ありふれた錬成師と神に愛された病弱で世界最強   作:ファフ

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零人「第九回『あり病』のあらすじのコーナーじゃ~」

大介「今回はこの俺、檜山大介と」
礼一「近藤礼一の三人でお送りするぞ!」
零人「はい、てなわけでもうすぐオルクス大迷宮編が終わるな」
大介「七大迷宮の中で最も難しい迷宮なんだよな?」
零人「他のを攻略したのを前提にした迷宮だからな」
礼一「それを初心者用って言われて訓練させられた俺達って………………」
零人・大介「「言うな」」
零人「でも一番大変だったのは■ル■■■樹■だったけどw」
礼一「はい、ネタバレ防止の為、効果音入りまーす」
大介「あらすじ紹介で効果音入るの何気に初めてじゃね?」
礼一「俺達の初出演でやるのやめてくれ」
零人「すまんすまんwww。ほら、あらすじ紹介するぞ」
大介「確か前回はやっと再会したんだよな?」
零人「長かった………、辿り着くまでに二週間以上掛かったからな。心が折れそうになったぜ」
礼一「お疲れ~」
礼一「んで、零人の写真が公開されたんだよな」
零人「おう。コメント貰ったんだけど、なんかふざけキャラに見えないって言われた」
大介「あー、あの写真って確か………」
零人「帰還した後に撮ったやつだ。威厳がある風にしてって言われたんだ」
礼一「だから見下して睨んでいるような写真なんだな」
零人「一応、ふざけバージョンもあるんだけどさ………」

【挿絵表示】

零人「男がこれやるのキツいよな………」
大介・礼一「「………」」

「「「………」」」

「「「本編をどうぞ………」」」


最後の戦い……………………………………そして、

〔零人side〕

 ハジメ達と再会してから数日経った。

 再会してから一番大変だったのは食料調達だ。まぁ、俺のせいなんだけどさ。前にも説明したと思うがストレスなのか後遺症なのか原因不明の味覚障害がある。旨味とかは問題ないが甘味が感じにくく、苦味を感じやすい体質だ。例えるならミルクチョコがビターチョコみたいに苦くなるレベルだ。

 この体質のせいで魔物肉があまり食べれない。下層の魔物は大体苦く、硬い肉質だから食べにくい。だから俺が食べれるヤツを探していた。我慢して苦いのも食べたけど。

 あと、俺の血がすごく旨いらしい。ユエ曰く、ハジメは『肉や野菜をじっくりコトコト煮込んだスープ』で、香織は『超高級な凄く美味しい紅茶』、俺は『色んなフルーツが盛られているパフェ』の味なんだと。しかも、特に俺のはフルーツの種類が何故か毎回変わるから何度でも飲みたくなるような味だけど体のこともあるから、たまにでいいって言われた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 話は戻って、再会してから数日経ってようやくボス部屋に到着した。真の大迷宮に入るための巨大な扉に似ている。違うのは彫刻だ。入り口のは特に装飾されていない質素な造りだったが、ボス部屋のは王宮で見たようなとても美しい装飾だ。

 

「ふぅ、やっと着いたか」

「どっからどう見てもボス部屋じゃねぇか」

「長かったね~」

「ん、疲れた」

 

 扉の前に簡易拠点を作る。と言っても、ハジメの錬成でドーム状の部屋を作っただけだけど。

 

「そういや、なんでオルクス大迷宮が全二百階層って知ってたんだ?」

 

 ボス戦前の最後の食事をしている最中、ユエに血を吸われているハジメに質問された。

 

「ん?そりゃあ、本に書いてあったからに決まっているだろ?」

「はぁ!?図書館のオルクス大迷宮に関する本は全部読んだがどれも百層までしか書いてなかったぞ」

 

 えっ、あれ全部読んだの?軽く千冊以上あったぞ、あれ。てか、中しか読んでないのか(・・・・・・・・・・)

 

「ちゃんと表紙も見たか?あれの裏に堂々と書いてあったぞ」

「表紙の裏かよ!道理で分からないわけだ!」

 

