「漸く戻りましたか、貴方が目を通すべきものはあるのです。早く席に着きなさい」
モモンガに〈転移門/ゲート〉で送って貰って早々、思わずアルトリウスは一応被っておいた兜の下で凄い顔をした。我が家に帰って早々これですかと言わんばかりの表情を隠す事が出来て本当に良かったと思いつつも出来るだけ態度を王足らんとしたもので一貫して押し通しながら席に着いた。何せ目の前に居る相手が相手なので真面目に取り組まなければいけない。
「済まない、アインズ・ウール・ゴウンのメンバーとして話さなければいけない事も色々とあってな」
「成程それは理解しますがアインズ・ウール・ゴウンのメンバーである、がそれは過去の話でありキャメロットの騎士王。何方を優先すべきは明白な筈」
「それは分かる、だが彼らの協力無くしてこのキャメロットを作り出す事が出来なかったのも事実だろう」
「フンッまあいいでしょう、この程度にしてあげます。早くこれに目を通しなさい」
そう言いながら書類の束を執務室の机の上に積み上げる、一体どっからそれを出したんだよと言いたくなるような量に口角が引き攣った。
「相変わらず多いな……いや、というかどっから出した」
「乙女の秘密を探るのは極刑という言葉を知らないのですか」
「分かったこれ以上は言わない」
何処か不機嫌そうにしながらも何処か嬉しそうにしているのが見え隠している。これも自分が書き加えてしまった設定の影響なのかと思うと非常に心苦しい、モモンガの自作NPCに対する思いはこんな感じなのかと何処かで理解しそうになるが全く違うなと最終判断を下すのであった。
「(いや後悔はないよ色々と、だって此処は俺の性癖とか趣味を全開に盛り込んだ城だもんねうん……でもさ……)」
「武技についてはまだ好ましい報告は上げられていませんね、怠慢ですね」
「別世界の技術だ、そう焦る必要はない。逆に焦られて半端になっても困る」
青白い肌は幻想的で何処か銀色を帯びている白い髪と共にこの世の物とは思えない美しさを醸し出す。騎士王の影、と言わんばかりに黒と青色を基調としたドレスを着用している為か、肌や髪の色を相まって何処か影を感じさせる。妖精のような印象を受けるがその実を知ればきっとそれまで抱いていた物など無くなる。キャメロットの実質的な№2、宰相ともいうべきポジションに腰を落ち着ける魔女。バーサーカー・モルガン。
「冒険者としてご活躍とは全く、その程度の役目など他の者にさせればいいんでしょう」
「そう言う所は似るな、アルトリアにも言われた。だから君にも言おう、私は冒険をしたいんだよ」
「……ハァッ発言が被っていた事に苛立ちを覚えている所に予想していた言葉が来て呆れています」
モルガン・ル・フェイ。このキャメロットにおける彼女は基本的には原典における彼女と同じと言って変わりはない―――と言いたい所だが、何方かと言えば異聞帯の彼女の要素の方が強い。アルトリアの姉である事は変わらない、が彼女は原典にないものが追加されている。アルトリアを自分の妻という事にした際にモルガンの事を如何するべきかと悩んだ事があった。その時に自分はとんでもない設定を入れてしまった。
―――表面上はアルトリアとアルトリウスの結婚を認めているが、本心は略奪愛を行う気が満々であり機会を虎視眈々と狙い続けている感情重いヤンデレ気味のクーデレ。
と書きこんでしまったのである。もう完全にあれです、モルガンの設定やら見た目やらが好みにストライクだったので悪乗りでやってしまった事である。本当の所、彼女をキャメロット入りさせた時に頭の中でフレーバー的に彼女とアルトリアが一緒の城に居るのは相当な無理ゲーだろうと思った結果、考え出されたのがこれである。考えた結果がこれである。
「しかしマーリン、奴だけは容認出来ない。このキャメロットを隠しているのはあのマーリンの幻術、他の手立てを考えるべきです」
「良くやってくれているよ、そこを評価せずにただ拒絶するのは違うと私は思うが」
「あの愉快犯が何時まで完璧な仕事をする確証があると思いますか、第二第三の手立てを構築する事は可笑しくはないでしょう」
「分かった分かった、ならば君自ら納得の行く案を提出してくれ。アルトリアには見せずに私の方で判断はする」
そういうとすぐさま顔に浮かべていた嫌悪感が引っ込んで頬を赤くしながらもまるでアルトリアのような笑みを作り始めた。こうしてみると矢張り姉妹なのだなという事を強く実感するがそれに気づいたのか直ぐに収めてしまい僅かに口角が上がるのみにとどめた。
「っ……流石は我が夫、良く分かっていますね」
「君と結婚した覚えはない」
「ですが今に見ておきなさい。必ず私のものにします、ええっ近々遅くないうちに」
モルガンらしい狡猾そうな魔女の笑みを浮かべながら声を上げる姿に自分はこれに喜べばいいのか分からなくなってきた。男としては美女に好かれるのは好ましい、だが清姫の一件があったので素直に喜べなくなっている。スカサハの事も踏まえると下手すればキャメロットにいる女性陣から似たような物を向けられている可能性まであるのだから……いやそう考えると表面的にして言葉やら行動にしているモルガンが一周して一番対処しやすいのだろうか。
「さて次です、寧ろこれが本題です―――竜王と名乗る者と妖精騎士が遭遇しました」
「―――済まないもう一度言ってくれるかな」
はいっという訳でモルガン様、キャメロットにてご登場です。出すかは悩みましたが、所謂アルベド的なポジションについて貰って、アルトリウスを巡ってアルトリアとキャットファイトして貰う予定です(半分嘘)。
後、言動とか性格とかなんか違くねっていうのはご了承ください。