世の中は二つの物質で構成されている。
おっぱいとその他だ。
おっぱいとは我々——人類が進化してきた中でも初めから持っていた聖遺物である。かつての神話でも女神が巨乳で美人だったり、近年でもデカパイを巡って大惨事デカパイ戦争が勃発したほどだ(フィクションです)。
おっぱいは赤ん坊に母乳を与えるために存在する。だが、おっぱいは男を幸せにするためにも存在しているのだ。例えば、おっぱいをモミモミして女性は顔を赤く染めて恥ずかしそうにする。それを視姦する俺。 なんと素晴らしいことかっ! また、おっぱいで顔をビンタされた時など下半身が
男と貧乳の女性のおっぱい……? なんだそれは知らんな。
とにかく、おっぱいとは世の中の生物の全ての母であり、我々が開発してきた物は全ておっぱいが開発したようなものなのだ。
あぁ! 偉大なるおっぱいの神、デカパイ神よ……! 俺におっぱいの加護をお与えください!
おっぱい万歳! 巨乳万歳!
「というわけなのだよ、巨乳の素晴らしさがわかったかねレキ君」
「何を語っているのですか、死んでください」
*
東京武偵高校……それは南北およそ2キロメートル・東西500メートルの人工浮島に設立された、武偵を育成する総合教育機関である。今日は始業式で武偵高校に通う生徒が全員登校する日だ。
この東京武偵高校には個性的な生徒が多く通っている。そして、武偵高校2年A組にはさらに個性的な生徒が属しており、その中でもトップクラスに個性的な男子生徒の話である。
世の中には二人の人種がいる。
——リア充と非リア充だ!
これは単にリアルが充実しているという意味ではなく、彼女がいるか否かという意味のリア充及び、非リア充だ!
世の中はリア充が40%、非リア充が50% ホモレズは10%で構成されている(虚実です)
リア充とは「私、彼女いますよ」自慢をあらゆる人に語り、「あ〜、俺、今リアル充実してるわ〜」とのたまうクソ野郎だ!
日本は民主主義! 非リア充の方が多いんだ! 非リア充のみんなでリア充を弾圧だ! せーのっ!
ゲームは一日一時間! 彼女と触れ合う時間も一時間っ!
「ゲームは一日一時間! 彼女と触れ合う時間も一時間っ!」
「黙れ、武藤ォ!」
「ぶべらっ!」
俺はリア充撲滅宣言を共に語っていた武藤剛気を殴り飛ばす。
「なにしやがるっ!」
起き上がった武藤は俺の制服の胸倉を掴み激昂した。俺は冷静になった頭を彼に向けて下げる。
「すまん、武藤……悪いとは思ってる。だけど、これはお前のためを思ってのことなんだ……」
「天草…お前……!」
武藤は胸倉から手を離し、感極まった声で俺を呼ぶ。
「キンジへの恨みをお前にぶつけることで、俺がスッキリするからだ」
「結局テメェの都合じゃねえか!」
「いやいや、お前も殴られてスッキリするだろ?」
「俺はMじゃねえよっ!」
「安心しろ——俺はMもいける」
「世界一いらないカミングアウトだな!」
武藤は大声を出し続けていたため。息切れしていた。
俺は息切れしている武藤の肩に優しく手を置いてイケメンスマイルを浮かべる。
「安心していいんだ、Mであることは決して間違いじゃない。恥ずかしくないんだ!」
「あ、天草……俺、実は……! ってなるか——ッ!」
激昂している武藤だが。なかなかノリノリである。
俺と武藤がバカな掛け合いをしていると、俺の隣から声が聞こえた。
「武藤もソラも何をバカなことを言っているんだよ……」
隣の男子生徒、遠山キンジは呆れ顔で俺たちを見ていた。俺はイジリをする対象を武藤からキンジに切り替える。
しかし、彼にはとある噂……というよりも疑惑があることを俺は知っていた。
「キンジくんは女に興味がないもんね。ホモだもん」
「誰がホモだ! 俺はノンケだ!」
「いやいや、普段は『僕は女に興味ありませんよぉー、むしろガチムチの男に興味がありますよぉー』って言ってるくせによぉ!」
「ばっ!? お前そんなデカイ声で言うんじゃねえ!」
俺がデカイ声でキンジのホモを語ったため、クラス中の至るところでヒソヒソ声が聞こえる。例えば、「キンジ君ってやっぱりホモだったんだ」とか「キンジ君はガチムチ好きだったの!?」とか「キンソラホモップルが成立しないじゃない!」とか……おい、最後おかしいだろ!