 だよな。俺も最初分からなかったもん。リリィ達と一緒に魔物や大迷宮について調べていた時に、一番古い本に紅茶を溢しちゃって拭こうとしたら、たまたま表紙の裏の文字が浮かび上がって即行表紙剥がしたからな。当時、本当かどうか分からなかったから言えなかったけど今回のではっきりした。

 

「それで此処で休んだら入るんだろ?」

「たりめぇだ。奈落に落ちた時からそれを目標に生きてきたからな」

「じゃなきゃ此処に居ないよ」

「早く此処から出て、ハジメ達の世界に行きたいし」

 

 やっぱ皆考えは同じなんだな。理由はバラバラだけど。

 

「銃弾もできるだけ複製して決戦に挑むからあっちで作ってくる」

「行ってら~」「「行ってらっしゃい」」

 

 さーて、俺も準備しないとな。香織とユエは魔力温存のために仮眠をとり始めたし、俺もやれることはやんないと。

 そう思い、眠った二人から離れて護身用のナイフを取り出し研ぎ始める。

 ちなみに今の俺のステータスはこんな感じ。

 

============================================

紅零人 17歳 男 レベル:83

天職:断罪神、奏者、調合師

筋力:27524

体力:38973

耐性:21576

敏捷:25792

魔力:53893

魔耐:50400

 

技能:

断罪[+対魔物特攻]・剣術・斧術・体術・投擲術・全属性適正[+発動速度上昇]・全属性耐性・物理耐性[+治癒力上昇][+衝撃緩和]・複合魔法・限界突破・高速魔力回復・生命の目録・無垢の領域・静寂の領域・演奏[+効果上昇]・楽器生成[+消費魔力減少][+自動演奏]・調合[+高速調合][+精密調合][+遠隔調合][+圧縮調合][+複製調合][+成分分離]・鑑定・機兵召喚[+部分展開][+全身展開]・武具生成・神々の寵愛・神の威圧・偽装・病弱〈D++〉・魔力譲渡・魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作]・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・熱源感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・金剛・念話・言語理解

============================================

 

 こうして見るとめちゃくちゃチートだと思う。ハジメに言われて何体か魔物肉を食べたおかげで新しい技能を覚えたし、〝病弱〟も〈B〉から〈D++〉まで落ちた。そのせいか前よりほんの少しだけ風邪を引きにくくなった。前が100だとしたら今は95ぐらいかな。

 取り敢えず、ほとんどの技能は使えるようになった。だが三つだけ使えないのがある。〝神々の寵愛〟〝神の威圧〟〝武具生成〟、これだけが未だに使えない。下の二つは恐らく、俺が神として覚醒していないから使えないのだろう。寵愛のほうは異世界だから加護が上手く付与されていないんだと思う。

 〝機兵召喚〟は新たに〝全身展開〟が出来るようになった。文字通り全身に装甲を纏うことができる。今まで部分展開を連続で発動して全身に纏っていたがこれのおかげで一瞬で纏うことができる。でも、纏うだけで中身は俺だから、(ゼータ)やイージスみたいに変形は出来ないから戦略の幅が少ない。そこは工夫してどうにかやってる。

 説明はこれぐらいで大丈夫かな。護身用のナイフ(シグルブレイド)も岩を斬り裂けるぐらいまで研いだし、睡眠もある程度取ったから問題ないだろう。

 

「さてと、皆のとこにもど―――、ゲホッ!?」

 

 戻るために立ち上がろうとした瞬間、喉の奥から熱いものが込み上げてきて思わず吐き出してしまう。

 その瞬間、辺りに生臭い獣臭が立ち込める。足元には赤い海がこれでもかと言わんばかりに自己主張しており、反射的に口を塞いだ手が真っ赤に染まっている。

 

「……………ははっ、もう限界か」

 

