オーバーロード・元ナザリックの騎士王   作:魔女っ子アルト姫

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第8話

アインズ・ウール・ゴウンとキャメロット。同盟関係にあるギルドとの関係を強める事に成功した訪問の翌日、アルトリウスは自身の執務室で周辺地域の洗い出しで分かってきた情報などに目を通しながらもそれらをモモンガへと共有させる為にギルド間でのチャットなどに使用されるモニター型のアイテムにコピーを差し出した、するとコピーは吸い込まれていき画面の向こう側にいるモモンガへと転送させる。

 

『あざっすアルトさん、それにしてもキャメロットって俺が思ってた以上に色んな人材いるんですね……』

「そりゃそうよ、俺が心血注いだキャメロットだぜ。言うなれば弐式炎雷(にしきん)の下位互換のアサシンがそれなりにいるよ」

 

自慢するように胸を張るアルトリウス。キャメロットが誇る隠密作戦部隊には原典で言う所のアサシンらが所属しており、そこには忍者やスパイ、刺客などが多くいる。その中でも今回大活躍しているのは百貌のハサン、人格の数だけ別個体としての自分を生み出せるという宝具(コンボ)妄想幻像(ザバーニーヤ)の為に種族や職業などを厳選した。それが今回大活躍中、主としても鼻高々。

 

『でもレベル的にはかなり低くなっちゃうんですよね』

「まあそこがネックだけどそこも原作再現だから俺は気にしてない。レベル的には15~20ぐらいかな」

『うわぁかなり低いですね』

 

百貌のレベルは70だが妄想幻像を最大まで発動させると本体と各個体のレベルは一気に下がっていく、このレベルは相当に弱いレベルに入るのでアルトリウスとしても無理はさせる気はなく危険な状況に判断したら即刻撤退せよという指示を厳命している。これについて百貌自身は使い捨てる事こそが最も効率が良く本望だと申し出ようとしたが、ジャンヌから伝えられた言葉を思い出し自分の身を案じそして帰ってくる事こそが一番の望みだと知ってそれを受け入れてくれている。

 

「一応近くに別のアサシンを待機させてるから大丈夫だとは思う、いざという時は直ぐに応援も出す」

『それが良いと思います。それにしてもアルトさんのお陰で大分周辺地理の情報も出揃いましたし後はこっちでも周辺警戒の為の事を考えないとなぁ……』

「ニグレドとかにずっと警戒させるのもあれですもんね、なんかいい感じのアイテムってありませんでしたっけ」

『う~んパッと思いつくのは遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)ですかね』

「いやでもそれって直ぐに見つかっちゃう奴じゃありません?」

 

などと言った協議を行い続けるナザリックとキャメロットの王たち。基本的この時間は応接室には彼らのみ、そしてこの時間だけがモモンガとしては心が安らぐ時間だった。言い方は悪いかもしれないがナザリックの皆の為に支配者たらんとする演技をしているので精神的に疲れは溜まる、それの解消に大いに役立っている。

 

『こっちでも色々探してみますね、俺アンデッドなんで疲労とかしないのでやっときます』

「程々にしといた方が良いよモモンガさん。精神は疲労するんだ、適度に人化して飯でも食えよ」

『ああっご飯はちゃんと食べてますよ、やばいですよねリアルのあれら何なんだってレベルです』

 

如何やらプレゼントした〈人化の指輪〉は有効的に活用されているらしい。そして思うのはリアルがどれだけ酷い世界だったかという事ばかりだった、そろそろ会話を切ろうとしていたのだが溢れんばかりの愚痴が出まくってしまう。会社の上司が女と遊ぶために仕事を押し付けてくるだの、ブラックすぎるだのといった話が本当に耐えない。

 

『んっあっもう直ぐ食事の時間だ、すいません一旦切りますね』

「乙乙~んじゃまた後で」

 

報告と情報共有の時間である筈なのに毎回決まって気軽なチャット気分になってしまう、まあこの場合は致し方ないだろうと思っている。モモンガの場合はナザリックで極めて素になりにくいのだから。自分が作ったNPCならばなれるだろうと思うだろうが彼の場合そうではない、彼にとって己のNPCは生きる黒歴史なのだから……。

 

「失礼するよマスター、食事をお持ちした」

「嗚呼っありがとうエミヤ。今日のメニューは?」

「ご希望通りに和食を用意した、存分に食べてくれ。料理長も腕を振るえて嬉しいと言っていたよ」

 

それを考えるのは後にしよう、と取り敢えずエミヤの持って来てくれた食事へと手を伸ばす。叫びたくなる程に美味しかった。そして食事が終わって少ししてからアルトリウスの姿はナザリックにあった、先程の話を続きをする為である。

 

「これがスクロール、これで視点の回転……右回転左回転で……あれっズームは何だろ」

「操縦桿イメージすると上手くいくなこれ」

「操縦桿……う~ん……」

 