そして、ホモ疑惑……というかホモ扱いされているキンジは必死に弁明していた。
「待てっ! 俺はホモでもガチムチ好きでもないっ! 女もあんまり好きじゃないけれども、俺は……俺はノンケなんだ——ッ!」
だが、キンジの必死の弁明に対して誰も聞く耳持たずで、ヒソヒソ声は収まらない。弁明することを諦めたキンジは椅子に座り、学生机に倒れ伏した。
俺はそんな絶望しているキンジの肩に手を置く。
「やったな! これでお前も一生非リア充だ」
「ソラぁ! お前——ッ!」
俺が優しく声をかけたらキンジはバッと起きて胸倉を掴んだ。
「お前がいなければ……! お前さえいなければ俺の生活ももう少し安泰だったはずなのにぃ……!」
そう言うと、どんどん脱力するように胸倉を掴んでいる手を離していく。そして、再び机に倒れ伏した。
流石に、申し訳ないと思った俺はキンジの隣の席(自分の席)に座り、素直に謝る。
「すまんキンジ、せっかくお前が初めて彼女できたのにホモとか言ったらダメだったな……」
ほんとすまんと再度心の中で謝る。
キンジは最近——というよりも今日、彼女ができたのだった。それは……なんと今日、初めて来た転校生。緋色の髪のツインテールで身長145センチメートルほどの小柄な可愛らしい少女。しかし残念、貧乳です! 最初、みたときは小学生……? と思ったが、ちゃんと高校生だった。
合法ロリ、やったね!
「そうだ…それだ……! その話だ!」
突然、キンジが起き上がって俺の方を向く。キンジはホモ疑惑よりも大事な要件を思い出したといった顔をしていた。
「アイツは俺の彼女じゃないんだよ!」
「はぁ?」
何を言っているんだコイツは?
転校生……神崎・H・アリアは転校初日には既にキンジと知り合っており、アリアはキンジの隣の席が良いと言って左隣の席に座った。(俺はキンジの右隣)
わざわざ隣の席が良いと言うほどだぜ? これが彼氏彼女の関係じゃないんだったらなんだというんだ。しかも神崎はキンジのことをよく調べていたらしい。
そう、つまりキンジは神崎が転校する日——つまり、今日の朝に彼女と何かしらのイベントがあったのだろう。そして、そのイベントをキッカケに付き合ったということなのだ。
……なぜ「今日の朝」だと思うのかって? だってキンジ、今日の朝一発目の始業式いなかったもん。これって絶対何かエッチなことを朝からしてたってことだよね?
「で、なんで、神崎がお前の彼女じゃないんだよロリコン」
「おい、ナチュラルにロリコン扱いはやめろ」
「んだよホモ。俺は中途半端はキライだぜ。両刀はバッチこいだ」
「ホモでもロリコンでもねえよ!」
激昂するあまりキンジが「はあはあ」と息を荒くする。それを見て流石に彼の話を聞こうと思った。
しかし、キンジって何故かイジリたくなるんだよなぁ……キンジのダウナー的な雰囲気のせいだろうか。きっとそうだ。だから俺は悪くない。ついでにキンジの彼女の神崎もイジリたくなるような性格してるんだよなぁ。強気だけど純真……あぁ、俺のドS精神が加速する。
「アイツは本当に彼女じゃないんだよっ!」
「ふーん。で、その理由は?」
「アイツとは何もあってないし、何も関係がないっ!」
「——それは嘘だろ」
キンジの断言に対して、俺はダウト宣言をする。すると、キンジはウグッと弱みを突かれた表情をしていた。やっぱり嘘だったんじゃねえかこのやろー。
観念したようにため息を吐くキンジは小さく呟くように言う。
「今朝……体育倉庫で、ちょっと……」
「おい」
ハイ! アウトォォォォォォォォォォォ!!
体育倉庫は完全アウト! 絶対これはヤっちゃってますね! エッチいこと間違いなし!
