ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強   作:ファフ

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光輝「第六回『あり病』のあらすじだぞ!」

光輝「いまだ倒れている零人に代わって俺が司会で!」
健太朗「今回はノムケンこと、野村健太朗と!」
綾子「あーやんこと、辻綾子よ!」
光輝「まさか二人がゲストに来るとは思ってもみなかったよ」
健太朗「それな。アニメでもCVついてないし」
光輝「急なメタ発言禁止」
綾子「完全にモブキャラだよね………」
光輝「だからメタいって!」
健太朗&綾子「「まぁ、そんなことは置いといて」」
光輝「アッ,ハイ」
健太朗「前回は南雲達が落ちてからすぐの話だったよな?」
光輝「ああ、時間的に俺達が宿に戻った時ぐらいらしいぞ」
綾子「香織達はあんな大変な目にあってたんだね」
健太朗「南雲にしては大胆な行動だよな。上じゃなくて下なんて」
光輝「俺が教えた陰形が役にたってよかった」
健太朗「今度俺にも教えてくれ」
光輝「覗きに使うのか?」
綾子「ケンタロウクン?」
健太朗「ヒィ!違う、覗きじゃない!だからアイアンクローやめて!?あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ーーーーーーーーー!『ベキョッ』…………………………」
光輝「野村、君のことは明日まで忘れないよ」
綾子「健太朗くんのバカ………」
光輝「馬鹿はほっといて、そろそろ時間だな。いくぞ、せーのっ!」

「「「本編をどうぞ!」」」

光輝「って、生きてた!?」
健太朗「勝手に殺すな!」


その頃、奈落の底で《中編》

…………………君、……メ君、…ジメ君!

 

何処からか声が聞こえる。

何度も聞いたことのある声。

ずっと聞いていたい声。

聞けば聞くほど心が安らぐ声。

どことなく叫んでいる声。

泣いて震えてる声。

 

 

 

好きな人の声。

 

 

 

彼女が泣いている。

なんで泣いてるの?

慰めないと。

君は笑顔が似合っている。

僕は君の笑顔が好きだから。

 

「ハジメ君!」

 

名前を呼ばれ、意識が覚醒する。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

〔ハジメside〕

「はっ!」

 

 意識が一気に目覚めて、飛び上がる。しかし、

 

ゴンッ

 

 頭が天井に当たった。

 

「お"お"お"お"お"お"お"お"!」

 

 あまりにもの激痛にのたうち回る。

 それもそうだ。この穴は中腰程度しか高さがない。急に立ち上がろうとすると当然天井に頭を打つける。完全に忘れてた。

 痛みに悶絶していると隣から声をかけられた。

 

「だ、大丈夫?ハジメ君」

「う、うん。なんとか……、凄く痛いけど」

 

 体を擦りながら回復魔法をかけてくれている。徐々に痛みが退いていき、頭に出来ていたかもしれないたんこぶもさっぱり消えた。

 

「おはよう、香織さん。体大丈夫?」

 

 取り敢えず、挨拶をして体の心配をする。挨拶は大事だからね。それに女の子の体も大切。もし、一生残る傷を付けて傷物にしたら皆に殺されるだろう。確実に。

 

「大丈夫だよ。さっきは魔力切れで倒れただけだし、この水ですぐに回復したから」

「水?」

 

 彼女の視線の先には手で掘ったような小さな水溜まりとその上にバスケットボール並の大きな水晶があった。

 水晶はアクアマリンの青をもっと濃くした色で中央が発光している。そして、その水晶からチョロチョロと水が流れており、その水も光ってるように見える。

 水晶には見覚えがあった。

 

「もしかして………、〝神結晶〟!?」

「神結晶?って、なに?」

 

 僕が驚く中、彼女は知らないようだ。

 

「ああ、香織さんは知らないんだっけ?僕も文献でしか見たことはないんだけど、神結晶ってゆうのはね、凄く特別な鉱石で秘宝の中で最も有名で遺失物とされているんだ。伝説級の鉱石なんだ」

「そうなの?」

「うん、それにこの神結晶から湧き出てくる水を〝神水〟と言って、飲んだ人の怪我や病気を一瞬で治してくれるんだ。欠損部分は治せないけど、その代わりに一生飲み続ければ不死と同等になるから不死の霊薬とも言われているらしいよ」

「そんなに凄い水だったんだ、これ」

 

