ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強   作:ファフ

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光輝「はい、第七回『あり病』のあらすじ紹介でーす」

優花&幸利「「暗い!?」」
光輝「いや、ね?もう始まるネタが尽きた」
幸利「はえーよ」
光輝「しょうがないだろ!?」
優花「逆ギレやめい」
光輝「だったらネタをくれ」
優花&幸利「「それは無理」」
幸利「それより、あらすじ紹介するぞ」
幸利「一番印象に残ってるのはハジメが天井に頭をぶつけて悶絶してるシーンだな」
光輝「それなwww」
優花「その後、二人が闇落ちみたいになっていくのよね」
幸利「見ているこっちまで萎えてきた」
優花「あっ、そういや零人と南雲が記憶を追体験できる装置を作ったらしいから体験してみる?」
光輝&幸利「「遠慮しとく」」
優花「だよね~」
優花「でも拒否権はないみたい」
光輝「ゑ」
幸利「なん……だと……」
優花「…………がんば♪」
光輝&幸利「「orz」」
優花「そろそろ時間ね、ほら立って立って、せーのっ!」

「「「本編をどうぞ!」」」


その頃、奈落の底で《後編》

 暗闇の中、緑光石の明かりがぼんやりと辺りを照らしている。

 その明かりが僅かな影を映し出した。その影は、一頭の獣(丸焼き)を前にして咀嚼している二つの人影だった。

 

 

〔ハジメside〕

「うげぇ、クソまじぃな、おい!」

「えぐみが凄い………。まるで熊肉みたい」

 

 硬い筋ばかりの肉を、噛み千切り必死に飲み込んでいく。およそ二週間振りの食事だ。いきなり肉を放り込まれた胃が驚いて、キリキリと抗議してくる。あれだな、めっちゃ台バンしてくるやつ。イヤホンしてるとすげぇ耳が痛いんだよな。それの腹版。

 

「香辛料とかないし、ただ単に焼いただけだしな。食べれるだけマシだろ」

 

 酷い匂いと味に涙目になりながらも、飢餓感が癒されていく感覚が伝わる。飯が食えるということがこんなにも幸せなことだったなんてな。断食しているイスラム教徒の方々マジ尊敬だわ。

 さすがに肉だけだと喉が渇くから、神水を飲料代わりにするという聖宗教会の関係者が知ったら卒倒するような勢いでがぶ飲みしている。てか、しろ。永遠に眠っとけ。

 一頭まるごと食べ終えて腹が膨れた頃、体に異変が起こり始めた。

 

「あ?――ッ!?アガァ!!!」

「ひぎぃ!?」

 

 幻肢痛よりも激しい痛みが襲い掛かってきた。まるで内側からハンマーで殴られるような、火で炙られるような、引き千切られるような感覚だ。

 あまりにもの痛さに地面をのたうち回る。震える手で石細工のコップを掴み、中身を飲み干す。直ちに神水が効果を発揮し痛みが引いていくが、しばらくすると再び激痛が襲ってきた。

 

「あ"あ"あ"あ"あ"!なんで………なんでなおらないの!?」

 

 香織がコップを使わず、直接神結晶から湧き出る神水を飲み始めた。よく見てみると全身にひび割れのような傷があり、神水を飲んでは治り、すぐにひび割れてく。俺もそんな感じなんだろう。

 次には体が痛みに合わせて脈動し始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという骨が折れそうな音さえ聞こえてきた。

 痛みで気絶しようとしても神水の効果で気絶できない。絶大な治癒能力が仇になってしまった。俺は何度も壁に頭を打ち付けながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。

 すると、体に変化が現れ始めた。

 髪の色素が抜けて、どんどん白くなっていく。そして、筋肉や骨格が徐々に太くなっていき、体の内側から赤黒い線が浮かび上がってきた。香織のほうを見てみると、俺とは違い、より女性らしい体型になり始めている。言わなくても分かるよな?