 この世界に来る前から体の不調が気になっていた。転移された当日に行った病院で余命宣告されていた。

 体調の悪化で一ヶ月持つかどうか分からないと言われ、診断書は転移された後、案内された部屋のバルコニーで静かに燃やした。

 だからこの事はハジメは勿論、光輝や雫たち、愛ちゃん先生、リリィとヘリーナ、ましてや父さんと母さんですら知らない。これは墓場まで持っていくつもりだからな。

 恐らく、このオルクス大迷宮を攻略したら俺は死ぬだろう。〝鑑定〟の技能を使わなくても直感で分かる。よくこの17年間生きてこられたと思う。

 

(でもやっぱり………………)

 

「もう少し………生きていたかったな………」

 

 皆の子供を見れるぐらいは生きていたかった。ハジメはともかく香織の勢いだと下手したら学生結婚ならぬ学生妊娠しそうだからな、一番最初に見れると思ったが無理そうだ。てか、どうやったら妊娠するのだろう?(←保健体育《性》未受講)

 

「そろそろ戻んないと心配されそうだな」

 

 手や口に付いた血を魔法で生み出した水で洗い落とし、地面のは水で希釈して埋めた。これでバレないだろう。

………………嗚呼、寒いな。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

《数分後》

 

「準備は出来たか?」

 

 一応、リーダー格のハジメが聞いてきた。

 

「おう、バッチし」

無問題(モーマンタイ)

「私も大丈夫」

 

 バタフライナイフの要領でシグルブレイドをくるくると回し、逆手で持つ。やっぱりこれぐらいの長さが一番使いやすい。

 

「これが最後の戦いだ。作戦はいつも通り、俺と零人が前衛、香織とユエは後衛。俺達が敵を撹乱するから、その間にユエは高位魔法の準備、香織は回復に専念してくれ」

 

 まぁ、そんな感じだろうな。ゲームとかやっている時も大体俺が盾役で攻撃防いでハジメと幸利が攻撃しまくってたもんな。これが一番やりやすいし。

 

「それじゃあ、いくぞ!」

「「「おう!」」」

 

 扉を開けると今まで攻略してきた階層とは大きく異なり、王宮や神殿のような巨大な部屋で螺旋模様と木の蔓が巻きついたような彫刻が彫られている柱が規則正しく一定の間隔で並んでる。さらに二百メートル先には入り口より豪華な装飾がされている扉がある。

 まるでSAOのアインクラッドのボス部屋を思わせるような内装だ。

 

So beautiful

「………これはまた凄いな」

「凄く綺麗………、もしかして」

「………反逆者の住処?」

 

 あっ、やべ。あまりにもの美しさに英語で喋っちまった。てか、此処が反逆者の住処か。こんな大迷宮を作った人だからもう少し殺風景かなって思ってたら想像してたのと真逆だったよ。

 

「ぜってぇ扉に近づいたらボス出て来るよな」

「だろうな、彼処だけ妙に魔力が集まってるし、恐らくベヒモスみたいに召喚されるんだろ」

 

 〝魔力感知〟のおかげで部屋にある魔力が扉の手前辺りに集まり始めている。

しばらく進み扉まで残り百メートルとなった所で直径三十メートル位の魔法陣が現れた。

 魔法陣がより一層輝くと弾けるように光を放った。咄嗟に腕をかざし目を潰されないようにする。

 光が収まり目を開けると、体長三十メートル、六つの頭と長い首、鋭い牙と赤黒い眼の怪物が現れた。

 

「八岐大蛇………いや、ヒュドラの劣化版か?不死性はなさそうだな」

「おっ、ならハルパーは必要ないな。ビームマグナムで殺れそう」

 

 冷静に目の前の魔物を観察する。

 ヒュドラなら首が九つないといけないし、その内一本は不死性を持っている。更には他の首は切り落としても数を増やして再生する。そして、ヤツの毒は強力で空気ですら吸うと即死すると言われている。

 だが、目の前のヒュドラ擬きは毒を吐いてないし、ペルセポネ様みたいな不死性を一切感じられない。どうやら簡単に殺せそうだ。

 

