オーバーロード・元ナザリックの騎士王   作:魔女っ子アルト姫

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第12話

アルトリウスの手によって倒された陽光聖典はそのままナザリックへと連行され、そこで特別情報収集官のニューロニストへと引き渡され情報の引き出しが行われた。一度村へと戻りそこでガゼフと対面し簡単な話とその後の事を伝える。何とか追い払う事が出来たという事にして置く事になった。王都に来た際にはぜひもてなしをさせて欲しいと念押しをされた上で別れる事になった。

 

「情報はニューロニストに任せるとしてカルネ村の復興は如何しましょうか」

「それならキャメロットから出そう、適材適所な奴がいる。ウチのアーチャーに適任者がいる」

「……ああっ俵 藤太ですね!!」

 

モモンガも心当たりがあった。キャメロットはアルトリウス・ペンドラゴンが一人で作り上げたギルドにして拠点、そこに居るNPCは全て彼が手掛けている。が装備の作成などにはモモンガも手を貸した事がある。俵 藤太は神話級アイテムとのコンボでほぼ無限に食料を生み出す事が出来る、村の復興の手伝いをしながら村を守るにはうってつけの存在と言えるだろう。

 

「本当に多種多様ですねキャメロットって」

「まあ全部俺の趣味だけどな」

 

今のこの身体もそうだが……その趣味が今大いに役立とうとしていると考えると中々趣味も侮れない。

 

「これからの方針ですけど……如何します」

「じゃあまず言っておく。モモンガさん、アンタ冒険者やりたいって思ってるだろ」

「―――バレました?」

 

遠慮する事なくニヤリと笑う友人に肩をすくめるがそれは自分も同じだった。冒険者、なんて心が躍る響きだろうか。未知を探検するユグドラシルプレイヤーとしては興味を抱かないわけがない。早速アサシンにエ・ランテルへの派遣して調査をお願いして詳細を調べてみる事にしよう。

 

「だって冒険者なんてワクワクしない訳ないじゃないですか、唯でさえこの世界はこんなにも綺麗なんですから。冒険してみたいって思うのは当然でしょ!?」

「それには同感。血沸き肉が躍るって奴か」

「俺今骨だけですけどね」

 

本来なら寒いギャグに白けを覚える筈だがこの時は思わず互いに噴き出してしまった。そして方針の一つは決まった、冒険に出るである。

 

「と言っても簡単じゃないだろうけどな……」

「そうですね、この世界のレベルの把握もありますし……幾らアルトさんのカリバーンで一発だったとはいえ……」

「違うそっちじゃない」

 

えっじゃあどれ?と首を傾げているモモンガ。如何やら本気で分かっていないらしい、溜息混じりに如何やって皆の納得を得るかだよっと伝えると漸く理解出来たのか、あっ……と顎が垂れ下がるように揺れる。

 

「俺もそうだけどNPCの皆を納得させないと行けないぞ、名目やらも必要だしトップが態々そんな事をする理由を作らないといけない」

「ムゥゥゥッッ……確かに。特にアルベドとかデミウルゴスは頭良いですし……アルトさんはアルトリアに丸投げすれば行けるんじゃ……」

「バカタレ。それはあくまで俺の役目を代わりに遂行できるだけで俺を心配しないとは別問題。第一、キャメロットの皆もナザリックの皆並に俺に対して敬意を捧げてる」

「モードレッドが結構フランクだったんで忘れてました……」

「あの子にはマジで救われてるよ……」

 

だが確かに名目は必要だ。アルベドたちを納得させられるだけの材料を揃える必要がある、何とか捻出しなければとモモンガも本気で頭を捻っている。

 

「何人かお供として連れて行くとかですかね」

「妥当な所だね、誰を連れて行くかってのもあるけど……でも誰にするよ、キャメロットからは簡単だけどナザリックは見た目からして異形種で御座いますって奴のオンパレードだぞ」

「そこなんですよねぇ……」

 

情報収集にしても目立ち過ぎるのは問題、カルネ村でもその辺りは自分達が人間に擬態していたからというのも大きかった。〈人化の指輪〉も数がある訳ではないのでせめて見た目は完全に人間と同じ物が好ましい。そうなると大幅に数は絞られてくるが、アサシンと連携した情報収集メンバーの編成もあるので数を連れて行く訳には行かない、せめて一人か二人が限度と言った所だろう。

 

「う~ん守護者たちだとアルベドにデミウルゴス、コキュートスは確実にアウト。シャルティア、アウラ、マーレはセーフだけど……戦力面は問題ないけど問題は見た目とかなんだよなぁ……」

「というかシャルティアは吸血鬼だから除外が妥当でしょ」

「確かに。あの二人も幼過ぎるから除外かな……」

 

これで階層守護者は全滅という事になる。まあ彼らを長期間外に出す事は少々怖さもあるし出来る事ならば守りに徹していて欲しいという気持ちもある。

 

「とするとエントマを除いたプレアデス辺りが妥当かな……カルネ村にはウチからも一人出すとして、パーティ的な役割としてはヒーラーなんかもいるよな。アルトさんは連れて行くとしたら誰を連れて行きます?」

「俺ならそうだな……探索役(シーカー)としてアサシンを連れて行くかな」

「それならアルトさんが近接アタッカーで俺が魔法による遠距離だから、ヒーラーでルプスレギナ辺りが妥当かな」

 

