現在、アドシアード真っ最中だ。
東京武偵高校はかなり広いが、どこもかしこも一般客の姿が見える。今年のアドシアードも成功といえるだろう。
「——で、あんたは自動ドアに挟まって何してんの?」
「す、すんませんアリアさん」
「いや、謝らなくていいから、一体どういう状況になったら狙撃科棟の自動ドアに挟まれる事態に陥るのよ」
ほんとすいませんアリアさん。自動ドア開けてくれて助かりました。
「いや、あのですね……はい。今、ここで
「そうね、レキも出てるし、それで見ようと思ったわけね。そこまではわかるわ——で、なんで挟まってたの?」
う、うぐっ! いや、あの…それは……
「入り口付近でチョロチョロしてたらガシャンと閉められまして」
「あんたねぇ。あ、そういえば昨日レキから電話が——」
「それはマジか!? アイツなんて言ってた!? 教えてくれッ! 教えやがれッ!」
「ちょ、わ、わかったから、そんなに顔近づけないで……」
おう、離れてやっから。さっさと言えやコラ。
「昨日、ソラと『
「レキがそんなことを……?」
ウンと頷くアリア。
俺の心がレキへの罪悪感で占められていく。
俺が狙撃科棟で会場に入らず、入り口付近にいた理由。それはレキの勇姿を見ようと思いここまで来たのだが、先日の出来事から罪悪感が半端ではなくずっとここに立ち止まっていたというわけだ。
自分からパートナー解消だとか、赤の他人だとか言っておきながらこの様だ。自分が愚かすぎて嫌になる。
「何暗い顔してんのよ」
アリアが俺の頬にジュースの入ったペットボトルを当てる。
ひんやりと冷たくて気持ちいい。
それでも俺の心に巣食っている罪悪感は消えないため、きっとアリアから見て俺は暗い顔をしたままだろう。
「はぁ……このことはレキから口止めされてたんだけど、正直、今のあんたは見てらんないわ」
そう言って、アリアは俺に詰め寄ってくる。
「あんた、レキを事件に巻き込みたくないとかなんとかでパートナーを解消をしようと言ったらしいじゃない。そのくせ、ここまでノコノコとやって来て未練たらたら……情けなさすぎるわよ」
アリアは……怒っているのだろうな。
レキが俺を怒らなかったから。その代わりとして。
「あんたにはあんたの事情があるのはわかるわ。きっと、私も似たようなことを経験していたから」
同情……だろうか? アリアが、俺の顔を見ながらそう言ってくる。
しかし、すぐに俺を睨めつけてきた。やはり怒っているようだ。
「それで、あんたはこのままでいいの?」
「このままでって何が……?」
「レキと別れたままでって意味よ。ずっとパートナーだったんでしょ?」
「それはそうだけど……いまさら会わせる顔がねえし、俺はアイツを巻き込みたくない」
俺の脳裏には先日の電車の中でのレキの泣きそうな顔が思い描かれる。
俺の言葉を聞いて、アリアはグッと奥歯を噛み締める様子を見せた。
「——やっぱりバカね!
「あんたたち……?」
俺が聞き返すように言うと、アリアは強く頷いた。
「あんたとレキのことよ!」
いや、それはわかるのだが……バカは俺だけじゃないのか……?