「「「「「「クルゥァァアアン!!!」」」」」」

 

 不思議な音色の絶叫をあげながら眼光が俺達を射貫く。常人なら即死しそうな殺気を叩きつけられるが受け流す。

 

(うーん、ゼウス様達の大喧嘩よりましだな~)

 

 ぶっちゃけ第二回神話大戦(ラグナロク)でも勃発するのかと思ったぜ。まぁ、俺が倒れたら止んだけど。

 殺気を叩きつけられたと同時に赤い紋様が刻まれた頭がガパッと口を開き火炎放射を放ってきた。放つと同時にバラバラに散開し、自分達の役割を始め反撃を開始する。

 ハジメのドンナーが火を吹き電磁加速された弾丸が超速で赤頭を狙い吹き飛ばす。

 まずは一つと内心ガッツポーズを決めたら、白い紋様の頭が「クルゥアン!」と叫び、吹き飛んだ赤頭を白い光が包み込んだ。すると、逆再生のようにみるみる赤頭が元に戻った。

 シグルブレイドで青頭を切り落としたり、ユエの氷弾が緑頭を吹き飛ばすが同じように白頭の叫びと共に回復してしまった。

 

〝作戦変更!全員で白頭を狙うぞ!〟

〝Jud!〟

〝わかった!〟

〝んっ!〟

 

 青頭が口から散弾のように氷の礫を吐き出し、それを回避しながら白頭を狙う。

 

ドパンッ!

 

「〝換装〟ユニコーン!」

「〝雷光〟!」

「〝緋槍〟!」

 

 ユニコーンの主武装の一つであるビーム・マグナムを生成し白頭を狙い撃つ。しかし、直撃かと思った瞬間、黄頭がサッと射線に入りその頭を一瞬で肥大化させた。そして淡く黄色に輝くとハジメのレールガンや俺のビームマグナム、香織の〝雷光〟、ユエの〝緋槍〟を受け止めてしまった。しかも無傷の状態で平然と睥睨している。

 

「ちっ!ビームマグナムを防ぎやがった!」

「攻撃に盾に回復か、実にバランスがいいことだな!」

 

 まるで精霊使いの剣舞に出て来るヴァララカールみたいだな。確かに赤は火、青は氷、白は回復、黄は防御、緑は風を使っている。黒はまだ分からないが恐らく闇系の能力だろう。

 

「だったら!〝換装〟ガデッサ!」

 

 素早く武装を切り換える。今度は俺よりも一回り大きい長砲身の『GNメガランチャー』と両肩に大容量の『GNコンデンサー』、背中にオレンジ色の粒子を生成させている『擬似太陽炉(GNドライブ)』を装備する。

 ただし今回は〝全身展開〟ではなく、〝部分展開〟で装備している。

 GNメガランチャーを黄頭に向け狙いを定める。コンデンサーと擬似GNドライブからGN粒子を流し込むと開放型の砲身の内部に紫電が走り、オレンジ色の光が溜まっていく。

 

「GNメガランチャー発射!」

 

 引き金をおもいっきり引き、砲身から極太いオレンジ色の光の奔流が黄頭を呑み込む。光が収まると黄頭とその後ろにいた赤頭が消滅していた。

 

「すまん、白頭を仕留められなかった!」

「いや、よくやった!これで白頭を狙える!」

 

 ハジメが背中に背負っていた対物ライフル『シュラーゲン』を構える。〝纏雷〟を発動し、砲身に紅いスパークが起こる。

 しかし、あとは引き金を引くだけというタイミングで突然ユエの絶叫が響いた。

 

「いやぁああああ!」

「「「!?」」」

 

 急いでユエの所へ向かう。青頭が氷弾を無数に飛ばして来るが擬似GNドライブをフル活動させ避ける。

 ユエの側に行くと黒い紋様が刻まれた黒頭がジッとユエを見ていた。

 

(やっぱり闇魔法!しかも精神汚染タイプか!)

