の名目で時折館を訪れて、アンネローゼにコーヒーやケーキを振舞ってもらうのだった。
「―――ふん、ふふーん……」
そんなシュワルツェンの館にて、ふらりと厨房に立ち寄ったエリザベートは、何やらウキウキで鍋を掻きまわすサビーネを見つけた。可愛らしいピンクのエプロンが、良く似合っていた。
「あら、サビーネ。お料理しているの?」
「ええ、そうなの。お姉さまからようやくお許しを頂けたから、ラインハルト様のお好きなフリカッセをつくって差し上げようと思ったの」
お姉さま、とは無論アンネローゼの事である。三人をこの館に迎え入れたい、とラインハルトに請われたアンネローゼは、快く了解した。仲も良好のようで、今ではこうしてアンネローゼに様々な家事を師事しているのだった。
「ずるいわ、サビーネ。わたしにもやらせてちょうだい」
「今日はダメよ。今日は全部わたしが準備して、ラインハルト様を驚かせて差し上げるの」
「むーっ……。じゃあ、明日はわたしよ。お姉さまにお願いしてこなくっちゃ」
そう言って、エリザベートはパタパタと駆け出して行った。
駆けて行くエリザベートを見送りながら、サビーネはかつての実家での生活を思い返していた。幾人もの侍女に身の回りの世話をさせ、蝶よ花よと育てられてきた。
対して今は、身の回りの事は全て自分でやり、それどころか誰かのためにこうして料理などしている。父母などが見たら、卒倒してしまうかもしれない。
だけど、楽しいのだ。
―――この生活は、誰にも壊させない。
そう、例え父や母であっても。そう心に誓うサビーネであった。
エリたんサビたんのほのぼの回が書いてて一番楽しい。
次点はラインハルトとヒルダ。
……オーベル? そんな奴いな(ry