「どうしてあんたは仲間のために簡単に自分の命を賭けるくせに仲間が自分の命をあんたのために賭けようとしたら嫌がるのよ!?」
……そんなもの。
「……死なせたくないからに決まってるだろ。俺が死んでも、お前らが生きててくれればそれで——」
「それをバカだって言ってんのよッ!」
「——っ!」
アリアが俺の頬を平手打ちした。
突然のビンタ。
俺は頬に熱を感じながら、アリアの顔を見る。
アリアは——涙目になっていた。
「あんたがもし死んだら、あんたに命を賭けようとした人たちはあんた以上の苦しみを背負って生きていくことになるのよッ!」
「——ッ!」
「あんたは、仲間が生きててくれればそれでいいかもしれないけど残された
あんただってそれが嫌だったからずっと自分の命を仲間に賭けてきたんじゃないのよッ!?」
アリアの頬に一筋の涙が流れる。
俺は、今になって叩かれた頬がジンジンと痛みが出てきているのがわかった。
「だからあんたはバカなのッ! レキも同じよ! なんでこんな独りよがりなバカを放置しようとしたのよッ! 死なせたくないのなら頼られなくたって自分から勝手に助けに行けばいいだけのことじゃないッ!」
きっと……アリアはレキにも怒ったんだろう。
そして、今は俺に向かって怒っている。
叩かれた頬にますます痛みが重くなっていく。
この痛みはアリアの怒り、悲しみ、慈しみ、愛が込められているのだろう……
重い。とても重い一撃だ。
アリアが俺の胸倉を掴む。
「死んでいく者の苦しみと残された者の苦しみは違う……! でも——」
彼女の瞳は涙でいっぱいになっていた。
「死ぬ者の苦しみよりも残された者の苦しみの方が絶対にツライに決まってるじゃないッ!」
そう言って、アリアは俺から手を離して泣き崩れる。
「だから、やめてよ…ぉ……! 勝手に一人でいなくなろうとなんてしないでよ……! あんたがいなくなれば、どれだけ悲しむ人がいると思ってるのよぉ……!」
俺が死んで悲しむ人……
アリア、キンジ、レキ、理子、白雪、あやや、ギン、武藤、不知火、蘭豹先生、それと2学年のみんな……
あぁ……
俺はバカだ……大バカだ……!
——クソバカ野郎だッ!
俺は近くにあった自動販売機に頭を打ち付けた。
ガゴォッン!と音を立てて、打ち付けた自動販売機に凹みができる。
「ソ…ラ……」
座り込んでいるアリアが俺を見ている。
俺は、頭から熱い液体のようなものが垂れているのを感じた。
「……俺は、今でもお前らを俺のせいで危険な目に遭わせるのは嫌だと思ってる」
俺と『運命の一族』との因縁のせいで誰かが傷つく姿は見たくない。
「でも、お前らが……俺を死んで欲しくないって言ってくれるなら……俺のために死んでくれるなら……俺は——」
——プルプル。
俺とアリアの携帯にメールが届く。
「ケースD7……!」
アリアの驚く声。
ケースD——とは、アドシアード期間中の、武偵高内の事件発生を意味する符丁だ。
だが、D7となると、事件であるかは不明確で、連絡は一部の武偵にのみに届く。なお、保護対象者の身の安全のため、みだりに騒ぎ立ててはならない。武偵高もアドシアードを予定通り継続する。極秘裏に解決せよ……という状況を表す。
メールを開いてみると、内容は白雪が行方不明であり、一般客に悟られず極秘裏に発見し保護せよとのことであった。
「アリア、見たか……?」
「ええ、見たわ」
「そうか。お前の勘は作用しているか?」
「ええ、ビンビンに作用してるわよ」
そうか。じゃあ、やることはひとつだな。
「じゃあ、そこまで案内してくれ」
*
俺とアリアは狙撃科棟を抜けて、とある場所を目指していた。
——地下倉庫。
そこは東京武偵高校三大危険地域の1つとして数えられている。他の二つは強襲科と教務科だ。
おそらく地下倉庫に『
アリアがそう言ったのだ。まぁ、間違いないだろう。
——プルプルプル。
突然、俺の携帯が鳴った——着信だ。
俺とアリアは一旦、足を止めて携帯を見ようとした瞬間。
——ヒュン。
俺はガントレットを装着している右手を顔の前に構える。
