オーバーロード・元ナザリックの騎士王   作:魔女っ子アルト姫

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第11話

「父上、村全体が包囲されてるぜ。しかも等間隔に、訓練されてる上に連携も取れてる」

「そうか……モードレッド、皆には落ち着き冷静でいるようにと」

「その点は問題ねぇよ。ジャンヌの奴がお伽噺を聞かせてその辺りを纏めてる」

 

村長の家へと移動しつつそこからこっそりと覗き込むようにしているガゼフ配下の兵士たち、その視線の先には3人、それぞれが一体の天使を伴いながら少しながら此方へと迫ってきている様子があった。それが伴っている天使を二人は見た事がある。ユグドラシルにも存在していた天使系モンスターの炎の上位天使(アークエンジェル・フレイム)

 

「炎の上位天使……ユグドラシルのモンスターも居るって事ですかね」

「如何だろうな、プレイヤーが魔法を広めたって可能性もあるにはあるのかな」

「ありそうですね……また調べる事が増えましたね」

 

と二人でこそこそと話しているとガゼフから話が飛んでくる。これだけの数の魔法詠唱者を揃えているのはスレイン法国、しかも神官長直轄の特殊工作部隊―――六色聖典のどれかだろうと語る。スレイン法国、王国と敵対している帝国とは別の国であるから狙われるだけこのガゼフという男は途轍もない男という事になるのだろう。そんな事を語るガゼフは神妙な顔で言葉を紡ぐ。

 

「ゴウン殿、そしてペンドラゴン殿。差し出がましいがもう一度この村を守っては頂けないだろうか、我らは包囲網を突破し囮となる」

「宜しいのですか戦士長殿」

「奴らの狙いは私、ならばこの村が狙われる可能性は低いでしょう……ですが万が一という事もあり得ます」

 

真っ直ぐとした瞳で此方を見てくる、リアルではたっち・みー以外は見た事もないような曇りも迷いもない気高い瞳に素直にモモンガとアルトリウスは好感を抱いた。自分を狙っているという事は紛れもなく確実に命の危険がある、だがそれに対する恐怖もない。寧ろ食い破ってやるという意志に満ちている。

 

「承知致しました。アインズ・ウール・ゴウンの名に懸けて」

「同じく。騎士としての誇りと名誉にかけて」

「―――忝い……!!」

 

頭を下げようとするガゼフを止めながらもアルトリウスは手を差し伸べる、一瞬困った顔をしたが直ぐに理解したガゼフはその手を力強く握った。そしてモモンガとも強い握手を交わす。

 

「では戦士長、これを持っていてください」

「これは―――いえゴウン殿からの贈り物です、何であろうと受け取らせて頂きます」

 

そう言いながら差し出された不思議な木彫りの人形を受け取り懐へと入れるガゼフ、その正体を直ぐにアルトリウスは悟りながら苦笑しそれなら自分も何か送った方が良いなと腰の後ろへと回しながらアイテムボックスからこっそりと一本の剣を取り出しそれをガゼフへと差し出した。ガゼフは受け取りながら鞘から少しだけ抜いてみるとその刃に浮かび上がる波紋の美しさに一瞬惚ける。

 

「其方もお持ちください、貴方に幸運があらんことを」

「何と素晴らしい剣……このような業物、このガゼフ見た事がない。感謝するアルトリウス殿」

 

深々と感謝を浮かべながら貰った剣を腰へと佩きながらそのまま部下を連れて馬を走らせていく、村から遠ざかって行く彼らを見送りながらもモモンガはアルトリウスに尋ねた。

 

「良かったんですか剣までプレゼントしちゃって」

「単なる聖遺物(レリック)の武器だ、痛手にもならんよ。それに俺はあの戦士長が気に入った、それは君も同じではないのかね」

「フフフッバレたかね。中々如何して好意を抱くに値する気持ちのいい男だったからな」

 

なんだかんだでモモンガもガゼフにはいい印象しか抱いていない。少々真っ直ぐすぎるとも思うがそこがまたいい。それはたっち・みーを思い起こさせるからかは分からないが―――それに戦士長と有効な関係を築いておくことは将来的に良い財産にも成り得るだろうという打算もあるので100%の善意という訳ではない。

