オーバーロード・元ナザリックの騎士王   作:魔女っ子アルト姫

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第3話

「なあなあ父上、折角だからさ色々話聞かせてくれよ!!父上は色んな所を旅したり戦ったりしたんだろ、どんな奴がいてどんな旅をしたのかをさ!!」

 

王座の間の最奥、キャメロットの主たる王へと甘えるようにしながら瞳を輝かせながら是非とも話を聞きたいとせがむ我が子であるモードレッド。その姿は本来の彼女とは異なっている、言うなればIFの姿とも言えるライダーとしての彼女の性格が混在しておりそれを自らへと向けている。これも設定で自分とアルトリアの子供とした事の影響なのだろうか。

 

「そうだな、では何を語ろうかな……お前好みの強者の話が良いか、それとも私がこのキャメロットを作り上げる以前の旅の話をしようか……さてさてどれがいい、折角だお前が決めなさい」

「えっ良いのか!?そうだなぁ~つえぇ奴の話も興味あるけど旅の話も聞きたい……あぁ~もう全部聞きてぇよ父上ぇ!」

 

うが~!!と頭を抱えつつも全部聞かせてよぉと甘えてくる娘、如何してもこうも子供という物は親の心を強く揺さぶるのだろうか。親としての自覚はなかったのに話しているだけで一気に自覚が生まれ、そして可愛さに磨きがかかり続けて行く。愛おしくて愛おしくてしょうがない、そんなモードレッドの頭を撫でてやりながらしょうがないなと言いながら自分で決める事にした。

 

「そうだな、ではまずは世界の一つを征した称号を得た騎士であるたっち・みーさんの話からしてやろうか」

「おおっ!!あれだろ、父上が前に入ってたギルドのアインズ・ウール・ゴウンって所にいた超つえぇ騎士なんだろそいつ!!」

「ああそうだな、彼ほどに強い騎士は世界のどこを探しても見つからないだろうな」

 

キラキラとした瞳を向け続けながらたっち・みーについて思いを馳せていると早く早く続き~!!とせがんでくる娘の愛らしさにノックアウトされそうになりながらも同時に兜を被ったままで良かったと心から思う、何故ならば自分でも分かる程に頬がつり上がって若干攣りそうになっているからだ。リクエストに応えて続きを話してやろうとしたら王座の間の扉がノックされたのちにゆっくりと開けられた。

 

「チッ誰だよ……父上との時間を邪魔しやがって……」

 

扉を怒りと憎悪を込めて睨みつけるモードレッド、その表情は叛逆を掲げながらも最高の怒りを体現したそのものだった。原典でも見た事があるような顔におおっとなりつつも彼女の中で自分はどれだけ重いんだと呆れつつも誰が来たのかと顔を上げると……思わず思考が凍り付いてしまった。そうだ忘れていた、此処は自分の城で此処には自分の趣味で様々なシリーズキャラを再現している……しかもその中でも色々とやばいのが来てしまった。

 

「ぁぁぁぁっますたぁ(旦那様)、お会い出来て妻である清姫は幸せに御座いますぅ♡」

 

金色の瞳、流麗で美しい緑の長い髪は純白の着物に酷く映えるが米神の辺りから伸びている角のような物が彼女自身も単純な人間ではない事が分かる。彼女の名は清姫、ある意味でFateシリーズにおいても圧倒的な知名度を誇る嘘つき絶対焼き殺すガール、そして正統派でテンプレートなヤンデレキャラ……そして自分と結婚していると疑わない狂化ランク:EXのバーサーカーである。そうだ、原典のキャラを再現しているという事はこういう事もあり得るんだった……と思っているとモードが低い唸り声のような物を出しながらクラレントを肩に担ぎながら此方に駆け寄ってくる清姫を止める。

 

「お"いくそ蛇女、誰がテメェの旦那だぁ?父上の隣は母上って決まってんだ戯言抜かしてんじゃねえぞゴラァ!!!」

「あらあらあら相変わらず狂犬です事、母として貴方のような娘は戴けません。ますたぁの品位を下げてしまいますわぁ」

「―――おう誰がテメェの子だと……表出ろ今直ぐ殺してやる」

 

扇子で口元を隠しながら微笑みながら言葉を返す、あの怒気を前にあんな啖呵を切れる辺り流石としか言いようがない。だがモードレッドからすれば彼女のそれは母上であるアルトリアに対する絶対的な侮辱でしかなく怒り所が憎悪が沸き立ち、憤怒の嵐が巻き起こる。クラレントを強く握りしめながら今にもそれを振り下ろして清姫を殺してしまいそうな一触即発になってしまっている。

 

「(やべぇっなんか大変な事になりそうだモモンガさん助けてって言ってる場合じゃねぇ!?)」

 

これはある意味自分がまいた種のような物、責任もって自分が解決しなければ……ならばやる事は唯一つでしかない、彼女(清姫)は絶対的に嘘を嫌う。ならば思う事をそのまま伝えるしかない……!!と覚悟を決めながら手を叩いた。

 

ーーーシャンッ!!!