ガギリリィン!と、金属と金属とが激しく擦れる音が聞こえた。
「ソラ……!? それって——」
アリアが俺の右手の人差し指と中指の間に収まっているモノを見て驚きの声を上げる。
「.338ラプア・マグナム弾……」
俺は携帯を見る。着信相手は——非通知。
そうか。この銃弾は挨拶か。
「アリア、『
俺はアリアを見てそう告げる。
アリアは一瞬戸惑った表情を見せるが、レキから大まかな事情を聞いているからだろうか、すぐにいつもの表情に戻った。
「いいわよ。でも……」
……ああ。
「わかってる。もう大丈夫だから心配の必要はねえよ。今の俺は暗い顔なんかしてないだろ?」
俺がそう言うとアリアはクスッと笑った。
「ええ、してないけど。頭から血が出てるわよ」
うるせえわ。自販機が予想以上に堅かったんだよ。
「じゃあ、私行くから……絶対に勝ちなさいよ」
「ああ、当然だ」
アリアは地下倉庫へと向かっていった。
彼女が狙われることはおそらくないだろう。勘だがなんとなくわかる。
今日のヤツはおそらく俺にしか興味はない。
俺は電話に出る。
『はろはろー。私の愛しい天草空くぅん。ティリア・ミストちゃんが貴方の心と心臓を射止めにきたぞぉ』
大人っぽい喋り方。しかし、子どものような声。間延びした口調。
この声が、先日見た紫色に包まれたミディアムヘアの小柄な少女から発されているものだとしたら、なるほど納得できるな。
「おう。昨日ぶりだな。身長は少しは伸びたか?」
『……あらぁ? 昨日とは様子が全く違うわね。一体何があったのかしらぁ?」
「さぁ、なんだと思う? ヒントはお前にも少しばっかし感謝してるということだ」
おかしなもんだ。昨日はあれほど憎く、恐ろしく感じていたティリア・ミストの声なのに、今は全く怖くない。
むしろ、なぜだか好感のようなものまで湧いてくる。もしかしたら、俺は本当にティリア・ミストに感謝しているのかもしれない。
『うぅむ……さっぱりわからないわぁ。でも、今の貴方って遠目からだけどかなり良い顔をしてるわね。昨日とは全く違う。ううん……今までにないくらい良い顔だわぁ」
そうだろうな。何故だか俺も少しばっかり笑みを浮かべている気がするからな。
「答えはお前に気づかされたからだよ——大切なものは失ってから気づくってことを」
『……へぇ。つまり今の貴方は大切なものを失っていると……?』
「そういうことだ。それで、この電話が終わったら少しばっかし俺に時間くれねえか? 大切なものを取り戻さなきゃいけないんでね」
敵に対してこのふざけた態度。
普通であれば、咎められるどころの騒ぎではないだろう。
でも、俺はティリア・ミストに対しては、真っ直ぐぶつかるよりもこの態度で臨むのが正解だと思った。
『ふふふ、いいわよぉ。挨拶は済ませたし、今から10分あ・げ・る。そこからは、貴方のデット・エンドへの旅が待っているわぁ』
おうおう、霧ってのは怖いねぇ。そんなに俺を迷わせるのかよ。
「おう、サンキューな。じゃあ電話切るわ。バイバイ」
俺は電話を切る。そして、別の人物へと通話をかけた。
その人物に繋がる前に俺は、ポケットから完全ワイヤレス式イヤホン——AIR POPを取り出して耳に装着する。
これで移動しながらでも通話ができるようになった。
俺が通話をかけている相手は今、本来であれば大会に出場中なのだが……おそらく出てくれる…………といいなぁ。
『……………』
あ、繋がったようだ。
よかった、出てくれたか……ということは、大会は棄権したのだろうか? 彼女なら世界記録を塗り替えることも可能だと思うのだが……まぁいいか。
「おう。久しぶりだなレキ。ちょっと俺に時間くれ——」
ツーツー……
え……? あ、嘘でしょ? 話しかけた瞬間、電話切られたんですけど。
……しょうがない。もう一度掛け直すか。
『………………』
よし、繋がったか。
「あ、レキ? あの、俺いま結構やばい状況で——」
『知りません。勝手に死んでください』
ふぉぉ!? や、やばい! 電話越しにもレキの激怒が伝わってくる……!