 このような感覚を前に似たような経験がある。たしか超回復という現象だ。前に酷い筋肉痛になって、治ったと思ったら明らかに肥大化していた。超回復は筋肉や骨が壊されて修復するときに強度を増して強くなる現象のことらしい。

 まさに今起こっているこの痛みや変化が超回復の傾向に似ていた。

 体が変化していってしばらくすると痛みが消えて、神水のおかげでみるみると体力が回復していく。

 

「お、治まったの?」

「なんとかな………、そういや、魔物って毒だから喰っちゃダメだったか………完全に忘れてた」

「えええー?」

 

 飢餓感がなくなり、壮大な痛みに幻肢痛も吹き飛んだようで久し振りになんの苦痛も感じない。それどころか妙に軽く、力がみなぎってくる。

 

「てか、ハジメ君凄く成長したね?別人みたいだよ」

「そうか?」

 

 腕や腹を見てみると明らかに筋肉が発達していた。綺麗な上腕二頭筋にシックスパック。目線もさっきよりも高くなっている気がする。

 気づいていないが前は百六十五センチだった身長が、一気に十センチ以上伸びている。

 

「それなら香織だってそうだろ。前みたいな貧相なk「殺すよ?」スミマセンでした!」

 

 土下座って大事だよね!?

女性に体型や年齢のことを言ってはいけない。これ絶対。マジで殺されるから。

 土下座をしたときに気づいたが手や腕に薄らと赤黒い線が浮かび上がっていた。

 

「うっわ、なんだこれ?なんか魔物みたいだな」

 

 はっきり言って気持ち悪い。脈打つようにドクドクと動いている気がする。

 

「やっぱりハジメ君も浮き出てる?ほら、足にも線があるみたいなんだけど」

「女の子が気軽に足を見せちゃいけません」

 

 駄目でしょ、嫁入り前の女の子が婚約者でもない男に素肌見せちゃ。襲われるぞ?男はみんな狼なんだぞ。……………零人はあり得ないな。彼奴、異性関連には無知過ぎるから、襲うことはまずないだろう。逆はあり得そうだが。

 

「ステータスは変化してるのか?」

「どうだろ?変わってるといいなー」

 

 すっかり存在を忘れていたステータスプレートをポーチから取り出す。今の体の異常について何か分かるかもしれない。

 

======================

南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

天職:錬成師

筋力:100

体力:300

耐性:100

敏捷:200

魔力:300

魔耐:300

 

技能:錬成[+高速錬成][+精密錬成][+遠隔錬成][+鉱物系鑑定]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・言語理解

======================

 

「「………」」

 

 なんでやねん。

 急にステータスが爆上がりしてるし、技能も何故か増えてるけどレベルが全く上がっていない。それよりも増えた技能が気になった。

 

「魔力操作?」

 

 本来なら人間が使える技能ではない。文献にも書いてあったが例外なく人間は習得することができず、魔物しか使えないはずだ。

 魔力に意識を集中し、右手に集めるイメージをを思い描く。すると、先程から妙な違和感だったものが右手に集まっていき、赤黒い線が再び薄らと浮かび上がってきた。

 

「おっ、おっ、おぉ~?」

 

 そして、右手にはめていた手袋の魔法陣が輝きだした。詠唱をせず、そのまま地面に手を置き錬成を試してみる。するとあっさり地面が盛り上がった。

 

「マジかよ。詠唱いらずか。やっぱり魔物を喰ったからか?」

「ちょっと待って!私もやってみる!」

 

 そう言って香織が手の平をこっちに向けてきた。え?何されんの?