と一緒になって遠隔視の鏡の操作確認を行っている、ユグドラシル時代(ゲーム)ではクリックなどの簡単操作だったが現実となってしまっているいまではそんな操作は受け付けない。ボディランゲージで操作を行えるという事は分かったので取り敢えず色んな動作をして、どれがどんな操作になるのかを一つ一つ確認している所である。そんな二人を見つめているのはモモンガの執務室で控えていたセバス、そして御付として付いてきたモードレッド。

 

「ズームは……あれどれだ?」

「なあなあ父上俺にもやらせてくれよ、拡大ならこうじゃねぇかな」

「―――おおっ本当だ、やるなモードレッド」

「へへん、直感だけどな♪」

 

父親であるアルトリウスの鏡を覗き込みながらもタッチパネルの一部を指で伸ばすような動作をすると拡大、その逆をすると縮小となるらしい。流石の直感だとモードレッドを褒める、それを受けてモードレッドは素直に喜びながら笑顔になりながら頭を撫でてと言わんばかりに頭を差し出してくるので優しく撫でてやる。そんな様子を見てモモンガは羨ましそうに見る、自分もNPCとあんな関係だったらいいのになぁ……という思いを込めながら。

 

「さて、それではアルトさんの報告と照らし合わせながら偵察をしてみるか……アルトさん俺の鏡でやりますから報告書の方をお願いします」

「分かった」

 

と二人して鏡を覗きながらも報告書の地点かどうかを確認している主たちを見つめるセバスとモードレッド。ややシュールな所があったが漸く上手くいったのか村を見つける事が出来た。これが恐らく発見した村という奴だろう、一先ず自分達の目でどんな文明レベルなのかを調べようと拡大してみると―――そこに広がっていたのは鎧に剣などで武装した騎士の集団に村人が襲われる光景、鏡にはまた一人が騎士に斬り殺されてしまった。

 

「これは……何だ」

「―――こりゃ騎士たちが一方的に村人を殺してる、村人の顔には何で自分達が殺されるのか分かって無いって浮かんでる。だが騎士には目的があって殺してるように見えるぜモモンガ様」

 

質問に応えるようにモードレッドが持ち前の直感と騎士としての視点で意見を述べた。だがそれはそう言った意図ではない、モモンガは驚いていた。映画などでもあり得ないような生々しい人の死に絶える姿、血飛沫が空を舞い地面を染め上げ、零れ落ちる内臓……普通ならば声を上げても可笑しくないのに何も感じない、まるで目の前で虫の狩りを見ているかのような如何でも良さげに想っている自分がいた。即刻〈伝言/メッセージ〉を飛ばす。

 

『アルトさん俺、なんか変です。この光景を見ても何も感じません……!!』

『……奇遇だな俺もだ。これが異形種になってる影響って奴か……同族意識がねぇだけでこんなにも変わるのか……マジか』

『それなら指輪をしたら変わりますかね』

『価値はあると思う、やろう』

 

異形種化が影響ならば―――と共に人へと変化する指輪をして再び鏡を見る、また一人人間が殺された。それを見て二人の心は、荒れない程度には冷静だった。戦争映画でゴア表現を見た位の変化しか起きていない。兎も角冷静になりつつも二人は協議する、このままこれを見過ごすか、否かを。

 

「モードレッド、お前は如何見る」

「如何って言われてもな……何とも言えねぇよ父上、村人が悪いかもしれねぇし騎士がわりぃかもしれねぇ。だけどよ……」

 

拳を握り込みながら、歯軋りをさせながらモードレッドは怒りを感じている顔で応えた。

 

「この騎士たちは明らかに無抵抗な奴まで殺してやがる、抵抗しねぇって意思表示してる奴まで……俺はこいつらが大っ嫌いだ!!」

 

それだけはハッキリさせたいと言わんばかりの大きな声で宣言する、それにはセバスも同意見なのか僅かに頷いていた。それを聞きながらモモンガもそれには同意を浮かべる、事情があるかもしれないが自分達の目には明らかな一方的な虐殺にしか見えない。そしてそれに強く同意を浮かべたのは騎士王でもあるアルトリウス。

 

「俺もこいつらは嫌いだ―――モモンガさん、行かせてくれないか。この世界での我々の力を知る為にも」

「……分かりました、何れにしろこの世界における強さの検証は必要ですからね……ですが私も指示出したら直ぐに行きますので無茶はしないでください。〈転移門/ゲート〉」

 

モモンガは目の前に異空間の門を作り出す。ユグドラシルにおける距離無限、転移失敗率0の確実な移動魔法として重宝していた魔法を展開してアルトリウスを送り出す準備を完了させる。それに感謝しながらアルトリウスは腰にある剣の鞘に手をやりつつもモードレッドに目をやる。元より承知だと言わんばかりの瞳をしている。きっと自分が思っている通りだろうが、兜を被りながら敢えて言った。

 

「行くぞモードレッド、これがこの世界における我らが初陣だ」

「おう父上」

 

モモンガによって生み出された異空間の門、躊躇する事もなく二人はそこへと入っていくと鏡にはその姿が映し出されていた。

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