『貴方と私は赤の他人です。パートナーでもなんでもありません。死んでください』
お、おう。今日のレキの声は無感情というよりもどこか針があるように感じられるなぁ……
あはは、語尾に死んでくださいってついてるし……やっぱり怒ってるよ。
『アリアさんに言われました。あんなバカ変態なんか放っといて別のパートナーを探せばいいじゃないと。私もそれが良いと思いました。死んでください』
ア、アリアさん!? 俺とレキの復縁を望んでいたわけじゃないの!?
というか、死んでくださいってめちゃくちゃ言われてるし!
『それでパートナーの条件というものを作りました。死んでください』
なんだそりゃ? レキが求めるパートナーの必要最低限みたいなやつか?
『①強襲科専門のSランク武偵であること ②近接格闘が得意であること ③銃撃ができること ④一度Eランクを経験したことがある人 ⑤銃弾を予測できること ⑥パートナーを大事にすること ⑦キスを1日1回してくれること ⑧銃剣を刺しても怒らないこと ⑨私に構ってくれること……どうでしょうか? 死んでください』
お、おう……思ったよりも求めるもの多くてびっくりしたよ。
というか、後半は本当にパートナーとして必要なものなのか……?
『一度、この条件で該当者がいるか調べてみましたが、一人もいませんでした。死んでください』
だろうな。いるわけねえよそんなヤツ。
『そこで、以前に一度パートナーを組んだ者も該当することにして調べた結果。一人だけいました。死んでください』
へぇ、そいつはすごいや。一体、ナニ草ナニだろうか? きっとイケメンなんだろうな。
『その人の名前は——
「おいぃいいい!? 誰だそれは!? ほとんど
『……それで、その馬草鹿という人にパートナーを申し込もうと思ったのですが、連絡が取れないのです。死んでください』
無視ですか。そうなんですか。
まぁ、それよりも連絡が取れないのね。
「そうか、じゃあ俺が代わりに立候補したいが、生憎、俺は⑥を応えることが出来なかった前科持ちだからなぁ。その条件は俺では満たせないようだ」
『そうですね……それでこのままでは、永遠にパートナーができないという状況になりかねないため、追加項目として一つ設定しました。死んでください』
……どんな追加項目なんだろうな。
優しいものじゃないと追加するだけ無駄になるからな。
『⑩私を頼ってくれる人……これを満たせば、他の条件は全て努力して後ほど達成してもらえればそれでいいです。死んでください』
へぇ、レキを頼るか。なるほど……なるほどなぁ。
「そうか。じゃあ俺でも立候補できそうだ」
『……そうですか。それなら——』
ああ、
——といきたいところなんだが……それじゃあダメだ。
俺がレキの優しさに甘えてしまうことになってしまう。
それでは何も変わらねえ。
俺がまたレキを傷つけてしまうかもしれねえ。それは絶対にダメだ。
「ところでよ。俺さ、とあるパートナーと別れた後、どこから漏れたのか知らんがメールでパートナーの申し込みが結構きてたんだよね」
『——っ!』
電話の向こうから息を飲む音が聞こえる。
だが、俺は口を止めない。
「それで、俺もパートナーに求める最低条件というものを作ってみたんだが、聞いてみるか?」
『………………』
沈黙。
だが、古来から沈黙は肯定の証と言われている。つまり聞くということだ。そうじゃなきゃ俺が困る。
「それじゃあ言うぞ……①巨乳 ②美少女 ③おっぱいを自由に触らせてくれる子 ④お尻がキュートな子 ⑤俺といっぱいラブラブしてくれ——うふぉをぉい!?」
後方から飛来した銃弾が俺の足元に打ち込まれた。
あらら、銃剣から銃弾にランクアップですか? ソラさん死んでしまいますよ。
『……死ね』
おい、死んでくださいじゃねえのかよ。なんでそれもランクアップさせてんだ。
ところで、そろそろションベンちびりそうなんで勘弁してください……!