 

 GNメガランチャーの砲身を閉じて3連ビームライフルにし黒頭を撃ち抜く。頭が吹き飛ぶと同時にくたりとユエが倒れるがすかさずハジメが支える。

 

「おい、ユエ!しっかりしろ!ユエ!」

 

 ハジメが何度も叫ぶがユエは未だに虚空を見つめている。顔が青ざめており、ぶつぶつと何かを喋っている。

 俺も近くに行って声をかけてやりたいがヒュドラがそれを許してくれるわけがなく、火球や風刃、氷弾を放ってきた。

 

「〝換装〟サイサリス!」

 

 部分展開を使い、ガンダム試作2号機の大型シールド『ラジエーターシールド』を生成して攻撃を防ぐ。

 

「ハジメ!」

「ああ、わかってる!」

 

 ハジメが閃光手榴弾と音響手榴弾を投げる。俺もすかさず肩のコンデンサーを切り離しヒュドラに投げる。ヒュドラにぶつかると強烈な閃光と音波が一気に襲う。ヒュドラが怯んでいる間にハジメがユエを抱き上げ、俺は香織を連れて柱の陰に隠れる。

 

「ユエ!ユエ!」

「香織、回復魔法は!?」

「精神系は習得してない!神水を使うよ!」

「出し惜しみしてる場合じゃないからな!どんどん使え!」

 

 ペシペシとユエの頬を叩きながら神水を飲ませる。しばらくすると虚ろだったユエの瞳に光が宿り始めた。

 

「………ハジメ?香織?零人?」

「うん、香織だよ。大丈夫?」

「Jud.皆の病弱だぞ~」

「おう、ハジメさんだ。一体何されたんだ?」

 

 パチパチと瞬きしながら俺らの顔を見て、その小さな手を伸ばし顔に触れる。それでようやく俺らが本物だと実感したのか安堵の吐息を漏らし目の端に涙を溜め始めた。

 

「………よかった。………見捨てられたと………また暗闇に一人で………」

「ああ?何の話だ?」

 

 ユエ曰く、突然、強烈な不安感に襲われ気がつけば俺たちに見捨てられて再び封印される光景が頭いっぱいに広がっていたらしい。

 そして、何にも考えれなくなり恐怖に縛られて動けなくなったと。

 

「ちっ、デバフ系の闇魔法か。ほんとバランスのいい化け物だな!」

「幸利がいたら対策練れたんだけどな………」

「清水くんってそこまで出来るようになったの?」

 

 ああ、香織達は知らないんだっけ?確か二人が図書館に籠って本読んでるときに起きた事件だからな。

 

「洗脳系の闇魔法の練習中に鈴が洗脳されちまってな。本能に従う洗脳だったから優花達にセクハラしまくってらしい」

「「うわぁ………」」

 

 やべぇよな。男がやるならともかく女がやるのはやばくないか?いや、男がやるのが一番やばいけど。でも、俺そのシーン見てないんだよな。何故か雫に目隠しされて「零人にはまだ早い!」って言われた。なんでだろう?

 その後、俺とハジメを除く男子全員で鈴を抑え込むことができて、幸利はこっぴどく叱られた。(三時間正座しながら)

 

「………私………」

 

 泣きそうで不安そうな表情で震えている。慰めの言葉でも掛けるべきなのだろうが、今は時間がない。俺や香織がするよりもハジメがやったほうが良いだろう。

 ハジメは掛ける言葉が思いつかないのか、ガリガリと頭を掻きながらユエの前にしゃがみ目線を合わせた。

 そして………、

 

「?………!?」

「ちょ!?」

「おぉ~」

 

 首を傾げるユエにキスしてた。しかもおもいっきり。ユエはキスされたことに驚いたのか口を押さえながら後退りした。

 おぉお~、お熱いこって。ほら見てみ~、ヒロインその1が顔真っ赤にしながら凄い形相で睨んでるぞ~www。

 

「私もする!」

 

 我慢の限界だったのか香織がハジメを押し倒してキスをし始めた。うーん、お相手がいない俺の目の前でされると殺したくなるな~。

 

