ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強   作:ファフ

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零人「それではやって参りました!『あり病』の前書き兼あらすじのコーナー!」
ハジメ「いいのか、こんなことやって?」
零人「問題ない。だって、ここは本編が終わった後だからな。前から仮面ライダービルドみたいな最終話の最後に各回のあらすじを紹介しようと思ってたんだ」
ハジメ「なるほど、でもまだ登場してない奴はどうすんだ?」
零人「残念ながら名前を伏せさせてもらいます」
???「「「「「「えー」」」」」」
零人「しょうがないでしょ?ここでネタバレするわけにはいかないんだから。それでは新企画『ありテスト』をやってみよう!」



問題(雑学)
『ここ、トータスで求婚の際に選ばれる宝石でトップ三に入り、どっかの誰かさんのせいで六十五階層に強制転移させたとても綺麗な鉱石は何?』


紅零人、南雲ハジメ、その他一人を除く全員の答え
『グランツ鉱石』

メルド団長のコメント
『……正解だ。あの時は本当に申し訳なかった!』(最高位の土下座)


坂上龍太郎の答え
『フリンツ鉱石』

紅零人のコメント
『なんだ、その不倫を前提に渡すような鉱石は。答えはグランツ鉱石だ。次は間違えないように』


???「そういえば、なんで零人さんはリリィ達に指輪を贈ったのですか?ネックレスとかでもよかったのでは?」
零人「ああ、前に雫や香織の誕生日に贈ったことがあってな。ほら、女の子ってアクセサリーとかよくすんじゃん?ちょうどいいなって思って店に入って最初に見た指輪にしてみたんだ。でも、リリィとヘリーナに贈った指輪を買った宝石店でグランツ鉱石と左手の薬指のサイズを薦められて、思いきって買ったがまさかプロポーズ用に薦められたとは」
リリィ「やっぱり……、そんなことだろうと思ってました」
零人「すみません…………」
ヘリーナ「でも、ちゃんと責任とってくれたのは嬉しいですよ?」
零人「当たり前だ。あの時は意識していなかったが、■■■■のお陰で二人への感情も分かったんだ。だから、たとえ無意識でプロポーズしていたとしてもちゃんと貰おうと思っていたからな。………………おっ、時間もいい感じだ。それでは本編に向かうぞ」


「「「「「「それではどうぞ!」」」」」」


ベヒモス戦開始death!…………え、昨日のフラグ立ったの?

〔零人side〕

前回のラブライブ!

あっ、間違えた。では、仕切り直して、

前回の『あり病』!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……めんどくさいので全略で。まとめると、とある馬鹿(メルド団長)がトラップに引っ掛かり間違って65階層に転移しちまって絶体絶命のピンチだぜ♪」

 

「「「「「「なに呑気に解説してんだよ/してんの!?」」」」」」

「てか、ルビ可笑しくなかったか!?」

「「「「「「「黙ってろ、この状況作った大馬鹿野郎!」」」」」」」

 

 本当だよ!あの時叫ばなかったらこんなことにならなかったのにさ。拳骨はともかく叫んだのはヤバかった。

 そんな茶番をやっていると先程メルド団長が呟いた〝ベヒモス〟という魔物が大きく息を吸うと凄まじい咆哮を上げた。

 

「グルァァァァアアア!!!」

 

「っ!?アラン、生徒達を率いてトラウムソルジャーを突破しろ!カイル、イヴァン、ベイル、全力で障壁を張れ!ヤツを食い止めるぞ!光輝達は早く階段へ行け!」

「待ってください、メルドさん!俺達もやります!あの恐竜みたいなヤツが一番ヤバイでしょう!?俺達も「いや、俺達じゃ無理だ」零人!?」

「零人の言うとおりだ。あれが本当にベヒモスなら今のお前達では無理だ。かつて、最強と言われた冒険者でも歯が立たない化け物だ!早く行け!お前達を死なせるわけにはいかないんだ!」

 

 メルド団長の鬼気迫る表情に一瞬怯むも、見捨ててなど行けないと踏み止まる光輝。

 どうにか撤退させようと、再度光輝に話そうとした時、ベヒモスが咆哮を上げながら突進してきた。このままじゃ、後ろにいる生徒達を轢き殺してしまうだろう。

 そうはさせるかと、ハイリヒ王国最高戦力が全力の多重障壁を張る。

 

「「「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず  〝聖絶〟!!!」」」

 

