これを見ているお前らに一つ聞きたい。
もし、避けられないうえに既に起きてしまった問題に直面した際、俺はどういう顔をすればいいんだろうか。
しかもその問題は、高校生である俺には重すぎる問題だ。
……なに? 笑えばいいって?
そうだね。それでは天草ソラ——笑います。
「はっはっは!」
「——理子が隣で寝てたのがそんなに嬉しかった!? ソーくん!」
「……、」
ほんと……笑って済ましたいよ。
さて、状況説明をしよう。
今は午前6時だ。つまり俺の起床時間だな。そこから『普通』であれば俺は、学校に行くための準備やらを済ませてゴロゴロとゆっくりして、その途中で毎朝やってくるレキを迎えて一緒にゴロゴロして、一緒に登校する。
これが俺のいつもの『普通』の朝だ。
……そう、『普通』の。
「なんで
そう。目覚めた時、俺の隣には『武偵殺し』として追われているハズの峰理子が全裸で寝ていた。そして、俺もほとんど全裸であったため、もしかして、男子高校生として——主人公として、あるまじき不祥事を起こしてしまったのではないかと思っているのである。
俺は掛け布団から顔だけ出している理子に目を向ける。
「だってソーくんと理子は
「お前が全裸でなきゃな! そして俺はお前と夫婦になった覚えはねえ!」
そう怒鳴る俺に、理子は「もうっ! 照れ屋さんなんだからっ!」と舌を出しながら言う。
「——というか! 俺はもしかしてお前とヤったのか!? いや、ヤったというよりヤられたのか!?」
俺に理子とヤった記憶はない。つまり俺がチェリーボーイでなくなっているなら、それは理子にヤられたということだ。
俺はビクビクとしながら理子を見る。
「ソーくんは理子の大切なモノを盗んでいきました」
「——!?」
た、大切!? ま、まさか……!?
「それは私の処——」
「アアアアアアアアア!! 聞きたくな——いっ!!」
*
あれから少し時間が経って。
「——なんて冗談だよ! ソーくん」
「じょ、冗談だったのか……本当に俺の人生が最終回になるかと思った」
た、たちが悪すぎるぜ。俺の純情ハート弄びやがって。
ところで、理子はティリア及び、ジャンヌ改めギンと同じように司法取引によって『武偵殺し』の罪を取り消したらしい。
ったく、最近の日本はどうなってんだが、俺の周りには危ないヤツしかいねえ。
「それで、俺に何のようだよ?」
「えーっ! もう本題に入るのー!? 久しぶりに会ったんだからもっとイチャイチャしようよ!」
「イチャイチャしたいのはやまやまなんだが、俺にも予定というのがございますのでね。さっさと用件を伝えてお帰りください」
機械じみた声でそう言ってやると、理子はひどっ!? と言いながらようやく本題に入ることにしたようだ。
——妙に緊張した空気が部屋の中を覆っていく。
その中で理子がゆっくりと口を開いた。
「ソーくんは、理子の大切なものを取り戻すためだったら……なんでもしてくれる?」
少し不安そうにしながらそう聞いてくる理子。
とりあえず——
「いいぜ。なんでもやってやる」
「——えっ!?」
と迷うことなく即答しておいた。
さて、理子が言ったことだが……『なんでもしてくれる?』ってのは、おそらく普通じゃないのだろう。
面倒ごとはあんまり好きではないんだが、まぁ、理子の頼みならば別に構わないか。
「ほ、本当にいいの!?」
「あ? 別にいいけど。それで俺は何をすればいいんだよ」
理子は何やら驚いている。
今までの俺を知っているなら、別にそこまで驚く要素はねえだろ。
「え、えっと。ソーくんにやってもらうことは、理子のお母さんから貰った十字架を取り戻して欲しいの」
……そういや、理子が以前見せてくれたな。綺麗な青色の十字架。
今は持ってないのか。
「取り戻して欲しいって——誰から?」
俺がそう聞くと、理子は体をビクッと震わせた。そして、声を震わせて呟くように言う。
「——ブラド。『無限罪のブラド』」
聞いたことはないが、『無限罪』か……すごい異名の持ち主だな。
「ブラドは、理子が退学させられた『イ・ウー』のナンバー2と呼ばれている。ソーくんにはそいつから十字架を取り戻すのを手伝ってほしい」
『イ・ウー』といえば、最近ではジャンヌとかティリアが所属していた組織なんだっけか。そして、あいつらみたいなめちゃくちゃ強いヤツらがいる中でナンバー2……化け物だな。