性に興味津々な男子生徒にとって体育倉庫とはエロの塊である。というかエロそのものだ。
キンジは「体育倉庫」という単語の隠喩に気づいたのか手を突き出して必死に訂正していた。
「待てっ!? 体育倉庫だからってエロいことは何もしてな——」
「本当に?」
俺はキンジの言葉を遮って言った。キンジはピシッと石板のように固まり……。
「ほ、本当に俺は何も——」
「本当に?」
「スミマセン、胸触りました」
「ほう……」
素直に白状したキンジ。無駄な抵抗はせず、さっさと吐けばいいものを。それにしても神崎の胸を触ったか……貧乳だからといって、胸に触れたのは羨ましいなぁ。
「それで?」
「えっ」
俺はキンジを問い詰める。
「それで、神崎の胸の感触はどうだったよ?」
キンジは冷や汗を流しながら、神崎の胸の感触を思い出したのか、少し顔を赤く染める。コイツ、本当にエロいことに対して免疫ねえな。
「サイズは小さいのに、柔らかくて……コイツも女なんだなぁ……と」
「ほうほう……」
キンジはポツリポツリと小さい声で呟くように言う。
ほうほう、お主もなかなか悪よのう。
「——って、なんで俺が胸の感触なんて話さなきゃいけないんだ!?」
ちっ、我に帰ったか。そのまま胸の感触について教えてくれればいいものを。
だけど……お前、そんなに大きい声出したら——
「ねぇ、今の聞いた!? キンジ君が胸の感触について話してたんだってー!」
「キャー! ヘンターイ!」
クラスの外から女子生徒の声が聞こえる。ついでにクラスの中からもキンジに対して訝しげな視線を向けている者も多数。そして、当の本人はショックを受けてガガ…ガガガガと壊れた機械のようになっていた。
とりあえず、キンジは変態という認識はこれから学校中に広がることは間違い無いだろう。だがまぁ、責任の一端は俺にあるので……ね。
「とりあえずキンジ。お前と神崎が付き合ってないのはわかったから」
俺はキンジを慰める。すると、キンジはウルウルと瞳を揺らめかして俺の両手を握る。
「そ、そらぁ……! もう俺には……俺にはお前しかいないんだぁ——ッ!」
「はあああああああああっ!? 何を言ってんだお前は——ッ!?」
突然のキンジの告白にクラス中が沈黙。クラスの外も沈黙。すると——
「ねぇ、今の聞いた!? キンジ君が天草君に告白したんだって——っ!」
「キャー! キンソラキター!」
クラス外から聞こえる、先ほどと同じ声の女子生徒の会話。そして、その会話の後に、クラス中から歓声が上がった。
「キタァァァァァ!! キンソラ本がはかどるぅぅぅ!!」
「こ、これは!? 学校内ナンバーワンのBLコンビがついに付き合う!? これは理子りんも
「二人ともおめでとぉぉぉ!! 初体験とかの話もちゃんと教えてねっ!!」
「武藤くん、彼らを僕らでしっかりと祝わってあげないとね」
「ああ! そうだな不知火!」
「……………………」
俺は動きを止めていた。生命活動すらもしていなかった。とにかく、顔中から血の気が引いていく感覚がして尻の穴がヒュッと締まった。
キンジを見ると、キンジも自分が何を言ったのかを自覚したのか顔を蒼くしていた。そして同時に。
『俺はノンケなんだぁ——————ッ!!』
教室から涙を流しながら走り去った。
しばらくお互いの顔を見れなくなりました……
*
ここは屋上。教室から走り去った俺は屋上へと逃げ込んだ。走ったことで荒くなった息を落ち着かせて、キンジからの告白や俺に対してのホモ疑惑の浮上など、様々な驚愕な事実のショックを落ち着かせるために俺は屋上からの景色を見て、精神を癒そうと思った。
だが、既に先客が来ていたようだ。
「レキ」
身長は150センチメートル程度で、ライトブルーのショートカットの少女が屋上にある転落防止用の鉄柵に手を置いて外を見ていた。
俺に名前を呼ばれたレキはこちらの方を向く。
彼女の黄金色の瞳に俺の姿が映った。
そして、彼女の隣にあるのは、彼女の代名詞とも言えるソビエト連邦産のセミオート狙撃銃、ドラグノフ。
「こんにちは、ソラさん」
「ああ」
彼女の短い挨拶に俺は手を軽く振って応える。彼女は普段から無口かつ無表情、さらに無感情と三拍子が揃っており人との関わりを最小限に控えていた。だから、彼女のことを『ロボット・レキ』などと言う生徒もいる。だが、『ロボット・レキ』というあだ名は、彼女の真骨頂である正確無比な狙撃を指すこともあるのだ。
彼女は『
そもそも、『武偵』とは、凶悪化する犯罪に対抗するために新設された国家資格である。