 二メートル四方の最高級の紙に描かれた魔法陣と四節からなる詠唱、さらに三人同時発動。一回こっきり一分だけの防御だが、何物にも破らせない絶対の守りが発動し、半球状の障壁がベヒモスの突進を防ぐ。これで少しは持つだろう。

 

〔零人sideout〕

 

 

 

〔清水side〕

 

 ベヒモスという魔物がメルド団長達の障壁に激突すると凄まじい衝撃が起こり、石造りの橋がまるでつり橋のように大きく揺れた感覚がした。なんとか態勢を保ち、目の前の骸骨どもに集中する。

 本来トラウムソルジャーはまだ行ったことのない38階層に現れる魔物だったはずだ。前方に立ちはだかる不気味な骸骨の魔物と後ろから迫る恐ろしい気配にほとんどの生徒が半ばパニック状態になってる。

 そのため、隊列を無視して我先にと階段を目指してがむしゃらに進んでいる。アランさんが必死にパニックを抑えようとしている。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 その時、一人の女子生徒が後ろから突き飛ばされ転倒してしまった。「うっ」と呻きながら顔を上げると、眼前で一体のトラウムソルジャーが剣を振りかぶっていた。

 

「あ」

 

 そんな一言と同時に彼女の頭部目掛けて振り下ろされた。

 死ぬ――と女子生徒がそう感じた次の瞬間、もう一体のトラウムソルジャーがまるで仲間割れかのように振りかぶってきたトラウムソルジャーに突進し、奈落へ落ちていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「大丈夫か、園部!?」

 

 園部とトラウムソルジャーの間に立ち、守るように剣を抜く。

 

(あっっっぶねぇー!もう少し洗脳が遅かったら間に合わなかったぞ!?やべぇ、心臓が凄いことになってる)

 

 つい先程までトラウムソルジャーの洗脳をしていて、洗脳し終わったと思ったら園部が転んで殺されそうになったから慌てて洗脳したヤツを突撃されたが制御が甘く、一緒に奈落に落ちてしまった。

 

「どうして?」

「?女の子を守るのが男の仕事だろ?」

「その足で言われてもねぇ…………」

 

 まるで生まれたての小鹿の如く超ガクガクしている。

 

「う、うるせぇ!少しぐらいカッコつけさせろよ!」

「……ふふっ。やっぱ、あんたが一番面白いや。で、これからどうすんの?」

「どうするって、そりゃ上に行かないと駄目だろ?その前に骸骨どもを何とかしないとな」

「……ねぇ、洗脳ってどれくらい掛かる?」

 

 なんだ急に?

 

「大体一分~二分程度だな。でも最大で三体までしか操れない」

「十分よ。私が時間を稼ぐからその間にやっちゃって」

「了解。でも出来るのか?この数だぞ?」

 

 見積もって二十体程の骸骨がこちらを睨んでいる。

 

「大丈夫、今、希望が行ったから」

「?」

 

 園部が恐竜みたいな魔物の方に指を指す。すると、その魔物の側にいる勇者達に向かって走るハジメの姿が見えた。

 

〔清水sideout〕

 

 

 

〔零人side〕

 ベヒモスが何度も障壁に向かって突進を繰り返している。衝突するたびに衝撃波が起こり、石橋が悲鳴を上げている。もうそろそろ〝聖絶〟の使用限界時間だ。だが、障壁にも石橋のように亀裂が入っている。時間がくる前に耐久度がなくなって壊れるだろう。

 

「ええい、くそ!光輝、早く撤退しろ!お前達も早く行け!」

「嫌です!メルドさん達を置いていけません!それにアイツを倒すんじゃなくて、足止めするんでしょう?それくらい俺達にもできます!」

「だが!」

 

 メルド団長が苦虫を噛み潰したような表情になる。

 それもそうだろう。光輝のステータスは既にメルド団長並みになっているが実践戦闘をしたのは今日が初めてで、経験が少ない。つまり、足手まといになってしまうからだ。

 

「光輝、早く逃げるぞ!ここはメルド団長に任せるんだ」

「でも!」

「でもじゃない!確かに俺達のステータスは強い。だが実践をほとんど経験してなくて、あんな大型と戦うとメルド団長の足手まといになっちまう!だからメルド団長に従うんだ!」

 

 光輝の胸ぐらを掴み、大声で言う。そんな声に動揺したのか下を向く光輝。

 

「まっ、光輝の無茶振りは今に始まったことじゃねぇだろ?」

「「そうさせてんのはお前だよ/あんたよ!」」

 