「そのナンバー2のブラドさんを俺たちがとっちめるってわけなのか?」
俺がそう聞くと理子は首を横に振った。
「ううん、ブラドは神出鬼没で今もどこにいるかわからないの」
「ソーくんには……理子の過去を伝えるね」
——裏切りたくないし、信じているから。
と続ける理子の金色の瞳は普段と比べて、輝きが薄く、消えてしまいそうだった。
「理子小さい頃——お父様が死んで、お母様も亡くなってしまって……お父様たちが持っていたお宝は盗まれ、リュパンの名が没落していった時にアイツ——ブラドはやって来た」
俺に……俺だけに聞こえるように小さく呟く理子の顔は恐怖と憎悪に蝕まれて苦しく歪めていた。
「アイツは親戚を騙って理子を引き取ったあと……理子を監禁して、ボロ雑巾のように扱った。まるで、家畜みたいに布切れ1枚と必要最低限の水と食糧しか与えられず……奴隷のように扱ってきた……っ!」
理子は自分の体を必死に守るように両腕で包んで震わせる。
理子の過去がいかに凄惨であったか、そのガクガクと震えている体を見れば想像も難くない……いや、想像以上なのかもしれない。
一体、理子はどれほどの憎しみと恐怖を抱えて生きてきたのだろうか。
「だけど、ある日……理子はブラドの元から脱走した。そして、イ・ウーに入学したの……でも。アイツは理子を追いかけてイ・ウーにまでやって来た」
どうやら、ブラドってやつは相当なサディストのようだな。ゲスの極みなんて可愛い言葉で収められるもんじゃねえぞ。
「イ・ウーに来た時、『
……、
「イ・ウーで必死に頑張ったハズなのに……強くなったハズなのに……っ! 理子はアイツに、手も足を出なかった……っ!」
当時の理子は、悔しかった……だろうな。泣いている今の理子を見れば、それはわかる。
理子は流れている涙を拭って、話を続ける。
「それで、敗れた理子にアイツは『初代リュパンを超えれば解放してやる』と言ってきた」
『初代リュパンを超えれば解放してやる』……その言葉を聞いて理子が取った行動が、
「……でも、理子はアリアとキンジを倒せなかった。そして、何もできずに帰ってきた理子にブラドは……お母様からもらった大切な十字架を奪い取っていった……っ!」
……それで、十字架を取り戻してほしいか。
「わがままで突然で無茶苦茶なことを言っているのはわかってる……だけど、ソーくんには理子と一緒に大切な十字架をアイツから取り戻して欲しいの!」
理子が俺に懇願するように体を寄せる。
彼女の目の端には僅かに涙の滴が見える。
「だから、そーくん……理子を、助けて」
答えは——答えは決まってるよな。
「最初に言ったことと何も変わらねえよ。俺はお前のためなら何でもやってやるさ」
「う…うん……っ! ありがと……ソーくん」
あれから理子にはブラドが隠した十字架の
その作戦がうまくいけば、理子はきっといつもの日常を送れるだろう。そうなれば俺はもちろん、理子の友達だと言っていたギンも嬉しいだろう。
いいことだ……そう、いいことなのだ。
——だというのに俺の心はどこか納得していなかった。
*
「言うの忘れてたけど、キンジとアリアにも協力してもらっているから安心してね」
「お、あいつらもやるのか」
キンジはともかくアリアはよく引き受けたな。アイツにとって理子は母ちゃんに罪を擦りつけた『武偵殺し』だし、家の名前的にも絶対に倒したい敵であるだろうに。
「まぁ、キーくんには少し体のサービスしちゃったけどね」
「——は?」
ちょっと待てや……
「え? ど、どうかした……ソーくん」
いきなり豹変した俺の態度を見て理子がオロオロとしながら俺の様子を伺う。
その仕草はかなり可愛い……だが、俺の怒りは絶対に治らない。
「お前、キンジに体のサービスしたってどういうことだよ!? いつも俺のこと好き好き言っておきながら、やっぱり本命はキンジなんですか! そうなんですか!」
『体のサービス』をキンジにしたってことは、つまり、おっぱい揉ませたり尻触らせたりしたってことだろうが! ふざけんじゃねえぞ!!
「俺にも……俺にも——お前のおっぱいとか尻とか触らせろや—–ッ!!」
「訳わからないうえに怒る対象そこなの!?」
当たり前だろうが!