 

「えっと………、じゃあ〝天恵〟」

 

 全身が光に包まれると、先程消費した魔力が回復していき、左腕の幻肢痛がさっぱり消えた。

 

「凄い!詠唱してないのに回復量が中級並だよ!」

「さすが魔力操作だな。ここまで変わるのか」

 

 今まで使っていた技能や魔法について分かったから、次は新たに追加した〝纏雷〟を試してみる。

 

「てんらい……でいいんだよな?これって、コイツらが使っていた固有魔法か?」

「そうなんじゃない?ほら、なんか電気纏ってたし。そうイメージしてみたら?」

 

 バチバチと弾ける静電気をイメージしてみる。すると、指先から紅い電気がバチッと弾けた。

 

「「おお~」」

「なるほど、やっぱり詠唱しない分、イメージが大事なのか」

「とことん反復練習して覚えないとだね」

 

 これなら焚き火用の魔石を使わずに肉を焼けるな。めっちゃ便利じゃん。

 最後の〝胃酸強化〟は文字通りだろう。食べた時にあんな激痛に襲われたんだ。何か変化が起こっても可笑しくない。

 穴からもう一頭、二尾狼を取り出し纏雷で焼いてく。電気で一気に内側も焼けるから効率がいい。

 ちゃんとしっかり焼け、相変わらず酷い匂いが漂うが胃を決して喰らいついた。

 

(………………………………)

 

 何も起こらない。一分経っても小さな痛みすら襲ってこなかった。

 

「だ、大丈夫?」

「ああ、胃酸強化のお陰で何ともない。安心して喰えるぞ」

 

 問題ないことを伝えると、香織も肉にかぶりつく。いくら食べても痛みが襲ってこないからか、さっきよりも凄い勢いで食べていく。

 さすがに四頭全部を食べきるのはキツイから錬成で作った石の容器に捌いた肉を詰め込んでいく。出来るだけ圧縮して缶詰のように保存する。

 これで何日か持つだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 体が変化してから数日経った頃、隠密しながら拠点の周りを探索し始めた。理由は周りにある鉱物を調べるためだ。もしかしたら役立つ鉱物があるかもしれないしな。派生技能に〝鉱物系鑑定〟があるから詳しく調べるし。

 しばらく歩くと三種類の鉱物を見つけた。

 

======================

・緑光石

魔力を吸収する性質を持った鉱石。魔力を溜め込むと淡い緑色の光を放つ。また、魔力を溜め込んだ状態で割ると、溜めていた分の光を一瞬にして放出する。

 

・燃焼石

可燃性の鉱物。点火すると構成部分を燃料に燃焼する。燃焼を続けると次第に小さくなり、やがて燃え尽きる。密閉した状態で大量の燃焼石を一気に燃やすと爆発する危険性あり。その威力は量と圧縮次第で上位の火属性魔法に匹敵する。

 

・タウル鉱石

黒色で硬い鉱石。硬度8(10段階評価で10が一番硬い)。衝撃や熱に強いが、冷気に弱い。冷やすことで脆くなるが熱を加えると再び結合する。

======================

 

 この説明を見たとき、脳内に電流が走ったような気がした。緑光石は閃光弾、燃焼石は火薬、タウル鉱石は鉄の代わりになるのではないかと。

 つまりだ。もしかしたら、この世界で銃が作れるのではないか?

 そう思い、急いで拠点に戻り、錬成し始めた。何百、何千回もの失敗を重ねて、遂に二丁の銃が完成した。

 

「で、できた!やっとできたぞ!」

 

 全長約三十五センチ、六連の回転式弾倉。弾丸には粉末状の燃焼石を圧縮して入れてある。全て、タウル鉱石で作られており、黒く輝いている。

 すなわち、大型のリボルバー式拳銃だ。

 しかし、燃焼石の爆発力では物足りないと思い、固有魔法の纏雷で電磁加速する事で威力を倍にする事ができる小型レールガン化してある。我ながら凄いものを作ってしまった。

 ドイツ語で落雷を意味するドンナーシュラークから取った。相棒には名前が必要だからな。

 

「ハジメ君、これで!」

「ああ!あの熊野郎にも………、脱出だって………やれる!」

 

 俺の腕を喰った熊野郎に復讐できるし、いち早く、この大迷宮から脱出できるかもしれない。

 そう思い、さっさと移動の準備をし始めた。

〔ハジメsideout〕

 

 

 

 この時、ハジメと香織は思いもしなかった。

 ある場所で不思議な少女に出会い、一緒に旅をすることを。

 ある場所で運命的な再会をすることを。

 世界の真実を知ることを。

 

 

 

 

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