 雫とハモる。そんな俺達の叫びにきょとんとする龍太郎。

 

「ねぇ、馬鹿なの?ホントに馬鹿なの?ごめん、馬鹿だったな!」

「馬鹿馬鹿うるせぇ!零人でもぶん殴るぞ!」

「大体、あんなのと戦ってどうすんだよ?どっからどう見ても皮膚堅そうじゃん!お前は肉弾戦特化だろ!?貫けるわけねぇじゃん!」

「大丈夫だ、天童式戦闘術の内部破壊は習得済みだ」

「「「いや、そうゆう問題じゃないから!てか、どうやって習得した!?」」」

 

 あれアニメの中の武術だろ?どうやって習得した?

 

「超頑張った」

「「「そこは勉強を頑張れよ!?」」」

 

 ホントなに習得してんの!?馬っ鹿じゃねぇの!?今さらだが光輝までつっこんでじゃねぇか。

 

「だから大丈夫!」

「大丈夫じゃないでしょ、このお馬鹿!」

 

 雫が身軽な服装から考えられない程の大きさのハリセンを取り出し龍太郎の頭を叩く。案外痛かったのか頭を押さえて涙目になってる。

 そんな漫才をしていると一人の男子が飛び込んできた。

 

「光輝くん!」

「な、南雲!?」

「ハジメ君!?」

 

 驚く一同にハジメが必死の形相でまくし立てる。

 

「早く撤退して!皆のとこに!早く!」

「いきなりどうしたんだ!?ここは危険なんだ、南雲がいたら危ない、君の方こそ早く撤退を……」

「そんなこと言ってる場合じゃない!皆を見てよ!パニックになってる、リーダーがいないからだ!」

 

 怒鳴りながらハジメが指を指す。

 その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた。

 

「皆を纏める力が必要なんだ!」

「それなら、俺より指揮力が高い零人のほうが……」

「貧弱な零人じゃ、あれを一撃で突破できるわけないじゃん!」

「おい、空気を吸うように俺をディスるな」

「僕達の中で一撃で切り抜けて、指揮力が高いのは光輝くんしかいない!」

「あっ、無視ですか(´・ω・`)」

 

 泣いてもいい?

 

「クラスのリーダーは光輝くんでしょ?なら目の前の敵じゃなくて、皆のことを見てよ!」

 

 光輝は呆然と、混乱に陥り怒号と悲鳴を上がるクラスメイトを見て、ぶんぶんと頭を振り頷く。

 

「ああ、わかった。直ぐに行く!メルド団長、すみませ――」

「下がれぇーー!」

 

 〝すみません、撤退します〟と言おうとして振り返った瞬間、メルド団長の叫びと共に障壁が壊れた。

暴風のように衝撃波が襲う。ハジメが急いで錬成で石壁を作るが呆気なく崩れる。だが、多少威力は削れている。

 舞い上がる埃がベヒモスの咆哮で吹き払われた。

 そこには、倒れ伏し呻き声を上げるメルド団長達がいた。

 

「ぐっ…………龍太郎、雫、時間を稼「それは俺達がやるよ」なにを言ってるんだ零人!?」

「大丈夫だ。さっきの俺達の戦いを見てただろ?あれの応用をやるだけだ、問題ない」

「だが!」

「光輝達はメルド団長達を早く連れてって、皆を助けてやれ。足止めは何とかする」

「…………わかった。気を付けろよ!」

「お互いにな!」

 

 光輝達を見送り、ベヒモスの方を見る。黒かった大きな角が少しずつ赤みを帯びている。

 

「ハジメいけるか?」

「たぶん、錬成範囲がめちゃくちゃ広いけどなんとかなると思う。零人のほうは?」

「俺は関節部分を徹底的に狙うよ。いくら硬い皮膚だって、膝の裏とかの関節部分は柔らかいからな」

「だね」

「今回は魔力が少ないから歌えそうにない。それでもいけるか?」

「うん、大丈夫。なんとかなる」

「じゃあいくか!」

 

 そう言い、腰から二本の短剣を抜く。

 

「〝錬成〟!」

 

 すかさず、ハジメが錬成し、ベヒモスの足を石で覆い地面に埋める。その隙に右前足の関節部分に近づき、短剣で切りつける。

 

「ちっ!やっぱり硬い!」

 