俺は別に理子が誰にサービスしたって構わねえよ!? だって、理子は俺のこと好きなわけじゃないんだろうし! 俺も理子とラブラブチュチュチュな関係じゃないから別にいいんだけど!
だけど……だけどさァ! 俺と同じように協力しているキンジには体のサービスをして、俺にはお目覚め童貞ドッキリってどういうことだよクソ
と怒っている俺をよそに理子が話しかける。
「……ソーくんは」
「あぁ!?」
俺はキレながら理子を睨みつけるが——理子は妙に照れ臭そうにしていた。
「ソーくんは、理子の体に触りたいの……?」
——うぶっぇ!? か、可愛えぇ!?
なんだそのウルウルとした上目遣い! 可愛すぎんだろ!
「あ、ああ……触りたい」
俺は先ほどまでの怒りを忘れて、真剣に理子の顔を見つめていた。
「——いいよ」
え……?
「ソーくんなら…理子の体、好きに触っていいよ……」
そう言う理子は頬を赤く染めていて、普段のビッチのように振る舞う理子とは違った清純な可愛いさを見せるものだった。
そしてそれに惹かれる俺が止まれるハズもなかった。
「そ、それじゃあ……失礼します」
「優しく…してね……?」
頷きながら、俺はゆっくりと理子のおっぱいに向けて手を近づけていく。
——あと10センチ……あと8センチ……あと3センチ「グサッ!」……あと
「アアアアアアアアアアア!! 銃剣が頭に刺さったアアアアアアア!?」
俺は頭に突き刺さった銃剣を引き抜きながらゴロゴロとのたうちまわる。
「あ、あはは、体のサービスはまた今度ね! じゃあねソーくん!」
理子が何言っているか痛みで全然わからない!
というか今も、痛いッ!
俺は誰が俺の脳天に銃剣をブッ刺したのか調べるため、銃剣が飛んできた方向を見た。
「クソっ! 一体に何があっ——」
銃剣を投げた犯人は——リビングの入り口にいた。
「ア、オハヨウゴザイマス。レキサン」
そこにはライトブルーに包まれたショートヘアの少女——レキが冷たい目をして立っていた。
「おはようございますソラさん。それで、朝から何をやっているのですか」
そう言って早足で俺に詰め寄ってくるレキさん。
「べ、別に俺は何もして——」
「何をやっているのですかソラさん」
俺の顔に頭を押し付けながらレキは同じ言葉を繰り返す。
痛い痛い!? キミのヘッドフォンが顔面にゴリゴリめり込んでいるから! あんまり頭を押し付けないで!
というかなんで俺は浮気がバレた男みたいになってんだよ!?
俺とレキは付き合ってないから、まだ浮気じゃねえハズだろうが!
というわけで俺は開き直ることにしたっ!
「べ…別に、俺が理子とどんなエッチなことをしたってお前には関係な——」
「は?」
「スイマセンデシタ」
ちょ、ちょっと待って!? 今の『は?』は完全にガチギレのものだったんだけど!?
お前、ロボットレキって言われてるんじゃねえのかよ!? キャラ崩壊かこのやろう!
でも怖いので私は正座をして許しを乞います!
「——ソラさん」
「ハイ」
「今からあげる2つの選択肢の中から1つ選んでください」
「ハイ」
い、嫌な予感しかしねぇ……!
「1つ目——Aコースは二度と他の女に触れないように私の部屋に監禁される。2つ目——Bコースは二度と他の女に触れないようにこの部屋に監禁される……どちらを選びますか?」
「どっちを選んでも俺の人生が終わるだろうがッ!」
AコースもBコースも全然違いがねえじゃねえか! 違いはレキの部屋か俺の部屋か、それだけだよ!?
「なんなの最近のお前!? 最近流行りのヤンデレみたいに俺のこと縛ってくるじゃん!? 確かに以前、俺は愛するよりも愛されたい的なこと言ったかもしれないけど! 縛るより縛られたいとは一言も言ってないからね!」
俺、Sなんで、縛る方が好きだから! むしろ縛ってムチをケツに打ち込みたい人だから!
