ラインハルト様が皇女殿下二人とイチャイチャする話   作:川崎忍ノ介

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これまでずっと『治安維持局』だと思っていたら本当は『社会秩序維持局』だった(汗
『治安維持局』というのはどこから来たんでしょうね……?


第八話~戦後処理~

 衆寡敵せず。

 

 いかに覚醒したブラウンシュヴァイク公が指揮をとり、リッテンハイム侯が先頭に立って突撃しようとも、彼我の戦力の差は如何ともし難い。

 

 貴族連合軍の艦隊は徐々にすり減らされ、遂には盟主二人のそれぞれの旗艦が撃沈されリップシュタット戦役は幕を閉じた。

 

 盟主二人の最期は壮絶だった。

 

 装甲の厚さにものを言わせた無謀とも思われる突撃。ラインハルトの旗艦ブリュンヒルトを射程圏内に収める寸前まで肉薄し、四方八方から主砲で撃ち抜かれて轟沈した。

 

 そして、ラインハルト達首脳部をさらに驚かせた出来事は、戦後処理の最中に発覚した。

 

 ブラウンシュヴァイク公とリッテンハイム侯は、最後の突撃を敢行するに当たり、自分以外の全ての乗組員を脱出させていたのだ。

 

 「ふん……らしくないことをするものだ。もっと早くに目覚めていれば、非業の死を遂げることもなかっただろうに」

 

 そう言ったラインハルトの声に、やや覇気が欠けていたのは二人の皇女の心境を慮ったからであろうか。

 

 ともかくも、リップシュタット戦役は幾らか後味の悪さを残しながらも、終結したのであった。

 

 

 

 

 

 「―――で、だ。俺としてはこの際返す刀でリヒテンラーデ公も討ち果たしてしまいたいわけだ」

 

 「敵も味方も犠牲が最小限だったおかげで、戦力はむしろ増強されていますしね……」

 

 そう言ったヒルダの声は、エリザベートとサビーネに遠慮したのか控えめだった。

 

 二人は、今日一日は喪に服す、と言って自分に与えられた部屋に籠っている。この場にはラインハルトとヒルダのみであり、いわば非公式の戦略会議であった。

 

 ファーレンハイトに代表される、生き残った有能な指揮官たちは、こちらの指揮下に入ることを了承した。どうやらメルカッツ上級大将は捕らえ損なったようで、フェザーンか同盟にでも亡命したのだろうと思われた。

 

 「手ごろな兎を狩りつくした走狗としては、釜で煮られてしまう前に身の安全を確保しておきたいのだ」

 

 「今頃オーディンでは、宰相閣下が鍋の目利きに走り回っておられるでしょうね」

 

 「自分で言うのもなんだが、まさか俺がリヒテンラーデ公に心酔している、なんて信じている奴もおらんだろうしな」

 

 「どちらにせよ、彼らに考える時間と動く暇を与えないことが肝要です。速やかに軍を返して帝都主要部を押さえる必要があります」

 

 ラインハルト達には、実を言うと選択の余地はない。オーディンにのこのこと凱旋したところで、軍から離れたが最後、適当な罪状をでっち上げられて拘束され、裁判を開くことすらせず即日ヴァルハラ行きだろう。

 

 「よし、ならば一刻も早くオーディンに進軍するとしよう」

 

 「……いえ、お待ちください。―――ラインハルト様は、むしろゆっくりと、堂々と御帰還下さい。帝都の制圧は、諸提督にお任せするのです」

 

 訝しげにヒルダを見たラインハルトは、しばらく考えた後頷いた。

 

 「なるほど、宣伝効果というやつか」

 

 

 

 

 

 「―――ところで、キルヒアイスが面白い話を持って来た。エリザベートとサビーネに、社会秩序維持局を任せてはどうか、と」

 

 今後の方針がまとまり、従卒にコーヒーを運ばせた後、ラインハルトが言った。

 

 「あそこは、いわゆる『秘密警察』ですよ。ラインハルト様が覇権を握られた後は、廃止されるものと思っておりましたが」

 

 「無論、そのつもりだ。―――だが、情報・諜報を受け持つ部署は必要で、それに最も適しているのはあそこだ」

 

 「……彼女たちは、ラインハルト様の功績を調べ上げて、その上で家を捨てることを決意なさったのでしたわね」

 

 その言葉に、ラインハルトは苦笑を浮かべた。

 

 「俺の経歴は、ほとんど丸裸にされていた。……俺ですら忘れていたようなことを嬉々として語られたときには、流石に鳥肌が立ったな」

 

 『ストーカー』という単語が頭に浮かんだヒルダであったが、口に出すことはせず、封印した。

 

 「もともと、俺はそれほど乗り気ではなかったのだが……アンスバッハ准将が帰順を申し出てきただろう」

 

 「はい。ブラウンシュヴァイク公の懐刀ですわね」

 

 「公より、後事を託されて艦を下ろされたそうだ。『娘を守ってやってくれ』とな」

 

 あえて帰順を申し出てきたのは、ラインハルトとエリザベートの近くにいるためだろうか。もしエリザベートがラインハルトにより何らかのハラスメントを受けるようなことがあれば、悪鬼羅刹の類となって詰め寄るに違いない。

 

 「怖い舅が出来ましたわね。おめでとうございます」

 

 「迂闊なことをしたらハンドキャノンで狙われそうな気がす―――ってそれはどうでもいい!要は、公爵の側近だった男だから、前線よりはむしろそういった任務が向いているということだ!」

 

 「エリザベート様とサビーネ様をそれぞれ情報収集と分析部門の長に置き、実働部隊をアンスバッハ准将に任せる―――これなら、二人を御傍に侍らせておく大義名分になりますわね」

 

 「そうだ。―――そして、任務の名のもとに小うるさい舅代理は遠くへ追いやることが―――って、だからな……」

 

 「まあ、元帥閣下ったら怖いですわ。―――御自分の自爆を棚に上げてわたくしを糾弾なさるだなんて……」

 

 ラインハルトはヒルダから目を逸らし、遠くを眺める。

 

 ―――自分にはどうやら、女難の相があったらしい。これまで、男所帯の艦隊勤務ばかりだったから気付かなかったが。ヒルダ一人を相手にしてさえこの有様なのだ。これからも、三人の女性に振り回され続けるに違いない……。

 

 「ところでラインハルト様。帝国を掌握なさった暁には、どうなさるおつもりですか?」

 

 ヒルダが、不意にそんなことを聞いてきた。

 

 「……帝位に就くには、もう一つ大きな功績が必要だろうな。となると相手はフェザーンか同盟か……。こちらから喧嘩を吹っ掛ける気はないが、奴らも今のパワーバランスで何か仕掛けるほど馬鹿ではないだろうよ」

 

 「さあ、それはどうなんでしょうね……。ラインハルト様は、騒動を司る女神に愛されているご様子ですから、あちらの方が放っておかないとおもわれますわ」

 

 そんな物騒な存在に付き纏われた覚えはない―――そう反論しようとして、ラインハルトは思い留まった。

 

 そうだ、いつもいつもやられっぱなしでは銀河帝国元帥の沽券に関わる。

 

 「―――女神なら、もう間に合っている。なにせ、俺には勝利と、幸運と、知恵を司る三人の女神が既に付いているのだからな」

 

 ヒルダの顔を真っ直ぐに見て、そう伝えるラインハルトであった。

 




恐らくこの世界の維持局は、ケスラー率いる憲兵隊とめっちゃ仲いいんだろうなぁ、と。
……いろいろな意味でwww
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