 全力で切ったつもりがほんのかすり傷にしかなっておらず、血すら出てない。しかも、攻撃したのにこっちに気づいていない。ちょっとそれにムカついたから何度も切りつける。十回程切りつけて血が出てきた。やっと攻撃されていることに気づいたのか、怒った形相でこっちを睨んできて、完全に真っ赤になった頭部を振り下ろしてきた。予備動作が長いため、振り下ろされる前に落下地点から移動する。すると、一気に振り下ろし、頭部が 地面に埋まり埋まった部分が赤くなってきている。

 

「あっぶねぇ!てか、熱い熱い!サウナぐらい熱いぞ!?」

 

 大雑把な一撃だったため余裕を持って避けれた。しかし、高温になった頭部が一気に近づいたため周りの空気が高くなった。

 

「っ!今だ、〝錬成〟!」

 

ベヒモスが地面に埋まった頭部を引き抜こうとした瞬間、勝機を確信したハジメが錬成を行い頭部もろとも石で覆う。

 

「よくやった、ハジメ!」

「でも、長く持たないよ!魔力回復薬が無くなったからもう錬成できない!」

「だったら俺のを使え、まだ二本あるから!」

 

残っている二本の魔力回復薬をどちらもハジメに渡す。

 

「ありがとう、これからどうすんの?」

「他の足を切り刻む。一本はなんとか切ったが浅い。他のも切って歩けなくさせる」

「了解!でも気をつけてよ、この錬成脆いから!」

Jud(ジャッジ)!」

 

 地面に埋まってなんとか抜け出そうとして暴れているベヒモスに再度突撃する。暴れているせいか、覆っている石が壊れ破片が飛んでくる。それを最小限の動きで避け、壊れた所をハジメがすかさず直す。

 左前足に近づき、何度も切りつける。今度は深くまで斬ったからさっきよりも血がたくさん出る。

 

「グガァァァァ!?」

 

 その痛みによりベヒモスが悲鳴を上げ、さらに暴れる。

今度は後ろ足を刻もうとして後ろに行こうとしたらベヒモスの尻尾が遅いかかってきた。

 

「ぐっ!」

 

 諸に受けてしまい両手に持っていた短剣を奈落の底へ落として、それを納めていた鞘が壊れてしまい、残った二本の短剣を急いで抜く。

 

「いってぇ、なぁ!」

 

 素早く足の関節を切り刻み、使い物にさせなくさせる。

 

(あと一本!)

 

 残った脚を斬るために全速力で近づき、薙ぎ払うかの如く両手の短剣を振る。しかし、ベヒモスが暴れ、斬ろうとしていた脚が地面から抜かれる。

 

(まっず!)

 

 抜かれた影響で狙いが逸れてしまい、関節の下の硬い皮膚に当たってしまう。案の定当たってしまい、短剣が折れてしまった。

 

「「……………………」」

「折れたぁぁぁ!?!?!?」

「うそぉーん!?」

 

 脆くないですかね、この短剣!?仮にも国宝級ですよ!ベヒモスどんだけ硬いんだよ!

折れた次の瞬間、ベヒモスが尻尾を振り下ろしてきた。

 

「ちぃ!〝換装〟エクシア!」

 

 急いでエクシアのGNドライブと右腕を装備する。装備した瞬間、すぐに離脱する。直後、ついさっきまでいた所に尻尾が振り下ろされ、地面がボロボロになる。

 

「大丈夫、零人!?」

「ああ、攻撃は受けてないが全速力で逃げてきたからGで体がボロボロだ。それに〝換装〟で魔力を結構持ってかれたから凄くだるい」

「まずいじゃん!」

 

 少しでも動かそうとしたら反動で体が悲鳴を上げる。これでは離脱ができない。

すると後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。

 

「大丈夫、二人とも!」

「香織!?」「香織さん!?」

 

なんと光輝達と一緒に後ろに下がったはずの香織が走ってきた。

 

「なんで戻って来た!?ここは支援職のお前が来ていい場所じゃない!」

「それならハジメ君もでしょ?それに一番居ちゃいけないのは零人君のほうでしょ!」

「否定……できない!」

「「そこはしようね!?いや、しちゃいけないけど!」」

 

そんなやり取りをしながら香織が回復魔法をかけてくれる。魔力欠乏によるだるさが緩和していく。

 

「ほら、早く逃げるよ。今、メルド団長が皆を仕切って魔法の準備をしてくれてるから」

 

階段の方を見てみると攻撃魔法の陣を展開しながら準備していた。

 

「だったら、零人が先に行きなよ。僕はもう少し足止めをしとくから!」

「了解、でも仕事は最後までやらせて貰うぞ!」

 