「? しかしソラさんは以前、私に遠慮をするなと言いました。そして、愛さえあれば縛られていいと」
……え? 俺そんなこと——
『いいんだよレキ。男ってのはな、可愛い女の子に愛される、それだけで幸せを感じるものなんだよ。実際は俺だけかもしれないけど……でも、俺は好きだからよ、別に縛られてたって構いやしないんだよ——それは、愛情の裏返しだからな』
『だから、俺に遠慮なんてしなくていい。俺がバカなことしたときは銃剣を突き刺せばいいし、死ねでもなんでも言えばいいのさ。それでもちゃんと伝わってるよ……お前が俺を愛してるってことは、な』
い…言ってるじゃねえか俺…… 【友人を部屋に入れるときは注意せよ】の時に思いっきり言ってるじゃねえか俺……
「えっ、でも……その……し、縛る愛だなんて俺聞いたことない——」
「束縛愛です」
「あらやだっ!? 日本語って素晴らしいわねっ!」
全くもうっ! どこでそんな束縛愛だなんてはしたない言葉覚えたのよっ!?
「——それではソラさん。どちらか選んでください」
「ひえっ!?」
ど、どちらか選んでくださいって言われても……!?
どっちも選べるわけねえだろうがぁ! 選んだ瞬間、全主人公びっくりの監禁エンドだぞ!
「そ、それじゃあ……俺がレキを縛るCコースで…あはは…ハハハハ……」
や、やけくそ気味に言ってしまったアアアアアア!!
なんだよそのコース!? 『Cコース』っつうよりも『カオスコース』だろうが!?
やばいよ! レキさん絶対にカンカンだよ!
「……そうですか、Cコースですね。わかりました」
「え……?」
怒ってない……? というよりかむしろ許容してる……!?
「あ、あの……レキさん——」
「では、ソラさん。これを私につけてください」
そう言ってレキはどこからか金属でできた『首輪』を取り出し俺に手渡した。
……つ、つけるってこれを? レキの首につけるってこと? 誰が? 俺が?
「意味わかんねえよ!? なんで俺がお前の首にこんなもんつけなきゃいけないんだよ!? というかなんでお前はこんな首輪持ってんだよ!?」
「いずれ武偵犬ができたときのためです。もしくは——ソラさんを監禁するときのためです」
あっそうなんだ、用意周到だねえ……ってなるか——ッ!?
前半は全然いいけど、後半は意味わかんねえよ!? なんで俺を武偵犬と同じ扱いにしてんだよッ!?
「それではソラさん、私の首につけてください」
「ま、マジで言ってんのお前……? マジで首輪なんて着けるつもりなのお前……?」
「はい。私はソラさんに縛られたいです」
「何言ってんのお前——ッ!?」
なに大変なこと暴露してんだよッ!? 実はMなの!? 無口・無感情・無表情のトリプルMじゃなくて、マゾのMだったの!?
「はぁ……流石にこれはダメだろ。主にR-18的な意味で……ちょっと待ってろ」
俺は一旦、レキから離れて近くにあるタンスからとある物を取り出した。
「ほらよ。これでもつけてろ」
俺はそう言ってレキに、黒革のベルトチョーカーを投げ渡す。
このチョーカーは以前、武藤と不知火とゲームセンターに行った際にUFOキャッチャーで取ったものだ……なぜこれを取ろうと思ったのかは謎だが。
「これなら首輪よりかはまだ全然大丈夫だろ……たぶん」
首輪っぽく見えるけど、チョーカーだもんね。大丈夫大丈夫。
……黒革のベルトだからめちゃくちゃ首輪っぽく見えるけど。
俺が変なことを考えているうちに、レキは黙々とチョーカーを首に巻いていた。
そしてつけ終わったレキが俺の方を向く。
「——ソラさん」
「なに?」
「首回りに違和感があります」
「張り倒すぞお前ッ!?」
お前の渡してきた首輪よりかは100倍マシだろうが!