「ほ、他にも⑨番まで作ったんだが……これに該当するヤツが一人も……あ、理子が結構近——イイイッッィイ!?」
またしても後方から放たれた銃弾が俺の足元に打ち込まれる。
し、しかも一発目よりも俺の足との距離が近いぞ!? そ、そろそろ本気で殺されかねない……!
「そ、それでな該当者が一人もいなくて永遠にパートナーができそうにねえから追加項目を一つ設定したんだよ」
『……それは一体なんですか』
「⑩俺に命を賭けてくれる人……これを満たしてくれれば他はどうでもいい……あ、やっぱ努力することは必須で」
うん。努力は必要だよね。おっぱいでかいほうが俺のモチベーションが上がるしな。
「……というわけだ。俺はもう一人で抱え込まないよ。俺は、俺に命を賭けてくれるヤツを残して一人で戦おうだなんて思わないよ——絶対に」
『死ぬ者の苦しみよりも残された者の苦しみの方が絶対にツライに決まってるじゃないッ!』
……アリアから言われたことだ。
この言葉は俺の心を撃ち抜いた。俺の独りよがりな気持ちをぶち抜いてくれた。
「もし、パートナーが死にそうになっても必ず俺が助ける。絶対に俺のせいで死なせはしない。守って守って守って守って守り抜いたうえで敵と戦うよ」
これが俺の覚悟だ。
だから……答えてくれ——レキ。
『——足りません』
……足りない?
『私のパートナーが絶対に死なないという言葉が足りません』
それはつまり……俺のことか。
『——私のパートナーは絶対に死なない』
『なぜなら私が守るから』
レキ。お前は……
『だから、私を頼ってください——いえ、勝手に頼られます。どんなにイヤだと言われても絶対に頼られます』
確固たる意志を込めた声。
今のレキの声からはそんな覚悟を感じた。
『もう一度言います』
これは、レキにとっても覚悟の宣誓なんだ。
『貴方は絶対に死なない。なぜなら私が守るから。私は絶対に死なない。なぜなら貴方が守ってくれるから……そうですよね?』
ああ……
「全くもってその通りだ。俺は絶対に死なないしお前も絶対に死なない。俺がお前を守って、お前が俺を守ってくれるから」
……そうか。
俺は欲しかったのか……どんなときでも俺を味方してくれるヤツを……どんなことがあっても絶対に死なないと言ってくれるヤツを。
「——レキ。俺を助けてくれ」
もう俺は助けを求めることを迷わない。
なぜなら、絶対に死なないと約束してくれた
『はい。喜んで』
レキの声が俺の頭に響いていく。
俺の意識が覚醒していく。
俺の世界が広がっていく。
『——ソラさん。私を頼ってください』
……未完成。
俺とレキの
だが、今は違う。今の俺なら——俺たちなら、どんな敵だって倒すことができる。
どんな困難だって打ち砕くことができる。
「ああ、喜んで」
……最高だ。
もう二度とこんな最高なヤツと出会うことはないだろう。
俺はこの幸運な巡り合わせに感謝しなきゃいけない。
「——レキ」『——ソラさん』
「俺の
『私の
*
俺は、レキとの電話を切って、再びかかってきた非通知の電話に応える。
『ふふふ。10分経ったわよぉ……ようこそ、霧の世界へ』
「……霧の世界? そんなもんはとっくの前に去っていったぞ。俺の『神風』によってな」
「——ここまでだ……ここまでが『
「そして、ここから先は『
「この先にあるのは神風の吹き荒ぶ大空——天空だ」
「『天空』の前に立っていられると思うなよ……?」
『ふ、ふふ…ふふふふ……ふふふふふふ……快感……快感だわぁ。貴方を取り巻く『風』も、貴方の気高き『大空』も……私の心を熱くする』
『いいわよぉ、その『天空』。『霧』の名において私がもう一度曇らせてあげる』
「天候を支配するのはただ一人。俺か——」
『——私か』
「さぁ、やろうぜ……本当の戦いを」
「最後の決着の時だ」