 GNドライブを吹かし、先程斬り損ねた右後ろ足に近づく。近づいた勢いに任せてそのまま右腕のGNソードで斬り裂こうとする。しかし、他の足とは違い何故か刃が通らない。

 

「はぁ!?なんで斬れないんだよ!?あっ、こいつ力みやがったな!」

 

 おもいっきり力を入れたのか他の足より固くなり、剣すらも通らなくなった。

 

「だがな!こっちはエクシアを使ってるんだ!こいつに斬れないものはない!」

 

 GNドライブのフライホイールをより早く回転させて粒子の生成量を増やす。増やした粒子をGNソードに流し込む。すると、刀身が輝きだし切断力が増していく。

 

「いっけぇーーー!!!」

 

 ベヒモスの足を真っ二つに切り落とした。

 

「グギャアァァァァ!?!?!?」

 

 今まで切り傷程度だったのにいきなり足を切り落とされたんだ、想像を絶する痛みにベヒモスが悲鳴を上げている。

 スラスターを吹かしっぱなしだったからそのまま一気にベヒモスを通り越し、階段の方へ向かう。

 

「先に離脱するぞ!ハジメ、香織を頼んだ!もし、香織に何かあったらお前のスマホの隠しファイルの中身全部ばらまいてやる!」

「ちょっ、やめて!?死んじゃう!社会的に死んじゃう!」

「だったら女の一人ぐらい守ってみせろ!」

「わかってるよ、そんなこと!」

 

パァンッ

 

 すれ違い様にお互いの手を叩く。

しくじるなよ、ハジメ。

 

〔零人sideout〕

 

 

 

〔檜山side〕

 零人が背中から緑色の粒子をばらまきながらこっちに向かってきた。確かあれはGN粒子だったはず。

 

「すみません、遅くなりました!」

「いや、いいタイミングだ!それによくやってくれた。あのベヒモスを切り裂くなんて、俺でもできんぞ!階段までの道は確保した。零人は先に休んでろ

ろ」

「いえ、俺もまだ残ります。まだ二人が戻ってきてないんで」

「……わかった。遠距離攻撃魔法を覚えている奴は準備しろ!アイツらが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」

 

 ビリビリと腹の底まで響くような声に気を引き締め直す。周りを見ると階段の方向を未練に満ちた表情で見ている奴がちらほらいる。

 無理もないだろう。ついさっきまで目の前のヤツ(メルド団長)のせいで死にかけたんだから。一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう。

 しかし、メルド団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った。そして、自分達の適性属性の魔法を準備する。零人は魔力消費を押さえるために、GNスナイパーライフルを召喚し、狙いを定めていた。まあ、00関係の武器だからな。背中の太陽炉でエネルギー調達出来るし。

 俺の適性属性は風だ。だから、初級魔法の〝風球〟を準備する。

 おっ、そこ、何故初級魔法にしたか疑問に思ってるだろ?確かに初級魔法は威力は低いが適性なら詠唱が短く、連発しやすいし、何より必ず目標に当たるホーミング弾だからだ。

 両手を目の前にかざし、詠唱を始める。

 

「求めるは風、それは力にして刃………なんだ?」

 

 もうすぐ詠唱が完了するところで違和感を覚える。俺が使うのは風魔法なのに何故か火魔法の魔法陣(・・・・・・・)が展開されていた。

 

「な、なんで〝火球〟の魔法陣になってんだよ!?」

 

 そう、〝風球〟の魔法を準備していたのに〝火球〟の魔法陣ができていた。驚いているとあることに気づいた。

 

「なんだ、この魔力の色?」

 

 俺の魔力の色はワインレッドだったはずだ。なのに魔法陣に使われている魔力は透明のように見える白だった。

 

「まさか乗っ取られた!?ありえねぇ!魔法を乗っ取るなんて聞いたことねぇぞ!?」

 

 危険だと感じ、詠唱を止めようとしても魔法陣が展開され続けた。急いで魔法陣を消そうとしていると魔力を使い切ったのか、南雲と白崎が戦線を離脱し走ってきた。

 すると、メルド団長が叫んだ。

 

「総員、放て!」

「ま、待っ」

 

 ――待ってください、と言おうとしたら皆が一斉に魔法を放った。それに吊られたのか俺の(?)魔法が指示をしていないのに放たれてしまった。

 数多の魔法がベヒモスに向かって飛んでいく。自分たちとベヒモスまでの中間で一つの魔法が軌道を変えて落ちていく。その軌道上に離脱している途中の二人がいた。

 

(ま、まさか!?)