「……ったく、そんなこと言うなら返せ」
俺はレキの首元に手を伸ばし——
俺は叩かれた手を見て、レキを見た。
レキは無感情な瞳で真っ直ぐに俺を見つめながら、首に着けたチョーカーをギュっと大事そうに押さえていた。
「……いや、俺の手を払うんじゃなくて、お前が邪魔だって言ったそのチョーカーをお払い箱にしようと——」
「嫌です」
……嫌ですって言われても、お前が変な感じがするって言ったんだろうが。
「お前が首回りに違和感があるって言ったんだろうがよ。どうせこれもう使うことないだろうし、捨てるから返せっての」
「——嫌です」
……、
「あのなぁ——」
「嫌です」
「このやろォ! せめて半分ぐらいセリフ言わせろッ! 即ブチ切りしてんじゃねえぞ!」
……なんなんだよ今日のレキは。
監禁したいだの、縛りたいだの、縛られたいだの、意味がわかんねえよ。
俺が呆れたようにため息を吐くと、レキは俺を真っ直ぐに見据えながら言ってきた。
「このチョーカーは1度、私がソラさんから貰い受けました。つまり現在、このチョーカーの所有権は私にあるということです」
……まぁ、そりゃあそうだけど。
「なので、このチョーカーを身につけるのも捨てるのも私の自由です」
はぁ……じゃあ、つまり——
「お前はこのチョーカーが欲しいってことか?」
「はい。大事にしますので私にください」
——お願いします。と言って俺に頭を下げるレキ。
そこまでしなくても……返してもらおうとしている俺がバカみたいになるじゃん。
「はいはい、頭なんて下げなくていいから。そのチョーカーあげるから自由に扱ってくれ。使うのも捨てるのもお前しだ——」
「捨てません」
「いや、さっきお前が——」
「絶対に捨てません」
……そうですか。捨てないんですねわかりました。
だから、その無感情な瞳で俺にガンつけてくるのやめてください。めちゃくちゃ怖いです。
「……でも本当に使うつもりかよ? 首回りに違和感があるんだろ? 狙撃する時とかに邪魔にならないか?」
「邪魔には……ならないと思います」
レキは少し歯切れ悪く言う。
あのレキが言いづらそうにするのは結構珍しい現象だ。
「首回りに違和感があるのは確かなのですが……首を圧迫しているわけではありません」
——ただ。
「このチョーカーを着けている箇所を中心に熱が体へ伝わっていくようで……ソラさんに包まれているような感じがします」
……ちょっと何それ。めちゃくちゃ恥ずかしいじゃん……そのチョーカーにそんな機能があったの?
「なので、首への問題はないのですが……この全身への熱が狙撃にどう影響するかわかりません」
た、たしかに今のレキの顔とか肌はいつもよりも少し血色良く見えるな。
……それで俺はなんて反応すればいいの? 笑えばいいの? 笑っちゃうよ俺——って笑えるかっ!? 恥ずかしすぎて笑うこともできねえよっ!?
「じゃ、じゃあ狙撃するときだけ外すって感じに——」
「嫌です。外しません」
「なんでだよっ!? お前が俺に言ったんだろうが!? 外さねえとお前の狙撃が——」
「外しません。チョーカーも狙撃も」
アハハ、レキちゃんうまーい! ってなるか——ッ!
なんでそんな頑なにチョーカーを外そうとしねえんだよお前は!
「あぁもう……いいや。お前の好きにすればいいさ。ずっと着けとくなり外すなり好きにしろよ」
「はい。24時間ずっと着けておきます。私はソラさんに縛られていますから」
いや洗浄ぐらいはしようぜ。そして、寝るときぐらいは外せよ。
というか、まだその縛る縛らないの話続いてたの!?
「——ソラさん」
「……なに?」
「今の私は、アリアさんでいうドレイに当たると思います。ですので、命令を言ってください。どのような命令でも構いません」
そうか。
「じゃあ今すぐ
「お断りします」
どのような命令でも構わないって言ったじゃん。嘘つき。
「『帰れ』や『俺から離れろ』といったソラさんと関われなくなる類いの命令は受け付けていません」
「それ俺から一生離れるつもりねえって言ってるのと同じだからッ!」
「? はい。そういうことです」
なに当たり前なこと言ってんの?みたいな顔してんじゃねえよバカレキっ!
——ったくもう、俺はよぉ。
「俺はお前を縛るつもりも縛られるつもりもねえよ」
「……、」
「ただ、俺の隣にいてくれればそれでいいから」
「……そうですか」
うん。そういうこと。あ、でも、ただイチャつくためだけに縛られるのならアリかな。グヘヘ。
と俺が邪なことを考えていると——レキが俺の手を握ってきた。
「私もソラさんが隣にいてくれればそれでいいです」
「……そっか」
じゃあ今、俺と手を繋いでいるのは、俺の隣に居るっていう証拠ってわけかい。
ったく、ウチのパートナー可愛いだろ? 俺の自慢の宝物さ。
「あ、最後に命令いい?」
「はい。なんでも言ってください」
「おっぱい揉ませ——」
「死んでください」
やっぱり俺の命令、全然受け入れてくれてねえじゃん……