 

「んっ如何したモードレッド」

「……別に」

「別にではないだろう、何が気に入らん」

 

視界の端で何やらむくれている我が子に気付く。問い詰めてみると不満げにしながら言葉にしてくれた。

 

「だってよぉ……父上から贈り物貰ってる上にモモ……アインズ様にまで気に入られてるとかずりぃじゃねぇかよ」

「何だそんな事か……何気にするな、私にとって大切なのはお前の方だよ。だからアルベドもそんな顔をするな、なあアインズ」

「ハハハッなんだ存外に可愛らしいではないか二人とも」

「く、くふぅ~!!!」

「「ちょっアルベドぉ!!?」」

 

僅かなピンチを迎えながらもなんとかその場を切り抜けて暫くすると遂にその時が来たとモモンガとアルトリウスは笑うのであった。

 

 

 

ガゼフ・ストロノーフの抹殺、その任を受けた本来は亜人種やモンスターを狩る事を目的とする陽光聖典を率いる隊長であるニグン・グリッド・ルーインは任務の成功を確信した。様々な手回しの末にガゼフ・ストロノーフをおびき出し、そして今殺す所まで迫っている。だが驚かせることもあった。

 

「まだまだァ!!!」

 

ガゼフにはまだ覇気がある、それらと共に振るわれる剣はこれ以上も無く美しく煌びやか。そして振るわれると同時にガゼフ自身が大きく移動していくという力を秘めている。そして何より炎の上位天使を容易に切断するという圧倒的な切れ味。あれほどの物など本国でも見た事がない。魔法の武器は酷く希少、そして王国にあんな武器があるなんて聞いていない。

 

「ペンドラゴン殿、貴方から頂いた剣は誠に、素晴らしい!!!」

 

全身に大きな傷を作りながらも未だにガゼフが健在である大きな要因がアルトリウスが譲渡した剣、力を込めて握り腕を振るえば身体を其方へ移動させる。それに気付いたガゼフはもう碌に走る事も出来ない程に疲弊した身体でありながらも戦い続けていた。だが―――既に限界を超えている身体、天使を倒した所でまた新しい天使が召喚されてしまう。これ以上は無理かと考える頭を無理矢理振り払いながら最後まで剣を振るおうとした時の事―――

 

「な、に……?」

 

突如として景色が変わった。そこには先程訪れた村の村長に村人たちが集まっており、その奥には見た事もないような美しい女性が子供達をあやしながら物語を聞かせている。何が起こっているのかと困惑するのだが、不意に懐からアインズから貰った木彫りの人形が消えていくのを見た。それだけではなく周囲には自分と共に最後まで戦ってくれていた部下たちがいた。

 

「そうか、ゴウン殿……ペンドラゴン殿……」

 

不意に力が抜けて行く、きっとあの二人が……と思いながらも心配そうに駆け寄る村長の声など聞こえぬままガゼフは疲労と受けた傷によって倒れこむように意識を手放した。

 

 

 

「何者だ、貴様ら。ガゼフ・ストロノーフを何処へやった」

 

不快そうに、怪訝そうに問いを投げかけてくる男に不敵に笑いながら顔を上げたモモンガとアルトリウスはそれに応える。

 

「初めましてスレイン法国の皆さん。私の名前はアインズ・ウール・ゴウン。親しみを込めて、アインズ、と呼んでいただければ幸い」

「アルトリウス・ペンドラゴン、アルトで構いませんよ。隣にいるのはモードレッド、そしてアルベド―――そして戦士長殿の代わりに貴様らに死を運んできた」

 

その言葉をニグンは鼻で笑った。何を愚かな事を言うのかと、この戦力差で自分達に勝つつもりなのか、此方には多くの炎の上位天使に自らが召喚した監視の権天使(プリンシパリティ・オブザベイション)がいるのが見えないのか。何が目的かは分からないが早々に消し去りガゼフ抹殺の任を再開させて貰うと言わんばかりに攻撃を命ずる。