 

 軌道を変えた魔法は先程乗っ取られた俺の〝火球〟だった。

 

「逃げろぉ!南雲、白崎ーーー!!!」

 

〔檜山sideout〕

 

 

 

〔ハジメside〕

「逃げろぉ!南雲、白崎ーーー!!!」

 

 ベヒモスから逃げるために走っていると突然、檜山が叫んだ。

 何事かと思い、上を見る。すると初級魔法の〝火球〟が自分たちに向かって飛んできていた。それを見て表情が凍りついた。

 

(なんで!?)

 

 疑問や困惑、驚愕が一瞬で脳内を駆け巡る。しかも、魔法が香織さんに向かって飛んできているがわかった。急いで彼女を庇うように抱き寄せる。一瞬立ち止まったおかげか、火球が地面に当たった。もし、あのまま進んでいたら直撃していただろう。

 着弾の衝撃波をモロに浴び、彼女に覆い被さるように倒れる。

 

「大丈夫、白崎さん!?」

「大丈夫だよ。それより南雲君は!?」

「直撃は避けたら問題ないよ」

 

 直撃は避けたし、内臓などへのダメージはないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。彼女に支えられたがら立ち上がる。

 直後、無数の魔法がベヒモスに当たる。これではベヒモスですら無事では済まないだろうと思い、再び走り出す。

 しかし、ベヒモスも一筋縄ではいかず、背後で咆哮し始めた。何事かと思い後ろを見る。

 なんと、ベヒモスの頭がまた赤熱化していた。背中に嫌な汗がかき始める。すると、完全に真っ赤になった頭部を盾のようにかざしながら、切り落とされた足を除く3つの足で突進してきた。

 急いで必死にその場を飛び退いた。直後、強烈な衝撃が橋全体を襲った。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が入る。

 

 橋が崩壊し始めた。

 

度重なる攻撃にさらされ続けた石橋が遂に耐久限度を超えた。

 

「グヴァアアア!?」

 

 悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。しかし、引っ掻けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へ消えてった。

 白崎の手を引いて脱出しようと這いずるが、走ってる場所も亀裂が入り崩壊していく。

 

(ああ、ダメだ…………)

 

 そう思いながら対岸のクラスメイト達の方へ視線を向けると、雫が飛び出そうとして光輝と龍太郎に羽交い締めにされているのが見え、その後ろで零人が心臓を押さえながら膝をつき、こっちを見ていた。おそらく、さっきの魔法の一斉攻撃のときに無理でもしたのだろう。

 他のクラスメイトは青褪めたり、目や口元を手で覆っている。その中で気になったのは先程叫んだ檜山だ。膝と手を地面につき、青褪めた顔でまるで後悔してるかのように見えた。

 メルド団長達騎士団の面々も悔しそうな表情でハジメ達を見ていた。

こんなことに巻き込んでしまった白崎の方を向く。

 

「ごめんね、香織さん。巻き込んじゃって」

「ううん、こっちこそごめんね。守るって約束したのに」

「大丈夫、香織さんのせいじゃないよ。ホントにごめんね」

「大丈夫だよ。それに最後に一緒に居てくれるのがハジメ君でよかった」

 

 そんなことを言われてびっくりする。

 

「ははっ、君にそんなこと言われるなんて僕は幸せ者だよ」

 

 そう言い、彼女を抱き寄せ、彼女のクッションになるように下に行く。こんなところで言うのはおかしいと思うが想像以上に柔らかった。

 崩落してから時間が長く感じた。死ぬときはスローモーションのように感じるとテレビやネットで知っていたがここまで長いとは思っていなかった。

 

(ごめん零人、みんな、約束守れそうにないや)

 

 重力に身を任せて奈落の底へ白崎と一緒に落ちていく。

 ………ふと、零人達がいる場所の頭上、天井の方に不思議なものが見えた。

 

(あれは……?)

 

 黒いノイズのような人一人分ぐらい入れそうな空間の裂け目から誰かが口を吊り上げ、気味の悪い笑顔を浮かべていた。その人物を何処かで見た気がした。確か、

 

 

 

 

初めて異世界(トータス)に召喚され、その際に見た教会に飾ってある巨大な壁画に描かれてた中性的な人物に似ていた。

 

この『ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強』の略はなに?

  • 錬病
  • あり神
  • あり病
  • 錬神
  • その他
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