 詳しいことは分かっておらず、仮説は幾つもあるが一番有力なのは、大地に流れている魔力が千年もの長い時間をかけて結晶化していき、更に数百年も魔力を溜めて飽和状態になると神水となって溢れるらしい。

 偶々、逃げた先でこんな奇跡に辿り着くなんて想像してなかった。

 

「取り敢えず、ここを拠点にしよう。今、外に出るとさっきの爪熊がいるかもしれないし。一応、食料も水もあるから少しは暮らせると思うよ」

「そうだね。あれとまた会うの嫌だし、しばらくここにいよう」

 

 話し合いでしばらくここにいることになった。

 流石に二人だと穴が狭すぎたので何個か部屋を作って、ある程度生活出来るようにした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 籠ってから約三日、持ってきていた非常食が底についた。本来、一人分しかないものを二人で分けあったのだから減るスピードも二倍になる。

 

 それから更に一日ほど経ち、腹の足しにしようと神水を飲んだ。神水を口にした瞬間、空腹感が一気になくなった。どうやら神水には飢餓感を無くす作用があるようだ。

 

 更に三日が経ち、ようやくと言うべきだろうか幻肢痛が本格的にやっと来た。いや、嬉しくないんだけど。今まで食事の時とかに飲んでいた神水のお陰で痛みを緩和してきていたが、昨日から痛みが激しくなってきた。香織さんに悟られないように必死に隠している。

 

 それから更に三日が過ぎた。

 もう、精神的にキツくなってきた。一昨日、つまり奈落に落ちてから八日目でお互いに限界になってきた。

 香織さんは前のような美しい面影がなく、お風呂に入っていないから肌や髪がボロボロになっており、目が虚ろになり始めている。

 僕は左腕の幻肢痛が更に悪化して、既に神水ですら緩和出来ないレベルまでに達した。そして、お互いに言えることだが何日もまともな食事をしていないから飢餓感に襲われ、日に日にストレスが溜まっていく。

 

 更に二日が過ぎた。

 遂に精神が限界を迎えた。自分でもわからないが、ただひたすら、死と生を交互に願いながら地獄のような苦痛が過ぎ去るのを待っているだけだった僕の心に、ふつふつと何か暗く澱んだものが沸き上がってきた。

 

(なぜ僕らが苦しまなきゃならない………僕らが何をした………)

(なぜこんな目にあってる………何が原因だ………)

(エヒトは理不尽に誘拐した………)

(みんなはまだ助けに来てくれない………)

(ウサギは僕を殺しに来た………)

(アイツは僕の腕を喰った………)

 

 次第に思考が黒く黒く染まっていく。白紙のキャンパスに黒インクが落ちたように、じわりじわりと汚れていく。

 誰が悪いのか、誰が自分に理不尽を強いているのか、誰が自分を傷つけたのか……。

 無意識に敵を探し求める。激しい痛みと飢餓感、そして暗い密閉空間が精神を蝕み、暗い感情を加速させる。

 

(まだ誰も助けてくれない………)

(誰も助けてくれないならどうすればいい?)

(この苦痛を消すにはどうしたらいい?)

 

 激しい苦痛からの解放を望み、沸き上がっていた怒りや憎しみといった感情すら不要なものと切り捨て始めた。

 この理不尽過ぎる状況を打開するためには、生き残るためには、余計なものは削ぎ落とさなくてはならない。

 

(()は何を望んでいる?)

(俺は〝生〟を望んでいる)

(それを邪魔するのは誰だ?)

(邪魔するのは敵だ)

(敵とはなんだ?)

(俺の邪魔するもの、理不尽を強いる全て)

(じゃあ、俺は何をする?)

(俺は、俺は………)

 

 意思がただ一つにに固められる。鍛練を経た刀のように。鋭く強く、万物を尽くを斬り裂くが如く。

 

(殺す!)

 

 ただ生きるため、生きて皆の元へ帰るためにあの時、香織が強いと言ってくれた優しい自分を封印する。誰であろうと邪魔する奴らを殺す強い自分にするために。

 

(殺して喰らってやる)

 

 飢餓感から逃れるために魔物を殺して喰うしかない。その為には俺一人じゃ不可能に近い。だが、俺は一人じゃない。

 弱った体を動かし、彼女がいる部屋に向かう。

 

「………なぁ、香織」

 