冒険者を行うに当たってのメンバーの目星を付けながらもどんな風な冒険をしようかなぁとワクワクしている友人に素直に頬が緩む。

 

「まあその辺りは決めておくといいさ、それと俺は好い加減に戻るよ」

「それじゃあ送りますよ」

 

ほい、一言と共に〈転移門/ゲート〉が開かれる。キャメロットへと直通、感謝しつつも異空間を潜りながら自分の城の指輪を装着してキャメロットへと戻るとそこではアルトリアが待ち構えていた。

 

「お帰りなさい貴方」

「た、ただいま……」

 

不思議な迫力に満ちており言葉に詰まりかける、決して表情が荒れている訳ではない。寧ろ見惚れる程に美しい笑みを浮かべながら自分の帰りを待ってくれていた……筈なのに何も言えなくなる。これはあれだ……アインズ・ウール・ゴウンに所属している時にぶくぶく茶釜とやまいこに叩きこまれた逆らってはいけない時と全く同じだ……。

 

「カルネ村には藤太の派遣準備を済ませております、王国戦士長が村を去りましたら即座に派遣します」

「さ、流石だな……」

「恐れ入ります」

 

もう慣れた筈のそれも酷く恐怖を感じられた。周囲の近衛兵も心なしか顔を背けている気がする。

 

「では執務室にて詳しいお話を」

「分かった……」

 

ガッチリと腕を組まれて逃がさないからという意志と意思が感じられてもうやけくそ気味に指輪の転移機能を使いながら共に執務室へと転移した。そのまま椅子へと連行されて対面させられるアルトリウス、そしてサラッと腕を外す時に指に手を掛けられて指輪を没収される。

 

「あの、何で指輪没収されるのかな……?」

「んっ?」

「何でもございません」

 

あれは絶対に逆らってはいけない類の笑みだと悟る、以前あった茶釜とやまいこがブチ切れるという大惨事と同じだった。あの時ほどギルメンが団結して収束に尽力した事も無かっただろう。あんな事を仕出かしたのに問題児のままだったるし☆ふぁーには尊敬を向けるべきなのかも……いややっぱりやめておこう。

 

「アルトリウス、貴方はご自分の立場という物を理解しているのですか。確かに貴方はアインズ・ウール・ゴウンのメンバーの一人ですがこのキャメロットの騎士王なのです。その騎士が依然調査が不十分な世界の騎士へと戦いを挑むのがどれほどまでに危険なのか分からないとは言わせませんよ」

「あ、あの時はモードレッドを連れていたし」

「確かにあの子の実力はキャメロットの中でも有数です、だとしてもです。最低二人の護衛が絶対の条件です、ですから後から貴方の意思を尊重してジャンヌを行かせたのです。どうせこの後も貴方は冒険者業を行いたいというのでしょうね、既にジャンヌから話は聞いています」

 

本当にどれだけ頭が回るんだと内心で毒づく。その中でアルトリアは小さく呟いた。

 

「―――貴方が行かなければ行けない理由があるのですか、そんなにこの世界を見たいのですか」

 

嘘を言っても恐らくバレるだろう、それだけ彼女は優れている。故にアルトリウスは降参するように本音を語る。

 

「ああ、見てみたい。リアルとは比べ物にならないこの美しい世界を見たい、冒険したい、巡ってみたい、そこに嘘はない」

「この世界が貴方にとって危険な物だとしても、ですか」

「危険のない冒険なんて御免被る、それは唯の旅行だ」

「旅行、でも良いじゃないですか……」

 

震える声のまま素直にアルトリアも本音を伝える。至高の御方であり自らを含めてキャメロット全ての創造主の意向は出来る限り尊重したいし叶えてあげたい、その為に与えられた全てを行使して尽くすのが獅子王たる自分の責務であるとは思っているが……何より夫が帰ってこないという事が怖いのだ。そんな心配をするのはおこがましいかもしれない、このキャメロットで一番強いのはアルトリウス―――だからこそ怖い。

 

「アルトリア、君の不安は分かる。確かにそうするべきかもしれない」

「ならば―――!!」

「だからこそだ」

 

席を立ちながらアルトリウスは剣に手を掛けた、カリバーンではない。本当の、自らの剣に手を掛けた。騎士王たる所以の剣、それに触れながらアルトリアの肩に手を置く。

 

「私はこの世界の全てを見たい、恐れていては何も出来ない。例え困難が目の前に来たとしても騎士として戦うだけだ―――だからアルトリア、私を支えてくれ。私と共に生きてくれ」

「―――ッ」

 

その言葉を受けて一瞬言葉を失うが直後に、少しだけ噴き出しながら笑ってしまった。

 

「何ですかその言葉、私とあなたはもう夫婦なのに改めてのプロポーズですか?」

「何度プロポーズしても良いじゃないか」

「ええそうですね―――分かりました、それじゃあ今回のお説教はここまでにします。ですが今度からは気を付けてくださいね」

 

眉間に指を置きながら念押しする妻に頷く、それを見るとなら良し♪と明るい声で応えながら指輪を指へと嵌め直してくれた。それに対する嬉しさを感じながらそう言えば夫婦らしい事が出来ていないなと思った。

 

「では折角プロポーズをしたんだから夫婦らしい事でもするかい、一緒に食事でもするか」

「あらっそこはベッドに誘ってくださると思ったのですが?」

「また今度」

「では楽しみにしておきます」

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