 

手を叩いたとは思えない程に神秘的で厳かな音が鳴り響いた。その音で我に帰るように振り返るモードレッドと自分に熱のこもった視線を向け続けている清姫、その視線が自分へと向いた事を確認しながら声を出す。

 

「そこまでだモードレッド、お前の母を想う気持ちは分かる。だが同じキャメロットに住まう者に刃を向けてはならない」

「で、でも父上此奴はよぉ!!」

「モードレッド」

「うぅっ……はい……」

 

シュン……解り易い程に気落ちしてしまった彼女は剣を抑えめながら俯いてしまった。酷く申し訳ないがそれでも同じギルドのNPC同士で殺し合いをさせる訳には行かないのだ。続けて期待に胸を膨らませている清姫へと言葉を向ける。

 

「清姫」

「はいますたぁ♡」

「お前が私に向ける気持ちは嬉しく思う、可憐な美少女に此処まで愛されるというのは男冥利に尽きるという物だ」

「そんな照れてしまいますわぁ♡」

 

ピンク色の空気を纏いながらハートを生み出し続けている彼女にモードレッドは僅かに顔色を悪くする、もしかしてこの女を母と呼ばなく行けないのかと不安になってきている。父であるアルトリウスは酷く非常に温厚で慈悲深い、そんな彼ならば愛を向けてくる女をその深い懐で受け止める事もあり得る……。そして次の言葉を待つ。

 

「だがな、私には愛する妻(アルトリア)がいるのだ。気持ちは嬉しく思うが私にその愛に応えない、済まない」

 

それを聞いてモードレッドは心の底からガッツポーズを取った、なんて誠実な人なんだ父上は!!と改めて憧れを向け直しながら悔しがるであろう清姫へと目を向けるのだが彼女は全く堪えてないように笑みを湛えながら静かに返答した。

 

「―――はい、存じ上げております。ますたぁが獅子王様を愛されている事は重々承知しております、その上で私はますたぁを愛しているのです♡この愛は永遠に貴方様へと捧げる悠久の愛、例え私の愛をお受け取りになさらずとも私はますたぁを想い続けるだけで御座います」

 

と一片の曇りもなく応えて見せる彼女にアルトリウスは素直に返答に困ってしまった、告白を断る以上に勇気が必要だったのに何だこの結末は……と言いたくなってきた。モードレッドも同じ気持ちなのかうわぁっ……と素直に口に出しながら引いている。この世界に転移した際に何か影響したのだろうか、と思っていると改めて口を開いた。

 

「そしてますたぁお伝えしたい事が御座います、アルトリア様より命令された城内の調査は終了いたしました。城内全て何も問題はないとの事です」

「そうか、ご苦労だったな。下がって良い」

「はい、ではますたぁまた♡」

「さっさと出てけ!!」

 

ガルルルルッ!!!威嚇するような唸り声を上げて清姫をさっさと外へと追いやっていく姿を見つつもアルトリアは外の調査と並行してキャメロットの内部調査も同時に命じていたのかと素直に驚く。仕事が出来る女という事はこういう事だと言わんばかりの有能っぷりに言葉が出ない。だがそれは同時に深い安堵と共にある。何故ならばキャメロットの何処にも問題はない、つまり自分が把握している物がそのままこの世界と共にやって来たという事であるという事―――後は外の様子が分かれば手を打つ事が可能となってくる。

 

「ったく何なんだよあいつ!!父上には母上が居るって分かって上でだと!?ふざけやがって!!!」

 

と憤慨する娘を見つめる中で自らに〈伝言/メッセージ〉が飛んできた、相手はアルトリアから。

 

『アルトリウス、私です』

『アルトリア、外はどんな感じ』

『それが……少々面倒な事になっていますね、これから戻り直接報告したいと思いますがいいでしょうか』

『ああそれでいい』

『では同時に守護者も招集します、そこで全体へ』

 

その〈伝言/メッセージ〉の後に王座の間に集まってくる守護者たち、それは自分が設定したNPCの中でも重要な役職を担う者達。キャメロットは巨城ではあるが外見と内部の大きさは比例しない、内部は異空間のようになっており複数の階層(フロア)へと分割されておりそれぞれは主である守護者たちが望む環境にされている。そして今、王座の間にはそれらの階層の主である守護者たちとそれらを束ねるアルトリアが自らを見つめていた。

 

「―――では皆、我らが至高の御方……騎士王・アルトリウス・ペンドラゴンへ忠誠の義を」

 

その声の元に並び立った守護者たちは自らの名を忠誠と共に捧げる、跪きながら騎士王たる存在へ捧げられるそれらはどれ程大きく、素晴らしい物なのだろうか。

 

「第一階層守護者 "セイバー" ジークフリート。御身の前に」

 

「第二階層守護者 "ライダー" マンドリカルド。お、御身の前に」

 

「第三階層守護者 "アサシン" 酒呑童子。旦那はんの前にぃ」

 

「第四階層守護者 "アーチャー" ケイローン。御身の前に」

 

「だいごっかいそうしゅごしゃ "ばーさーかー" あすてりおす。いるよ」

 

「第六階層守護者 "ランサー" スカサハ。此処に居るぞ」

 

「第七階層守護者 "キャスター" マーリン。此処にいるよ」

 

「守護者統括 "ランサー" アルトリア・ペンドラゴン、御身の前に」

 

名と共に捧げられた物、その重みはアルトリウスも感じている。思わず息を飲んでしまいながらもそれに負けないように気を強く持ちながらそれらと向かい合う、今目の前に広がる光景は自分が望んだ者故に、ならば望んだ者として堂々とあるべきだと思いながらそれらを手に取り懐へと仕舞いこむ。そして思わず漏らしてしまった言葉

 

「ぁぁっ……これこそ俺が望んだ夢の光景だ……」

 

それらを受け取った守護者たちはそれぞれの反応を見せつつも全員が喜びの渦の中にある様であった……。




ナザリックをリスペクトしつつも趣味全開のアルトリウス。尚他にも趣味全開な所はいっぱいある模様。

因みにマーリンはグランドクソ野郎じゃなくてグランドろくでなしお姉さんだったりする。なんであっちじゃないかって?野郎よりこっちの方が好みなんだよ趣味なんだよ悪いか。

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