 

「そして聞く、村へとあの連中を嗾けたのはお前達か」

「あの連中……ああ、奴らか。そうだと言ったら?」

 

恐らくカルネ村へと放った部隊の事だろうと思いながら肯定しながらも嘲笑った。それを聞いてアルトリウス、そしてモードレッドは怒りを覚えながら共に抜刀し迫り来ていた炎の上位天使を一刀両断する。振るわれたカリバーン、そしてモードレッドのクラレント。それらは紙を切るかのように天使を切断しながら光の粒子へと変えてしまう。

 

「なっ―――これは、何が起きて……!?貴様何をしたぁ!!?」

 

「黙れ、騎士を貶める愚か者。貴様らの行いは我が城に住まう者らへの冒涜だ」

 

自然と剣を握る力が強まって行ってしまった、これ程までに怒りを感じるのは本当に何故なのか分からない。だが分かる事はある―――こいつらは死んでもいい、いや殺すべきだとアルトリウスは強く思ってしまった。そしてモモンガへ許可を求める。

 

「アインズ、あれらへの処刑をやらせてくれ」

「私は構わない、ならば見せてやろう―――聖剣の力を」

「ああ、アルベドにモードレッド。よく見ておけ、騎士王たる私の力の一端をな」

 

前へ出たアルトリウスにニグンは言いようのない恐怖を覚えた、それはスキルによるものもあるだろうがそれだけではない。奴らは今何と言ったのか、聖剣と言ったのか、確かに手にした剣はあり得ない程に美しく神々しい、ニグンの脳裏にとある可能性が過り始める中でカリバーンは更なる光を放ち始める。それはまるで朝焼けの光のように優しさに満ち溢れている。

 

「王の選定を司る剣よ、邪悪を断つ力を纏え―――勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!!!!」

 

黄金の光は剣から溢れんばかりの渦を作り、嵐となりながら振るわれた。それは一瞬のうちに天使らを飲み込んでいくと瞬時に消滅させていく。黄金の嵐が過ぎ去った後には自分達の力は何も残っておらず何が起こったのかも理解出来ない。だがニグンは恐慌しながらも懐から結晶を取り出す、任務前に切り札として下賜されたこれならばこの場を切り抜けられる。

 

「そ、総員時間を稼げ!!最高位天使を、召喚する!!!あのような攻撃、そう何度も出来る訳が―――」

「―――生憎連発可能だ、勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!!!!」

 

再度放たれた黄金の光は一瞬のうちに陽光聖典を飲み込んで大爆発させていく。その光景にモードレッドは瞳をキラキラさせながら父上の戦いを見れた!!と興奮し、アルベドはくふぅ~!!!!と別のベクトルの興奮を露わにしている。

 

「流石ですねアルトリウスさん、ちゃんと色々考えてくれてたみたいで安心しました」

「まあマジで殺しそうになったけどね……一応〈峰打ち〉使ってたから全員瀕死ではあるけど生きてる筈だ」

 

カリバーンを肩に担ぎながらもアルトリウスは一息つく。勢いのまま殺しそうになったが情報収集が出来なくなると思いとどまって相手のHPを1だけ残すスキル〈峰打ち〉を発動させていた。大爆発に呑まれていたがそれでもニグンらは生きてはいる、重傷で死に掛けではあるが。その時、空間が割れて即座に元に戻った。

 

「攻性防壁に何か引っかかったみたいです」

「情報系魔法でそれらを見張ってたのか、でもそうなるとお返しが飛んだよね」

「ええ、まあ強化した〈爆発(エクスプロージョン)〉ですからそこまでの被害にはなってないかもしれませんね。取り敢えずさっさと引き上げましょうか」

「だな」

 

こうしてカルネ村における戦いは終わりを告げたのであった。




ガゼフに渡した剣、元ネタ分かる人居るかな。妖怪大戦争って映画でこんなのがあったんですよ。

後カリバーンの峰打ちで股間撃ち抜こうとしたけど想像して肝が冷えたので止めました。
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