武偵免許を持つ者は武装を許可され、逮捕権を有するなど警察に準ずる活動が可能になるが、あくまで武偵は金で動き、金さえ貰えれば武偵法の許す限りどんな仕事でも請け負うため「何でも屋」の側面があるということだ。
次に、『学部 学科』とは、武偵にはそれぞれ、『
強襲学部の『
諜報学部の『
探偵学部の『
兵站学部の『
通信学部の『
衛生学部の『
研究部の『
教務部の『
教養学部の『
東京武偵高校では、午前中は全学部共通の『
また、『
そして、『
先程言ったようにレキは『
そして、最後にSランクについてだが、Sランクとは武偵ランクという制度の中の一つである。
武偵には通常EからAまでのランクが存在し、民間からの有償の依頼解決の実績や学科の各種中間・期末試験の成績からランク付けされる。基本的に普通の武偵にとってはAランクまでが通常なのだが、そのAランクの上に特別なランクが存在する。それがSランクだ。Sランクは限られた人物にだけそのランクが与えられており、実力も当然ながら非常に高いものである。だが、そのSランクの上にさらにもう一つ……Rランクというものがあるらしいが、まぁ、俺には関係ないことであるので、放置しておこう。
それで、レキについてだが、彼女は高校一年時において初めから狙撃科Sランクの称号を貰っているのである。彼女が扱っているドラグノフの射程距離は800メートルなのだが、彼女の狙撃範囲である
ついでにいうと、キンジも今でこそ探偵科でEランクだが、一年時においては強襲科でSランクを取っているのであり、俺も初めは強襲科Sランクだったが、とある事情でEランクに落ちて、今では再びSランクの座に着いている。ついでに言うとEランクからSランクに返り咲くときにレキと深く関わり合うことになったのだ。
まぁ色々と事情があったのだ俺もキンジも……。
さて、一段落ついたところで俺も屋上の気分も味わさせてもらおうかな。
「レキ、隣にいいか?」
レキはコクリと頷く。了承をもらった俺は彼女が手を置いている転落防止用の鉄柵の隣に腰掛ける。そのまま鉄柵に寄りかかり、大きくため息を吐く。
ふわり、と肌を撫でる涼しい風が吹く。今日は気持ち良い風が吹いているようだ……。
「——今日は良い風が吹いていますね」
隣から声が聞こえた。その正体は当然ながらレキなのだが、彼女から声をかけてくるのはとても珍しいので、ついつい驚いてしまった。
「あ…ああ、そうだな。こういう優しい風は気分が良くなってくるよ」
彼女は俺の返答に満足がいったのか俺から視線を離し、また屋上からの景色を眺める。俺は眺めていた空の景色から目を逸らし彼女を見る。すると、とあることに気がついた。
「今日は、ヘッドフォンをつけていないんだな」
彼女は一人でいるときや、特に話すことがない時はヘッドフォンを頭によくつけているのである。そのヘッドフォンでは故郷の風の音を聞いているらしく、実際に一度貸してもらったときも、風のような音が鳴っていた。そういうこともあり、彼女が故郷の風の音を聞かず、ヘッドフォンを首に垂らしているということは珍しいのであった。
「……今日の風は、とても心地が良いですから。直接、感じたかったのです」
「ふーん、そうなんだ」
レキのような風マニアが賞賛する風を屋上で受けることができた俺は幸運だな、なんて一人で思っていると、レキは、「それに」と続けた。
「今日は、貴方が来ると風が言っていましたから」
そう言ってこちらを見るレキは少し微笑んでいるように見えた。
……どうやら、今日のレキは超上機嫌のようだ。彼女の微笑みを見せてくれた風に感謝だな。彼女の微笑みを見れて満足なのだが、ただまぁ、このまま何も返さないというのも失礼だろう。
「俺も傷心を癒すためにここに来たがイイモノを見れたよ」
「イイモノ…ですか……?」
レキがカクリと首を横に傾ける。何のことかわかっていないようだ。
いや、本当にイイモノが見れたよ……うん。
風がふわっと吹きすさぶ、すると、レキのスカートがチラッとめくれて中の下着が露わになる。この工程が先ほどから何度か目撃しているのだ。
レキもそのことにようやく気がついたのか、スカートに手をやって抑える。
レキにも恥ずかしいなんていう感情あったのかぁ……と心の中で呑気にボヤいていると、流石に下着を見せてもらったのに何も感想を言わないのは失礼に当たるのではないかと俺は思った。
だから、俺の気持ちを真っ直ぐ伝えよう。
「その青い縞パン、レキの髪色と似合ってて可愛らしいぜ」
「——死んでください」
グシャっと脳天に銃剣が突き刺さる。ブシャァァァとアニメのように頭から血が吹き出てきた。まぁ……こういう彼女の対応はいつも通りなので何だか嬉しく思っている俺であった。
あぁ……頭が痛ぇ……。