「ハジメ………」

「お前とはしねぇよ!?」

 

 たりめぇだ。俺だって男同士でやりたくないからな。それよりも、

 

死亡フラグ成立(ヒロインとキス)したけど今から首断つ?」

「誰がするか」

 

 ちっ、断たねぇのかよ。白けるな。

 

「そんなことより、ヤツを殺して生き残る。そして、地上に出て地球に帰るんだ。………一緒にな」

 

 ユエは未だ呆然と口を押さえていたが、いつかのように無表情を崩しふんわりと綺麗な笑みを浮かべた。

 

「んっ!」

 

 ハジメは咳払いをして気を取り直しつつ、作戦を告げてきた。

 

「もう一度シュラーゲンを使う。零人、GNメガランチャーは?」

「たぶん無理。コンデンサーはさっき爆破させたから充電に時間かかるし、威力も半減するかも。だけど再召喚したらいける。でも、少し時間がかかる」

「なら頼む。シュラーゲンは連発できないできないからユエと香織は魔法で援護してくれ」

「うん、わかった!」

「任せて!」

 

 一斉に柱の陰を飛び出す。それを待っていたのかヒュドラが咆哮を上げながら火球などを撃ち込んできたがすべてかわす。

 射撃位置に移動し、砲身に粒子を再充電させる。

 

「〝緋槍〟!〝砲皇〟!〝凍雨〟!」

「〝雷光〟!〝縛光刃〟!〝縛煌鎖〟!」

 

 ユエは炎の槍と風刃の竜巻、氷柱の雨を降らせ、香織は雷撃に光の十字架と鎖でヒュドラを拘束する。

 赤頭、青頭、緑頭が攻撃されて怒り狂ったのか黒頭がまたユエを恐慌の魔法を行使しようとしていた。

 

「ユエ!」

「っ!?零人!?」

 

 幸い、ユエの後ろのほうで充電していたから行使される前に視線を塞ぐことができた。眼が合った瞬間、胸中に不安が沸き上がってきて、死が刻々と近づいてくる感覚が一気に襲ってくる。だが………

 

「………………なんだ」

「?」

 

 ユエが不思議そうにこっちを見てくる。

 

「こんなものか」

 

 この感覚はさっきから味わってるからな、もう慣れたよ。てか、さっきよりも寒くなってきている。脱出する前にこの戦闘で死ぬかもな。

 シグルブレイドを黒頭の眉間に投げて絶命させる。GNメガランチャーのチャージも丁度終わったらしく、砲身にまたオレンジ色の粒子が集まり始めた。

 

「ユエ下がって」

「ん、わかった」

 

 ユエが十分下がるとすかさず擬似GNドライブを酷使しGNメガランチャーに粒子を溜め込む。限界量を越しているため砲身が暑くなり、ガタガタと震え始めた。

 光が溜まっていることに気がついたのか黄頭が咆哮を上げる。

 

「クルゥアン!」

 

 すると近くの柱が波打ち、変形して即席の盾になった。さっき身を呈したのに俺の攻撃を防げなかったのにこんな即席の盾で防げると思ってんのか?

 

「はっ!そんなもので防げるかよ!」

 

 粒子が限界量の二倍まで溜まりもうすぐで崩壊しそうなほどガタがきている。

 

「貫け!」

 

 トリガーを引く。先程よりも太い光の奔流が盾ごと後ろにいた黄頭や赤頭などを呑み込んでいく。白頭はギリギリ避けたようだ。

 

「ハジメぇ!」

「わかってる!」

 

 光をすべて出しきりGNメガランチャーが自壊すると同時にハジメが〝空力〟と〝縮地〟で飛び上がり対物ライフル『シュラーゲン』を空中で脇に挟んで照準する。

 

「これで終いだ!」

 

ドガンッ!