〔ハジメsideout〕

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〔香織side〕

 あれから何日経っただろう。ハジメ君と奈落に落ちてなんとかここまでやって来たけど、もう限界かもしれない。

 神水のおかげで最初の頃はお腹を満たせていたけど最近は全く効果がない。毎日毎日飲んでいるけど一向に満たされない。

 もう何日も太陽を拝めてないし、お風呂に入ってない。肌も荒れてしまった。いくら助けを求めても誰も助けに来てくれなかった。

 ハジメ君が作ってくれた部屋の片隅で蹲っていると彼が入ってきた。

 

「………なぁ、香織」

 

 ………呼び捨て?急に呼び捨てされるとちょっと反応に困っちゃうな。いや、前に呼び捨てにするように頼んだけど、まさか今されるとは思ってもみなかったよ。

 まぁ、そんなことは置いといて。

 

「………なに?ハジメ君」

 

 内心凄く嬉しいけど、表に出さないようにする。初めてやったけど結構大変だねこれ。

 

「生きたいか?」

 

 ………?

 突然、当たり前のこと聞いてきた。え、なに?ドッキリ?ハジメ君にしては不思議なことを聞いてくるね。

 そんなこと聞かなくても分かってるくせに。

 

「うん、生きたい」

 

 そう答えると、ハジメ君が少し笑った。今までのような優しい顔じゃなくて少し怖い顔だった。

 前にも見たことがある目だ。たしか、二股かけてた人を襲うために零人君達と行動していた時だったはず。その人、後日不倫相手に後ろから刺されてたような……?

 

「なら一緒に生きよう。皆と再会するために、皆と地球に帰るために」

「うん」

「その為に、ここから出よう。死ぬかもしれないが俺に着いてきてくれるか?」

「ハジメ君とならどこまでも」

 

 差し伸べられた手を取り立ち上がる。ハジメ君が一緒ならどこまでも行ける。雫ちゃん達と地球に帰るためならどんなことだってやってみせる。

 手を握りながら部屋を出て神水を飲んだ。ここからが私たちの反撃の時間だ。

 

〔香織sideout〕

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

〔ハジメside〕

 取り敢えず、あれから時間が経ち、拠点である神結晶が置いてある部屋を出て、二尾狼を捕獲した。捕まえかたは至ってシンプル。四頭の群れで行動している二尾狼を錬成して作った落とし穴に落としただけ。

 

「さぁて、生きてっかな?俺の錬成じゃ、石の槍すら貫けそうにないし、落下死してたら超ラッキー」

「さすがに高さが足りないと思うよ?狼って身体能力高いって聞くし。窒息死も時間かかっちゃうよ?」

 

 香織に指摘されて少し悩む。

 

「しょうがねぇ、自力で殺るしかねぇか、〝錬成〟」

 

 腰に付けた短剣を抜き、錬成で地面を操り二尾狼を拘束する。短剣はあの蹴りウサギを切ったから十分切れ味が高い。つまり、この二尾狼も切れるはずだ。ちなみに香織には手回しドリルを作って持たせた。それなら女子でも魔物の皮膚を貫けるからだ。

 拘束した二尾狼に近づき、剣を突き立てた。

 

「グルァアアーーー!?」

 

 二尾狼が絶叫する。

 

「痛てぇか?謝罪はしねぇぞ?俺達が生きる為だ。お前らも俺達を喰うだろ?お互い様さ」

「ハジメ君、顔、顔!」

「ん?ああ、すまん」

 

 怖い顔してしまったか?

 

「もっと口の端を吊り上げて!」

「そっちかよ!?」

 

 心配して損したわ!えっ、香織そんな性格だったっけ?いや、こんな環境下だったら変化しても可笑しくないか。180度ぐらい回転してるけど。

 そんなふざけた会話を数分続けてたら、いつの間にか四頭とも動かなくなっていた。

 

「よし、飯確保」

「わ~い、久し振りのご飯だ~」

 

 二尾狼の死骸を拠点に運び、丁寧に毛皮を剥がしていく。俺は片腕だからやりにくいが香織のおかげでスムーズに解体できた。

 ポーチに入れてある焚き火用の魔石を一つ取り出し、ガスコンロ代わりにする。いや、便利だなこれ。魔石の大きさによって火加減が変わるんだ。肉を焼くならこれくらいの強さで十分。

 こんがり肉になり、久し振りの肉に目が奪われる。そして、飢餓感に突き動かされるように喰らい始めた。




報告が遅くなりましたが、こちらが新規に執筆した小説になります!
内容は零人達がトータスを救い、地球に帰って来た後、また異世界(学戦都市アスタリスク)に飛ばされる話になります。ぜひ読んでみてください!
https://syosetu.org/novel/260486/

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