 

 大砲でも撃ったかのような凄まじい炸裂音と共に弾丸が発射された。守ってくれる黄頭が消滅しているからそのまま白頭を貫通して背後の壁もろとも爆砕した。

 頭を全て失った影響か、残った首が脱力して地面に落ちる。

 

「あー、疲れた………」

 

 緊張が解けたせいで尻餅をついてしまう。

 てか、黄頭硬すぎだろ。ビームマグナム防ぐってどんだけ硬いんだよ。まぁ、GNメガランチャーで吹っ飛ばせたからいいものの。

 

「お前ら大丈夫か?」

「何とか………」

「魔力がすっからかんだよ………」

「………立つのが精一杯」

 

 残った力を振り絞り、三人の所まで向かう。三人とも満身創痍ってわけにはいかないみたいだけど、ちゃんと生きている。やべぇな、寒気が酷くなってきた。

 

「さぁて、アイツの死骸をどう使おうか」

「首ごとに固有魔法持ってんじゃね?」

 

 ハジメとヒュドラの使い道について話す。あれだけ強かったんだ。余程良い固有魔法を持ってんだろ。

 その直後、

 

「ハジメ!零人!」

 

 ユエの切羽詰まった声が響き渡る。ユエの視線の先を見てみると、音もなく七本目の頭が胴体部分からせり上がってきた。

 

(七本目!?魔力感知に反応しなかったぞ!?)

 

 銀色に輝く七本目が俺たちを確認すると予備動作もなく極光を放った。

 

「〝換装〟サイサ――」

 

(まずい、間に合わない!)

 

 大盾を生成させようにも間に合わない。これで終わりかと思った瞬間、ハジメが〝金剛〟を使って俺達の前に立ち塞がった。

 強い衝撃に襲われるがなんとか耐える。極光が収まり、目を開くとそこには融解したシュラーゲンの残骸の側に仁王立ちしながら全身から煙が吹き上げているハジメが立っていた。

 

「お、おい、ハジメ?」

 

 いつまで経っても返事が返ってこない。立ち上がって肩を叩く。すると事切れたようにハジメが倒れた。

 

「ハジメ!?」

「ハジメ君!?」

「ハジメ!」

 

 ハジメの容態を見てみると、指、肩、脇腹が焼け爛れて一部骨が露出している。顔も右半分が焼けており右目から血が流れている。幸い足と左側はシュラーゲンを盾にして守ったらしい。

 

「香織、回復魔法!」

「やってる!でも治らないの!」

「神水は!?」

「こっちも駄目!何で治らないの!?」

 

 あり得ない。神水なら瞬時に治るはずなのに一向に治らない。

 

(………まさか!)

 

「〝治癒の阻害〟それがあの銀色の固有魔法か!」

 

 擬似GN粒子の副作用、細胞障害と同じ作用。もっともヒュドラのは治癒を遅くさせているみたいだから、まだマシなほうだ。

 このまま回復魔法と神水を使えば治るだろう。だが、それをヒュドラが許すわけがなく、再度光弾を放とうとしている。

 

「〝換装〟ストライクノワール………………」

 

 部分展開で右腕だけストライクEにする。そして、ワイヤーアンカーを射出しハジメ、香織、ユエを巻きついておもいっきり後ろの柱まで投げ飛ばす。

 

「っ!?零人君!?」

「零人!?」

 

 香織とユエが叫ぶ。

 三人が柱まで辿り着くと同時に幾つもの光弾が発射された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………生きて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 背後から少しずつ光が近づいてきて足元に巨大な影ができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………最後に三人と旅ができてよかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 会えたのは大迷宮の下層で過ごしたのはほんの数日で大変なこともあったけど楽しかった。一緒にご飯を食べて笑って毎日が楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………皆に会えて良かった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラスの皆や王国の人達、そして地球にいる人達に良くして貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 光弾がすぐ後ろまで来ているため、背中がジリジリ焼けていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これが最後の言葉になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バイバイ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ごめん、リリィ、ヘリーナ。約束破ちまった………………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全身が真っ白に輝く光に飲み込まれた瞬間、目の前が真っ暗になった。

 

〔零人sideout〕

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